「できれば図書館での文庫の貸し出しをやめていただきたい」。10月中旬に東京都内で開かれた全国図書館大会で、文芸春秋の松井清人社長が訴えた。背景にあるのは文庫本の売り上げの落ち込み。本を買うはずの読者を図書館に奪われているのでは、との危機感をにじませたこの発言が反響を呼んでいる。 問題提起 出版業界で目立つのは雑誌の不振。その陰で近年深刻化しつつあるのが文庫の低迷だ。出版科学研究所のまとめで、文庫の売り上げは、平成26年から毎年6%程度減り続けている。 松井社長は、同社の収益のうち文庫が30%超を占めると明かした上で「文庫を充実させ、どんどん貸そうという図書館の動きが加速している。作家も版元も、収益の柱である文庫を貸し出されることは相当つらい」と訴えた。ただ裏付けとなるデータはなく、発言は問題提起だと強調する。「本は買って読むのではなく、借りて読むものだという意識の広がりが問題の根幹にある。

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