進化論って、適者生存のこと? 進化論のせいで生きづらくなっていないですか? 絶滅から生命の歴史を考える『理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ』著者である吉川浩満さんに、私たちの「進化論」と科学的な「進化論」との違いについてお話を伺った(聞き手・構成/山本菜々子) ――進化論は、ずっと温めていた企画なので、実現できてとても嬉しいです。今日は『理不尽な進化』著者の吉川さんに色々と話を伺いたいと思います。 よろしくお願いします。パフェ頼んでもいいですか。 ――どうぞ、どうぞ。 ありがとうございます。いただきます。 山本さん(註:インタビュアー)がくださった企画要旨のメールに、「生きづらいのは進化論のせいだ!」とあったのが印象的でした。半分ご冗談なのかもしれませんが、おっしゃることはよくわかります。そのあたりから始めましょうか。 ――「弱肉強食」「適者生存」みたいな言葉を聞くと、日々がむしゃらに頑張

無残な姿をさらす東京電力福島第一原発。リスクを意図的に軽んじてきた科学者の信頼も、崩れてしまった/2012年5月26日、福島県大熊町 (c)朝日新聞社 @@写禁 この記事の写真をすべて見る 様々なリスク管理において、参考になるはずの専門家の発言。しかしその信頼性は、福島原発事故をきっかけに大きく揺らいでしまった。近年のデータからも、それは明らかになった。 科学技術白書(2012 年)によると、「科学者の話を信頼できる」とする人は震災前の半分程度になり、「科学技術の研究開発の方向性は内容をよく知っている専門家が決めるのがよい」という回答は、3分の1程度まで激減したという。ただし全分野で信頼を失ったのではなく、原発や地震の領域で目立った。 リスクの大きさは、引き起こされる被害の深刻さと、その発生確率によって決まる。その計算は専門家たちが担ってきた。 ところが福島原発事故で、その算術があてになら

来年はガリレオ・ガリレイの生誕450周年ということで、それに合わせていくつもの研究書が出版されているようです。そういう研究書の多くは、新たに公開されたバチカンの異端審問関連資料を使ったもの。 とはいえ、その資料から明らかになったのは、まあ、あの時代、あの状況で、ガリレオにああいう態度(ポリティカルにあまり賢明とは言えない態度)を取られたら、ローマ・カトリック教会としては、ああするしかなかったよね……という、「ガリレオがもう少し賢く立ち回ってくれていたら、あんな無体なことはせずにすんだのに」的な教会サイドの言い分に共感したくなりそうな状況だったもようです。 しかし、それを言ったらおしまいなんですけどね。所詮は、「大人しく言うことを聞けば、手荒なことはしない」という脅しなわけで……。あの裁判が複雑微妙できわめて政治的だったことは間違いないにせよ、「教会は拷問で脅してガリレオに自説撤回を強いた」

ふと気付いたんで、こんなんよんでみた。 科学的合理性に著しく反する図書を図書館はどう取り扱っているのか : 聞き取り調査を手がかりに / 岡部 晋典 , 中林 幸子. -- (Library and information science (68), 85-116, 2012) んー(  ̄▽ ̄) 全体として有意義かつオモシロなんだけど、細部に難があるなぁ。 あと前提のいくつかのうち、学問の3分類のうち自然科学とほかの人文社会系とちがう取り扱いをするとことは、わちきは納得せんが、まあ、これは価値の問題だからしょうがない。 細部の難の最大のものは、じつは『水からの伝言』の分類の付け方という図書館情報学でしかできない技術的なところ。 せっかく価値判断をなるべく留保して問題発見的なアプローチをとっているのに、あたかも『水からの伝言』を4類におかないのが正しいということを前提にしてるのが透けてみえち
牧野淳一郎 藤垣裕子 今井良行 概要: この論文は、特に理論科学の分野において、研究者、あるいは研究グルー プのの「優秀さ」がどのような要因に基づいて決定されるかを明らかに することを目的とする。このために、第二次世界大戦後の日本の理論天 体物理学を代表する2つの研究グループを定量的に比較することを試みる。 得られた主な結論は以下の通りである。まず、研究者コミュニティの中 での研究グループに対する評価は、たとえば論文生産数、あるいは論文 の被引用度といった通常のマクロ研究で用いられる指標による評価と必 ずしも一致するものではないということが明らかになった。2つのグルー プ間で定量的尺度で測定した「優秀さ」に有意な違いを認めることがで きなかったのである。かろうじて引用の多い論文数についてはある程度 の違いが見られた。この結果は、研究コミュニティのなかでの評価が意 味がないものであるというふ

テレビで魚に右利き左利きがあることを発見した教授が出ていて、その話がすごすぎた。餌をとるのに右にばかり曲がる魚とか、魚にも利きというのがあるらしく、しかもそうした魚を干物にすると、右利きは右に曲がって干からび、左利きは左に曲がって干からびる、つまり骨格から利きが決まっているらしい。その比較を見せてもらったときは鳥肌がたったわけで、偉大すぎるだろ、とびびっていたのだけれど、アナウンサーさんは変な研究、と言いたげに苦笑していて、しまいには「なんの役に立つんですか?」という自然科学でもっとも野暮な質問をしてしまっていた。 うーん。「なんの役に立つんですか?」という言葉は、実はいろんなことに投げかけられている。「マンガなんて読んで、なんの役に立つの?」「宇宙なんて研究して、なんの役に立つの?」「絵画なんて観て、なんの役に立つの?」大衆にとってもっとも価値があるのは「利便性」だ。「利便性>娯楽性>芸
0887 科学 御用学者がつく られる理由 「科学」はときに,水戸黄門の「葵の御紋」の 印籠に似ている。 「科学的」と言われた瞬間,市 民はひれ伏さなければならないかのようだ。時代 劇では庶民の味方である黄門様が印籠を用いるか ら,視る者は溜飲を下げられるが,悪代官が葵の 印籠を使ったとしたらどうだろうか。そして現実 に,科学者がそのように振る舞っていると批判を 浴びることがある。いわゆる「御用学者」批判で ある。なぜこのような事態が起こるのか。そこに は科学と社会の関係に根をもつ重大な問題が存在 している。 「御用学者」 問題を解きほぐす 福島第一原子力発電所の事故によって,専門家 の発言が社会的に争点となる事例が続出した。情 報が不足し,社会に十分に伝えられない中で,事 故の見通しについて,あるいは放射能リスクの評 価と人々がとるべき対応について,楽観論や「安 全・安心」に偏った言説が
1 科学における偶有性と規範性をめぐって ― 科学を批判するとはどういうことか ― 国際基督教大学大学院比較文化研究科 平川秀幸 (ID: 989042) 1. 科学をめぐる偶有性と規範性の矛盾本稿は,博士候補資格試験論文の第三論文として,前二論文ならびにその後の既発表論文のい くつか(平川 1998a, 1998c, 1999a)を書くなかで浮かび上がってきた科学論上の問題に焦点をあて る。それは,博士論文において中心的な問題になるものだが,ここではその解答を目指すという よりは,それを考察するために必要な問題の整理を意図している。 それではその問題とはなにか。それは,フェミニスト科学史家のダナ・ハラウェイが次のよう に主張する「科学のラジカルな偶有性(contingency)の暴露と世界に関する規範的判断・関与と いう,一見矛盾する二つの課題をいかに同時に行うか」という科学批判の実践
TwitterとかFacebookで書いたものについて、ブログでも公開することにした。 第一弾は、「欠如モデル」と「欠如モデル批判」について。 とある原稿で「欠如モデル」について書くので、その下書きというかメモ。 (4月にFacebookに書いたもののコピーです。あしからず。。。) 一気に書きなぐった文章なので、まだ文章が硬すぎる・すっきりしない・分かりにくい。。。orz またちょっと長いので、もうちょっとシンプルにかつ短くまとめないといけないけれど、そのあたりはご容赦ください。 あくまでメモということで。 - 欠如モデル 「欠如モデル(Deficit model)」とは、一般の人々が科学技術を受容しないことの原因は、科学的知識の欠如にあるとして、専門家が人々に知識を与え続けることで、一般の人々の科学受容や肯定度が上昇するという考え方を指す。このような考え方は、1980年代までの「科学の公
「34学会(44万会員)会長声明 」について 田崎晴明 私が所属する日本物理学会をはじめとする 34 の学会の会長が連名で出した「声明」について、物理学会会員として会長に「質問」を提出し回答を得た。さらに、化学会会長に「意見と質問」を送付し、メールをやりとした。関連する情報をここにまとめ記録として残しておく。 なお、このような批判をおこなうことについてのより個人的な思いは、公開の日記(たとえば、 ここやここ)で散発的に表明している(公開 2011/5/8、最終更新日 2011/5/19) 基本的な資料 34 学会(44万会員)会長声明:日本は科学の歩みを止めない ~学会は学生・若手と共に希望ある日本の未来を築く~(2011 年 4 月 27 日) 「声明」の全文を掲載した web ページ(情報処理学会) 「声明」の全文のpdf ファイル(日本物理学会) 日本物理学会に田崎が提出した 「質
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