現職の国会議員が、公の機関から「人権侵犯」を認定されるとは、驚きあきれる。重く受け止めるなら、ただちに反省の弁を述べるのが当然なのに、それもしない。過去の謝罪が本心だったか疑わしく、もはや、議員を続…

安倍晋三政権が「政治的公平」を名目に放送法の解釈を事実上変更した。その経緯を示す総務省の行政文書を国会議員が示した。放送番組への露骨な政治介入で、不当な新解釈は撤回すべきだ。 ニュース番組で、二人のコメンテーターがともに特定の政策に批判的なコメントをしたら、「政治的公平」に反するのだろうか。仮に一方が自分の意に反し、政府に迎合せざるを得ないなら、自由な論評は封鎖されるに等しい。 政府はかつて「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体で判断する」との見解を示してきた。だから、コメンテーターも自由に意見を述べられた。だが、今は「一つの番組でも、極端な場合、政治的公平を確保しているとは認められない」との「新解釈」が放送現場を支配している。

この会社で学んだこと① 1995年秋 「2年生記者研修」にて 籔下彰治朗・元朝日新聞編集委員 《(前略)あなた方にはいま、自分は見たままを書けるという自信があると思います。入社以来、徹底して見たままを書けばいい、率直に書けばいいとの教育をされていると思います。》

安倍首相主導の不当な働きかけが疑われる加計学園問題。例の「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」などと記載された文科省の内部文書を巡り、昨日夕方、前事務次官の前川喜平氏が記者会見を開いた。 「これらの文書については、私が実際に在職中に共有していた文書でございますから、確実に存在していた。見つけるつもりがあれば、すぐ見つかると思う。複雑な調査方法を用いる必要はない」 「極めて薄弱な根拠のもとで規制緩和が行われた。また、そのことによって公正公平であるべき行政のあり方が歪められたと私は認識しています」 「証人喚問があれば参ります」 各マスコミは一斉に“前川証言”を報じ始めた。昨夜はほとんどのテレビ局がこの記者会見を大きく取り上げたし、今日の新聞朝刊も多くの社が1面トップ、もしくはそれに準ずる扱いで、〈文科前次官「総理のご意向文書は確実に存在」「証人喚問応じる」〉と打った。 こうなって
事実に基づかず、特定の人々への差別と偏見を生むような番組をテレビでたれ流す。あってはならないことが起きた。 地上波ローカル局、東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が、今月2日放送の「ニュース女子」という番組で、沖縄・高江に建設された米軍ヘリパッド問題を特集した。 驚くのはその内容だ。 軍事ジャーナリストを名乗る人物の現地報告は、建設に反対する人たちを遠くから撮影し、「テロリスト」「無法地帯」などと呼んだ。「過激な反対運動の現場を取材」とうたいながら実際には足を運ばず、約40キロ離れたところからリポートした。 不可解きわまりない「取材」であり、論評である。 反対運動を支援してきた市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シンスゴ)さんは、番組で「運動を職業的に行っている」などと中傷されたとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に人権侵害を申し立てた。 当事者の動きとは別に、放

最近、ノンポリ、あるいは保守的と言われていた作家や芸能人が安倍政権とその改憲への動きに危機感を表明するケースが増えている。 作家の林真理子もそのひとりだ。林はもともと、安倍首相直轄の有識者会議「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」のメンバーであり、安倍首相や昭恵夫人とも旧知の仲。典型的な安倍応援団と目されてきた作家だったが、昨年の安保法制論議のころからその右傾化政策を批判するようになった。 今年2月には「週刊朝日」(朝日新聞出版)2月12日号の高橋源一郎との対談でこんな不安を口にしている。 「それにしても私、安倍(晋三)さんがこれほど長期政権になって力を持つとは思わなかった。今年になって「改憲」をはっきり言うようになったでしょう。「えっ、ウソ!いつの間に世の中そんなふうに進んだの?」って感じ」 「ほんとにちょっとまずいんじゃないかと思う」 あの林までがこんなことを言い始めるくらい、いまの日
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毎日新聞の与良正男専門編集委員が、ある社長さんが「(産経を読むと)気持ちがいいんだ」と語った、という逸話を紹介してくれています(17日付毎日夕刊)。結論として、与良氏は「『気持ちいい』は気味悪い」と新聞を読んで爽快感を得ることに嫌悪感を露(あら)わにしていますが、果たしてそうでしょうか。 新聞は、事実を正確に伝えるのがもちろん基本ですが、各社がそれぞれの立場から論点を提示するのは、言論の自由がある日本では、当たり前の話です。メディアが相互批判をするのも社会が健全な証拠です。 自分の考えに近い新聞を読んで、気持ちの良い一日のスタートを切る生活のどこが、気味悪いのでしょうか。 もちろん、国益を害したウソを32年間も放置するような新聞を毎日読んでいれば、「気持ちいい」朝は迎えられないでしょうが。(編集長 乾正人)

イスラム過激派組織「イスラム国」に、ふたりの日本人が人質として捕らえられた。いまわたしがこの文章を書いている火曜深夜、事態は流動的だ。 爆笑問題の太田光はこの事件に関し、報道の問題として「黙ることが必要なときもあるんじゃないか」とテレビで語った〈1〉。太田光が沈黙を求めたほんとうの理由はわからない。けれど、いまのわたしは同じことを感じている。 テロにどう対処するのか、政府や国家、「国民」と名指しされたわたしたちは、こんな時どうすべきなのか。わたしにも「意見」はある。だが、書く気にはなれない。もっと別のことが頭をよぎる。 動画を見た。オレンジの「拘束衣」を着せられ、跪(ひざまず)かされ、自分の死について語る男の声をすぐ横で聞かされながら、ふたりはなにを考えていたのだろうか。その思いが初めにある。「意見」はその後だ。 同時代の誰よりも鋭く、考え抜かれた意見の持ち主であったにもかかわらず、スーザ

こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 約一年間にわたって『新潮45』で連載してきた「むかしはよかったね?」ですが、現在発売中の最新号の掲載分をもちまして最終回となりました。 なお、この連載は書籍化される予定です。雑誌連載を読んだかたも読まなかったかたも、お楽しみに。詳細は決まり次第、ブログとツイッターで告知します。 最終回は「注文の多いブラック商店街」。いまやふれあいと人情味をウリにしている商店街ですが、そのむかしはけっこうエグいこともやってました。今回も過去の史料をひもといて、商店街の意外なルーツや黒歴史など、埋もれた歴史を掘り起こします。 好評発売中の『誰も調べなかった日本文化史』以来、連載や単行本執筆のために、明治から平成までの朝日新聞と読売新聞を読みまくってます。 日本の新聞で、明治時代から現在まで発行され続けていて、しかもすべての記事を検索できるのは、この2紙だけ。貴重な現代
こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。 前回のブログ記事「都合よくデータを切り取って人々を不安に陥れよう!」の補足情報。 主要な新聞を確認してみたところ、興味深い事実が判明しました。 たまたまこどもの誘拐事件の件数が少なかった平成20年と比較するトリックで、誘拐が増加していると不安をおおげさに煽る報道をしていたのは産経と読売でした。 朝日は、平成16年の141件から減少傾向と、データをきちんと見て冷静に事実を報じてます。早くも誤報反省の効果が出たのかな? 今回、もっとも称賛したいのは毎日です。誘拐の件数が減少しているというだけでなく、さらに数字の背景まで踏み込んで調べていたのです。 平成16年に摘発された100人の誘拐容疑者の7割は、被害者であるこどもと面識のない他人でした。しかし平成25年の摘発者75人のうち他人は31人。半数以上は、離婚した親など、こどもの親族・知り合いだったことまで
『世界』2014年10月号からの新連載 http://www.iwanami.co.jp/sekai/ 小熊英二「生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後」 1925(大正14)年北海道に生まれた小熊謙二という元シベリア抑留者の聞き取りから、その戦前・戦中・戦後を描いたもの。第一回は「入営まで」で、昭和初期の頃の市民生活が読めておもしろい。小林信彦が少年時代を書いた作品を思い出したが、こちらの主人公・小熊謙二は小林信彦よりは年長で、見えた風景も異なっている。でもどちらも洋画好きなのですね。 くわしくは『世界』を読んでいただくとして、ちょっと印象に残った部分をメモしておきます。小熊謙二が早稲田実業に通っていた頃、商事担当の塩清という教師がいて、株式投資の著作もある江戸っ子でいつも着流しの和服、授業中も雑談が多く、異色の存在だったそうだ。その塩先生が新聞の読み方についてこう語ったという。 こ

従軍慰安婦の問題で、朝日新聞が取り上げたものの信憑性なしと取り消したのは、全体の中の一部の、さらにその中の一部についてだが、これをもってすべてを否定する「一点突破全面展開論法」が一部で行われていて滑稽だ。それよりもっと滑稽なのは、同じことを昔から書いていた『読売』と『産経』が『朝日』を非難していることだ。 それによると、どうやら『読売』や『産経』はちっとも影響が無かったけど、『朝日』が書いたら影響力があったという僻み根性のようだ。それが歪んだ形となり『朝日』を非難しているというわけだ。他に解釈のしようがない。 それにしても、『産経』は、もともと新聞じゃないと言われてきて、実際にフジサンケイグループの中でお荷物いされてきたし、記事も素人臭いから、そんなのに影響力などあるわけないというのも理解できるのだが、これと『読売』は違うような気がする。 ところが、出版業界では、新聞の書評に取り上げられる
電話で新聞の定期購読の契約を解約したっていうなんのことはない至って平凡なお話。 うちでは今まで地方紙の朝刊をとっていたが、先日妻と家計の見直しをしたけっか、やめようということになった。 生活費を削りたいというのが大きい理由だが、実際新聞をそれほどまじまじと読んでもいないし……。 断りの電話が苦手 小心者で昔から断りの電話を入れるってのがどうも苦手。 「やめます」と言うのにパワーが必要で、ずるずるーっと続けてしまう悪いクセ。 通販の定期購入なんかでも、契約はインターネット、はがきやFAXなどの手段のみで他人と話さなくてもできるが、解約のときには「お電話ください」と書いてあることが多いので、これが自分にとっては高いハードル。 新聞の解約方法については、販売店に連絡すればいいんだろうなぁと思いつつも、連絡先が書いてあるだろう最初に契約したときの紙(?)をどこにしまったか覚えていない。 新聞社に電

斜陽産業だなんて嘘のようだ。 タクシー乗り放題。経費使い放題。家賃も光熱費も自動車維持費も全部会社持ち。年収は一年目の時点で父親を超えた。 地元の人はみんな本当によく新聞を読んでいる。 署名つきの記事が多いんで、面識のない人から「ああ、あなたが○○さんか。いつも紙面で見てるよ」とよく言われるので最初は驚いた。公務員は記者以上にじっくり記事を読んでいて、会うたび「あの記事はよかった」「この記事はもっと突っ込んでほしかった」と感想を話してくる。 そこから次の記事の端緒が生まれることも多い。 街の課題を指摘したり、行政手法を批判したりすればこぞって議員が議会の質問で取り上げる。よっぽど実現不可能なことでなければ行政もすぐに動いてくれる。 首長を批判すると、マジで怒って会ってくれない時もある。 でも、夜討ち朝駆けしているうちにそのうち許してくれる。新聞の存在感がデカすぎて無視できないから表面上許

何というか、色んな意味であまりに日本的といえば日本的な話題です。 達成なるか、クラス全員年間無欠席 東海大四高3年5組 札幌市南区の東海大四高校(白川裕久校長)3年5組のクラス全員35人(男子25人、女子10人)が、1年間無欠席で学舎(まなびや)を巣立とうとしている。記録達成は1964年の開校後一度あるだけで、残る登校日は29日の卒業式練習と3月1日の卒業式の2日間。学校側はこれまでの生徒の頑張りと団結の強さに拍手を送っている。 朝日新聞デジタル:達成なるか、クラス全員年間無欠席 東海大四高3年5組 – 地域の教育ニュース –教育” 一見、元気な高校生クラスのほのぼのとした話題なのかな? と感じますが、読み進めていくとトンデモない話でした。 狂気としか言いようがない。発端は担任の自己満足だったが、それが生徒に浸透して狂気の全体主義に支配された教室。 記事は続く。 狂気の教室 担任の河上清
原発問題を巡っては、大手新聞の間でもスタンスの違いが際立っている。東京新聞や毎日新聞が「脱原発」の旗色を明確にしたのに対し、原発擁護の筆頭は産経新聞だ。それにしてもなぜ、産経があれほどまでに原発推進なのか、産経グループの元記者たちに聞いてみた。 感性に流れる選択よりも、理性に基づく判断が必要だ。安全性を再確立して範を世界に垂れ、脱原発の流れを食い止めるのは、事故を起こした国として日本が国際社会に果たすべき責務であろう。(中略) このままだと、日本は、諸外国の目に脱原発路線と映る。それが第4、第5のドイツ、イタリアを生みかねない。脱原発の電力不足は火力発電に委ねられ、原油や天然ガスの価格高騰を招く。エネルギー不足とコスト高は日本経済、ひいては世界経済にも悪影響を与えかねないのである。(2011年6月11日付け社説) この社説に象徴されるように、大手メディアの中で、産経新聞は原発推進の急
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