【本稿に登場する教授たち】 五十嵐いがらし 圭日子きよひこ 東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授。研究分野はバイオマス生物工学、木質科学。 小熊おぐま 久美子くみこ 東京大学大学院 工学系研究科 教授。研究分野は環境工学、水処理学、水供給システム。 江崎えさき 浩ひろし 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授。研究分野は情報通信工学。 加藤かとう 真平しんぺい 東京大学大学院 工学系研究科 特任准教授、ティアフォー代表取締役CEO。研究分野はソフトウエア、情報ネットワーク、計算機システム。 アリババ創業者も注目する日本の農業 【五十嵐】東京大学に東京カレッジ(※1)ができて、2023年からアリババ(※2)(阿里巴巴)創業者のジャック・マー(※3)(馬雲)さんが教授職として入られました。 ※1 東京カレッジ 2019年に東京大学と海外の研究者・研究機関が連携する中心的な場所として設立さ

大幅赤字転落の下方修正を発表したバルミューダ昨日11月7日に発表されたバルミューダの四半期決算は失望感が漂う結果だった。 ポイントはこのあたりだ。 第3四半期は4.5億円の赤字 通期の損益予想を「0.1億円の黒字→15億円の赤字」に下方修正 赤字額は前期末の純資産を34.5%毀損する規模 物価上昇による消費マインド低迷により在庫が増加 生産終了を予定している製品の在庫評価損5億6000万円を特別損失として計上バルミューダ2025年12月期第3四半期決算説明会資料決算説明会資料を見ると、「何かを言ってるようで何も言ってない」抽象的な対応策が記載されている。バルミューダ2025年12月期第3四半期決算説明会資料売上の推移を見ても完全に右肩下がりだ。 ここまで典型的に右肩下がりになってしまうのは、成長を期待された新興上場企業として非常にまずいことである(バルミューダは2020年12月グロース

著者プロフィール 岩崎 剛幸(いわさき たけゆき) ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント 1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。 2025年にオープンした大型商業施設開発の中でも、ダントツの注目度だと筆者が感じているのが、9月12日に高輪ゲートウェイ駅前に誕生した「NEWoMan(ニュウマン)高輪」です。約180店舗(期間限定店を含む)が入居しており、2026年春にはさらにミレエリアに約20店舗が新たに加わる予定です。 以前はこのような施設がバンバン日本全国にできていましたが、最近は心なしか少なくなったような気がします。新規開業が減り、リニューアルが増えている、というのが今の日本の商業施設の現状です。 なぜ新規開業が減ってきたのでしょうか。これからのショ

経営再建中の日産自動車(横浜市)が、サッカーJ1横浜FMの株の売却を検討していることが28日、分かった。複数の関係者によると、約75%の株を保有しており、IT大手など複数の企業を相手に売却を打診している。交渉がまとまれば、2027年を目標とし、クラブを譲渡。1972年の創部以来、日本サッカー界をけん引してきた老舗が、クラブ運営に区切りを付ける。 経営不振の日産が横浜FMの経営から手を引く可能性が出てきた。複数の関係者によると、日産は今年に入り、金融筋を通じて複数の企業にクラブ売却について打診したという。年内には候補先の企業を絞り、27年の売却を目指して交渉を進める。 日産の業績悪化が引き金となった。今年3月期の連結決算では12・6兆円の売り上げだったが、最終利益は過去最大規模の6708億円の赤字に転落した。同第1四半期でも最終損益で1158億円の赤字となり、回復の兆しは見えない。5月には大

眼鏡業界についに再編の動きか。地殻変動の口火を切ったのは、眼鏡ブランド「Zoff」を展開するインターメスティックだった。 【図表で見る】眼鏡業界は3強体制へ…業界の主なプレイヤーの業績規模一覧 9月2日、同社は「メガネスーパー」を展開するHorus HDの完全子会社化を発表した。10月1日に複数の投資ファンドやエムスリーからHorus HDおよび傘下のHorusの株式を取得する。取得価格は約191億円で、手元資金と180億円の銀行借り入れで対応する。 ■買収により“業界3強”の一角へ 現在、眼鏡業界では「眼鏡市場」を展開するメガネトップ(2025年3月期売上高946億円)と、その後を追う「JINS」のジンズホールディングス(2024年8月期売上高829億円)が首位を争っている。 インターメスティックの2024年12月期の売上高は448億円。今回買収するHorusの2025年4月期の売上高は

「関税は輸入国が支払うもの」日本なら子供でも知っているはずの関税の仕組みに気づき始めた米国人…トランプは輸出国が負担と国民を洗脳? ジャーナリスト 木村太郎 米国人が勘違いに気づき始めた? 米国人の多くが、関税は輸出国が支払うものだと思っていたらしい。 米国の経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版14日に掲載された社説の見出しには正直驚いた。 「関税は誰が払うものなのか、我々はようやく知った」 さらに、同記事を紹介するX(旧ツイッター)にはこうある。 「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事紹介X この記事の画像(6枚) 「トランプは有権者に対し、彼の関税は外国が支払うと約束している。しかし、生産者物価指数のデータは、経済が別の動きを示しているようだ」 まさか、WSJ紙が知らなかったわけではないだろうが、トランプ政権は諸外国に課している関税は輸出国が負担するものだと国民を

キリンホールディングスは8月4日、AI役員「CoreMate」を経営戦略会議に導入すると発表した。過去10年分の議事録データを学習したAIが複数の人格で議論を行い、経営層に多様な視点を提供するという。 CoreMateは、キリンホールディングスの取締役会やグループ経営戦略会議の議事録データに加え、外部の最新情報を読み込んで構築された12人のAI人格で構成される。これらのAI人格同士が経営戦略会議で議論すべき論点や意見を交換し、抽出された数個の論点を実際の経営戦略会議で経営層に提示する。 導入によって期待できる効果は大きく2つあるという。まず生産性向上の面では、会議の起案者が事前にCoreMateと付議内容について議論することで、多様な経営視点を取り込んだ資料作成が可能になる。これにより会議準備の効率化や会議時間の短縮を実現し、経営層や担当者が価値創造活動に専念できる時間を創出する。 価値創

先日「保育園の倒産件数が過去最高ペースを記録」というニュースが報じられた。保育園の運営事業者の倒産や廃業がこの上半期で前年同期比7割増と、過去最高ペースで進んでいるという。 【映像】「付き合いあるので強く言いづらいが…」てぃ先生の指摘 その背景にあるというのが「園児の不足」だ。待機児童ゼロを目標に、保育施設の増加や無償化が進んだ一方で、加速し続ける少子化。9割近い自治体で待機児童問題は解消し、保育園同士が園児を奪う時代に突入した。さらに給食の材料高騰や、保育士不足で受け入れ定員数を埋められず、経営を圧迫する事態になっている。 そんな中、経済界からは「保育サービス拡充のため外国人保育士の受け入れを拡大すべき」との声が上がった。しかしネットでは「外国人が日本の子育て文化を深く理解するのは難しい」「短期の研修では保育の質を保てると思えない」との懸念が。一方で「介護分野で外国人活用が広がっているの

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は定時株主総会で、日本経済が「30年停滞した理由」について見解を述べた。孫氏は同時に、同社が目指す将来像として「10年後にはASI(人工超知能)の世界でナンバーワンのプラットフォーマーになる」と意欲を示した。 孫氏は、企業の事業モデルについて、「収穫逓減型」と「収穫逓増型」の2つに分類。日本経済の長期停滞は、このうち「収穫逓減型」の企業が国内に多く存在したことが根本的な原因だと指摘した。 「収穫逓減型」の企業について孫氏は「10年、20年、30年と時間が経過するにつれて利益率が下がっていく企業」だと述べ、「競争相手が真似をしたり、賃金の安い国に技術を模倣されたりすることで、利益率が徐々に低下する」と説明。「テレビやパソコン、家電製品が中国や東南アジアに移っていった結果、日本企業の利益率はどんどん下がり、国内経済が痩せ細ってしまった。日本経済がこの30年

収穫の最盛期を迎えたアメリカ・ロサンゼルス北方の広大な農地。しかし、人手不足で収穫が追いつかず、野菜や果物が手つかずのまま畑に放置され、腐り始めています。 農場の人手不足の理由は、トランプ政権による不法移民の取り締まりの強化です。 農家 グレッグ・テッシュさん 「『ICE(移民・税関捜査局)』という言葉を聞いたら、誰も安全だとは思いません。たとえ許可がある人でもです」 先月、ICE(移民・税関捜査局)による不法移民の取り締まりが行われたことで、多くの労働者が摘発を恐れて農場に来なくなったといいます。 農場の労働者 「朝起きる時、恐怖とともに目覚めます。家を出たら、もう二度と戻れないかもしれません」トランプ大統領は3日の会見で、雇用主の農場が身元を保証すれば、移民労働者の滞在を認めると発言しています。 「農場から労働者全員を奪うようなことはしたくないです」 (「グッド!モーニング」2025

総合スーパーマーケットは多くの人にとって必要不可欠な流通インフラの一つとなっています。衣食住という言葉のなかで、スーパーが利用されているのは圧倒的に「食」に関することでしょう。次いで日用品などの「住」でしょうか。 ところが、残念ながら「衣」をスーパーに期待しているという人はあまり多くありません。このスーパー各社の「衣」の苦戦はそう簡単に克服できないのではないかと思われます。イオン、ヨーカドーの「刷新」も不発… イトーヨーカドーは2024年から、肌着・靴下・パジャマなどの実用品を除き、カジュアル衣料品をアダストリアの「FOUNDGOOD」(ファウンドグッド)ブランドで賄うと発表しました。カジュアル衣料品平場の苦戦が続き、ついに外注に切り替えることで損失を防ぎたいと考えたのでしょう。イトーヨーカドーは元来衣料品が強く、長らく看板商品でした。

少子化を背景に若手人材の獲得競争が激しくなる中、社員が学生時代に借りた奨学金の返済を肩代わりする企業が増えている。日本学生支援機構(JASSO)が設けた奨学金の「代理返還制度」は、導入から4年で利用する企業や団体が全国で10倍、九州で16倍に拡大。人材確保の「新たな手段」として注目される。支援の対象を新入社員に限らず、全社員とする動きも出てきた。 【写真】合同企業説明会で奨学金の代理返還制度をPRする九電工のブースに集まる学生たち 福岡市東区の地場ゼネコン「松本組」は、グループ全体で社員10人ほどの奨学金を本人に代わって返済している。このうち9割は入社3年以上の社員。社歴10年を超える中堅も含まれているという。 代理返済の制度を導入したのは昨年4月。対象は全社員とし、同業他社からも「珍しい試み」として注目される。今年4月に入社した新卒社員にも奨学金の利用者がいて、返済が始まる半年後から会社

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高水準の賃上げの動きが定着しつつある。連合が4月3日に発表した2025年春季労使交渉の同月1日時点の集計によれば、定期昇給を含めた平均賃上げ率は5.42%と、あくまで現段階ではあるが前年を上回って推移している。「この水準を維持していきたい。人への投資が必要だという労使の認識が結果に表れている」。会見した連合の芳野友子会長はこう指摘した。人手不足が深刻化する中で優秀な人材を確保するには、競争力の

丼・うどんチェーン「なか卯」は2025年5月9日、清掃強化のため、24時間営業を止めることを公式サイトで明らかにした。 15日午前3時から、23時間営業になる。店を展開するゼンショーホールディングスの広報室は、取材に対し、同じグループの牛丼チェーン「すき家」で起きたネズミ混入騒動もきっかけと認めつつも、店舗水準の向上のためとその狙いを強調した。 「営業を休止し集中的に清掃作業を行う時間を確保」 なか卯のサイトでは5月9日、「営業時間変更に関するお知らせ」を出した。そこでは、「一部店舗を除く全店で23時間営業に変更させていただきます」としたうえで、理由を次のように挙げた。 「毎日午前3時から午前4時までの間、営業を休止し集中的に清掃作業を行う時間を確保することで、店舗水準の向上を図ることといたしました」 なか卯の公式Xでも、23時間営業への変更を告知している。 同じゼンショーグループでは、3

「1日でも早く辞めてほしい」 「有休マックス取れると思っちゃ大間違いだからね」 「私はあなたを、もうほんと、人間だと思えないぐらい、普通の人じゃないと思う」 これは社員Aさんが退職願を出した後の面談で、社長たちから投げつけられた言葉である。 Aさんが訴えた結果、裁判所は「有給休暇の取得を否定する発言である」「パワハラ発言だ」「個人的な人格非難だ」と認定して、社長たちと会社に慰謝料10万円の支払いを命じた。(東京地裁 R6.7.25)(弁護士・林 孝匡)事件の経緯会社は、補聴器や聴力測定器の製造販売などを行っており、Aさんは経理全般の業務とともに、人事や営業補助など総務的な仕事も担当していた(入社約20年目)。 この会社は、いわゆる家族経営だった。会長Bと副社長Cが夫婦、その三男Dが社長であり、次男Eが元社長である。今回、Aさんにパワハラ発言を行ったのは副社長Cと社長Dだ。パワハラ発言の

「農家を守るために、コメの値段は上がっても仕方ない」という意見がある。本当にそうなのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「コメ農家の時給は10円とする農水省の統計があるが、この数字にはカラクリがある。コメの値段が上がっても農水省とJA農協の利益にしかならない」という――。 「時給10円」のカラクリ コメの騰貴が国民生活を圧迫するなかにあっても、いまの価格を「農家を守るためには仕方がない」と容認する声がある。彼らがそう考えるもととなっているのが、「コメ農家の時給が10円」という統計データの存在だ。 農水省「営農類型別経営統計」によると、2020年181円、21年10円、22年10円、23年97円のようである。これによって、もっと米価を上げろとか農家への補助金を増やせとか主張されている。農業経済学の某東大教授も一緒になって「時給10円は少なすぎるので、もっと農業予算を増やせ」と

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