国内の自動車業界では、年末のカー・オブ・ザ・イヤー選定が恒例の行事となっています。「この一年で最も優秀と思われるクルマ」に与えられる賞とのことですが、エンジニア・開発現場の方はCOTYをどう意識していますか? それが車両開発に影響することもありますか? 今の若い人はご存じないかもしれませんが、かつて、日本カー・オブ・ザ・イヤーが最も盛んだったころは、クルマの売れ行きに大いにかかわるといわれていました。私の印象でいえばそれは、1989年に初代「トヨタ・セルシオ」が出たころ、1990年前後だと思います。 当時の私はブレーキやABS関係の開発にたずさわっていて、冬季は北海道での試験に臨んでいたのですが、その隣では初代セルシオのテストも行われていました。担当のスタッフから「カー・オブ・ザ・イヤーが取れるかどうかがかかっている。選考委員の人を欧州の古いお城に連れて行って最上級のもてなしをしたり、その