『終わった漫画家』(福満しげゆき/講談社) マンガを盛り上げる要素には色々ありますが、「三角関係」もそのひとつ。 少女マンガでよく見かける設定ですよね。多くの場合は、ヒロインがいて、本命がいて、当て馬がいて…と、パターン化されています。三角関係でなんやかんや揉めている最中はヤキモキさせられますが、ゴールは決まっているわけなので、それ以上の刺激はもう望めません。 もうやりつくした。もう新しい三角関係なんて生まれない。そう思っていました。…が 三角関係の新たな境地を切り開いた作品があったのです。それが、『終わった漫画家』(福満しげゆき/講談社)。 定番だったはずの三角関係という要素に、新しい風を吹かせた作品なのです。 登場人物も、わかりやすく3人だけ! 主人公は、“終わった漫画家”。10年前に小ヒットを1本世に送り出したものの、その後鳴かず飛ばず。漫画家としてすでに終わっていると自覚した彼は、

『モテ考 30歳独身漫画家がマイナスから始める恋愛修業』(KADOKAWA) 独身アラサー女といえば、恋に仕事に結婚に、思春期に次いで悩み多き年頃。と、呼ばれているかどうかは不明ですが、世の中的には悩みが多そうなイメージですよね。しかし、実際のところはどうなのでしょうか? ちなみに、独身29歳の筆者には、みなさんにお伝えするほどの悩みがありません。結婚に関しても、何の対策を講じることなく、この年齢を迎えました。しかも、心のどこかで「独身は気楽」なんて思っている自分がいる始末……。 自分語りが過ぎましたが「独身の気楽さ」を知ってしまった人が、今の生活を脱け出すためには、それ相応のキッカケが必要なんじゃないか、とぼんやり考えています。 そして、先日発売された『モテ考 30歳独身漫画家がマイナスから始める恋愛修業』(KADOKAWA)の作者・緒方波子先生も、まさに「独身」を謳歌しているタイプの女

10歳の頃に“ゲイ”という自身のセクシャリティに気づくこととなった男性BL漫画家・うさきこうが、そのきっかけである小学校時代の初恋について綴ったコミックエッセイ『ぼくのほんとうの話』が2017年7月14日(金)に発売される。 小学3年生の“こう君”が一目惚れしたのは、同じクラスの男の子でした―。少し懐かしく優しい筆致で描かれた同書。もしかしたら学校の友だちが、クラスの生徒が、自分の子どもが、そして“あの頃”の自分自身が、こう君のような気持ちを抱えて独りで震えているかもしれない。こう君の健気で切ない恋を見守るように読み進めれば、何か大切なことに気づくはずだ。LGBTをはじめとする性の多様性への関心が高まっている昨今。『ぼくのほんとうの話』は年齢、性別、セクシャリティを問わず“みんな”が読めるコミックエッセイとなっている。 そんな同書の発売を記念して、7月8日(土)~17日(月)にかけて開催

『打ち切り漫画家(28歳)、パパになる。』(富士屋カツヒト/白泉社) 総務省統計局は5月5日の「こどもの日」にちなんで、平成29年4月1日現在における子供の数(15歳未満人口)の推計を公表した。それによれば子供の数は1571万人で、実に36年連続の減少。総人口に占める子供の割合も12.4%と、こちらも43年連続で低下している。少子高齢化が叫ばれて久しいが、こうして改めて数字を見せられると「日本、大丈夫か?」と思わずにいられない。晩婚化など出生率の低下にはさまざまな理由があるが、その中でも「育児にはお金がかかる」というのはよく耳にするところだ。まあ確かに、夫婦ふたりで精一杯なのにもうひとりなんて、という意見は理解できる。しかし『打ち切り漫画家(28歳)、パパになる。』(富士屋カツヒト/白泉社)を読んでみれば、「もしかして何とかなるんじゃないか」という気分になれるかもしれない。 作者の富士屋カ

『“天才”を売る 心と市場をつかまえるマンガ編集者』(堀田純司/KADOKAWA) マンガ家にとってマンガ編集者とは、おそらく誰よりも身近な存在であろう。例えば『週刊少年ジャンプ』で連載された『Dr.スランプ』に登場する悪役「Dr.マシリト」は、作者・鳥山明氏の担当編集だった鳥嶋和彦氏がモデルであったように、まさしく作品自体に影響を与えていた。もっとも、当時は「ボツ!」を告げる印象が強く、それが編集の仕事のように思えたものだ。しかし、この『“天才”を売る 心と市場をつかまえるマンガ編集者』(堀田純司/KADOKAWA)を読めば、編集者が如何に作品づくりを支えているのかが理解できる。本書の著者・堀田純司氏は作家でありながらベテラン編集者でもあり、ネット上で話題となった『生協の白石さん』を企画編集した人物。そんな氏が自ら現役のマンガ編集者8人にインタビューを行ない、彼らの生の声を引き出してい

架空の漫画家の日常を描いた『モキュメンタリーズ』の1巻が、2017年5月15日(月)に発売された。 同書の作者・百名哲(ももな・さとる)が架空の漫画家・百野哲(ももの・さとる)を主人公にした、ドキュメンタリー形式の人間讃歌。著者の実体験にフィクションを織り交ぜて描かれている。 第1話「Tig****はWEB上から消えた」では、貧乏生活ゆえネットオークションでアダルトDVDを安く落札する百野の姿が描かれる。ところがある日、特定の1枚のみを落札し続ける謎のID「Tig****」を発見。興味を持った百野は自分も出品して、相手に直接会う手はずを整える。そして物語は意外なラストへ…。 次の第2話「走れ、メロス」は、はるばるオーストラリアからやって来たメロスという外国人が、目的の人気絶頂のアイドル「リンダ三乗」を応援する様子が描かれている。かくして東京から浜松まで260キロ、“詣で”と呼ばれる、コンサ

『僕に彼女が出来るまで』(佐藤ダイン/集英社)恋愛に対する考え方や価値観が様変わりし、多様性が認められるような時代を迎えた。しかし、それでもなお、世の男性陣を苦しめているものがある。それは、童貞か否か。「ジェンダーレス男子」と呼ばれる新種の男子たちがメディアで「恋愛経験ゼロ」を公言していたりもするが、やはり自身が童貞である事実は隠したいというのが当事者たちの本音だろう。 このように、本来ならば隠しておきたい「童貞である」ということを赤裸々に押し出し、企画にしてしまったマンガがある。それが『僕に彼女が出来るまで』(佐藤ダイン/集英社)だ。 作者の佐藤ダインさんは、現在アシスタントとして生活しているマンガ家志望の31歳。26歳の時にサラリーマンを辞め、マンガ家を志した。その後、小さな賞を受賞し、2013年には商業誌デビューを果たす。しかし、芽吹いたと思われたマンガ家への道が大きく開花すること

2017年4月11日(火)に放送された番組「キスマイレージ」に漫画家・桂正和がゲスト出演し、Kis-My-Ft2とお絵かき対決を繰り広げた。この対決に視聴者からは「桂さんのVRお絵かきってスゴイ…」「先生の絵にキスマイがはしゃいでて可愛い!」「桂正和の画力を堪能できた番組だったな」と喜びの声が上がっている。 お絵かき対決で使われたのは紙やペンではなく、VRゴーグルを使用して3次元空間に絵を描くことが出来る最新お絵かきツール「Tilt Brush」。お題に沿ったイラストを描き3人に何を書いたか当ててもらうというルールで、Kis-My-Ft2と助っ人のレイザーラモンHGが桂に挑戦した。 全員が初めて体験するツールということでまずはレクチャーを受けるのだが、描いたイラストを360度どこからでも見れると分かると、メンバーの二階堂高嗣が「パンツ描いてもらおうぜ!!」と大興奮。これには「パンチラ要求す

『新装復刊 吉野朔実のシネマガイド シネコン111』(エクスナレッジ) 昨年、病気のため逝去した漫画家の吉野朔実さん。その繊細な絵柄と、人間の心の奥底をえぐるストーリーは多くのファンから愛されていた。少女漫画誌でデビューも、後期は青年誌での活躍も目立っており、彼女のあまりにも早い死は漫画界全体の損失だった。 そんな吉野さんの名著が復刊された。2008年に出版された『シネコン111 吉野朔実のシネマガイド』が『新装復刊 吉野朔実のシネマガイド シネコン111』(エクスナレッジ)として蘇り、再び書店に並んでいる。近年の吉野作品ファンには手に入りにくくなっていた一冊だけに、この復刊は貴重である。本書は2001年刊行の『こんな映画が、吉野朔実のシネマガイド』の続編的な内容で、吉野さんが鑑賞した新作映画の感想がイラストつきで綴られていく。とにかく、ファンなら目が行くのは鮮やかで美しいイラストの数々

奇跡の純愛実話『8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら』の映画化を記念し、2017年3月24日(金)から、コミカライズを担当する漫画家のオーディションが開始された。映画「8年越しの花嫁」は、結婚を約束した1組のカップル・尚志と麻衣が主人公。幸せ絶頂の2人だったが、結婚式の3カ月前に突然の病気が麻衣を襲い、一時は心肺停止、その後も昏睡状態に。いつ目が覚めるか分からない状態に、麻衣の両親からは「もう他にいい人を見つけたら」と言われるが、尚志は諦めず回復を祈り続ける。その後麻衣は徐々に意識を取り戻すが、記憶障害により尚志の記憶を失ってしまっていた。大きなショックを受けながらも尚志は麻衣のもとに通い続け、ついに8年後、奇跡が訪れるというストーリー。監督に瀬々敬久、ダブル主演に佐藤健と土屋太鳳を迎え、2017年冬に公開予定だ。 オーディションの対象となるのは、原作著書『8年越しの花嫁 キミの目が覚め

『漫画家が見た手塚治虫~マンガに描かれた漫画の神様~』(手塚治虫、藤子不二雄A、石ノ森章太郎ほか/秋田書店) 1946年に『マアチャンの日記帳』で漫画家デビューした、漫画の神様・手塚治虫先生。今年でデビュー70周年ということになるが、ご存じの通り1989年2月9日に惜しくも他界されている。それでも先生の功績は色あせることなく、メモリアルイヤーを記念してさまざまな出版社が関連本を発行。中でも取り上げておきたいのが『漫画家が見た手塚治虫~マンガに描かれた漫画の神様~』(手塚治虫、藤子不二雄A、石ノ森章太郎ほか/秋田書店)である。 ひとくちに「漫画の神様」というが、そのゆえんはどこにあるのか。本書冒頭に登場する藤子不二雄A氏の「巻頭の言」には、それが端的に理解できる部分がある。「手塚先生の描かれた作品数はザッと700タイトル、総ページ数は約15万枚といわれる」という記述だ。単純に1冊のコミックを

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