『水鏡推理6 クロノスタシス』(松岡圭祐/講談社) 加計学園問題、森友学園問題など、なにかと話題の絶えない文部科学省。一体何が真実なのか、誰が本当のことを言っているのか、霞ヶ関はその名のごとく、霞か靄が立ち込めているように不透明だ。明らかな情報も簡単に握りつぶす巨大組織に、たったひとりで立ち向かう人物———現実世界の前川喜平氏は事務次官だったが、松岡圭祐氏著の小説『水鏡推理』シリーズでは、ヒラのノンキャリ女子・水鏡瑞希が「文科省の闇」に迫ろうとする。 『水鏡推理』シリーズは、どの巻から読んでも楽しめる時事ネタを絡めた展開が話題を呼び、累計60万部を突破している大人気シリーズ。リアルすぎる内容に文科省から面談を求める連絡があったというほど、現実の世界とリンクした作品であり、読者はそのリアリティに圧倒される。STAP細胞問題の某氏がモデルと思われるキャラクターが出てきたり、震災や核融合発電をテ

「スポーツ嫌いダメ?国の目標波紋」という新聞記事がありました。 スポーツ庁の昨年度の調査によると、運動やスポーツが「嫌い」か「やや嫌い」な中学生は16・4%と微増傾向にあり、このままでは将来運動しない大人が増えてしまうということで、同庁は5年かけて8%に半減させる目標を「スポーツ基本計画」の中で打ち出したということです。 この計画が報じられると、ネットを中心に「強制しないでほしい」「よけい嫌いになる」「嫌いで何が悪い」など、一部で反発の声が上がっているということです。 記事によると、スポーツが嫌いになった理由には、どうも体育の授業が原因になっていることがあるらしく、「恥をかかされる」「周りに迷惑をかけている申し訳なさ」「馬鹿にされているのだろうという自虐」など、苦手なことを強制されることでのネガティブな感情や、「体を動かすこと自体が嫌いなわけではなく、うまい人とやるから嫌いになる」「レベル

部活中の体罰や死亡事故などがたびたび取り上げられ、部活の必要性や在り方が問われている。 日本では多くの中高生が参加している部活。人間教育などの面で一定の役割を果たしてきた。『部活があぶない(講談社現代新書)』(島沢優子/講談社)によると、今後、部活はますます大きな役目を果たしそうだ。 2020年度から現行のセンター試験は廃止され、「大学入学希望者評価テスト(仮称・新テスト)」がスタートすることになっている。従来型の知識重視の試験から思考力・判断力・表現力を問う内容に転換するのが目的だ。 新テストと同時に、国立大学が独自に行う個別入試では、人物重視の多面的な評価への転換が予定されている。評価項目は、受験生の部活や就業体験、ボランティア活動など。そのなかでも中高生がたやすく実践できるのが部活だろう。 そのような中で、部活に入らない、という選択肢は親子ともになかなか取りにくくなることは想像に難く

『ウソつきの国』(勢古浩爾/ミシマ社) 子どもに「ウソをついちゃいけません」と叱る親も、ウソをついた経験はあるだろう。ついつい口がすべった何気ないものから、きっちり墓場まで持っていくつもりの覚悟のウソまで、人はウソと無縁では生きられない。そしてそれが家庭やご近所レベルの、半径50メートルで収まることなら大きな問題はないのかもしれない。 しかし、たとえば少し前の築地市場豊洲移転問題について行われた百条委員会。「百条委は虚偽の証言や、正当な理由なく証言や記録の提出を拒んだ場合に罰則規定がある」とのことだが、罰則がない通常の議会ではウソはつき放題なのか。あるいは森友学園問題の「書類は無い」。それで済むのか!?海外に目を向ければ「post-truth」「alternative facts」って、「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況」や「代替的な真実」らしいが、ウソが

一生懸命がんばりすぎて、心も体も毎日クタクタ…。そんな人に捧げる職場の生存戦略『「もう心が折れそう!」というときすぐ効く仕事のコツ大全』が、2017年5月13日(土)に発売された。 社会人になって働いていると、「上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかない」 「仕事がどうしても終わらず残業の毎日」「理由はわからないけど疲れがとれない」などの悩みを抱えている人も多いはず。 同書は、そんな解決する方法が見つからず心が折れそうな人に向けて、問題を乗り越えるための「クスッと笑えて役に立つ」職場の処世術を紹介している。 例えば、人間関係、ストレス解消法、時短ワザ、 生産性アップ、伝え方のコツ、気分転換、 日々のルーティン、健康法、プライベートの充実方法など、すぐに実践できる技が満載だ。 「CHAPTER 01」では、「上司・同僚・取引先と心が近づく人間関係のコツ」を紹介。「怒る上司も第3者目線で

このところ、内政が揺れている。現閣僚の失言が頻発し、撤回や謝罪、弁明が連発している。かつて、国会議員に当選し、総理大臣からの任命で“さらに選ばれた”立場なのに、どうして、このようなことが起こるのか。数々の不穏な発言から透けてくる考え方に、有権者は理解どころか、疑問や怒りしか浮かばない。国民の代表ではなかったのか。選挙戦では“自分の魅せ方”に徹底的にこだわって、人望を集めたはずなのに。著者も言っている。政治家にとって言葉は命です。本書『会う人すべてがあなたのファンになる 一流の魅せ方』(鈴鹿久美子/大和書房)の著者は、永田町で議員秘書を15年も務めてきた。今は、そのキャリアを活かし“選挙戦略家”として、立候補者の身だしなみから発言まで作戦を立てる当選請負人だ。これまでも「会社をリストラされた49歳女性を、たったの6週間で政治家にした」実績を持つ。 選挙は短期決戦だ。重要となるのは立候補者

『お客様、そのクレームにはお応えできません!』(三浦展/光文社) 春の引っ越しシーズンが一段落するこの季節。転勤や初めての一人暮らしで不動産屋のお世話になった人もいるのではないだろうか。不動産屋といえば客の要望に合った部屋を探して、案内をして、契約の手続きをするのが仕事だと思われがちだが、それだけではない。大変なのは入居が始まってから。 『お客様、そのクレームにはお応えできません!』(三浦展/光文社)はベストセラーとなった『下流社会』の著者による初のフィクション小説だ。不動産屋への豊富な取材をもとにした物語の主人公は新宿にある不動産屋フレンズホームの賃貸部門の女店長滝山玲子。42歳。彼女が管理するアパートやマンションの客からは次々に思いもよらぬクレームの電話がかかってくる。 えっ? こんなことまで……困ったクレーマーたち トイレットペーパーホルダーのネジがゆるんだ。部屋に幽霊が出る。些細

『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし(講談社+α文庫)』(渡邉格/講談社) 「サービス残業」や「過労死自殺」はもちろん、「ブラック企業」「ブラックバイト」という言葉も広く認知され、多くの企業が働き方改革に取り組むこのごろ。正確には取り組まざるを得ない…といったところかもしれないが、そんな言葉が飛び交うずっと前から仕事の仕方や給与体系に疑問があったという人は多いと思う。なぜこんなに長時間働くのか? その割に給料が少ないのか? 言葉には出来ない疑問やくすぶった怒りを抱えつつも、周囲を見渡せばみんなも頑張っている。自分だけ文句を言うのも気が引けるが、とはいえ身体はしんどいし一向に気持ちも晴れない。 そんな方にお勧めしたいのが本書『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし(講談社+α文庫)』(渡邉格/講談社)。30歳になるまで定

『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(汐街コナ:著、ゆうきゆう:監修・執筆協力/あさ出版) いわゆるブラック企業で働き、過重労働によって死を選ぶ“過労自殺”や、オーバーワークが原因とされる“過労死”のニュースが連日取り上げられ、働くことそのものが問われている昨今。それらの悲しいニュースを聞くたびに「死ぬくらいなら、会社を辞めればいいのに」という感想を持つ人も少なくないだろう。しかし、現実にそれができていれば、過労自殺のニュースが報じられることもないはず。 一見すると、死ぬよりも簡単そうに思える“会社を辞めること”ができない現実と心理状態を描いているのが、4月10日に発売された『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(汐街コナ:著、ゆうきゆう:監修・執筆協力/あさ出版)だ。同作は、著者の汐街コナさんが、過去に経験した「働きすぎてうっかり自殺しかけました。し

SNSで大反響を呼んだ過労死マンガ『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』が、2017年4月10日(月)に発売される。 2016年10月に「昔、その気もないのにうっかり自殺しかけました。」と題する過労自殺についてのマンガを著者がツイッターに投稿。仕事に追われ、長時間労働やパワハラなどのストレスに苦しむ多くの人からの共感が集まり、「おかげで会社辞められました、ありがとう」「リアルすぎて泣ける」というコメントが続出。30万リツイート、11万いいねという大反響が巻き起こった。 このマンガに大幅加筆を加えて単行本化した同書には、一生懸命働いているすべての人の「未来のため」「大切な人のため」に知っておいてほしいことが満載。現役精神科医師監修のもと、うつ状態におちいる人の気持ちや行動する勇気をマンガで分かりやすく表現している。さらに各章ごとにQ&Aを掲載し、「どの段階で心療内科に行けば

『労基署は見ている。』(原論/日本経済新聞出版社) 電通、三菱電機、パナソニック……大手企業で相次ぐ「労災問題」。政府が基準に考えている「残業100時間未満」も「過労死ライン」と言われ、賛否両論があるようだ。 そんな時代だからこそ、行政や会社まかせではなく、「これからの働き方」は、もっと自主的に考えた方がいいのではないだろうか? そこで私は、労働基準監督官として労働基準局に勤務していた著者の『労基署は見ている。』(原論/日本経済新聞出版社)をおススメする。 「労働基準監督官の目線で見る職場環境を理解していただくことで、現在お勤めの会社や経営されている会社が、より良い方向性に向かっていく一助になれば」と、著者が情熱をかけて全うしていた「監督官」という仕事、考え方などを豊富なエピソードと共に紹介している本書。実際に勤務した人だからこそ分かる「実態」は、ドキュメンタリー番組のような読み応えがあっ

中国といえば昨今、南シナ海での人工島建設や尖閣諸島の領有権問題など、あまり明るい話題を聞かないのだが、漫画『中国嫁日記』でも描かれているように、政治問題を抜きにしてその歴史や文化を楽しむ人も多い。日本政府観光局(JNTO)の統計を見ると、2015年のデータになるが250万人近くの日本人が中国を訪れている。その流れでいえば、中国で働くという選択をする人も当然、少なからずいることだろう。『ブラック企業やめて上海で暮らしてみました』(初田宗久:原作、にしかわたく:漫画/扶桑社)は齢40にして中国で働くことを決めた男の奮闘記だ。本書は原作者で元雑誌編集者の初田宗久氏が、勤めていた編集部での編集長からのパワハラに嫌気がさし、以前から趣味で年に1~2回遊びに行っていた中国へ渡り、悪戦苦闘しつつも働き続ける姿を綴ったコミックエッセイである。 まず注目したいのが、上海のオバサンたちの迫力。初田氏は市場で

2月のこの時期になると、各企業では4月に入社してくる新卒の新入社員たちの受け入れ準備を徐々に始める頃ではないかと思います。 4月初旬の頃の新入社員は、服装や振る舞いや表情などから彼らが新人だということを明らかに特定できてしまうことも多いですが、そんな異質感満載の新入社員たちも、2か月もすればそうだと気づかれることはかなり少なくなります。それほど急速になじんでいく人間の順応性というのはすごいものだと毎年思っていますが、その一方では「七五三現象」などと言われるように、3年以内で3割の大卒新入社員が、残念ながら職場になじめずに退職していってしまいます。 「まずは3年働け」という考え方 こんな新卒入社の若者たちに対して、「まずはその会社で3年働け」というようなことが良く言われます。「3年くらいやってみないと仕事の向き不向きはわからない」「3年くらいの下積みがなければ仕事の基礎は身につかない」「職場

数年前のことですが、以前に何度かお会いしたことがある、まずまず大きな会社のマネージャーだった人から転職したという案内をもらいました。転職先はそれほど大きな会社ではありませんでしたが、執行役員の肩書がついていましたので、それなりに望まれての転職なのでしょう。 私は何度かビジネス上のつながりがあっただけなので、くわしい人物像まではわかりませんが、どちらかと言えばイケイケな感じがする、悪く言うとそれが尊大な態度に見えてしまうようなタイプの人でした。私の印象では、仕事のしかたが大ざっぱに見える人で、実際に期限を守らない、依頼事項を忘れる、ケアレスミスなど、少々雑なところがありました。 私がその人の発言で特に気になっていたのは、現場作業や事務仕事を「誰でもできる仕事」などといってかなり軽視していたことです。「上位の職制の者ほど、自分しかできないことに時間を割かなければならない」と言われることからすれ

長時間労働、ブラック企業、パワハラ、過労死…。会社につぶされる前に「逃げる技術」を使ってみてはいかがだろうか。追いこまれた自分を助ける心の使い方を、6カ月先まで予約が取れないカリスマ心理カウンセラーが教える『堂々と逃げる技術』が、2016年12月22日(木)に発売された。 今、仕事に潰されてしまうような過酷な働き方にあえいでいる人たちが多くいる。もしかしたら、あなた、あるいはあなたの身近な人が、そのような状況に追い詰められている可能性もあるだろう。同書では、追い詰められた時、つぶされる前に知っておくべき賢い身の守り方として、自らを助けるためのとっておきの心理テクニックを紹介している。 追いこまれたときに「逃げる」ことを選択できる人と、「逃げる」ことを選択できない人の違いはたったの1つ。それは「逃げる技術」を持っているか、持っていないかの違いだ。「逃げる技術」は“技術”なので、習得すれば誰に

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