『にっぽん全国犬猿バトル地図』(謎解きゼミナール:編/河出書房新社) 小生はローカル情報が大好きで、その地域ならではのニッチなネタを求めてケーブルテレビやローカルテレビ局をよく見ている。現在、横浜在住のため神奈川県下が主となるが、生まれ故郷である三重県や幼少時より長年住んだ愛知県も気になり、ネットで見つけるとつい読み入ってしまう。 それらは基本的にほのぼのとした話題が多く、リラックスした気分で見ていられるのだが、この『にっぽん全国犬猿バトル地図』(謎解きゼミナール:編/河出書房新社)ではそうもいっていられない。なぜなら本書は地域同士のライバル関係を集めているからだ。 代表格は栃木県宇都宮市と静岡県浜松市の「餃子の世帯あたりの購入額日本一」争いだろうか。総務省の家計調査によると1996年から宇都宮が「餃子の世帯当たり購入額」で日本一だったのだが、2011年には浜松が逆転。2013年に宇都宮が

『食品サンプル百貨店』(竹村真奈、小西七重/ギャンビット) 生中1杯6000円、ホットドッグが4000円、デザートのソフトクリームは3000円。…ぼったくりバーのレシートではありません。実はこれ、食品サンプルのお値段の一例なのです。 飲食店のショーケースに輝く、色とりどりの食品サンプル。現代の日本に暮らす私たちにとっては見慣れた光景ですが、実は近年、その精巧さとユニークさが海外の人々の関心を集めているそうです。来日した観光客のなかには、食品サンプルをモチーフにした雑貨や、業務用の食品サンプルそのものをお土産として購入する人もいるのだとか。食品サンプル工場や、サンプル作りを体験できる施設は昨今、観光スポットとしても話題となっているようです。 『食品サンプル百貨店』(竹村真奈、小西七重/ギャンビット)は、日本のレストランにおける人気メニューの食品サンプルおよそ300点を、フルカラーで掲載したヴ

『ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで』(毎日新聞出版) 今、ラップが熱い。特にここ3年ほどのミュージックシーンを見渡せば、ケンドリック・ラマー、ドレイク、カニエ・ウェストなど、世界的セールスと評価を両立させた作品に多くのラップ・ミュージックが含まれていることが分かる。ここ日本でも『高校生RAP選手権』『フリースタイルダンジョン』といったテレビ番組をきっかけに空前のMCバトルブームが巻き起こっている真っ最中だ。 一体、ラップはどうしてここまで世界に受け入れられたのだろう。『ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで』(毎日新聞出版)はラップを通して激動の時代を見つめようとする、識者3人の鼎談本だ。参加者は慶應義塾大学教授にしてアメリカ音楽研究家の大和田俊之氏、音楽ライターの磯部涼氏、批評家でありラッパーでもある吉田雅史氏

トップニュース映画原作! 19世紀のパリを生きた天才黒人芸人「ショコラ」の波瀾万丈な人生から人種差別の根深さが見える 『ショコラ歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』ジェラール・ノワリエル:著、舘 葉月:訳/集英社インターナショナル) 1月21日から日本で公開された映画『ショコラ~君がいて、僕がいる~』は19世紀のパリを舞台にした感動的な物語である。人種差別が今より過酷だった時代に、イギリス人クラウン(道化)のフティットとのペアでサーカスの人気者になっていく黒人の主人公、ショコラはどこまでも前向きで魅力的だ。 しかし、映画では人種問題も顔をのぞかせ、決して明るいだけの物語にはならなかったのが印象的だった。ショコラもフティットも実在の人物をモデルにしているが、映画の原案となったノンフィクション『ショコラ歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』ジェラール・ノワリエル:著、舘

『サザビーズで朝食を―競売人が明かす美とお金の物語』(フィリップ・フック:著、中山ゆかり:訳/フィルムアート社) 『サザビーズで朝食を―競売人が明かす美とお金の物語』(フィリップ・フック:著、中山ゆかり:訳/フィルムアート社)は、お金とアートをめぐる切っても切れない関係について、あるいはある美術作品が持つ「魅力」や「価値」の正体について、情け容赦ない解説を加えた1冊である。 たとえば我々が今、1枚の絵の前に立っているとしよう。独特の鮮やかな色使いと激しいタッチで描かれたゴッホの油彩画だ。おそらく私たちのうち、何人かは彼の有名な、耳のない自画像のことを思い出すかもしれない。それは、画家の悲劇的でドラマティックな人生を象徴するような絵だ。その絵は、狂気、自殺、早世…まさに天才アーティストにふさわしい伝説を人々に思い起こさせ、しばしば私たちを感傷的な気分にさせる。また絵を見ている人のうち、別の数

『今じゃありえない!! 100年前のビックリ教科書~明治・大正・昭和の授業風景~』(福田智弘/実業之日本社) 子どもでも大人でも、学校の勉強に使う教科書をおもしろいと思って読む人は少数派かもしれない。しかし、今から100年ほど昔の教科書を見てみると、あまりにも自分たちの知っている教科書とはかけ離れた内容が書かれているため、おもしろいと感じる人が増えそうだ。そこで、『今じゃありえない!! 100年前のビックリ教科書~明治・大正・昭和の授業風景~』(福田智弘/実業之日本社)を取り上げる。 教科書が表す時代ごとの世相 人は教育によって作られると言っても過言ではない。もちろん、赤ちゃんに何も教えずに放っておいても、ある程度のことは見よう見まねで覚えるかもしれない。しかし、社会で生活していくために必要なことは学校で学んで身に付けている部分が大きい。歴史観や価値観が国によって大きく異なるのも、国ごとに

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