ネタを忠実になぞりながら、それでいてイラストだからこそより伝わる部分もある。2人の小気味のいい掛け合いで笑っていた「まつり」の部分は、こんなに大きなコマで大真面目にやるのだから、余計に笑ってしまう。言葉の面白さに加えて、絵のインパクトはすごいのだと再認識する。 まさかこの場面が見開きで大々的に描かれると、誰が思っただろう。祭りのくだりが同じ大きさのコマでテンポよく続く中、突然見開きで「南米風の祭り」が現れる。読みながらつい吹き出してしまった。私はこんな畳み掛けるように笑わせる絵本を他に知らない。 サンドウィッチマンのネタは子供に伝わるのか? と思っていたが、意外と絵にすると「うんち」や「まつり」、「ババー」など、子供っぽいボケも多かったんだなと気づく。 実はこの、笑いのプロを絵本の作者にする企画は、本書で3作目だ。「お笑いえほん」シリーズとして、過去には『ガムのようせい』(笑い飯:作、川崎

『世にも奇妙なニッポンのお笑い(NHK出版新書539)』(NHK出版) 実力派お笑いコンビ「チャド・マレーン」のチャド・マレーン氏による『世にも奇妙なニッポンのお笑い(NHK出版新書539)』(NHK出版)が発売された。 著者であるオーストラリア人のチャド・マレーン氏は、1998年に吉本興業の芸人養成所NSCへ初の外国人として入学を許される。翌年の1999年には、先輩芸人の加藤貴博氏と「ジパング上陸作戦」を結成し、同年に今宮こどもえびすマンザイ新人コンクールこども大賞を受賞。栄誉ある「M-1グランプリ」にも8年連続準決勝進出という快挙を成し遂げ、脚光を浴びた。本作では全9話にわたり、大阪の芸人として奮闘してきた著者がニッポンのお笑いについて感じた奇妙な習慣やエピソードなどがユニークに綴られている。 お笑いを求め、故郷のオーストラリアからはるばるニッポンにやってきたが、彼を待ち受けていたの

『お笑い芸人の言語学:テレビから読み解く「ことば」の空間』(吉村誠/ナカニシヤ出版) 「標準語」としてドラマや映画、あるいはアニメで話されている言語に違和感を持ったことはないだろうか。どこかよそよそしく聞こえる「標準語のようなもの」は、日本人の日常との距離が感じられてならない。そう、多くのメディアで「標準語」とされてきた言葉には生活感がないのである。 こうした背景には書き言葉を偏重してきた国語教育の弊害があるのではないか。明石家さんまら多くのお笑い芸人と交流があり、「M-1グランプリ」創設時のプロデューサーも務めた吉村誠氏は著書『お笑い芸人の言語学:テレビから読み解く「ことば」の空間』(ナカニシヤ出版)の中で、日本人の言語空間を見つめ直す。自身がかつて深く関わってきたテレビ界から分かる「ことば」の移り変わりは、「標準語」優位の国語教育に一石を投じるだろう。 インターネットが普及し、情報

『政治の絵本 現役東大生のお笑い芸人が偏差値44の高校の投票率を84%にした授業』(たかまつなな/弘文堂)政治は難しい。中学・高校で公民として勉強しているのにわからないし、いざ一から勉強しようと思っても、難解な言葉の数々に悪戦苦闘。ついには「自分には関係ないもん!」と放り投げてしまう…。政治に対して、そんな苦手意識を持っている人は多いのではないだろうか。 そんな「わかりにくい」「つまらない」政治の世界を「わかりやすく」「楽しい」ものとして紹介してくれるのが『政治の絵本 現役東大生のお笑い芸人が偏差値44の高校の投票率を84%にした授業』(たかまつなな/弘文堂)。著者はお笑い芸人でありながら、慶應大学・東京大学の現役大学院生、さらに政治の面白さを伝える「株式会社笑下村塾」の代表取締役という、たかまつなな氏だ。異色の経歴の持ち主だが「お笑い界の池上彰」を夢に掲げるだけあって、本書のわかりやす

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