歴史を象徴する「街の鼓動」 GLOBE記者 江渕崇 Chhatrapati Shivaji Terminus photo:Ebuchi Takashi 泣き叫ぶ赤ん坊や、辺り構わず口論する男たちを乗せ、その古びた列車はなんの前触れもなく動き出した。午後3時38分、定刻通りチャトラパティ・シバージー・ターミナス(CST)駅を発ったインド中央鉄道「T83」号は、そこから1時間かけて34キロ北東のターネー駅をめざす。 車両のドアは走行中も開けっ放しで、街の空気が遠慮なしに車内に入り込んでくる。周りの乗客の香水のにおいが薄まってほっとしたのもつかの間。香辛料の香りが漂ったかと思うと、突然、腐りかけた魚介類のような悪臭が襲い、次はトイレの芳香剤のような刺激が鼻をつく。 1853年4月16日。蒸気機関車に引かれた14両編成の列車が、まったく同じ区間を駆け抜けた。出発もほぼ同じ午後3時35分。インドの鉄
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