NRI経営コンサルタントの視点経営 連載・2040年の鉄道経営 第5回 駅を生かした地域の移動需要づくり 2025年11月21日 当コラムの第4回(2040年に向けた中長距離交通体系の課題)では第3回までの議論を踏まえ、中長距離交通体系転換の必要性について整理した。本稿ではさらに、こうした中長距離交通の「拠点」として機能してきた地方の中核的な都市(県庁所在地やそれに準じる都市機能が集積する都市)を念頭に、移動需要をいかに維持し創り出していくことができるか、その取組について整理した。 地方都市の鉄道駅は、かつて交通の結節点(乗換駅)としての役割が中心であった。鉄道同士(新幹線と在来線など)に加え、都市によっては地下鉄や路面電車さらにバスやタクシーなど多様な交通モードの結節点であり、その交通結節機能を補助する機能として、売店や喫茶店などが併設されているのが交通結節機能中心時代の駅であった。当時

NRI経営コンサルタントの視点経営 連載・2040年の鉄道経営 第2回 2040年に向けての事業環境変化の要点 2025年11月05日 若菜 高博のポートレート 若菜 高博 アーバンイノベーションコンサルティング部 川手 魁のポートレート 川手 魁 アーバンイノベーションコンサルティング部 肥後 隼大のポートレート 肥後 隼大 アーバンイノベーションコンサルティング部 コラム第1回(日本の鉄道会社経営とビジネスモデル)では、バブル経済崩壊前後から今日に至るまでの鉄道会社経営モデルの進化を振り返った。第2回では、激動期を迎える2040年に向けての事業環境変化の要点を描出する。 バブル崩壊後、鉄道会社は長期低金利環境下で低コストの資金調達を活用し事業ポートフォリオと収益基盤を再構築したが、この先2040年に向けては、4つの試練に直面することが想定される。 第一に、沿線人口については、これまで微

NRI経営コンサルタントの視点経営 連載・2040年の鉄道経営 第1回 日本の鉄道会社経営とビジネスモデル 2025年11月04日 若菜 高博のポートレート 若菜 高博 アーバンイノベーションコンサルティング部 川手 魁のポートレート 川手 魁 アーバンイノベーションコンサルティング部 肥後 隼大のポートレート 肥後 隼大 アーバンイノベーションコンサルティング部 国内で本格的な人口減少時代に突入し、海外でも不確実性が非常に高まる中で、国民の「移動」と「生活」に価値提供する鉄道会社の経営も、2040年に向けて大きな転換期を迎えている。本コラムでは、その全体像と課題、課題への対処方針について考察していきたい。まず第1回(日本の鉄道会社経営とビジネスモデル)では、日本の鉄道会社の経営とビジネスモデルの特徴を振り返っていきたい。 日本の人口ボーナス期は1990年代後半まで続いたと言われる。経済学

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京王電鉄(東京都多摩市)では、落とし物が持ち主に戻ってくる「返却率」が急激に上がっている。きっかけは、2023年から導入した検索サービス「落とし物クラウドfind」だ。いったいどんなサービスなのか。ライターの市岡ひかりさんがリポートする――。 京王電鉄が始めた“神的”落とし物サービスとは 落とし物が増加の一途をたどっている。警視庁によると2024年、東京都内で警察に届けられた落とし物の数が約440万件に上り、統計開始以来過去最多を更新している。 大事なものを「どこかに置き忘れてきた」と気づいた瞬間、肝が冷える感覚は誰しもおぼえがあるはずだ。電車の中か、はたまたコンビニのトイレか。はやる心を抑えて現在地までの道のりを思い出し、お店や交通機関に片っ端から電話をかけまくる……という経験をしたことがある人も少なくないだろう。 恥ずかしながら、筆者にも何度か経験がある。特に、財布やスマホを忘れてしま

韓国の首都ソウルで路面電車方式の軽量軌道交通(LRT)「慰礼(ウィリェ)線」の工事が最終段階に入り、まもなく走行試験が始まる見込みになった。『聯合ニュース』などが報じた。 慰礼線はソウル特別市松坡区・京畿道城南市寿井区の馬川(マチョン)~慰礼水辺公園~福井(ポクチョン)を結ぶ本線(4.7km)と、城南市寿井区の慰礼水辺公園~南慰礼(ナムィレ)を結ぶ支線(0.6km)で構成されるLRT。大規模住宅団地「慰礼新都市」の公共交通になる。 『聯合ニュース』などによると、事業の進捗率は88%に達している。行政手続きで最も厳しいとされる警察の交通安全審議も最近通過した。8月には走行試験が始まる予定。ソウル特別市は来年2026年8月の開業を目指しているという。

NJSSで主にバックエンドエンジニアをしている一色です。 今回は個人で不定期に取り組んでいるJRの最長片道切符について書いていきます。 最長片道切符とはJRの旅客営業規則に基づき、発券可能な切符で最も距離が長い片道切符を指します。 誰が始めたか 1961年の東大旅行研究会が初出とされています。その後も、様々な方が挑戦されており、近年では鉄道系・旅行系YouTuber方々が様々な形で挑戦されています。 経路の型 最長片道切符の経路は大きく分けて、L型、O型、P型の3つが考えられます。 L型 始点から終点までルート上の駅を1回しか通らないルートです。通常、多くの方がJRを利用する際に発券する切符の多くはこのタイプではないでしょうか。 O型 始点と終点が同一地点のルートになります。山手線などの環状線を一周するルートがこのタイプになります。 P型 終点のみ2回通るのはO型と同じですが、経路の終端
コロナ禍による業績悪化などを背景に、鉄道各社で運賃改定が相次いでいる。25年ぶりの運賃値上げラッシュはなぜ起きたのか。運賃制度の仕組みや現行制度の問題点とともに解説する。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也) 鉄道運賃制度で採用される 「総括原価方式」とは コロナ禍後の旅客収入減少に対応した運賃改定、すなわち運賃値上げが続いている。2023年は東急電鉄、近畿日本鉄道、JR四国、南海電鉄、京急電鉄、京王電鉄が、そして、2024年は名古屋鉄道が改定を実施した。さらに、2025年は4月1日にJR九州、JR北海道が改定、10月1日に京阪電鉄が改定を予定している。 また、2026年春の改定に向けてJR東日本、西武鉄道、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)が国土交通省に申請中。東武鉄道と小田急電鉄は経営計画で将来的な改定の検討を表明しており、運賃改定の波はしばらく続きそうだ。 高い公共性を有する鉄道は、

東京の丸ノ内線は、地下鉄と呼ばれながら茗荷谷から後楽園まで地上区間を走る異例の路線である。1950年代の復興期に、限られた予算や地形制約の中で建設費を抑えるため、開削工法と新設道路の利用が選ばれた。後楽園駅の高架も路面電車との共存や東西線接続計画に基づく。制度上は地下鉄と認められつつも、住民の認識とずれがあり、乗換利便に影響を与えている。丸ノ内線は戦後東京の都市政策と制度の歴史を示す象徴的存在である。 東京の移動を支えるしくみのなかで、丸ノ内線は少し変わった存在である。地下鉄とされているが、茗荷谷駅から後楽園駅のあいだでは、なぜか地上を走っている。後楽園駅は高い場所にある駅であり、鉄道にくわしくない人でも、そのようすに違和感をおぼえることがある。 しかし、このような光景を「東京の地下鉄はおかしい」と笑ってすませることはできない。この事実のなかには、戦後の東京で進められた道路や鉄道の整備、交

「進行方向左手側、桜が見ごろを迎えております」 京王井の頭線。渋谷駅~吉祥寺駅までを結ぶ全長12.7キロの路線の車内アナウンスが、SNSでたびたび話題になっている。車掌の粋な一言が加わった独自のアナウンスが「心が和んだ」「沿線に住みたくなった」と好評なのだ。 沿線に住む会社員の男性(40)も、そんないわば“神アナウンス”を耳にした一人だ。今年4月上旬、いつものように職場へと向かう渋谷行の列車に揺られていると、ふと車掌のアナウンスが聞こえてきたという。 「進行方向左手側、神田川沿いの桜が見ごろを迎えております。まだお花見がお済みでない方はぜひご覧ください」 車窓に目をやると、満開の桜が飛び込んできた。見慣れたはずの通勤風景が、いつもより色鮮やかに映る。

都立多摩図書館東京マガジンバンクカレッジの個人パートナーとして活動しているご縁から、月刊『鉄道ジャーナル』が最終号を迎えるに際し、感想をお寄せくださいとのご依頼いただきました。本誌に最後まで連載したライターですが、想いをつづるのはもう少し先なのかなと逡巡していました。けれども、このタイミングに背中を押していただいて書くことが叶いました。 読者の方も、気にかけてくださった方々も、ありがとうございました。 ◆メールマガジン本文抜粋 【1】【寄稿】わたしと鉄道ジャーナル 中西あきこ(個人パートナー) --------------------------------- 『鉄道ジャーナル』最後の号が届いた。封を切ると、新幹線が赤いテールライトを背に遠ざかる表紙だった。「終着駅から歩く旅」の連載ページを開いて、無事載ったことを確かめる。読み返すと、書いている時の熱気も、取材先とのギリギリの交渉も、曇

いすみ鉄道は2025年6月2日、現在運休が続いている路線の復旧に関する発表を行いました。 まだ復旧とはいかず いすみ鉄道は2025年6月2日、現在運休が続いている路線の復旧に関する発表を行いました。 拡大画像 いすみ300形(画像:いすみ鉄道)。 同線は2024年10月4日に発生した脱線事故の影響により、8か月にわたり全線で運休が続き、バスによる代行輸送が行われています。事故は、国吉~上総中川間の苅谷踏切付近で発生。走行中の列車が異音と揺れを感知して緊急停車したところ、8軸ある車輪のうち6軸が脱線していました。 事故後は国の運輸安全委員会による調査が行われ、さらにJR東日本などの第三者機関と連携して、老朽化箇所の修繕工事や全線にわたる安全点検が実施されました。しかし、脱線の一因とされるレールを支える枕木の腐食や劣化が複数箇所で確認されたため、大規模な修繕が必要となり、復旧は長期化しているよ

全線運休が続く第三セクター「いすみ鉄道」(大多喜町)は2日、利用者の多い東側の大原―大多喜駅間(15.9キロ)について2027年秋ごろまでに運行再開を目指す方針を発表した。復旧費用約14億5000万円の支援を、県と近隣の自治体に要請した。【高橋秀郎】 いすみ鉄道の古竹孝一社長が記者会見で明らかにした。小湊鉄道と接続する西側の大多喜―上総中野駅間(10・9キロ)の再開時期は未定としており、全線再開の見通しは立っていない。 24年10月、いすみ鉄道の大原発上総中野行き普通列車(2両編成)が、いすみ市苅谷を走行中に脱線した。通学中の県立大多喜高校の生徒ら乗客104人が乗っていたが、運転士1人を含めてけがはなかった。

いすみ鉄道の脱線現場近くの線路上に停車している列車=千葉県いすみ市内で2025年5月28日、高橋秀郎撮影 全線運休が続く第三セクター「いすみ鉄道」(千葉県大多喜町)は2日、利用者の多い東側の大原―大多喜駅間(15・9キロ)について2027年秋ごろまでに運行再開を目指す方針を発表した。復旧費用約14億5000万円の支援を、県と近隣の自治体に要請した。 いすみ鉄道の古竹孝一社長が記者会見で明らかにした。小湊鉄道と接続する西側の大多喜―上総中野駅間(10・9キロ)の再開時期は未定としており、全線再開の見通しは立っていない。 24年10月、いすみ鉄道の大原発上総中野行き普通列車(2両編成)が、いすみ市苅谷を走行中に脱線した。通学中の県立大多喜高校の生徒ら乗客104人が乗っていたが、運転士1人を含めてけがはなかった。 列車は現場近くの線路上に移され、運輸安全委員会や専門機関による調査が進められた。単

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