「仕事と読書を両立するのは難しい」。でも、だからこそなんとかしたい!と思っている人も多いのではないでしょうか。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)著者で文芸評論家の三宅香帆さんが、働きながら読書する日々を綴り、「働いているからこそ面白く読める本」を紹介します。今回は話題のNHK朝ドラ『虎に翼』で考える3冊を取り上げます。 4月某日 4月から始まったNHK朝の連続ドラマ『虎に翼』がすっごく面白い。それはもう面白い。毎週、展開にぐっとくる。キャラも好きだ。衣装や家や学校のセットがなにより美しくて好きだ。 『虎に翼』は、日本ではじめて弁護士、裁判官になった女性をモデルとして主人公に据える物語である。4月現在、時代は昭和初期。主人公・寅子はお見合いを嫌がり、まだ女性には法曹界への扉が開かれていないにもかかわらず、先んじてつくられた私立大学の女子法科に入学する。そして寅子は、法学の世界

戦時下を描き始めた朝ドラと、戦後の大きな裁判SNSで共感の嵐を巻き起こしているNHKの朝ドラ『虎に翼』。登場人物の女性に自分を重ねて共感したり、励まされたりする一方、「約百年もたっているのに世の中はわずかしか変わっていない」といった思いを感じる人も少なくない。 ドラマの主役・寅子のモデルとなった三淵嘉子氏は、日本女性で初の司法試験(旧司法科試験)の合格者のひとりで、弁護士を経て裁判官(判事)、裁判長、裁判所所長を務めた法律家。なかでも家庭裁判所の立ち上げに尽力し、のべ5000人の少年少女の審判に携わったことで、後に「家庭裁判所の母」と呼ばれた法曹界のレジェンドだ。 5月20日現在、ドラマで描かれるのは1942年(昭和17年)。先週末にはドラマの最後に前年の1941年(昭和16年)12月に太平洋戦争の始まりが告げられた。先週は金属類回収令で家庭にある鍋や釜などの日常品が回収されるシーンも描

今からさかのぼることおよそ100年前。今より女性差別が色濃く存在した時代に、日本初の女性弁護士となり、のちに裁判官となった女性がいた。 パイオニアの名は、三淵嘉子さん。そして、彼女をモデルに、男性社会である法曹界に飛び込んだ主人公・猪爪寅子の半生を描いたのが、現在放送中の連続テレビ小説『虎に翼』だ。 ©NHK 社会のアンフェアに疑問を呈しながら、ひるむことなく信念を貫く寅子の生き方に、今、多くの女性たちが勇気と希望をもらっている。 昭和から令和へ。時代は変われど変わらない理不尽の数々。心折れそうになる現実に、私たちはどう立ち向かっていけばいいのか。 『虎に翼』の脚本家である吉田恵里香さんと一緒に考えてみよう。 吉田恵里香さん 1987年11月21日生まれ。神奈川県出身。テレビドラマからアニメ、映画まで数々の作品の脚本を手がける。主な作品にドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『
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弁護士ドットコム 民事・その他 「このままでは忘れられてしまう」 きっかけは危機感 40年前、ドラマ「虎に翼」のモデルを取材した京都の弁護士

毎朝のようにSNSのタイムラインを席巻している「虎に翼」。主演・伊藤沙莉(30)が日本で初めて弁護士になった女性を演じている。今作がこれまでの多くのリーガルドラマ(司法ドラマ)と違うのは、現役弁護士たちの心も掴んでいることだ。 毎朝タイムラインを席巻している「虎に翼」 公式サイトより 「一体どこまで調べて脚本を書いてるんだ」「脚本侮っててすんませんでした」と絶賛する國本依伸弁護士に、『虎に翼』のどんなところがすごいのか話を聞いた。 ――『虎に翼』の放送がある日はXに國本先生のポストが流れてくるのを楽しみにしています。弁護士としてどんなところにハマったんでしょう。 國本依伸弁護士(以下 國本) 日本のリーガルドラマは用語その他内容が不正確で、嫌な気分になることが多いのでほとんど観ないんです。だから妻から「次の朝ドラは日本で最初に弁護士になった人みたいやで」と聞いたときには、「伊藤沙莉めっちゃ

なぜなら主人公は「ひたすら恵まれている」ハイポジションリベラル女子」だから。日頃から女はズルいと怒り呆れがちな人たちが真っ先に鼻で笑うタイプの恵まれた女だから。 ドラマの主人公の寅子は、投資銀行に勤める父と良妻賢母の母という大正~昭和初期のアッパークラスの、それもリベラル色の強い理解あるご家庭に生まれて、その潤沢な社会資本を余すことなく享受して弁護士の道を自由に邁進している。そして勉強大好きで周囲が態度を変えるほど頭が良く生まれついてもいる。そして子供のころから正義感がある。家柄が良くまっすぐ育った明るい優等生。 大学に行っても目立つタイプ、拗らせミソジニーを発動する拗らせエリートの同級生男子が、いつの間にかそのまっすぐな人柄にやられて好意を抱いたりする程度にはモテる。 寅子の家には、父が面倒を見ている司法試験合格を目指す書生がいて(アッパークラスのご家庭ならでは)この書生とも「私たち同じ

明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長 村上 一博 河合栄治郎.1934.『ファッシズム批判』.日本評論社 第7週は、寅子が、雲野六郎(塚地武雅さん)の法律事務所で1年半の弁護士修習を終えて、めでたく弁護士資格を取得……。ところが、独身の女性という理由でなかなか依頼人から信頼を得られなかったことから、あくまで社会的信用を得る手段として(愛情によるのではなく)、優三との結婚に踏み切った(私には「こんな理由で結婚してしまうの?」「ハテ?」)という筋書きでした。 花岡との別れ、優三との結婚については、恋愛の機微に疎い私では、なんとも言いようがありませんので、今週の振り返りは、法律問題に絞ってお話ししたいと思います。 雲野弁護士のモデルは、海野普吉(横浜事件・松川事件・砂川事件など数多くの政治・思想関係の事件を担当したことで知られる、社会派・人権派弁護士の一人)です。ドラマでは、寅子

時代性を鋭く的確に切り取り、視聴者の共感を呼ぶ脚本が魅力の脚本家・吉田恵里香さん。彼女が連続テレビ小説で挑むのは、法の仕事に携わる主人公。あえて「わきまえない女性を描きたい」という、その思いとは?本記事では、3月25日発売『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 虎に翼Part1』よりご紹介します。 気が強いけれど愛される”物申せる主人公”を描きたい “気の強い女性“を描きたい。これは脚本を書くうえで私がいつも大切にしていることです。おしとやかで物分かりがよくてみんなを優しく包容するタイプより、自分の意見を言えて、世間からは生意気な女と思われているような女性。そういう女性は嫌われかねないし、損をするかもしれません。けれど、言うことを聞いてばかりいると、いいように使われてしまいがちです。だから、あえて「わきまえない女性」「強い女主人公」を描きたいんです。脚本家として一つの目標にしていた、朝

明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長 村上 一博 昭和19年高等試験受験票、明治大学史資料センター所蔵 第6週は、高等試験司法科の合格と級友たちとの別れがあり、喜びと哀しみが交錯する一週間でしたね。 高等試験司法科に女性が受験できるようになったのは昭和11年度からですから、当時法学部2年在学中の寅子も受験が可能でした。しかし、共亜事件裁判が進行中だったため受験できず、翌年、最終学年3年の昭和12年度に(級友たちと一緒に)、初めて受験しました(結果は女性全員不合格)。三淵さんが、実際に、昭和11・12年度の高等試験を受けたのかどうかは不明ですが、三淵さんの1学年下(女子部第5期生)の西岡光子さん(昭和14年合格、東北初の女性弁護士・秋田弁護士会会長)は、昭和11年度(法学部1年在学中)に最年少で受験していますから、三淵さんも、おそらく在学中に1・2度受験したと考えるのが自然で

女性法律家のさきがけ・三淵嘉子をモデルとする、吉田恵里香氏による脚本×伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』が、放送6週を終え、異色の盛り上がりを見せている。 朝ドラ発の流行語や人気キャラ、ブレイク俳優、社会現象などは多々あったが、オンライン&オフラインで、この作品に触発されて「私の話」をする人が続出しているのだ。それは例えば、自分と母の進学にまつわる話や、学校や職場で受けてきた男女差別や格差の話(過去記事を参照:『虎に翼』で新たな朝ドラ現象。「寅子は私」と語りはじめた女性たち)。 こんなにも視聴者が朝ドラを「自分ごと」としてとらえ、口々に語り出すケースは見たことがない。 こうした自然発生的な現象が生まれた背景には、おそらく作り手の強い意志がある。なぜなら『虎に翼』には、社会的に虐げられ、軽視されてきた全ての人々の思いを拾いあげようという思いが随所に感じられるからだ。 例えば、憲法記

連続テレビ小説「虎に翼」。 伊藤沙莉さん演じるのは、日本初の女性弁護士になった三人のうちの一人。 のちに裁判官となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)。 このモデルになった三淵嘉子と同じタイミングで弁護士になった人が、あと2人います。 そのうち1人が、かつて鳥取県弁護士会長を務めた中田正子(なかた・まさこ)です。 その中田正子の功績を伝える活動を続けている、あおや郷土館学芸員の奥村寧子さんにいろ★ドリでインタビュー。その内容を記事にまとめました。(鳥取放送局 アナウンサー 保田一成) 日本初の女性弁護士の一人 中田正子 東京生まれの中田正子は、昭和20年に夫の実家で今の若桜町に疎開します。 その後、県庁近くで法律事務所を開き、弁護士として鳥取県内で活躍しました。 鳥取県弁護士会会長、日弁連の理事などのも担当しました。 そんな中田正子について、下の3つを中心に紐解いていきます。 中田正子と三淵嘉子

明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長 村上 一博 連続テレビ小説「虎に翼」展(NHK財団主催、 会場:明治大学博物館)から、「猪爪寅子役 伊藤沙莉着用衣装」 第5週は、「共亜事件」の一週間でしたね。モデルは「帝人事件」です。「帝人事件」は、昭和9年3月に捜査が始まり、有罪の予審終結決定がなされたのが同年12月、昭和10年6月から2年以上にわたって全部で265回の公判が重ねられ、昭和12年12月に被告人16名全員に無罪の判決が言い渡されています(検察は控訴せず、第一審だけで無罪が確定)。政財官界を巻き込んだ、昭和戦前期における背任・贈収賄事件としては最大の事件(大疑獄事件)で、この事件によって斎藤実内閣が総辞職しています。事件の詳細はここでは省略しますが、台湾銀行(三淵嘉子さんのお父さんの勤め先でした)がこの事件に絡んでいたことから、帝都銀行勤務の寅子の父親の直言が事件に関与

白木沢 旭児, 東 俊佑, 及川 琢英, 秋山 淳子, 張 暁紅, 朴 仁哲, 胡 慧君, 辻 弘範, 崔 誠姫, 内藤 隆夫, 湯山 英子, 池田 貴夫
日本初の女性弁護士の1人、三淵嘉子さんがモデルの、NHK連続テレビ小説「虎に翼」の放送にあわせ、三淵さんの母校、明治大学の学生がゆかりの地をめぐる散策マップを作成しました。 先月放送が始まったNHK連続テレビ小説「虎に翼」は日本初の女性弁護士の1人で戦後、裁判官も務めた三淵嘉子さんがモデルです。 放送開始にあわせ、ゆかりの地に観光客を呼び込もうと、三淵さんの母校、明治大学の学生6人がこのほど、千代田区の神田・お茶の水・神保町などの散策マップを作成しました。 見開きでA3サイズのマップには明治時代創業の「江戸文化」専門の古本屋やどらやきが人気商品の和菓子店など10のスポットを紹介していて、三淵さんに関するコラムも掲載しています。 散策マップは明治大学博物館がホームページに載せているほか区の観光案内所などで配布しており、作成した学生グループは「紙面が限られているので載せる情報の選択など難しいこ

明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長 村上 一博 法学部授業風景(五十二講堂にて)、明治大学法学部卒業記念 アルバム(昭和16年12月)、明治大学史資料センター所蔵資料 第4週、寅子たち5人は女子部を卒業して、昭和10年4月、いよいよ法学部に入学しました(女子部入学時は60名、卒業時には5名にまで減少したものの、全員が法学部に進学したという設定です)。当時、女子部も法学部も在学期間は3年でした。高等試験司法科を女性が受験できるようになるのが昭和11年度の試験からですから、寅子たちの学年は2年生から受験できることになります。ドラマと同じように、実際の法学部の講義でも、女子学生たちは一団となって講義を受けていました。もっとも、戦時体制下ですから、男子学生との交流はほとんどなかったようで、ドラマの合同ハイキングはもちろん創作です。 梅子の夫である大庭弁護士が、民事訴訟法の講義のな

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