現市庁舎は保存すべき「財産」か、解体すべき「負の遺産」か――。島根県江津市は、5月に新庁舎(同市江津町)へ移転した後に残る現庁舎(同)のあり方に関する議論を加速させるため、2021年度当初予算案に調査検討費610万円を盛り込んだ。図書館への転用案を支持する声が多いが、解体を含めて方向性はまだ見通せない。評価の高い近代建築だけに、市民が納得できる着地点が求められる。【萱原健一】 現庁舎は鉄筋コンクリート造5階(一部8階)建て、延べ床面積4122平方メートル。世界的建築家ル・コルビュジェの弟子、吉阪隆正(1917~80年)が設計し、62年3月に完成した。建設費は約1億5000万円で、うち2割の約3000万円が市民や企業の寄付で賄われたという。

鶴岡八幡宮の参道である若宮大路に面した一角に建つ「犬猫の峰病院」の解体に向けての作業が5月21日に始まった。5階建てマンションへ建て替わる。 敷地は奥行きがあり左手が診療所で右が住宅。空気を床下から取り込み軒下から外へ逃がす流れを作る長方形の開口が建物全体に見える。当時のバウハウスが目指した「健康住宅」の特徴でもあるという 同建物は山脇巌さんが設計し1934(昭和9)年に完成した「診療所をもつ住宅」。山脇さんは、約100年前にドイツで14年間だけ開講し、その後の美術や建築などに大きな影響を与えた芸術学校「バウハウス」で学んだ4人の日本人のうちの一人で、写真家・建築家として活躍した。 山脇さんが設計したモダニズム建築で、現存する数少ない作品の一つでもある同建物。若宮大路の二の鳥居近くで観光客の目にも触れる場所に建っている。敷地面積は約1183平方メートルで、延べ床面積は約455平方メートル。

県内に現存する最古級の図書館建築とされる「旧鎌倉図書館」(鎌倉市御成町)が取り壊しか保存かで揺れている。鎌倉市は老朽化を理由に取り壊しの予算を決めているが、取り壊しに反対する市民グループ「図書館とともだち・鎌倉」などは反発、十七日にチャリティーコンサートを開催し、保存を訴える。 (草間俊介) この旧図書館は、鎌倉ゆかりの銀行家の間島弟彦・愛子夫妻の寄付で、一九三六年に完成した。木造二階建てで、市が所有する。七四年まで図書館として使われていた。場所は鎌倉市役所に隣接し、閉館後は教育、福祉関係の用途に使用されてきた。市は今年三月、老朽化が激しいとして閉鎖し、取り壊すために、周辺の建物を含めた解体費用約二千九百万円を本年度予算に計上している。 市民グループが専門家に調査を依頼したところ、閉架式書庫や婦人閲覧室などが設けられ、当時の公共の図書館建築の様子をうかがえる貴重な建築であることがわかった。
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