近年「私設図書館」という仕組みが流行している。図書館の設置者は、行政や学校ではない。カフェであったり信用金庫だったり、和食料理店だったり。図書館の設置者は、自身の所有する本を貸し出したい「一箱本棚オーナー」を募集する。「一箱本棚オーナー」は限られた棚のスペースに自身のテーマに応じた書籍を並べる。オーナーは設置者に「場所代」として月々2,000円を支払う。本を借りる側は、図書館の登録費を払えば無料で借りることができる。 多くの疑問が浮かぶ不思議なこの仕組みを採用するのは、2020年3月にオープンした「みんなの図書館さんかく」。わずか3年の間で、みんなの図書館の設置は50館を超えた。老人から子どももまで幅広い世代が集まる新しいコミュニティーの場づくり。その経緯と思いを、設立者・土肥潤也(どひ・じゅんや)さんに伺った。 【中学生時代の「ゲーセン」が原体験。家でも学校でもない、居心地のいい場所】

TOP › その他 わたしがつくる「私設公共」の未来 みんなの図書館さんかく3周年記念トークイベント2023/3/3(金) 14:00~2023/3/3(金) 16:00 PLAY BALL ! Cafe 焼津市の駅前通り商店街の空き店舗を活用して開館した「みんなの図書館さんかく」は、2020年3月3日3時33分33秒に開館し、今年(2023年)の3月で3周年を迎えることになりました。 当初は「うまくいくわけないよ」と反対の声ももらった一箱本棚オーナー制度のシェア型図書館は、60名を超える本棚オーナーが参画し、2021年4月には二館目となる「さんかく沼津」も開館しました。また、全国的には同様の仕組みを導入した姉妹館が50館近くに波及しています。 実は、さんかくを構想したときに参考にした3冊の本がありました。それらの本に書かれていることに刺激を受けて、「さんかく」のコンセプトにひらめいたと

お気に入りの絵本を見つけて読んでもらう子どもたち。各本棚にはオーナーの愛蔵書が並ぶ=19日、金沢市石引2のコトノハで 金沢・石引本棚オーナー制 人柄にじむ 愛読書を置いた本棚のオーナーや地元の人々がふれ合う「まちの小さな図書館」が十九日、金沢市石引二の石引商店街にオープンした。本を通じた地域コミュニティーづくりを目指す試み。共感した富山市や東京都の人たちが早速、訪れたほか、地元の子どもたちが絵本を手に取った。(沢井秀和)図書館の広さは二十坪で百二十箱の本棚(横三十六センチ、縦三十四センチ、奥行き四十センチ)を備える。オーナーは本棚を一カ月当たり二千二百円で借り、本やお気に入りのものを展示する。利用者は登録料五百円を支払えば、以降、棚の本を無料で借りられる。

本を借りる施設から、誰もが参加し、発信できる場所へ。いま各地で新しい図書館が生まれている。 みんなで作る地域拠点図書館といえば、分野別もしくは著者別に整然と分かれた本棚が並んでいる光景を誰もが思い浮かべるだろう。でも、ここは違う。 さいたま市大宮区にある新しいタイプの図書館&本屋「ハムハウス」。本棚を小さく区切ってその一つひとつにオーナーがいる。いわゆるシェア図書館だ。本棚の仕切り板には、通常ならジャンル名や作者名が書かれているのに、ここではオーナーの「屋号」が書かれている。例えば、「あおBOOKS」の棚には韓国文学の本が並んでいる。「びあんか堂」は猫の本ばかり。「こもんブックス」は画集など大判の本が多い、という具合だ。 ハムハウスのオープンは今年4月30日。2019年までさいたま市立大宮図書館だった建物が図書館の移転で、複合施設に生まれ変わり、その一角に入居している。公立ではなく、ハム

熱海市下多賀にできた”私設図書館”です。本屋も図書館も無い多賀地域に、 子供から大人まで、気軽に本に触れ楽しむことのできる 場所を作りたい。そんな想いから開館しました。 1F私設図書館はコワーキングスペースとして、読書や勉強、リモートワークなどに活用できます。 2Fはレンタルスペースとして会議や集会、教室を開いたり、オフサイトミーティングとして利用できます。 一箱本棚オーナー制度をとっており、多賀文庫に自分の好きな本や雑貨を並べ、人に貸したり販売することができます。 一箱一箱いるオーナー様の、個性が溢れる面白い本棚が完成します。 多賀文庫で本を読んだり、勉学に勤しんだり、 地域の人々の新しい交流の拠点として後押し致します。

ここ数年の新しい生活様式の中で、公共の場に求められるものはどのように変化しただろうか。そう思いを巡らせるようになったきっかけは、今じわじわと人気が広がる「一箱本棚オーナー制度」との出会いだった。 この制度は、図書館に自分だけの本棚を持つことができる月額制オーナーの仕組み。モノも人も出会いがデジタル化され必然的になるこの時代に、フィジカルで偶然性の高いこの制度が支持を集めている点に、筆者は“公共”の新たな可能性を感じた。 今回は、そんな「一箱本棚オーナー制度」を全国に広げるきっかけとなった、静岡県焼津市の小さな図書館「みんなの図書館さんかく」を訪れた。 誰もが参画できる仕組みづくり 元おでん屋の店舗を改装した同館は、引き戸を開けてふらりと入りやすい雰囲気。 2020年3月、焼津駅前通り商店街に開設された私設図書館「みんなの図書館さんかく」。その名前には、訪れた誰もが主人公として「参画」する場

「さんかく」の取材にあたりプロジェクトの収支が気になっていた。1箱2000円で55人に本箱を貸し出したとしても、人件費が賄えるとは思えない。ソーシャルプロジェクトが行き詰まるのは大抵「稼げない」という壁にぶち当たったときだ。ところが土肥潤也(27)は思いがけないことを言った。 「僕、さんかくで稼がないって決めたんですよ」 いったいどういうことだろう。 「お金を稼ぐために棚を200に増やすというやり方もあったと思います。でも、それは違うと思ったんです。棚で稼ごうとすると目的が変わっていってしまうと気づいたのでやめました」 一箱本棚オーナーに主人公として図書館に関わってもらい、それがひいては図書館のある商店街の当事者にもなっていけば、商店街は自ずと息を吹き返すだろう。だからここで自分の稼ぎを生み出すことを一番の目的にすると、どこかに無理が生じる。儲かるはずのない仕組みで稼ごうと思うといいことが

焼津市郊外で育った土肥潤也(27)の記憶にあるのは、ロードサイドの大型ショッピングモールだ。ファストファッションから家電量販店、スーパーマーケットなどがあり、生活にはここで十分事足りた。彼の育ってきた中に駅前商店街の記憶はない。 そんな土肥はドイツの街中で見た子どもたちの遊び場をつくるイベントに、街と人の関係性を考えさせられることになる。文部科学省の青少年指導者交流事業の派遣団としてドイツに約半年滞在する機会を得た際のことだ。 「ドイツでは市民が自分たちで公共スペースをつくっていました。道遊びのプロジェクトでは平日の昼間なのに商店街の真ん中が子どもたちの遊び場になっていました。 おもちゃをどっさり積んだプレイカーが移動サーカスみたいな感じでやってくるんです。その様子を見て、みんなが街の主人公になれているのがすごいと思いました」ドイツ人と日本人では道路という公共財の捉え方が違うことも、土肥

商店街のとある商店の急な階段を登りドアを開けると、モダンにリノベーションされたオフィス空間があった。壁一面につくりつけられた本棚には社会学の専門書や人文書が並び、土肥潤也(27)がにこにこと笑っている。秘密基地を披露するかのようなちょっと得意げな表情のこの人は一般社団法人トリナスの代表理事だ。 ここは東海道新幹線の静岡駅から普通列車で3つめ、焼津の駅前商店街だ。焼津駅前商店街は日本一の水揚げ額を誇る焼津港に向かう途中にある。 焼津駅から南に400mほど続く商店街では、道路の両側に隙間なく店舗が並ぶ。撮影:千倉志野マグロとカツオの水揚げで知られる焼津港は活況だというのに、数年前、この焼津駅前商店街の空洞化は深刻だった。昭和の頃には港に着く船から陸へ上がった海の男たちが気前よく金を落とし、毎日のようにロレックスの時計が売れた時代もあったと聞くが、現在はシャッターを下ろした建物がぽつりぽつりと目

「みんなの図書館 さんかく」を運営する土肥潤也館長。本棚には、オーナーごとにお気に入りの本が並ぶ=静岡県焼津市で 三十平方メートルほどの室内で、壁一面に並ぶ約三千冊の本。静岡県焼津市のJR焼津駅前商店街にある民間図書館「みんなの図書館さんかく」では、五十五ある棚ごとに住民らがオーナーを担い、無料で本を貸し出す。人気小説の棚、釣りの専門書の棚、同県出身の女優広瀬すずさんの写真集だけの棚も。開館から二年余り。「一箱本棚オーナー制度」の取り組みは全国に広がりを見せる。 (谷口武) 「結構借りられているんです。読んでみますか」。近くで飲食店を営む村松裕夫(やすお)さん(67)は、開館当初からオーナーを務める一人だ。自身の棚には、読んで気に入った人気小説を並べている。オーナーの醍醐味(だいごみ)は「自分の好きな本を手に取ってもらえる。本好き同士が感想を言い合えるようになって、ありがたい」。

新潟県燕市の宮町商店街に去年11月にオープンした「みんなの図書館・ぶくぶく」。 【みんなの図書館ぶくぶく・白鳥みのり館長】 「1つの棚を月々2千円払うと借りられる。つまり自分だけの棚がこの図書館の中にできる」 実はこの図書館、本棚の一区画を月々2000円で貸し出す「一箱本棚オーナー制」を採用。 その棚に並ぶのは、高校教師や育児中のお母さんなど、41人のオーナーがオススメする本なんです! 【杉山萌奈アナウンサー】 「”社会人もうすぐ2年目になる会社員”という紹介があるこちらの棚のオーナーは、手書きの本を作成しました。まさにここでしか読めない本です」本は無料で貸し出され、誰でも誰かのオススメの本に触れることができます。(登録料は300円) 棚に自分の好きな本とキセルを展示しているのは、オーナーの1人でキセル職人の岩浪陸さん。 去年9月に埼玉県から移住したばかりで、この図書館が貴重な出会いの場
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