両論併記のない戦争報道はプロパガンダと同義だ。 相手の情報発信がたとえフェイクだとしても、その内容から相手が何を喧伝したいのかが推測できる。また、自分たちが発信する情報が戦意発揚や劣勢を隠蔽することにつながっていないかを冷静に見極めるためにも、異なった主張に耳目を傾けることには意味がある。 今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻をめぐる報道に、こうしたメディア・リテラシーを見出すことは難しい。なぜなら、我々が得ることができる情報は、そのほとんどが欧米諸国からの一方的なものだからだ。 シリア情勢をめぐる報道においても、メディア・リテラシーを感じ取ることはできない。なぜなら、両論併記はおろか、一方的報道すら行われないからである。ロシア軍による爆撃シリア北西部のイドリブ県で、ロシア軍戦闘機が9月8日に爆撃を実施した。 シリア領内での爆撃は、9月6日にイスラエル軍が民政施設であるアレッポ国際空

欧州に住んでいると、ロシア対西欧諸国の情報合戦をひんぱんに目にする。 例えば、今年3月、そして6月末に英国で発生した、神経剤「ノビチョク」による男女数人への攻撃だ。3月には英南部ソールズベリーで、ロシア連邦軍参謀本部情報総局のセルゲイ・スクリパリ元大佐と長女ユリアさんが一時重体となり、6月末にはソールズベリーから数キロ離れたエームズベリーでドーン・スタージェスさんと友人のチャーリー・ラウリーさんが意識不明となって病院に運び込まれた(7月8日にスタージェスさんは死亡)。 どちらの事件でも英政府はロシアの関与を疑っているが、ロシア側はこれを否定している。 4月、米英仏はシリアに爆撃を行ったが、これはシリア軍が東グータ地方ドゥーマー市で市民に「化学兵器を使用したこと」が理由だった。シリアとロシア側は「化学兵器は使われていない」と主張している(この件の詳細は青山弘之氏の記事に詳しい。米英仏のシリア

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