
はてなキーワード:CAPMとは
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称オルカン。
これ自体は素晴らしい。世界の時価総額に合わせて丸ごと買うんだから、これ以上の分散はない。投資の最適解だ。
だが、なぜそこで「日本を除く」とかいう謎の改造を始めるんだ?
「日本市場は成長しない」「人口減少がー」とか、個人の主観をゴリゴリに詰め込んで、せっかくの最強ポートフォリオを汚染してる。
「日本を除く」という行為は、金融工学の基礎中の基礎、CAPM(資本資産価格モデル)の根幹を壊しているんだよ。
CAPMが示す「市場均衡状態」ってのは、世界中の賢い投資家たちが価格を形成し合った、最も効率的で合理的な状態だ。
そして、その市場均衡状態で最強のポートフォリオとされるのが、何を隠そう、「市場ポートフォリオ」だ。
市場ポートフォリオ = 全世界すべてのリスク資産を時価総額比率で保有したもの
「日本を除く」を選ぶということは、市場が合理的に定めたこの最強ポートフォリオから、自分の勝手な「日本株はクソ」という価値判断を加えて、ワザとズラしているってことなんだよ。
理論上、市場ポートフォリオこそが、同じリスクで最大のリターンを得られる、効率的フロンティアの頂点にある。
「日本除く」を選んだ瞬間に、ポートフォリオは効率的フロンティアの頂点から滑り落ち、「非効率な領域へと突入する。リスクを取っているのに、本来得られたはずのリターンを取りこぼす。不要な(非システマティックな)リスクを抱え込んでしまう。
これって、ただの「自分で考えた、下手なアクティブ運用」だろ?「市場平均に勝てないからインデックスをやる」と言いながら、なぜその市場平均からわざわざ「日本株を抜く」という、愚かなアクティブ判断をするのか。矛盾にもほどがある。
個人の主観(バイアス)を捨て、理論的な市場均衡状態を信じろ。
「日本を除く」は、理論の土台を理解していない人が陥る、素人の罠だ。
(この記事は個人の感想であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。)
落とし穴も何も、オルカンは理論的に正解とは程遠いからな。結果論的に上手くいったとなる可能性はもちろんあるが。
NISAのように枠に限りがあるものだったらオルカンよりも、リスクもリターンも大きいものを買って上手くいった時の非課税メリットを大きくすることが本来は最適。
さらに、リスクリターンは小さくてもいい、そんなにリスクは取れないとしても、インデックス投資なんて過去数十年の実績が将来数十年にも成り立つことを祈る投資方法なんだから、過去実績が明らかに米国株インデックスに劣るオルカンを買うのは首尾一貫しておらず合理性が無い。そもそも一時的な金融危機こそあれ均して見れば何十年と安定した成長をしているというのは米国株では成り立っても、他の国では成り立っていないことも多い。そんな国の株を組み入れることはインデックス投資には向かないよ。生兵法なCAPMで変に市場全体ポートフォリオに近付けようとしているだけで、そのくせ株以外の資産を含めた真の市場全体は目指さない中途半端なものとなっていて、とても正解だなんて言えない代物。
https://anond.hatelabo.jp/20200428130702
たとえば心理学部の学生なんかは、正規分布を使えば科学的になるとまるでオマジナイのように信じているフシがある。
数理ファイナンスに触れていない経営学部にもこれは当てはまる。しかし、例えば株価リターンはCAPMに反して正規分布しない。ファットテールとか聞いた事がある人もいると思う。
正規分布が当てはまりやすいってのは経験則でしかなく、当てはまらない場合は多い。二項のnが大きければ正規分布になるっていう魔法を見せられると、それが他の全てに当てはまると錯覚しちゃうのかな。そういう分野の人らは。
正規分布で出そうとすると、じゃあなんでクルトーシスも歪度も出さないんですか?などと言う輩が出現し。。。キリがない。
意思決定のためのモデルが、少しでも複雑だったり「統計学っぽい」方がいい、と言うのは大きな誤解だし、はっきり言って危険だよ。
サブプライム問題から生じたファニーメイとフレディマックの国有化、それから引き起こされたリーマン破綻とアメリカの金融界は毎日がお祭り状態。そういった中で普通の人が抱く金融工学のイメージって言うのはもう暴落状態で、「なんか頭良い奴がクネクネして作ったけど、結局危機に陥ってしまった意味のない学問」とか「よくわかんない計算でハイリスクの金融商品を続々生み出している学問」というイメージを持っている人もいるかもしれない。
いや、そりゃあ合っている部分もあると思うけどさ。でも一応金融工学がどういった用途で使われているのかくらい知っていても、損はないんじゃないの?とか思う。なんにも知らないで批判するよりは、ある程度概要を知った上で批判したほうがなんか恰好いいのでは。
というわけで、具体的にどう役立っているのか、そしてそこから生じるデメリットはなんなのかを以下に書いていきたいと思う。ほんとにさらーっとなので、詳しく知りたい方は本なり読んだほうが分かりやすくていいんじゃないかと。
あ、タイトルにこんな挑発的なタイトルをつけた後で言うのもなんだけど、はてなーはアホじゃないと思うし、こんなんはてなーぐらいしか読まないよ。
「金融工学」って言ってもその分野は様々。だけど大まかに分けてみると、以下の3つの用途に使われていることが多い。
金融工学が一番力を発揮している分野がこの「金融商品の価格付け」。ゴールドマン・サックスなどの投資銀行は、金融工学を用いることで新しい金融商品の価格付けを行い、それを大量にばらまいている。
どういうことかというと、たとえば、売り手が「1年後に1万円を受けとることのできる証券」を現時点で売りたいとしたときに、一体どれくらいの価格だったら「損をしない値段」なのかを求めたいとする。金融工学を使うことで、こういった場面での適切な価格が求められるというわけ。
通常、企業は様々なリスクを抱えている。たとえば、パンを製造している会社は小麦の価格、貿易系の会社は為替レートの変動によって大きく利益が変動するというリスクを背負ってしまう。だけど、そういったリスクは金融工学を用いることで軽減できる場合がある。
わかりやすくするため、先のパン工場の例で説明してみよう。この企業は1ヶ月後に小麦を市場価格で仕入れて、一定の値段で売りたいとする。
もし市場価格が下落すれば予想を上回る利益を得るかもしれないけど、上昇したら当初予定していた利益よりも少なくなってしまう。あくまでこれは企業活動。パン工場からすればこういったリスクはできるだけ避けて、確実な利益をとっていきたい。
この場合リスクを軽減するためには、現時点で小麦の先物を一定量購入すればよい。そうすればもし市場価格が上昇しても小麦の先物価格も上昇するため、利益は相殺されて変動リスクを回避することができる。この一定量は金融工学を用いて計算される。
ちなみに、オプションや先物などの派生商品が基本的にハイリスク、ハイリターンなのもこのリスクヘッジをしやすくするため。だって大きく変動すればするほど、少ない金融商品でより大きな金額をリスクヘッジできるでしょ?
たくさんある金融資本の中からどういった配分でポートフォリオを作ればよいのかという問題は古今東西存在していたけど、金融工学はこの問題にある程度の指針みたいなのを教えてくれる。この指針が本当に正しいのかどうかについては人それぞれ感じることがあるだろうけど、ただ変な怪しい本を買って、やみくもに投資するよりはいいかもしれない。
そんな様々な用途で使われている金融工学だけど、ただ一つ、そしてとっても大きなデメリットが存在する。それは「そもそも前提が納得できない場合、その結論はまったく信用できなくなる」という点。
実のところ、一意的な価格にするため、そして計算上の理由から、金融工学ではいろいろと暗黙の了解を含んだいくつかの仮定をおいている。なので、金融工学を扱うときはまずこの仮定が妥当なものであるのか判断することがとっても大事。
たとえばCAPMっていう理論を推し進めると、「すべての資産を含んだ市場インデックスへの投資が一番合理的である」という結論が得られるんだけど、まずその結論に合意するためにはまずCAPM理論の前提である
や、その他もろもろの仮定を認める必要がでてくる。これらの仮定に1つでも納得いかなければ、この理論は音をたてて崩れてしまう。
そしてさらにETFやらインデックスファンドへの投資が一番だという結論に持っていくには、
という仮定にも同意しなければならない。
「ETFやインデックスファンドへの投資がナンバーワン。だって理論的に証明されてるし。」
とか思っているアホはとりあえずこれらの前提についてよくよく考えてみるといいと思うよ。
LTCMの破綻も前提が崩れてしまった結果起こったこと。確かに理論的にいけば必ず儲かる戦略(裁定取引)を行っていたことは認めるけど、その理論には「流動性リスクが存在しない」「対象資産の価格変動は対数正規分布に従う」などの前提があった。それらの前提が崩れた結果、理論は意味を失い、LTCMは破綻してしまったのだ。
金融工学は、「そもそも前提が納得できない場合、その結論はまったく信用できなくなる」のです。大事なことなので2回言いました。