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はてなキーワード:錯視図形とは

2025-06-11

ピラミッドの頂点が歪んで見えるのは錯視ですか?いいえ、蜃気楼が見せる砂上の楼閣ゆえです。

錯視図形は、私たちの目がとらえた情報が、脳で処理される過程で誤った解釈をされることで生じる「目の錯覚」です。私たち普段、外界をそのまま見ているつもりでいますが、実際には脳が過去経験知識に基づいて情報を補完・推測しているため、そこにズレが生じることがあります

###錯視図形の種類

錯視図形には様々な種類がありますが、代表的ものをいくつかご紹介します。

1. 大きさの錯視幾何学錯視)**

**ミュラー・リヤー錯視:** 同じ長さの線分でも、両端に内向きの矢羽を付けると短く、外向きの矢羽を付けると長く見える錯視です。

**ポンゾ錯視:**遠近法の奥行きを感じさせる線の中に、同じ長さの平行線があると、遠くにあるように見える線の方が長く感じる錯視です。

**エビングハウス錯視:** 同じ大きさの円でも、周りに大きな円があると小さく見え、小さな円があると大きく見える錯視です。

**ジャストロー錯視:** 同じ大きさの扇形をずらして並べると、一方の扇形が大きく見える錯視です。

2. 方向・湾曲の錯視**

**ツェルナー錯視:** 平行な直線が、それらを横切る斜めの短い線によって平行に見えなくなる錯視です。

**ヘリング錯視:** 平行な直線が、放射状に引かれた線によって湾曲して見える錯視です。

**カフェウォール錯視:**白と黒ブロックが交互に並べられた壁が、真っ直ぐなはずなのに斜めに歪んで見える錯視です。

3. 反転図形・多義図形**

**ネッカーの立方体:**視点によって立方体の奥行きが反転して見える錯視です。

**ルビンの壺:** 壺と向かい合った顔、どちらが前景に見えるかが入れ替わる錯視です。

**老婆と若妻:**高齢女性若い女性のどちらにも見える図形です。

4.不可能図形・矛盾図形**

**ペンローズ三角形:**三次元では存在しえないのに、二次元の図形として描かれるとあたか存在するように見える三角形です。

**ペンローズ階段:**上り続けているのに元の場所に戻ってくるように見える無限階段です。

5. 色の錯視・明るさの錯視**

**ハーマングリッド錯視:** 黒い正方形が並んだ格子の中で、白い交点にぼんやりとした灰色の点が見える錯視です。

**チェッカーシャドウ錯視:** 影の中にあるマス目と、影の外にあるマス目が同じ色なのに違う色に見える錯視です。

6.運動錯視**

**蛇の回転:**静止画なのに、まるで蛇が回転しているかのように見える錯視です。

###錯視であることに気づかない仕組み

私たち錯視であることにすぐに気づかないのは、私たちの脳が外界の情報効率的に処理するための「情報処理の近道」や「無意識の補完」を行っているためです。

1. **情報処理の省略と推測:**私たちの脳は、常に膨大な視覚情報を取り込んでいます。その全てを詳細に分析していては時間がかかりすぎるため、脳は過去経験知識文脈などに基づいて情報を推測し、不足している部分を補完しようとします。錯視は、この「推測」が現実とズレることで生じます。例えば、ポンゾ錯視では、遠近感の cues (手がかり) に基づいて、遠くにあるように見える線は実際には長いものだと脳が自動的判断してしまうため、同じ長さの線でも異なって見えてしまうのです。

2. **恒常性(Constancy)の働き:**私たちの脳には、物の大きさ、形、色などが、見る角度や照明条件が変わっても同じものである認識しようとする「恒常性」という働きがあります。例えば、離れたところにある自動車も、近くにある自動車も、網膜に映る大きさは異なりますが、脳は同じ大きさの自動車である認識します。錯視の中には、この恒常性の働きが、図形の文脈によって誤作動を起こすことで生じるものがあります

3. **視覚曖昧性の解消:**私たちの目に映る網膜像は二次元の平面像ですが、脳はそこから三次元空間を再構築しようとします。このとき二次元像には複数三次元解釈可能である場合があります。脳は最もらしい解釈を選び出すため、例えば不可能図形のように、実際には存在しない形であっても、特定視点からは立体的に見えてしまうことがあります。これは、脳が二次元の図形を三次元で「あり得る形」として解釈しようとするためです。

4. **脳の神経細胞特性:**運動錯視などは、脳の視覚野にある特定神経細胞活動パターンや、処理速度の違いによって生じることが示唆されています。例えば、「蛇の回転」のような錯視は、輝度(明るさ)のコントラストが異なる部分の脳内処理速度に差があるため、静止画にもかかわらず、その差が連続的な動きとして知覚されると考えられています

このように、錯視私たち視覚システムが、複雑な外界を効率的かつ合理的解釈しようとする過程で生じる、一種の「バグ」のようなものです。しかし、それは決して不完全なシステム意味するのではなく、むしろ外界を迅速かつ適切に認識するための、脳の高度な情報処理能力の表れとも言えるでしょう。私たち錯視体験することで、いかに脳が世界を「解釈」しているかを知ることができます

Permalink |記事への反応(0) | 19:19

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