
はてなキーワード:航行とは
そう聞いたとき、私は正直ぎょっとした。
私にとって論文とは、大学四年の冬に締切と戦いながら泣きそうになって書いたあの苦行の象徴だった。ワードがフリーズし、参考文献のフォーマットに何度も泣かされた。
ゼミの指導教には「増田君の考察はどこにあるの?」と詰められた記憶が今でもトラウマになっている。だからこそ「論文を書くのは楽しいぞ」と笑顔で言い切る知人には半ば呆れながらも残りの半分は感心した。
たとえば中上健次の小説を読み解きながら、その語りのリズムを身体の記憶として分析する。あるいはボルヘスやカフカを引用しながら、「言葉という迷宮」の中に潜り込む。
いわば、学問のフォーマットを借りた創作だ。彼のノートPCにはMendeleyで管理された文献リストが整然と並び、PDFの余白にはびっしりとコメントが書き込まれていた。
引用規則(APA第7版)を完璧に守りながらも内容は完全に趣味。その姿勢が実に格好よかった。
正直少しだけ惹かれた。そしてこの歳になると、少しだけ心を動かされるのは、それだけでも大ごとであると認識にするには十分な出来事だった。
先日になって思い立った。俺も久しぶりに書いてみるかと。
テーマは「ゲームとSFの相似について(仮)」にしようと思っている。
これは兼ねてから私が疑問に感じていたことであり、同時にゲームとSFを愛するが故に気付いた類似点でもあり、概要はこのようなものだ。
SF(サイエンス・フィクション)は、時代とともに未知の場所を変えてきた文学である。
1950年代。宇宙開発の黎明期、アシモフやクラークに代表される黄金期のSF作家たちは未知の惑星や異星文明を、理性と科学の力で征服できる対象として描いた。
宇宙船は拡張の象徴であり、人間の叡智は宇宙の限界を超えると信じられていた。
だが月に人が降り立ち、テクノロジーが現実のものとなるとSFの「未知」は急速に萎んでいった。
未知が科学で説明できるようになったとき、物語が頼るべき“遠く”は消えたのだ。
1970年代。ニューウェーブSFが登場する。J・G・バラードやフィリップ・K・ディック、スタニスワフ・レムらが描いたのはもはや銀河の彼方ではなく、人間の記憶。感情。夢。そして現実そのものの不確かさだった。
宇宙は外にではなく、内に広がっていた。こうしてSFは「科学の物語」から「意識の物語」へと変貌する。
80年代、ファミコン黎明期のゲームは“ルールと制約”の世界だった。プレイヤーはピクセルで描かれた小さな空間を右へ進み、敵を倒してスコアを競う。世界は狭いが、明確だった。
90年代以降、3D技術の進化とともにゲームは広がり『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『GTA』、『Skyrim』のようにプレイヤーが自由に世界を歩き回る「外的探求」の時代が到来する。
当時の開発者たちにとって、”より広く”そして”より遠くへ”という命題は、まさにSF黄金期の“外宇宙志向”と同義だったのではないか。
この“虚無の自由”は、SFが外宇宙の飽和を経験したときとまったく同じ現象である。
そこで新しい方向を示したのが、『DEATH STRANDING』『UNDERTALE』『The Last of Us』『NieR:Automata』といった作品群だった。
これらの作品は、プレイヤーに“何をするか”ではなく、“なぜそれをするのか”を問いかける。
それはまさしく、ニューウェーブSFが宇宙船を捨て、人間の心を航行し始めたのと同じ転換である。
かつてのSFが“内宇宙”という新しい宇宙を見つけたように、現代のゲームは広大なオープンワールドから本質的な面白さを求められる時代へと転回するべきではないのか。
そこではマップの広さよりも、プレイヤーの罪悪感、葛藤、共感といった感情の深さが物語を駆動する。
『Outer Wilds』のように記憶と観測の関係をプレイヤー自身に体験させる作品もあれば、『Disco Elysium』のように思考や信念そのものをステータス化する試みもある。
こうした潮流はゲームが単なる娯楽装置を越え、プレイヤー自身を観測対象とする“装置としての物語”になりつつあることを示している。
本稿では、SFの歴史における「外→内」の転換を参照軸とし、ゲームにおける自由・物語・主体性の変化を考察する。
その上でプレイヤーがいかにして“観測者=創作者”へと変容していくのかを明らかにしたい。
ゲームとは、かつてのSFがそうであったように、人間が“自分という宇宙”を探索するための新たなメディアなのではないか――
そうした仮説のもとに、ここから筆を進めていきたい。
俺が生まれた頃から村を略奪している46人の盗賊ども(以下、乃木坂)の跡をつけた結果、「開けゴマ」と叫んで開く、乃木坂のアジトを発見した。中には金銀財宝、女ども。乃木坂首領の男(犬のFidoと呼ぼう)は時々村で変装しているのを見かける。
Fidoは「立派な(展示標本になる、くらいの意味だ。この手の人間は自己を特別視したがるので、”典型的な”、と形容されるとさぞ尻が痒く感じるはずだ)」自己愛性人格障害をもつとおれは第六感で睨んでいるが、その典型的行動パターンとして、自己愛のエサとなる村人を漁っているのだろう。
5, 6年前、おれが遣唐使として派遣先の大陸で学士号をとった頃、Fidoがおれのお守り役の組織に電磁的に侵入して情報操作を展開していることに気づいた。情報操作とは、昔から乃木坂のやつらが村で行っていることだ。盗んだカネをチラつかせてアタマの弱い村人を買収し、標的にしたい人間の有る事無い事吹き込んで、「派閥(これは乃木坂の盗員には舌なめずりしたくなる単語らしい)」を構成、拡大する。いわば、指ひとつで自在に動かせる使い捨ての傀儡だ。もちろん、たっぷり握らせる。
そこでおれは、ピッツァを注文することにした。なにしろ、おれはそれまで本国のピザ職人の本など熱心に読んでいたので、ピザというのは電話一本で注文できるものだと知っていたからだ。派遣先のドミナントピザ、海を渡ったはるか彼方のピザホット、等々、海外通話料を気にせず片手ほどの国ABCDEのピザ屋に電話をかけた。
すなわち、まず酔っ払っていい気分になる。舌をほぐす準備運動だ。次にフリーダイヤルのお客様相談センターにかける。「もしもし、お宅の製造販売するピザにネズミの死骸が混ざっていますよ。購入先はXYZ、購入日は99/99/99。新しいのと交換してください。」
で、おれは当時、仮想通貨ButcoinのコミュニティでFidoに文句を言い続けていたので(取引したことはないが)、やつに「ホームページに載っている、”モッツァレラチーズが1.5倍、トッピングも増量!贅沢な味わいをお楽しみ下さい!”というピザ頼んだぞ。届くのが楽しみだな。」と言ってやった。
しばらくすると、Fidoが泡をくって糸電話をかけてきて、「今日道端で異国の不動産屋の営業に声をかけられた。どうしてくれるんだ!」など言ってくる。おいお前、盗賊団乃木坂の首領だろ、自分でなんとかしろ、と思ったが言わない。
実は、おれはイギリスのコメディの秘かなファンで、Monty Python、Mr Bean、The Office、The Extrasなど字幕が付いているものは(それでも弾丸トークだし訳語が思い浮かばないと大変だ)、遣唐使の選にもれ燻っていた時によく視聴したものだ。
その中で、コックピットで機長が他のクルーと会話して悪ノリする設定のコントがあった。
というのを思い出して、Fidoを散々からかうことにした。もちろん、動機は良心的な市民の義務感からだ。
おれはその後、酔っ払ってはピザ屋のSNSを見ることにしていたが、妙なことに気づいて、だんだん恐ろしくなってきた。電話したピザ屋の一つは、暗殺の伝統の有名な国に存在する。この後おれは色々おもしろい行動をしたのだが、ここでは本筋でないので割愛させてもらう。
さて、そうこうするうちに、Fidoが殺し屋を雇っておれを派遣先でつけ狙っているらしいことに気づかされた。ピザ屋の広告で知ったのだ。
これは実に危ないところで難を逃れたのだが、おれは遣唐使としての役割を終え、帰国することにした。
国際ピザシンジケートが常時Fidoを監視しているし、今後もずっとそうだ。今やそれらピザ屋も祖国に上陸して、盛んに活動している。端緒から、三国鼎立を目指した諸葛孔明の知恵を借りたおれの読みは当たった。一つ誤算だったのは、B国のピザ屋がしつこく営業をかけてくることだが。Fidoには耳打ちをしたのだが、おれの希望に反して、やつは国賊となることを選んだ。
話はまだまだ続く
わたしは「方舟」の室内を設計する部門にいる平社員。自動車や宇宙船などと比べるとタイムマシンの中は殺風景だが、それでも室内の設計は専門の部門が必要なのである。
1年ほど前に課で1人欠員状態になっていたのだが、補充がないために仕事量が増えたメンバーが鬱病で休んでしまって2人欠員になっていた。たかだか10年のサラリーマン歴で偉そうなことは言えないが、一般的に「人が足りない」というと、ほとんどの場合は実務をこなせる人が不足していることを指すはずだ。「管理職が足りないせいでみんな好き勝手に仕事をしたり仕事をしなかったりするのでまったくビジネスにならない!早く管理職を~!」と悲鳴をあげる現場がございましたらご教示いただければ大変助かります。
2人欠員だとさすがにまずいと思ったのか、1人だけ中途入社の人がやってきて、1人程度の欠員は平時であると人財部が認識していることを理解したが、それでも少しは楽になると思った。
トレーナーとしてわたしが任命され、初日に顔合わせをした。若い人が来るのかなと思ったら、わたしより10歳くらいは歳上に見えた。そして苗字持ちだった。良家の出身だろうけれども、本人いわく、とくに鈴木などの苗字の場合は、いいところでなくてもつく場合があるとのことだった。むかし苗字を廃止したとき、戸籍上の記載が同姓同名で郵便番号も同じ場合、電話番号がいちばん若い者の苗字のみが削除されたらしい。名字が消されなかった人たちも、育ちがよく見えていいからと削除依頼は出さず、そのまま代々名乗り続けているという事例が少なからずあるらしい。たしかに彼の苗字は、かつてランキング1位だった「鈴木」なので、削除しきれなかったというのは信憑性がなくはない。
最初にいまの方舟の仕事がどんなものか説明しようとしたのだが、先に、「わたしは前職で自動車の室内の設計部門で10人ほどを束ねておりました。方舟の室内は自動車と比べるとかなり狭いですが、その構造から疑ってかかりたいと思います」などと不穏な意気込みを開陳された。人の話を聞かないタイプなのだなと理解した。
抱負と現業の乖離についてはおいおい弊社の業務を理解していただくとして、「束ね」るのは勘弁してほしい。管理職であったことをアピールするにしても、せめて「リーディングをしておりました」などと言えばいいのに、支配欲を漂わせてくるのが怖い。これからはゆめゆめ「束ね」ることなかれと思ったが、その期待も虚しく、早々に課長とメンバーの間に立ち、係長のようなポジションでメンバーに指示をするようになったのだった。
数年後の方舟はどうなるかわからないが、今の民生用の方舟は航続時間を伸ばすことが第一で、今なら20年遡るのがせいぜい。街の人の服装が少し古い気がする程度の差しか感じられず、富裕層の興味本位の買い物にすぎない。数回乗って飽きられた方舟がネットオークションで売られていることはご存知の通り。念のため言っておくとメンテナンスが不十分なまま乗ると元の時代に帰ってこられない。中古で買うにしても正規販売店で買わないと文字通り命がけになるので検討中の方は気をつけてほしい。それはともかく、たとえば100年遡れるとしたら、1990年まで行け、つまり日本がまだ経済大国だったころを体感できる。海外旅行に行くよりも魅力を感じてくれる人も増えるだろう。コックピットを狭くしてでも航続時間を伸ばしたいのだが、鈴木さんは自動車の室内設計の経験しかない。課長から、部の事業計画書が送られてきて、次年度に舟は2タイプ作りますと書き添えてあったが、すかさず鈴木さんが、「承知しました! >みなさん 他社と差別化できるようなラグジュアリーな舟を作っていきましょう」と返事を寄越してきた。
鈴木さんは案の定、課長からアサインされた要件作成のタスクに、どこかの自動車の内装の写真を貼りつけて、「ゆったりしたイメージで」とだけ書き、それを要件として若手社員に「よろしく」と送ったのだった。
そもそも課長は、席数を増やして一便あたりの利益が増えるようにしたいと言っていたのだったが、ゆったりしていたらどこの航空会社にも採用してもらえないかもしれない。
空気を読んだ若手社員が、開発部門と調整して、概念実証もひとりで行い、航行装置ギリギリまで内装に使えるようにし、ゆったりしつつ、席数も従来より増やすことができた。それでも元の案から1平方メートル増えた程度でしかなく、鈴木さんにとってラグジュアリーとはいえず不満のようだったが、わずかなスペースを確保するのに若手社員に勝手に指示を出して2人/月を使ったのである。そして、わずかに増えた隅のスペースにゴミ箱を設置させた。乗船している時間はたかだか30分。常にベルト着用で飲食禁止で鼻紙くらいしかゴミは出ないので実質的には使い道はない。あったらあったで搭乗するごとに爆発物などが仕掛けられていないか確認せねばならず、運用のタスクも増える。
鈴木さんは「入社したばかりなのでこの程度しかできなくて申し訳ありません」と課長に言っていた。謙遜のつもりで言ったようだが課長からはありがとうございますの一言しかなかった。真意はわからないが、わたしが支払いのミスをリカバリーして取引先に2ヶ月遅れで入金する処理を終えたことを報告したときの「ありがとうございます」と同じトーンに聞こえた。すでに鈴木さんが来たあとの4半期で課のメンバーの残業時間は有意といえるほどに増えていて、職場診断の結果も大きく下がっていた。欠員2人の状態でもともと低かったが、1人増えたのに職場診断の結果が悪くなっているので課長も頭を抱えていたに違いない。
鈴木さん、どこかに行ってくれないかな、寄せ書きくらいはしてあげるよと思っていたら、あっけない幕切れがやってきた。
報道用に先行リリースされた方舟で重大事故が起きてしまったのである。例の拡張して作ったゴミ箱が原因だった。客席は無人だったので被害者はいなかったが、ゴミ箱が振動で外れて座席に突き刺さったのである。発表から3ヶ月後に出荷開始の予定だったが、事故が報道されてしまって、しばらく延期となった。鈴木さんはナントカ支援室みたいなところに異動になって、しばらくすると社員検索にも出てこなくなった。
ゴミ箱は撤去され、重量が変わると運行許可を再取得したりして面倒なので、代わりに金属製の神棚がボルトで厳重に固定することにした。神頼みのためにスペースを取ることについて、海外から驚きの声があったと聞くが、真相はお話しした通りである。
みなさんも不思議な神棚のある乗り物を見たときは、「ああ、実務ができる人に来てほしかったのに命令する人が来ちゃったのか」と思って憐れんでくれたらうれしい。
アマテは、学校にジュニアMSやホモアビスの大会の「準」優勝者が現れるなどして、「移動の自由」を両親から奪われ、焼け太りするサイド6の役人になるレールが敷かれてきたことを悟るエピソードがなければならなかった。
アマテが、機能安全に頼るコロニーの脆弱さに我慢がならない自分に気づくこと、そうした危険が「自由であること」と釣り合うように選べなければならない……と感じている自分に気づくことが、ニャアンとの出会いをもたらすのでなければならなかった。
ニャアンは、「ブツの運び屋」だけでなく、中古MS整備工場での下働きにより、整備士としての技能を身に着けようと必死でなければならず、それはシュウジの赤いガンダムを整備するためでなければならなかった。
アマテは整備の重要性を知らないまま、「エース気取り」であることをニャアンに非難されなければならず、実際にカネバンの整備不良で酷い目に遭わなければならなかった。そしてその結果、ニャアンがジークアクスと赤いガンダムの両方を整備するようになる……のでなければいけなかった。
航続距離の長い船……特に大気圏降下能力のある船が、民間で入手できてはならないため、二人の入手目標は(とりあえず)バンチ間を移動できる程度のボロ船でなければならなかった。それもネットで買えてはならず、入手寸前までいったのはニャアンの尽力(移民人脈)によるのでなければならなかった。
アマテの中で膨れ上がる「外」への飢えが、ニャアンだけでなく、エグザベ、シャリア、ソドンのクルー等との会話に現れていなければならなかった。(出身コロニーや木星について質問攻めにするなど)
アマテはかなり早い時点でシャリアに出会っていなければならず、その際に正体を看過していなければならなかった。(シャリア・ブルは非公表かもしれないが有名人ではあるはず)
超大型可変MSは、NTでも強化人間でもない優秀な搭乗員(複数名)によって運用されなければならず、キシリアへ迫る脅威に緩む要素がないことを見せなければならなかった。
シャリア・ブルのキケロガは、超大型可変MSに対しコロニー内で活躍してはならず、これによりジークアクスに示唆や助言を与えねばならず、ソドンは自力航行できなくなるほど痛めつけられねばならなかった。(キケロガで牽引するなどしてコロニー内から退場)
超大型可変MSは、単騎で多数の砲門を有すために投入されたこと、しかし個々の砲門の火力は制限されていることを、明瞭にしなければならなかった。そして、ジークアクス&赤いガンダムによってキシリアから引き離され、劣勢となった時点で、コクピット(頭部)を分離し、コロニーの壁に(別動隊の爆破工作で)空けた小穴から脱出するなどして、正規部隊の丁寧な作戦であったことを見せなければならなかった。
この戦闘の結果、シャリア・ブルの評価は下がらなければならず、それにより、若い世代である三人の活躍を引き立てなければならなかった。
ゼクノバをはじめとする地球~月圏に脅威が迫るレベルの超自然的諸エピソードは、アマテやニャアンの力が及ぶスケールと合わず、無理に絡ませると不自然になるから、入れるべきではなかった。
シャアの再登場エピソードは、シュウジの出自や(それまでの)行動の理由を明らかにするものでなければならず、同時にシャリア・ブルを失望させるものでなければならかった。
ララアが洞察力のせいで自ら動かない選択をしているのであっても、アマテは否定する姿勢を見せなければならず、またその結果としてジークアクスを降り、ニャアンと共にいることを選ぶ結末でなければならなかった。
李舜臣(イ・スンシン)の水軍が豊臣秀吉の水軍(主に九州や西日本の諸大名による水軍)を破った理由は、以下のような作戦上の優位性と戦略的判断によるものです。
⸻
李舜臣は朝鮮南部のリアス式海岸や多島海の複雑な地形を熟知しており、狭い海峡や浅瀬を巧みに利用しました。日本の大型船が動きにくい海域に誘導し、機動力の高い朝鮮水軍の得意な戦いに持ち込みました。
⸻
✅ 2. 亀甲船(コブクソン)の活用
朝鮮水軍は装甲された亀甲船(鉄板や木で覆われ、敵の矢や火に強い)を運用しました。これは当時の日本水軍の主力である登り船(のぼりぶね)や大型輸送船に対して非常に有利でした。
⸻
李舜臣は、火砲(火矢・大砲)による遠距離戦法を重視しました。日本水軍は白兵戦(乗り移っての戦い)に長けていましたが、それをさせずに船を沈めたり炎上させる戦法で多くの損害を与えました。
⸻
例えば:
• **閑山島海戦(1592年)**では、日本側が油断していたところを奇襲。
• **鳴梁海戦(1597年)**ではわずか13隻の兵力で日本の約300隻の艦隊を撃退(奇跡的な戦術)。
⸻
李舜臣は指揮官として極めて優秀で、兵士たちからの信頼も厚く、統率のとれた水軍運用を実現していました。兵の士気が高く、緻密な訓練もなされていたとされています。
⸻
豊臣秀吉の軍は主に陸戦主体で、水軍の質・連携では朝鮮側に劣りました。水軍間の連携不足や海戦経験の少なさも、敗因につながりました。
⸻
🏁結論
李舜臣の勝因は、地の利・優れた艦船・戦術の選択・兵の士気・相手の弱点を突く指揮能力にあります。彼の戦法は、当時の東アジアの海戦において非常に革新的で、世界的にも高く評価されています。
⸻
以下の戦術図を使って、鳴梁海戦と閑山島海戦で李舜臣がどのように戦術的に地形・敵を活かしたかを詳しく解説します。
⸻
• **戦術図(左上)**では、朝鮮艦隊がU字型の「鶴翼陣(hakikjin)」を展開。
•日本艦が捨て船に誘われて鶴翼陣の中心部へ誘導されると、左右から包囲。
•中央に配された**亀甲船(コブクソン)**が火砲を集中発射し、日本艦を破壊  。
2. U字型で包囲・側面射撃。
⸻
• **戦術図(右下)**では、幅約300mの狭い鳴梁海峡を舞台にした戦術。
•日本艦約330隻が潮に押され狭所に突入すると、航行が乱れ、接舷を狙う前に混乱。
•朝鮮軍は一列配置で火砲と矢を放ち、一隻ずつ沈めていきました 。
1. 狭水道+強潮流を「天然の防壁」に。
2. 敵を一点突破させ、流れで混乱・衝突誘発。
⸻
陣形 U字「鶴翼陣」 一列「長蛇陣」
⸻
🎯 なぜ有効だったのか?
•地理と潮流の徹底活用:どちらの海域も李舜臣と朝鮮軍が熟知し、敵は盲目的に罠へ誘導された。
•陣形による戦力の最大化:少数艦でも高い火力を広い範囲へ展開。
•兵器の特性を戦術に反映:亀甲船とパノクソンという砲艇戦優位の艦種を最も効果的に使える配置。
• 敵戦術の無効化:日本の白兵戦志向を砲撃戦で封じ、敵の強みをそぎ落とした。
⸻
🧭結論
戦術図を見ると、李舜臣は地の利・地形・潮流・兵器性能を完全に掌握し、それらを誘導と配置という戦術に落とし込みました。形が異なる2つの海戦ではありますが、根底にある哲学は一貫しており、これこそが李舜臣の戦術的卓越性を示しています。
とすると困るのがスペースコロニー内から見た「恵方」はどっち向き?」という話
一律で地球の方を向くようになるかも
そもそも今現代で恵方ってどうやって決まっている?ふむふむ、十干で決まると
鳥居、すなわち神道 神道で十干(由来の方角)の概念は使用される?これは後で調べる
コロニー内に東西南北が設定されるかもしれない、その方向を向くというケースもありえる
何かの作中(notジークアクス、コロニーが登場するような全てのSF作品)でそういう話出ててもおかしくないな
そういえばコロニーとは関係ないが『天冥の標』のメニーメニーシープ世界でコンパス、東西南北の概念って登場していたっけな、再読して探してみるか
あるいは、スペースコロニー世界では方角に依存する伝統行事はすぐ廃れる、これもありそう
恵方以外の方角依存行事ってなんかあるかと聞かれたら全く思いつかないけれど
疑問はそのまま疑問として保留する
終わりです
歯の被せ物が取れた……
歯医者の予約は来週月曜18時
今晩はマリオカートdirect
---
o3に質問
日本人の集団が宇宙のスペースコロニーに集団移民したときのことを考える。
住環境の差により、維持できる伝統文化と維持できない伝統文化がある気がする、それを考えたい。
③:①と②を照らし合わせてどれが維持できてどれが廃れるかを推測したい。
一つ目の質問の返答は省略
## 主回答(要約)
- 例:回転軸を「天(北)」、外壁方向を「地(南)」、回転方向を「東西」など。
-モジュール設計や避難経路、農業区画の照射制御などで絶対に座標系が必要になる。
- 今年の恵方を「太陽方向から見て時計回り○°」のように規格化し、AR アプリが示す──といった実装が考えられる。
- 「方位がわかりにくいから」というより、**習俗の軽重・嗜好**が存続を左右する要因として大きい。
---
## 背景解説
- 元来の恵方は **陰陽道・九星術**の流れで、*磁北*ではなく **都(天子)を基準とした干支方位**を用いる。
- 4 年毎に (甲・己) = 東北東、(乙・庚) = 西南西…という **4 方向+2 斜方向**のローテーション。
- したがって **地球磁場がなくても「座標と暦」があれば成立**する習俗である。
### 2. スペースコロニーでの方位体系
コロニー構造要素 方位の決め方の一例 文化転用の可能性 --- --- --- 回転軸(中心軸) 「北‐南」軸(天‐地) 神棚・寺社の“正面”基準 回転方向 「東西」 日常会話に残る可能性(例:E3 ブロック) 定点窓(地球・太陽) “艮(うしとら)※”など象意方位に対応 恵方/節供の参拝方向
シナリオ 内容 継続可否 --- --- --- **公式方位規格化** コロニー建設時に「艮=地球指向窓」と定義、カレンダーアプリに恵方を配信 **維持しやすい** **AR・XR依存型** スマートグラスが“今年の恵方はこちら→”と矢印表示 **維持しやすいが技術依存** **象徴置換型** 「恵方=コミュニティ広場中央の祭壇を向く」と再設定 **変質しつつ生存** **廃絶・別儀礼化** 食風習としては残るが方位要素は消滅 **廃れる可能性大**(やや弱い)
- 恵方巻は **1990 年代以降、主にコンビニ販促で全国化**した比較的新しい慣習。
- 盆・正月と比べると **「なくてもアイデンティティが揺らぎにくい」**行事に分類されがち。
- 新環境では **食材リソースの制約・住民の世代交代**が早く、商業的後押しが弱いと廃絶しやすい。
### 5. 結論の整理
1. **方位概念そのものはコロニー運用上必須**なので、文化的に再定義できる。
2. **恵方巻が残るかどうかは住民の文化選好次第**。方位を理由に消えるわけではないが、必須行事でもないため衰退リスクは中程度以上。
3. **存続を望むなら**:建設初期に「コロニー方位―干支方位対応表」を明確化し、教育・カレンダーに組み込むことが鍵となる。
## 主回答(要約)
-宇宙飛行士向けにすでに実務ガイドラインが存在し、**「可能な限り Kaaba → Kaaba の地表投影点 → 地球中心 → 任意方向」の優先順位**が定められている。citeturn0search0turn0search3
- **方位そのものは人工的に定義できる**ため、日本の恵方巻よりも依存リスクは小さい。コロニーの姿勢(姿勢制御データ)と時刻を使えば Qiblaベクトルは常時計算可能。
- **存続可能性は極めて高い**。宗教的義務であるため、技術・制度が優先的に整備されると見込まれる。
---
## 背景解説
- Qibla は (1) Kaaba 直接、(2) Kaaba の地表投影、(3) 地球、(4) どこでも――の順で努力義務を課す。citeturn0search0turn0search3
- 実際にISS で礼拝を行った飛行士は、**地球(あるいは Kaaba投影点)を向く**ようストラップで体を固定し、軌道変化は「ズレ 40–45 ° まで許容」するファトワも。citeturn1search6
- 祈りの時刻は「打ち上げ地点の24 時間制」を採用する等、**時間と向き双方に代替ルール**が設けられた。citeturn0search0
コロニー位置 視認性 実装例 継続可否 -------------- -------- -------- ----------- **地球低軌道(LEO)** 地球全面が視野 ISS と同じガイドライン+リアルタイム Qiblaコンパス **容易** **ラグランジュ点(L1/L2・L4/L5)** 地球は一点光 慣性姿勢+高精度星図でベクトル演算、ARディスプレイ **容易** **月面/月軌道** 地球が常時見える(表側) 「地球中心=Qibla」方式が既に複数ファトワで容認。citeturn1search0 **容易** **火星・深宇宙** 地球は星状 航法コンピュータで三角測量し、「最善の見当」で可とする汎用ファトワあり。citeturn1search1 **中程度だが維持可能** > **核心**:イスラム法は「*istiqbal al‑qibla bi‑maistataʿa*(可能な限りキブラを向く)」という原理を持つため、**技術的に到達不能な状況でも義務は免除されず、代替措置が許容**される。
1. **Qiblaナビゲータ**
-姿勢センサー+時刻+軌道要素からリアルタイムで“矢印”をAR ゴーグルに投影。
-コロニー設計時に「Qibla 壁」を持つ多目的祈祷室を設定し、自動追尾床パネルで向きを補正。
- OIC(イスラム協力機構)や各国 Mufti機関が、**コロニー別標準暦・Qiblaテーブル**を発行。
-電子機器不調時のために、星表と簡易アナログチャートを備え、「地球視半径 X°以上→地球中心」などの判定フローを掲示。
- **宗教的必須条件**であり、コロニー人口にムスリムが一定割合存在すれば **恵方巻より優先度が高い**。
- 失われるシナリオはほぼ「ムスリム人口ゼロ化」か「信仰離脱」のケースに限られる。
- よって **文化持続性:極めて強**。
---
### まとめ
遠宇宙から礼拝する時、礼拝姿勢はどのようなものになるだろうか。
### 主回答(要約)
- **深宇宙でも礼拝姿勢(立ち → 屈 → 跪 → 額を地に付ける〈スジュード〉)は「可能な限り実施し、無理なら簡略化」が公式ガイドライン**。
- ISS など既存のファトワは **「立てない/方向が急変する/床がない」場合は ―**
1. 頭・上体だけで縮小ジェスチャーを行う、
2. それも出来なければ心中で動作を“意想”する――と段階的に許容している。citeturn0search0turn0search1
- **地面と平行の“水平投影”に向く**のが地上と同等の実務。(地球でも Qibla はしばしば地下方向だが、水平に向く。)
- 床がない/人工 Gゼロなら、ハーネスや座席で体を固定し**ベクトルに体軸を合わせ、頭だけ屈伸**する案が既に承認済み。citeturn0search5turn0search9
---
## 詳細解説
シナリオ 重力環境 キブラ方向が… 公式・推定姿勢 ---------- --------- --------------- ---------------- **① 人工 G 床あり(回転式船・惑星基地)** 1 G (下方向) 床下 0–90° ・床と水平の投影線を向き、通常の立‑屈‑跪‑スジュード。
・方向が真下でも可(地上と同じ扱い)。天井側 0–90° ・やはり水平投影線を向く。
・必要なら上体をわずかに仰ぐが必須ではない。**② 微小 G・無重力(慣性航行中)** ~0 G 任意 ・ハーネス等で体を固定し、**立つ⇢Rukūʿ⇢Sujūdを頭と膝の屈伸だけで表現**。
・ISSファトワが「頭だけでOK」「意想のみでも可」と明記。citeturn0search0turn0search1**③ 緊急・無設備** 0 G 判定不能 ・方向簡略→任意方向。
・姿勢簡略→座位・頭部ジェスチャーまたは意想のみ。1. **マレーシア JAKIM『Guidelines for Performing Ibadahat theISS』(2007)**
- *“If the astronautis unable to stand, hemaypray sitting; if unable to bow and prostrate, hemay indicatewith the head; ifstill unable, hemaypray withhisheart.”*citeturn0search9
2. **学際検討(Harvard RPL 事例、2024)**
-無重力では “appropriate motionswith the head, or simply imagine” が許容される。citeturn0search0
- 足をストラップで固定し、頭だけでスジュードを示したと回想。citeturn0search1
### 2 “地下向き”Qibla はすでに地上で経験済み
**水平面への射影**で礼拝するのが通例。
時代・状況 簡略措置 ------------ ---------- **預言者時代:ラクダでの旅礼** 進行方向をキブラ代替、体を降ろさず頭で屈伸。 **海上航行(中世)** 船首をキブラ近似、荒天時は座位祈礼。 **航空機内(現代)** 座席で頭ジェスチャー、公認フィクフ多数。 **ISS(2007–)** ハーネス固定+頭・目線ジェスチャー、または意想のみ。 > **結論的推論**:イスラム法は旅行・危急時の簡略(*rukhsah*)を豊富に認めてきた。
> 深宇宙は“長期旅行”に分類でき、**既存の縮小礼・目礼・心念礼がそのまま拡張適用**できる。
### 4 今後の公式見解の見通し
- 既にISS 用で整えた四段階原則(方向・時刻・姿勢)が **モジュール化されており、距離要素だけ更新すれば済む**。
---
## まとめ
1. **礼拝姿勢の原則**は深宇宙でも不変だが、**「能力に応じた簡略化」**を前提に法学的余地が確立済み。
2. **床がある環境**では、キブラが床下/天井方向でも **水平投影を向いて通常フォーム**で祈れる。
なるほどなあ、ありがとな、o3
宇宙人が地球を侵略するとしたら知覚される前に洗脳して違和感なく普通に地球で暮らすよな。地元ピープルは希少動物だから、その社会ごと影響を与えずに残したいだろうし。
何光年も航行できる技術力があるなら資源なんて要らないだろうし、地球に破壊的な行為はしない。
でも流石に天文学のレーダーとかには写っちゃったり、洗脳が緩んだり、陰謀論者の「こいつ宇宙人だ!」ってたわごとが偶然直撃するかもしれない。そしたら意外と正直に謝罪するかも。
だって洗脳という社会的に強力な武器があって圧倒的に優位だし、相手が反乱を起こすとは考えないだろうし。多頭飼いオーナーの気持ちかな。
人間に偽装した宇宙人の見分け方、わざと作るかも。人間同士の疑心暗鬼を避けたいから。人間にはあんまりない特徴にするかも?
異世界転生の文脈で「エルフ」とか出てきたら先輩転生者の匂いがするよな。元々はクリック音を交えた発音記号で表しにくすぎる読みの種族だったが、異世界の先の時間軸に転生した先達によって分かりやすい名前を公布された。そいつは異世界を征服してそう。
魔法って我々のよく知っている世界の外の系からエネルギーを取ってきている、ということも十分ありえる。その系は魔界と呼ばれてもいいし、そこの住人と契約しておこぼれをもらうことになるだろう。対価は寿命?貸借の信用としての古い約束や、それを思い起こす祭事?その人に刻まれた魔界に関する履歴≒人脈≒信用?
バグどもに機関銃で左から撃たれた。数発の弾が俺のパワードスーツの装甲を紙のように貫いて、左太腿外側から内側に向かって抜けた。
もちろん痛みなど感じない。俺はすぐさま左腕の機関銃で俺を撃ったバグどもを薙ぎ払った。バグどもはわかりやすい。弾が当たればすぐに死ぬ。
俺はというと、全身に仕込まれたナノマシンが貫通銃創など一瞬で修復する。お偉方に言わせれば、人命は何よりも尊いのでなまじっかなことでは死なないようにするのが近代的な軍隊の義務なのだそうだ。ありがたいこった。偉い人は実際に撃たれたことなどないと思うが。
植民星惑星テセウスがバグどもに占領されてから半年、ろくな軍備もなかった植民星に地球から軍隊が送り込まれ反攻作戦が開始されている。俺は都市のひとつを奪還する大隊のうち第15小隊の一員というわけだ。第15小隊には12人いるのだが、すでに4人ほどやられたようでマーカーが消えている。
前方に現れたバグどもに機関銃の掃射を浴びせている間、右から現れたバグが超振動ブレードになった腕の鎌で俺の右腕をぶった切りやがった。前方のやつらを撃ちながら、右腰に装備されたニードルガンで俺の腕を斬ったバグをふきとばす。奴らときたら、生物のくせに腕が超振動ブレードになっていたり口から機関銃のように弾丸が撃てたり、あげくの果てに「船」のような巨大生物で恒星間航行まで行っているのだから驚くが、科学自体は俺たちに比べればだいぶ遅れている。だからパワードスーツを着込んだ歩兵一人がこうして何体ものバグを相手にできるわけだが、その分やつらの方が数が多いのだから同じことだ。だいたい、こんな植民星の都市ひとつ、空爆か何かで壊滅させてしまえばよいと思うのだが、お偉方にしてみれば、長年かけて作り上げた都市は惜しいらしい。だからこうして生身の人間が掃討に当たっているわけだ。人命尊重どこいった。
前方のやつらも黙らせたので、切り落とされた右腕をくっつける。たちまちくっつく。俺の体だけでなくパワードスーツにもナノマシンが仕込まれていて、生身の腕だけでなく、パワードスーツも元通りだ。パワードスーツのナノマシンは背中のコントローラによるトップダウン制御で動いているので、それが壊されるとまずいことになるが。ちなみに俺の体のナノマシンはボトムアップ制御なので、どこが壊されても、全身に分散保持された記録をもとに、元の体を修復する。
右腕がくっついた気の緩みを突かれた。今度はブラスターで撃たれて、俺の左足の膝から下が蒸発した。「材料」がなくなってはさすがのナノマシンも修復はできないが、こんな時に備えて背中のタンクには、水炭素アンモニア石灰リン塩分硝石イオウフッ素鉄ケイ素その他少量の15の元素が蓄えられており、失った分はそれを材料に復元する。人間ってのはお安くできてんのな。
パワードスーツ修復の材料も別のタンクにあるのだが、体に比べ、修復が多少遅れたようだ。一瞬生身の左足でパワードスーツを含む全重量を支えることになり、よろけた俺の視界に入ったのは、バグどもの乗ったリフターだった。リフターの大型ブラスターが俺を
右肩のキャノン砲で即座に応戦したため相打ちになったらしい。バグどものリフターは墜落している。こちらはというと、ログによれば、胸のあたりから頭一帯がきれいに蒸発し、その後ナノマシンで修復されたようだ。背中のタンクの材料は使い切られており、それでも材料が足りなかったのだろう、両足が短くなっていて、太ももの途中までしかない。足を犠牲にして頭を復旧したわけだ。パワードスーツもそこまでしかないが、それでも一応機能するような形に整形するのだからえらいもんだ。
とはいえこれでは満足に歩けない。非常用スラスターを使って撤退するしかないだろう。この状況なら上官とて文句は言うまい。
脳のすべてを失って修復された「俺」は果たして「俺」と言えるのか。記憶は確かに撃たれる一瞬前までのものが復元されているが、脳を失った時点で俺は死んでいるのではないか。平時ならそんなことを考えるかもしれないが、戦場ではそんなことを考える余裕はない。第一俺は。
司令部に撤退信号を発信し、背中のスラスターで戦場を離脱する。どうやら今日一日は生き延びることができたようだ。しかし、そのことにどんな意味があるのか。なにしろ第15小隊は全員が「俺」で、ひとりのオリジナルからナノマシンで作り出されたものだ。誰がオリジナルなのかは聞かされていないが、常識的に考えて、おそらくオリジナルの「俺」は本星でぬくぬくとしているのだろう。なるほど確かに人命は尊い。これなら俺たちが全滅しても、誰も死なない。
抑制されているので痛みは感じないが、右目に違和感がある。なんだろうとまばたいたらダイヤモンドが出てきた。ナノマシンが頭を修復するときに、右目のあたりで炭素原子が余ったらしい。それを結晶として排出したのだろう。ボトムアップ制御のナノマシンではたまに起きることだ。昔はこんな結晶に法外な値段が付いたというが、今となっては何の価値もない、ただの炭素の結晶だ。
西暦2425年。人類が火星への最初の入植地を建設してから既に2世紀が経過していた。
人類の火星移住計画は、22世紀初頭の核融合技術の確立によって大きく前進した。2112年、実験用核融合炉を搭載したマーズ・パスファインダー号の成功は、それまでの化学推進に頼った火星探査に終止符を打った。6ヶ月を要した地球-火星間の航行時間は、わずか30日に短縮された。
続く30年間で、極軌道上に建設された補給基地と、ヘラス平原の地下氷を利用した最初の居住モジュールが、火星移住の基盤を築いた。しかし、本格的な入植の始まりは、2167年のアルテミス計画からだった。オリンポス山麓に建設された第一居住区は、直径2キロメートルの実験都市だった。わずか200人の入植者たちが、火星の地に人類の新たな歴史を刻み始めた。
転機となったのは、2210年代に実用化された量子重力エンジンだった。惑星間航行時間は10日程度まで短縮され、大規模な移民が可能になった。同時期に確立された火星軌道上での資材製造技術は、巨大ドーム建設の夢を現実のものとした。
現在、火星の人口は800万人を超え、その大半が巨大ドーム都市で生活している。
今ではオリンポス山麓に建設された第三居住区は、七つの主要ドーム都市の一つだった。直径8キロメートルの半球型ドームの内部には、研究施設や居住区画が同心円状に広がっている。ドームの外殻は、ナノファイバー強化複合材で作られた三重の放射線シールドに守られ、その内側で2万人の人々が暮らしていた。
ドーム内の気圧は地球と同じく1気圧に保たれ、酸素と窒素の比率も地球大気と同様だった。ドーム外の火星大気は、2世紀に及ぶ大気改造計画にもかかわらず、まだ人間が直接呼吸できるレベルには達していない。しかし、気圧は徐々に上昇を続け、現在では180ミリバールまで回復していた。
火星の空は、かつての濃紺から薄い紫がかった青へと変わりつつあった。太陽は地球で見るよりも小さいが、大気中の細かい赤い砂が夕暮れ時に魅惑的な光景を作り出す。オリンポス・ドームの最上階に位置するコナーの研究室からは、果てしなく広がる赤い荒野と、地平線上にそびえる人工のドーム群を見渡すことができた。
- 1 -
この基地が完成してから7年。コナーはその間、火星の地質考古学調査に従事してきた。彼の担当は30万年前以降の比較的新しい地層だった。
基地のモニターに映る火星の地表は、いつもと変わらない赤茶けた風景だった。アカデミア・シティからの自動探査機が送信してくる地形データを、コナーは黙々と分析していた。探査機は永久磁気シールド型核融合炉で駆動し、量子結晶メモリに記録されたデータを定期的に送信してくる。毎秒1000テラバイトの情報が、サブスペース通信網を通じて基地に届く。単調な作業に目が疲れてきた頃、画面の片隅に違和感を覚えた。
ホログラフィック・プロジェクターが起動し、問題の地域の立体モデルが浮かび上がる。体積投影型ディスプレイは、1立方メートルの空間に10の12乗ボクセルの解像度で地形を再現した。一見すると何の変哲もない窪地だが、等高線の配置が妙だった。
新しいデータレイヤーが追加され、地下構造が可視化される。地表から1500メートルの深度で、完全な円環構造が検出された。高分解能スキャンは、その形状が誤差0.002%以下の幾何学的な正確さを持つことを示していた。高さ100メートル、直径3000メートル。自然の浸食過程では決して生まれ得ない精度だった。
今週で3度目の依頼だった。先週は地下水脈の磁気共鳴データ、その前は地殻歪みの偏極解析。どれも彼女の専門からすれば些末な案件だったが、コナーは機会があるごとに彼女の意見を求めていた。
研究室の陽圧制御システムから、微かな空気の流れが聞こえた。隣室の実験区画で作業していたエレーナ・ヴォルコワが視界に入る。火星の0.4Gのもとでも、彼女の動きには無駄が一切なかった。
宇宙空間での長期滞在に適応した新世代の人類の特徴を、彼女は完璧に体現していた。身長170センチの細身の体躯、低重力環境で進化した長めの四肢。火星の磁場分布図が映し出されたHUDバイザーの向こうで、琥珀色の瞳が冷たく光る。
どこか硝子質の透明感を帯びた顔立ちは、火星生まれの第二世代に特徴的な骨格を持っていた。地球の重力下では脆弱に見えるかもしれないその姿も、火星では完璧な適応を示していた。黒髪は実用的な長さで、研究室での作業を妨げないよう的確にまとめられている。
「何を見つけたの? 先週の地下水脈の件なら、結論は出ているはず」
彼女の声には感情の起伏がなかった。エレーナにとって、コナーの頻繁な呼び出しは明らかに研究の中断を意味した。だが今回は、本当の発見があった。
「違う。これを見てほしい」コナーは新しいデータセットを共有した。「この磁気異常。明確な周期性を持っている」
エレーナのHUDが新しいデータを受信し、自動的に解析を開始する。彼女の眼差しが変化した。普段の冷淡な表情に、わずかな興味の色が浮かぶ。コナーは何度もその横顔を観察していたので、その微細な変化を見逃さなかった。
「確かに異常ね」彼女は数値を確認しながら言った。その声音には、いつもの事務的な調子の下に、かすかな緊張が混じっていた。「通常の熱残留磁化とは全く異なる特性パターン。位相空間で見ると...」
彼女の指先が空中で踊り、ホログラフィック・インターフェースを操作する。データは新しい次元で再構成され、複雑な相関パターンを描き出した。コナーは、その手の動きを目で追った。普段の彼女なら、こんなにも集中して他人のデータを分析することはなかった。
その言葉とは裏腹に、彼女の指先は既に火星全域の磁場データベースにアクセスし、比較解析を開始していた。第三居住区の量子コンピュータネットワークが、膨大なデータを処理し始める。
コナーは密かに満足した。エレーナが自発的に30分の時間を提供するのは異例だった。普段なら5分以上の時間も与えてもらえない。この発見が単なる地質学的な異常ではないことを、彼女も直感的に理解したに違いない。
「位相空間での対称性が特異すぎる」エレーナが静かに告げた。「自然現象としては、統計的に有意な偏りがある」
彼女の指先が再び動き、新しい解析結果が表示される。三次元の相図が、奇妙なアトラクターを描き出していた。その形状は、カオス理論で知られる古典的なパターンとは明らかに異なっていた。
コンピュータは瞬時に応答した。結果は3.47。自然界で観測される値としては、明らかに異常だった。
「表層の風化度と堆積物の分析からすると...」彼は一瞬ためらった。「少なくとも50万年」
エレーナの指が止まった。彼女はゆっくりとバイザーを上げ、コナーを直視した。「それは確実?」
再び沈黙が訪れる。研究室の環境制御システムの微かな唸りだけが、空間を満たしていた。
「50万年前」エレーナが囁くように言った。「その頃の火星は...」
「ああ。まだ大気があった」コナーは彼女の思考を追った。「液体の水も存在していた可能性が高い」
「でも、その時期の人工物なんて...」
エレーナの声が途切れる。彼女の瞳に、普段は決して見せない動揺が浮かんでいた。コナーは、このチャンスを逃すまいと素早く続けた。
「ピーク・スペクトル解析をしてみないか?磁場変動と構造物の配置に、何か相関があるかもしれない」
エレーナは黙ってうなずいた。30分の約束は既に45分を経過していたが、彼女はそのことに言及しなかった。量子コンピュータに新しい解析コマンドが入力される。
結果は、彼らの予想をさらに超えていた。磁場の変動パターンは、構造物の幾何学的配置と完全な整数比の関係を示していた。自然の営みが生み出せるような偶然の一致ではない。そこには、明確な意図が刻み込まれていた。
「これは...」エレーナの声が震えた。「人工的な磁場制御システムの痕跡かもしれない」
コナーは彼女の横顔を見つめた。火星の考古学的発見で、エレーナがここまで動揺を示したことはなかった。彼女の専門である磁場研究が、突如として人類の知らない文明の痕跡と結びついた瞬間だった。
「発掘許可を申請する」コナーは決意を込めて言った。「君も加わってくれないか?」
エレーナは長い間黙っていた。研究室の窓から差し込む夕暮れの光が、火星の大気を通して赤く染まっている。遠くに見えるドーム群の輪郭が、影を濃くしていた。
「...承知したわ」
その返事は、いつもの冷淡さを完全に失っていた。
豊臣秀吉の死後、徳川家康による天下統一が「鎖国」へと傾くことなく、逆に世界への積極的進出を是とした場合――いわば「海禁令なき日本史」――をSF的視点で思考してみましょう。
関ヶ原合戦後、徳川家康は中国・朝鮮半島・東南アジアとの通商を制限するどころか、秀吉の「唐入り」を反省材料としつつも、戦略的な海上拠点の確保と国際交易の自由化へ舵を切る。その背景には、ヨーロッパ勢力(ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス)との接触から得た「大洋航行技術」や「新型火砲技術」の獲得、さらにはインド洋の交易網へ参入し莫大な富を得ることが狙いとなる。
17世紀前半、日本は大量の木材と熟練した船大工技術を駆使し、当時としては極めて進歩的な大型遠洋帆船「泰和丸(たいわまる)」型を量産する。これらの船は紅毛人(欧州人)らがもたらした航海術や天文学的知識を吸収し、独自改良を加えた航海儀器(和算と干支暦に基づく天測計測装置)を搭載。日本は東アジア・東南アジア・インド洋にわたり、広大な貿易ネットワークを確立していく。「天下布船」を掲げる海上商人連合は幕府公認の下、香辛料、絹、銀、鉄砲、陶磁器、各地の工芸品の交易を増幅させた。
17世紀後半には、欧州から取り入れたガリレオ式望遠鏡、オランダ医学、幾何学書などを独自発展させる動きが加速する。商人・学者・職人が一体となり「長崎天文局」を設立。ここで彼らは暦改革や大洋航海ルートの正確化に努め、さらには海上風力と地磁気を活用した新型羅針儀、果ては初歩的な蒸気機関をも視野に入れた研究を進める。これが18世紀以降の「テクノ・徳川」時代の幕開けを告げた。
日本海軍は急速に巨大化し、艦隊は琉球や台湾、フィリピン方面へと進出。現地の政権との婚姻同盟や商館設置で軋轢を抑えつつも、海洋ルート上の要所を押さえ、いわば「アジア海洋連邦」の中核を成した。この連邦は言語や宗教が多様な中で、文禄・慶長の役以降、「他者理解」を標榜する儒学者・神道家・キリスト教徒が集い、相互通訳機関、翻訳院の設置などを推進。また欧州列強は日本との交易を重視し、オランダ商館が江戸湾に拡大設置され、ヨーロッパ科学や印刷術、初期産業革命技術が流入。結果、日本製の「機巧船」や「からくり式自動航海補助装置」が発明される。
こうした流れで19世紀に突入すると、「蒸気機関搭載外輪船」や「初歩的電磁通信機(エレクトロ・のろし台)」が欧州からの技術供与と国産研究から生まれ、幕府と諸藩はこれを積極導入。日本は環太平洋からインド洋、さらにはアフリカ東岸まで交易範囲を拡大、アジア・アフリカ航路の安全と通信網を独自整備する。世界的には英国・仏蘭西・スペイン・ポルトガルなどが植民地競争を激化させる中、徳川幕府はあくまで「海の道」を軸に、中立的商業帝国としての地位を確立。これにより、東西の知が日本国内で混在・再構築され、画期的な「日欧中印」四極学問交流体制が成立する。
この歴史線上では、蒸気船から電気船、そして反重力航行理論(ヘリウム浮揚型船舶技術を経て、電磁的浮揚技術が20世紀初頭に確立)へと進化が続く。バイリンガルの学者・技術者集団が江戸に集い、「空中商館」と呼ばれる浮遊式交易拠点がインド洋上に浮かぶ架空都市として計画され、極東から中東、地中海まで「日出づる国」発の浮遊艦隊が航行する。「サカイ(境)なき海」の概念が生まれ、海はもはや境界ではなく、文化と技術が結合し、東西が日常的に交差する舞台となる。
このような世界での日本は、着物を纏いつつ背中には多言語翻訳デバイスを装着し、和算と西洋数学が融合したアナログ計算機や、唐絵・南蛮絵・和様が混ざり合う新美術様式を輸出する文化的強国となっている。歌舞伎は遠洋船団上でも上演され、オルガンや琵琶、シタールが融合した奇妙な海洋音楽が世界各地の港町で流れる。
海禁令なき日本は、内向きな封鎖社会を回避し、知と技術・文化・交易を絶えず世界から摂取し再構成する「海洋型多文化テクノ文明」へと進化した。SF的想像を許せば、21世紀には重力制御船団が太平洋上空で静止し、国際宇宙航行同盟の創設に日本が深く関わるシナリオも考え得る。つまり、豊臣秀吉以降の日本が海禁を選ばずに世界へ雄飛した場合、それは単なる列強模倣の帝国ではなく、海上をインフラとした知的交差点として、「海洋を舞台にしたグローバル・ルネサンス」の中心となっていたであろう。
なんやわけわからん星に自ら出向いて何かやらかしたら元も子もないから。
と思ったけど、移動にはすっごい時間がかかるからAIが偵察してその情報を送信して大丈夫そうなら行くなんてことはできない。
「三体」でも語られてたが、移動に時間を費やしてる間に目的地である地球の文明が何周も回ってとても敵わない相手になってるかもしれないから。
近くにまで来たらそこからAIで偵察させる。あるいは自分が出発すると同時に偵察機もそれ以上の速度で出発させる。
まあそんな感じになるか。
でもどうだろう?条件次第ではもう少し違う展開もありえる。
情報の送信や移動が光速かそれに準ずる速度なら地球から近い恒星系は4光年程度なので時間差はそれほど問題にならない。
また、一度に複数の惑星を調査したいなら本体は控えて偵察機だけを10だの100だの送るかもしれない。
あるいは星が消滅するような危機にさらされていたら何はともあれ急がなきゃならない。
ま、どのケースにしても恒星間航行できるほどの技術があれば高度なAIも発達してるだろうからファーストコンタクトはAIになる。
スタートレック(現在の正式名はスター・トレック)は50年の歴史があるうえに、1話完結のエピソードが多い。シリーズの入門ガイドの意味もこめてやってみた。
はてな界隈でスタートレック全話追っかけてる人は少ないだろうし、シリアスなファンははてななんて見てないだろうから、自分の価値基準で好き勝手書かせてもらう。
すごく偏ってると思う人もいるだろう。私もそう思う。海外のこの手のランキングでは常連のエピソードも入ってない。思うところがあれば、ぜひ書いてほしい。
なお、全938話は2024年9月末時点での話で、10月から『ローワー・デッキ』の新シーズンが始まったので話数はまた増えている。
スタートレックがSFドラマとして最も輝きを放つのは、銀河に存在する人間以外の存在を通じて、人間とは何かを描くときだ。それはあらゆるSF作品の共通の魅力でもあるが。
本作は人間に造られたアンドロイド、データが、自らの子孫を造ろうとする物語。AIの子供との「ファーストコンタクト」を通じて、子供を持つということが、個人にとって、種にとってどういうことなのかが描かれる。
本作には、派手なアクションシーンもSFXもない。しかし、その物語は喜びとユーモア、発見に満ち溢れ、重い悲劇として幕を閉じる。それは家族を描くキャラクター劇であり、SFであり、力強い人間ドラマだ。
スタートレック立ち上げ最初の年に、スタートレックらしさというものを決定づけた重要な一篇。怪生物の住む惑星に不時着したクルーが脱出するために取る行動を描く。
スタートレックの原型は西部劇(幌馬車劇)と言われるが、これはまさにインディアンに囲まれた幌馬車の設定を宇宙にしたもの。
しかしポイントは、主役がミスタースポックであるという点。感情がなく論理で動くヴァルカン人(と地球人のダブル)である彼は、助かるために論理に従うか、あるいは……。
本作は異星人の視点で人間の感情と理性の葛藤を描き、このモチーフは以降繰り返されることとなる。また作品にシャトルのセットを導入し、物語の舞台を増やした一作でもある。
宇宙大作戦の打ち切り後、少々品質を落としたアニメで継続となった本シリーズだが、名作はいくつかあった。しかし本エピソードはちょっと違う視点で選出している。
これ、実はラリィ・ニーヴンというSF小説家が書いた『ノウン・スペース』というSF小説群のにある短編の一つを、そのまんま映像化しているのだ。出てくる異星人も借りてきたもの。
ニーヴンを知る人も少なくなっただろうが、アシモフやハインラインの後の世代で、ハードな科学設定とエンタメとしての面白さを融合した作品を書き、SF界の潮流を作った人と言える。
本作は、スタートレックの世界観が他作品をまるごと呑み込んでも成立しうる、緩く、包容力のあるものだと示した。ローワーデッキのハチャメチャコメディスタイルが可能になったのも、ある意味この作品のおかげ。
宇宙大作戦にはTV史上初めて白人と黒人とのキスシーンを描いた『キロナイドの魔力』という記念碑的作品があるが、人種問題を深く描いた作品というと、こちらを推したい。
黒人の天才科学者が自らの知能と感情を転写し開発した自動航行AI。それに船を委ね、演習に参加したエンタープライズだが、AIは次第に狂いだす。
本作のAIは自らの判断に絶対の自信を持ち、誤りを認めようとしない。博士もAIを擁護し、次第に我を失っていく……と言うプロット。
AIの恐怖を描いた先進性はともかく、本作が人種問題の作品であることは、日本に生きる我々には少々理解が難しい。
この物語が暗喩するのは、飛び抜けた能力で社会から評価を受け、地位を得たマイノリティの苦しみだ。常に完璧を求められ、ひとつの失敗で社会から振り落とされてしまう、隠れた差別を描いている。
この複雑な問題を1968年のTVドラマに持ち込んだことこそ、評価されるべきだと思う。
「タイムループもの」といえば誰もが1作ぐらい頭に浮かぶだろう。映画『恋はデ・ジャ・ヴ』など様々な傑作がある。
しかし、それらの作品の多くは、「なぜ」タイムループが起きるのかを説明しない。なぜか寝て起きるとループしてたり、なぜか恋が成就するとループを抜けたり……。
スタトレ世界でタイムループを描いた本作が優れているのは、その「なぜ」が明確に定義されており、それを解決することが物語の目的になっている点だ。
突如として起こる反物質爆発で時空ループが生成されると、キャラ達は過去に戻される(都合よく前のループの記憶を保持したりしない)。
そこから毎回、艦のクルーたちは僅かな違和感から少しずつ状況を理解し、「なぜ」かを探り、回避するための答えに近づいていく。
ご都合主義的な「ふしぎな現象」はなく、戦うべき悪役もいない。ハードSF的な状況で、知力に頼ってロジカルに物語を進めていく。しかしこれが最高に面白いのだ!
舞台は艦のセットのみ、登場人物もレギュラーのみというミニマルな作品だが、スタートレックのSF性、センス・オブ・ワンダーを代表する1作だと思う。
スタートレックのフランチャイズ化は、TNGによるリバイバルを経て実質このDS9から始まった。いままでと違ったスタトレを作ろうという意欲に富んでおり、非常に作家性の強いシリーズだ。
未知の世界を訪れる宇宙船でなく、未知の存在が訪れる宇宙ステーションを舞台とし、全7シーズンの後半では巨大な宇宙戦争を連作として描いた。最近の『ディスカバリー』などのシリーズも、本シリーズがなければ成立しなかった。
その総決算と言うべきこのシリーズ最終話は、単体で観るとなると評価が難しいが、173話の積み重ねの末の1話としてみると、ずっしりとしたものが心に残る。
DS9はシリーズで初めて黒人俳優を主役とし、戦争犯罪や植民地主義のもたらす被害をストレートに描き、舞台となる異星の宗教と重ね合わせることで人間の信仰心をも題材にした。
更には、「これは一人の狂った黒人の観た夢なのではないか……」というメタレベルの視点すら取り入れ、多様な視点と重層的な葛藤、その先にある善とは何かを描こうとした。
シリーズに長く付き合うことでもたらさせる重い感動を体験してほしい。
ヴォイジャーはハードSF的な物語よりも、キャラクターの成長やモラルに焦点を当てた傑作が多いが、敢えてSF的なセンス・オブ・ワンダーに満ちた本作を推す。
ネタバレしてしまうが、これは「恐竜人類」の物語であり、「ガリレオ・ガリレイ」の物語だ。
遥か昔に宇宙に出て進化したある種の恐竜と、銀河の反対で出会ってしまった宇宙船ヴォイジャー。それを、なんと恐竜人類側の視点で描く。
故郷の星に、自分たちとは異なる知的種族がいたという事実を知った科学者の知的興奮と、その発見を社会から拒絶され、迫害される恐怖。
SFの根幹である科学そのものを主題にし、人間と科学の関係性に向き合った、ひとつの到達点。深い感動をもたらしてくれる傑作だと思う。
『スタートレック:エンタープライズ』以降停止したTVシリーズを、配信に適した連続劇フォーマットで復活させ、『ピカード』などのシリーズの端緒になった『ディスカバリー』の最終話。
連続劇で見せるスタトレにはまだ課題が多く、特にディスカバリーのシーズン4,5、ピカードのシーズン2などは間延びして物語の行先がわかりづらいという批判があった。
しかし、それらの連続劇も、最終話に来ると、そこまで迷走していたテーマが急にシャンと鮮明になり、ああ、なるほどこういうことだったのか、という感動をもたらす。
特に本エピソードはディスカバリーのグランドフィナーレとなるだけあって、描かれるものも壮大だ。銀河の知的生命の発祥の謎を求めて行われるトレック(旅)である。
しかしその結末、謎は解明されることはない。その代わりに提示されるのは、「真実を求めるトレック」とは何なのか、という命題だ。
スター・ウォーズやマーヴェル作品、ガンダムのような複数作品がひとつの歴史を形作るシリーズの楽しみは、クロスオーバー、そして「設定の穴が埋まる瞬間」だろう。
子供向けのCGIアニメシリーズとして作られた最新作であるプロディジーは、この設定の穴埋めを、他のどんな作品よりも見事にやって見せた。
新スタートレック、ヴォイジャー、ディスカバリー、ピカードなどの実写作品の設定を少しずつ掬い上げ、時に大胆にプロットに取り込んで、独立して楽しめる作品になっている。
その頂点がこのエピソードだ。シリーズを通じてのマクガフィンであったヴォイジャーのキャラクター、チャコテイの姿が見えた時は、その絵だけで感涙してしまった。
実にオタク的な楽しみだが、フランチャイズ作品に長く付き合ってきたものだけが味わえる、究極の悦楽がここにある。
プロディジーの日本語版は、2024年10月時点では製作されていない。英語版だけならNetflixで子アカウントを作り、基本言語を「English」」に設定することで観られる。
はっきり言ってシナリオの全体的な完成度は高いとは言えない。その質についても、表現手法についても注文の付く作品である。しかしどうしても外すことができない一篇がこれ。
1960年代、宇宙大作戦で人種や性別による差別のない理想世界を描いたスタートレックは、1990年代になりその理想のほころびを正直に描くように変化した。
本作で暗喩されるのは、性的マイノリティの直面する差別であり、同時に女性の権利でもある。
物語では、両性具有の種族の星に生まれた「女性」が、女性であると言うだけで罪とされ、矯正を施されようとする。
それは90年代に入るまで見過ごされてきた同性愛者への差別と、「治療」という名の暴力の告発である。
矯正の場へと連れていかれる彼女が最後に、法廷の場で叫ぶ。「私は女だ!」と。
自らの性を自らの物として誇れない、自由に語ることもできない、あらゆる属性の、抑圧された人々の叫びが、そこに込められている。
新スタートレックの日本語吹き替えは名優揃いで品質が高いが、これだけは英語版で観てほしい。その叫びは、魂の演技だ。
今回入れていないランキング定番としては、タイムトラベルの古典的傑作『危険な過去への旅』(TOS)や、エミー賞にノミネートされた世界でもっとも儚いロケットの打ち上げシーンが見られる傑作『超時空惑星カターン』(TNG)がある。
SFらしさが感じられるエピソード中心なので、人気の高いボーグのような強大な敵との対決とか、クルー同士のファミリー劇的な人情エピソードはあまり入らなくなってしまった。
また、『エンタープライズ』(ENT)、『ローワーデッキ』(LD)、『ストレンジ・ニュー・ワールド』(SNW)の作品も入らなかったが、もちろん傑作、快作はいくつもある。
ENTはバルカン人の設定を完成させた『バルカンの夜明け』3部作、LDはアニメならではの手法で連邦、バルカン、クリンゴンの若者たちの生活を描き交錯させた『wej Duj』、SNWは過去作の設定を活かしつつ現実の21世紀の社会情勢を24世紀の世界へと繋いで見せた第1話『ストレンジ・ニュー・ワールド』や、アースラ・ル・グインの小説『オメラスから歩み去る人々』のオマージュである『苦しみの届かなぬ高さまで』を推す。
(つづき)
>ブースターの再利用に成功した一方で,本体のスターシップが爆発してるのは本末転倒。人を乗せるのは爆発した方なのだが,スゴイスゴイ言ってる連中は分かっているのだろうか。
あのね、全体としてまだ設計が終わってないの。設計終わってないのに奴らは作って飛ばして実地の物理から学んでるの。そこがスゴイの。着水後の健全性はテストでは目指されていません。
前回テストを踏まえ今回のシップの方の課題は熱対策の改良でした。前回も着水まで行けたけど、フラップの可動部にプラズマが入り込んで、熱によるダメージでほとんど外れかけの状態まで壊れてしまっていました。https://youtu.be/WvBXUlwLQ08?t=598
今回はタイルを改良したことで(全部剝がして改良版を貼りなおしたhttps://www.youtube.com/watch?v=QCkgat6Rl-s&t=382s )概ね機体全体を保てたまま、最後の水平から垂直への姿勢変更の動きもしっかりして着水まで行けました。だから進歩の確認として成功なのです。海上で待ち受けていた側(たぶん観測ブイ)からの映像が撮れてるってことは、狙った場所に正確に制御して降りられた、機能が健全なまま降りられたって事の証明になっています。
映像見てケチをつけるなら「やっぱりなんか今回も可動部から噴き出してるじゃない」ってところだよ。でも、それももう対策をした次の設計(フラップ取付位置を突入時の後ろ側に変更してヒンジが晒されないようにする)の機体が製造されつつありますhttps://ringwatchers.com/article/v2-ship-june-2024 。前のモデルの試験結果が出切っていないのに改良版を設計製造して、ものすごい高速で開発サイクルを回して前進している。そこがスゴイの。
ちなみにブースター側の前回の問題は稼働していないエンジンがあったという点です。液体酸素の中に生じた氷がフィルターを詰まらせたのが原因ではないかと言われていて、今回は上昇時も帰還時も全てのエンジンが稼働したので、これも進捗の確認の意味で成功でした。この動画が詳しいですhttps://www.youtube.com/watch?v=LgZRyeNAa0A
> ようわからんけど着水後に爆発したらダメじゃね? >着水後に宇宙船が爆発した様子を海上のカメラで捉えた
裏が取れていない事ですが、着水後の爆発はコースを外れたときに自爆させる装置(FTS, Flight Termination System)を作動させた結果の可能性があります。自爆の火薬はタンクが上手く破れる位置に仕掛けられていて、海上の映像を見るとそれが作動した時のように、ざっくりタンクが切れているように見えます(ちらと見えた配管は、炎が少し出たのでヘッダータンクへの配管っぽい)。ぷかぷか浮いていたら(タンクが空になったロケットは水に浮きます)船舶の航行の安全的にまずいので沈めるようにしていたのでは、という意見も見ました。
>イーロンマスクはロケットのことはよく分からないのであまり口を出しておらず、車のことはよくわかるので口を出しているのかも。
インタビューなど見ると、彼はロケットの技術面を分かって自身の問題として考えているように思います。わたしは下世話なとこは興味が無く具体的には知らないですけど、めちゃめちゃ口出ししていたみたいですよhttps://x.com/cucscspr/status/1845781849236472313
>マスクのロケットが成功するたび憂鬱になるんだが。あいつは火星植民の目途がついたらまず確実に地球環境を汚染しにかかるようなヤツでしょ。その方が火星の皇帝を目指すには「合理的」だから。
彼が目指しているのは人類が multiplanetry species(複数の惑星に生息する生物種)になることです。地球を滅ぼしたら multi じゃなくなっちゃうよ。
> イーロンより褒められるのはエンジニア。しかしトップがイーロンなのに組織持ってるのは凄いもんだ。誰orなんの仕組みが新しいことをする心理的安定性を担保してるのだろうか
イーロンが失敗することを良きものとして「物事が失敗しないのならば、十分に革新的な事をしていないってことだ」 "Failureis an optionhere. If things are not failing,you are not innovating enough" というように語っているらしいです。だから、新しい事に挑戦させ成果を生ませているのはイーロンなんじゃないかな。(まあ別の意味で心理的には安全じゃなさそうな職場だけど。気質があっていれば楽しそうだ。)
> やっぱりスペースXは普通にすごいね。その調子でイーロンとそのフォロワーの金を搾り取りながら宇宙開発技術の発展に貢献してくれ。
SpaceX はNASA や軍から契約を取ってます。しかも今のところ他の企業より安く確実にやってるようです。ちなみに今回のStarship のバリエーションが月着陸船としてNASA に採用されました(こいつは地球には戻ってきません)https://en.wikipedia.org/wiki/Starship_HLS
あとStarlink のお金も重要っぽいです。日本のようにインフラ整備された国ではいまいち実感持てないけど、無改造のスマホが山奥の僻地だろうと、砂漠、海上、空の上だろうと圏外にならないようになる、ってすごくないです?https://www.starlink.com/business/direct-to-cell
今回の試験にあわせてSpaceXからゲームが提供されたよ!https://starshipthegame.spacex.com/
(おわり)