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2025-09-06

「やさしい日本語」へのツッコみや批判は前からあったでしょ

「やさしい日本語」へのバッシングが始まってた -電脳塵芥

https://nou-yunyun.hatenablog.com/entry/2025/09/06/020000

なんか参政党の日本人ファーストに乗っかって「やさしい日本語バッシングが出てきたような感じにまとめられているけど、参政党によって活性化されたとしても、「始まり」ではないでしょ。

NHKニュースなんかで取り上げられて「やさしい日本語キャンペーン始まったのもずいぶん昔だし、バッシングももっと前からあったでしょ。

批判内容としては「分からなければ意味や読み方を教えてあげたほうが日本に馴染むことできるでしょ」的なものから、「それ本当に文章『やさしく』なってる?余計に意味が分からなくない?自治体企業キャンペーンに乗っかってるだけで自分の頭で考えて文章作ってる?」的なツッコみまで。

 

軽く検索したら、だいたい2016年ごろから災害時のための『やさしい日本語』」ではなくて外国人観光客へのおもてなしのためにと「やさしい日本語」が注目され始めて各自治体が順々に取り入れるようになって、一気にバズったのが2019年だった。2019年をもって「やさしい日本語 元年」とか記事にしてる新聞もあった。で、この年に今回と同じようにすでに炎上があったのさ。

 

「やさしい日本語」元年 福間 慎一|【西日本新聞me】

https://www.nishinippon.co.jp/item/572599/

 

外国人はどう思う?」炎上したひらがなツイートに疑問、見えたもの

https://withnews.jp/article/f0191221001qq000000000000000W08k11101qq000020262A

Permalink |記事への反応(0) | 14:28

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2025-08-09

anond:20250809113322

いちおう伝えとくけど、白玲5期の新制度は、福間西山はおろか、清水会長も含めて女流の誰から要望された話じゃないはずだよ。女流棋界は、こと棋力に関係する話について、そんなテイクを求める空気感じゃない。

ヒューリック羽生さんとその周辺が推進した話。

「そんな話が降って湧いたとしても、固辞すべきだ!」という批判がしたいなら、話はわかるけど。

Permalink |記事への反応(0) | 11:39

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anond:20250808102256

白玲十年以上続けて貰うための縛りみたいなところありそうよね

これでフリクラ入りして鳴かず飛ばずなら見直し入るんじゃ無いか。その頃には関係者の目も黒くないだろうし

今の福間さんならC2いけるだろうけど、ン年後だと勝率五分も厳しそう

Permalink |記事への反応(0) | 09:09

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anond:20250808132113

福間藤井が持ち時間ハンデ戦福間が勝ってたな

福間1時間藤井10分だったけど

ただこれでも勝てるのは福間西山くらいじゃないの

Permalink |記事への反応(0) | 07:12

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2025-08-08

今の将棋界で当たり前すぎて誰も言わないこと

藤井聡太さんが強すぎる。圧倒的に強すぎる。

男性棋士女流棋士の差より、藤井聡太さんとナンバー2の男性棋士の差のほうが大きい。藤井さんはタイトル戦ばっかりやってんのに8割以上で勝ってるんだぜ。

女流棋戦の福間西山みたいに、男性棋戦にも藤井聡太さんのライバル棋士が出てきてほしい。「対藤井にだけやたら高勝率振り飛車女性棋士」とか出てきてくれたら最高に盛り上がるのになー。

Permalink |記事への反応(1) | 21:16

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anond:20250808204153

(白玲5期で棋士になっても女流兼業で白玲を保持し続けられる前提で)

今後10年くらいは、福間西山と、せいぜい中くらいしか白玲5期は取れないだろうから、「棋力の担保」が深刻な問題になることはないだろうよ。

そして、その後も、順調に女流棋界が充実していれば、「男性棋士に比べてだいぶ弱いのに白玲5期取って棋士になってしまった」という女性が現れることもないだろう。

藤井聡太問題にしているのは、あくま制度としての担保問題であって、現実的には杞憂に終わる可能性が高いことくらい自覚しているはず。

(だから担保不要だとは、個人的には思わないけど)

Permalink |記事への反応(0) | 20:54

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anond:20250808202032

GPT-5くんによれば、列挙してくれた福間の対戦成績による推定レーティングは約1504(1445-1565)、西山は1537(1478-1598)だそうだ。

サイト奨励会員が1530なので、いかにもいいところやね。そして、それを下回ってる新四段も多いね

Permalink |記事への反応(0) | 20:36

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将棋ファンじゃないけど「女子プロ棋士女性活躍未来に対して悪手では」ってこと書くよ

女流棋士は実力が低い

ホットエントリに入った2記事とも、女流棋士は弱くないと主張するわけだけど、まあ弱いでしょ。

棋士の実力は、有志のレーティングサイトで数値化されているので、それを見れば誰でもだいたい感覚をつかめるわけだが、

男性棋士との対戦結果に基づく、女流棋士の実力は、プロ棋士の上位90%下位10%相当。

下に確かに1割いるわけだけど、将棋界はどんなに実力が低下しても最低10年、条件を満たせば65歳までプロ棋士を続けられる制度になってるので、

から数えて1割の人たちは、全員、むかしは強かったけどいまはプロ相当の実力を持ってない人たちなわけよ。その人たちより強かったところで「だから?」でしかない。

また、女流棋士は82人いるわけだが、この平均値が「棋士の下位90%」であるわけではない。一般棋戦に出た女流棋士、つまり上澄みの女流棋士の実力がこの数字なのださらに言えば、6割以上の対戦は女流2強と呼ばれる福間/西山が行っている。実際の平均値は「棋士の下位90%」の遥か下になると想像される。

なお、男子アマチュアは上位8割程度、奨励会員は上位6割程度と、いずれも女流棋士より上に位置する。(※どちらも一般棋戦に出られる上澄み層)

女流棋士特異点福間/西山プロ棋士の中ではそこまで強くはない

福間/西山が、プロ棋士相当の実力を持っていることに異論がある人はいない。しかし、プロ棋士の中で実績を残せる程に強いかは大いに疑問だ。

上のレーティングサイトから、手作業過去30戦の戦績をピックアップし、相手レーティング順に並べてみた。

福間 vs.プロ棋士(※奨励会生1人含む)

勝敗 対戦相手レート
勝利脇謙二1268
敗北脇謙二1268
敗北神崎健二1352
敗北安用寺孝功1432
勝利安用寺孝功1440
勝利伊奈祐介1448
勝利小林裕士1453
勝利矢倉規広1456
勝利安用寺孝功1457
勝利横山友紀1461

プロ棋士上位75%の壁】

敗北竹内雄悟1462
勝利小林裕士1463
勝利村田智弘1466
敗北矢倉規広1473
敗北村田智弘1473
敗北森本才跳1530
敗北狩山幹生1534
勝利貫島永州1540
敗北北浜健介1569

プロ棋士上位50%の壁】

敗北藤本1592
勝利徳田拳士1612
敗北石川優太1627
勝利船江恒平1628
敗北井田明宏1650
敗北久保利明1670
勝利古賀悠聖1682
勝利都成竜馬1686

プロ棋士上位25%の壁】

敗北出口若武1717
敗北出口若武1719
敗北斎藤慎太郎1774

福間は下位1/4の実力のプロ棋士には8勝3敗と安定して勝利している。しかし、下位1/2~1/4の棋士となると、3勝6敗と負けが込み始める。上位1/4~1/2だと4勝4敗なのはスゴイが、より下位の棋士との戦績を見るに実力が上揺れしたとみるべきだろう。トッププロ層には全く勝てていない。

結論的には、ざっくりプロ棋士全体の1/2から2/3相当の実力と見なすの妥当じゃないだろうか。なお繰り返しだが下位には将棋連盟生活保護された勝てなくなった棋士が溜まっている。

西山 vs.プロ棋士(※奨励会生1人含む)

勝敗 対戦相手レート
敗北神谷広志1299
勝利神谷広志1326
敗北豊川孝弘1375
勝利富岡英作1399
勝利高橋道雄1457

プロ棋士上位75%の壁】

敗北島朗1463
勝利長岡裕也1464
敗北横山友紀1474
勝利渡辺大1492
敗北小山怜央1519
勝利齊藤優希1535
敗北吉池隆真1548

プロ棋士上位50%の壁】

勝利小山怜央1581
敗北谷合廣紀1581
敗北小山直希1593
敗北谷合廣紀1594
勝利阿部光瑠1597
勝利石田直裕1635
敗北山本博1646
敗北村中秀史1649
勝利木村一基1659
敗北佐藤康光1669
敗北藤本1688
敗北三枚堂達也1690
勝利梶浦宏孝1700

プロ棋士上位25%の壁】

勝利渡辺和史1721
敗北斎藤明日1768
敗北佐々木大地1796
勝利佐々木大地1860
敗北藤井聡太2104

西山も同じく、下位棋士に安定して勝つことができていない。下位1/4には3勝2敗。下位1/2~1/4には4勝4敗である。上位1/4~1/2には5勝8敗と負け越す。

いくつかジャイアントキリングの例が見られるのは注目すべきことだが、その典型佐々木大地は格下に白星を譲ることが多いことで有名な棋士であることに留意必要だろう。タイトル戦に挑戦するほどのトップ棋士であるにもかかわらず、不思議の負けが多く順位戦ではC級2組から脱出できない。とはいえ上位25%への勝利はもう1つある。2回となると偶然とは言えなさそうだ。

しかし、福間西山最近の対戦成績では、福間が大きく勝ち越している。これは相性の可能性もあるので、一概に福間西山とは言えないが、やはり総合的に見て西山の実力は、プロ棋士の上位1/2に届いていないだろう。

なぜ「それなりに強い」程度で棋士になるとマズイのか

上の福間西山の実力についての解説を読んで、むしろ「それなりに強いかプロ棋士になったほうがいいじゃん」と思った人もいるかもしれない。

しか問題別にある。「それなりに強い」だけなら、彼女らは10年で強制引退になるのだ。それも、プロ棋士史上最短という不名誉付きでだ。

3段リーグで2位に入るという王道ルートなら、プロ入りは順位戦C級2組から始まる。彼女らはC級2組ならそれなりに戦える実力を持つだろう。

一方、プロ編入試験三段リーグ次点2回などの変則ルート場合プロ入りは順位戦C級2組の下、フリークラスから始まる。C級2組に昇格できなければ10年で引退だ。昇格には「年間成績勝率6割以上」や「良い所取りで30局以上の勝率が6割5分以上」などの成績を残す必要があるが、上にも挙げたこれまでの戦績を見る限り、彼女らがこれを達成できるかといえばかなり怪しい。

一方で、これまでにフリークラス経由でプロになった男性たちは、みなこの難関を突破して、C級2組に昇格することが出来ているという事実彼女らの立場を危うくする。

男性が全員達成できたなら女性にもできるだろう」と思った人もいるだろうが、私はそうは思わない。

まず、アマチュア編入試験フリークラスになった場合、彼らは将棋無関係フルタイム仕事というハンデから解放される。

また、3段リーグ次点2回からフリークラス場合は、彼らは年齢が若いことが多く、棋力向上の余地が大きい。

そして両者ともに、結果を残せなければ10年後には無職だ。女流棋士というセーフティネットがある側とは必死さが違う。

また、彼女らがプロ棋士になった場合も、女流棋士は辞めず二足のわらじをはくことになるだろう。なぜならばフリークラス棋士として稼げる収入なぞたかが知れている一方で、女流棋士であれば白玲戦は優勝賞金5,000万円だ。

収入のことを考えるならば、研究時間女流棋戦の対策時間を割く必要があるだろうし、また、二足のわらじをはく以上は対戦数が相当多くなり、現代将棋に欠かせないAI研究にとれる時間がかなり少なくなってしまう。対局数が少ない分、研究に専念できる男性フリークラス棋士とは違うのだ。

これが、私が、女性フリークラス突破が厳しいと考える理由である

これで男性と同じ門、つまり3段リーグプロ編入試験を通った上で10年で即引退なら、まだマシなのだ。この場合プロ棋士になった」という事実だけで将棋界に爪痕を残したことになる。一方、クイーン白玲の特例を使用した場合は、「プロ棋士になった」という事実は何の爪痕にもならない。これで10年後引退になったら、「特例で入れてもらった挙げ句、手も足も出ずに即退散」という酷い構図になってしまう。

上のようにフリークラス突破できなかった言い訳を考えることはできるが、できるが、それもすべては女性への優遇措置に由来するものであり、「金持ちにも美人にも悩みはあるのだ」的な、富める者の言葉しかならない。事実としてそういう面があったとしても、「優遇を手放せば良いだけだろ」と共感を呼ぶことはできず、「女流最強はプロ棋士最弱」という結果だけが残るだろう。

そして、上で挙げた増田代表されるような「女流棋士プロ棋士ともそこそこ戦えるのだ、福間西山に限ってはプロ以上だ」というざっくりした幻想には、白黒がつけられることになる。また、これまでは棋士女流で壁があったがために意識せずにおれた待遇の違いについて、同じフリークラス同じ下位レートでも、女性であるだけで賞金5000万円のチャンスがあるのだ、という格差が際立つことになる。

女流棋戦の存在価値に対し、反対の世論喚起することになり、女性活躍真逆帰結をもたらすことになるのではと考える次第である

Permalink |記事への反応(5) | 20:20

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将棋(そして囲碁の)女性棋士について語るための前提知識

観る将歴30年(観る碁歴は15年くらい)になりますよろしくお願いします。

例の件について初めに自分意見を述べておくと、「白玲通算5期のフリークラス編入には賛成。ただしアマチュア強豪(元奨励会員含む)にもアマ全国大会優勝回数等を条件に同等の門戸を開くべき。本制度の導入に伴って棋士数が増えすぎる等の懸念があるならフリークラス在籍年限の調整で対応。」です。

この話題を語るための大前提となる知識

今回話題となっている棋士編入についてだが、まず将棋棋士には大きく分けて2種類ある。「棋士」と「棋士フリークラス)」だ。

簡単に言うと、「棋士」は順位戦という全棋士の格付け的なリーグ戦に出場でき、一定の対局数(=報酬)が確約される。羽生藤井聡太はこっち。

今回案で規定を満たした女流棋士編入可能となるのは後者の「フリークラス」で、こちらは順位戦に参加不可(=対局数が確約されない)となる。

また、他棋戦で一定の成績を挙げることで順位戦へ昇級することが可能だが、これを10年以内に達成できない場合強制引退となる。いわば「時間制限付きのプロ」だ。

https://www.shogi.or.jp/match/junni/rules.html

編入した女性棋士がいきなり羽生藤井と肩を並べて戦うと思っている人もいるようだが、それはとんでもない勘違いだ。棋士フリークラス棋士は全く立場が異なる。

その大前提を踏まえた私見

で、例えば白玲通算5期を獲得してフリークラス編入した女性一定の成績を挙げて順位戦に昇級したのなら、彼女の実力に異議を唱える人はいないだろう。

また、10年間で順位戦昇級規定を達成できず強制引退になったのなら、それは正しく実力主義の結果だ。

まり、今回の案はフリークラスを実力を見極める場として位置付ける施策だと思う。

加えて私はアマチュア強豪(元奨励会員含む)にも同様にフリークラスで戦う機会が与えられるべきだと思う。

そもそも棋士になる時点で実力主義に則るべきでは?」という意見理解できるが、私の意見そもそも現状の奨励会ベース棋士採用枠が少なすぎるという点に端を発している。

現状のアマチュア全国大会を見ても元奨励会員たちの活躍が目覚ましく、フリークラス編入しても十分戦えるレベルプレイヤー複数いると感じる。

また女流棋士に関しても、西山福間旧姓里見)らトップ女流は現役棋士に対してこれまでに十分な勝ち星を挙げてきた。トップ女流証明として白玲通算5期は決して軽くない。

「白玲通算5期」というのは所謂クイーン称号」という各タイトルごとにある名誉称号のことだが、参考として1990年以降クイーン称号を達成した女流棋士わずか5人(林葉・中井清水里見西山しかいない。

更に白玲戦は順位戦と同じ昇降級リーグ戦方式を取っているため、他のクイーン称号と比べ格段に達成が困難だ。

一部の人危惧するような、達成者が続々と現れて将棋界のレベルが格段に落ちるというような事態になるとは考えにくい。

問題女流棋士全体のレベルを維持・底上げできるか(本件で言う「担保」の話)という点だが、これについては引き続き普及や育成を頑張っていくしかない。ただ女流棋界全体の実力が確実に向上しているのは多くの棋士が認めるところだし、現状のまま少子化人口減少、棋戦メインスポンサーである新聞社の衰退を指をくわえて眺めているよりは、制度を整え順位戦への道筋を作って未来の才能に懸ける方が希望はあるだろう。

現状の編入試験制度ではダメなのか?

編入試験制度の導入は将棋界としては大きな前進だったが、正直言ってこれも厳しすぎると感じている。

「対棋士10勝以上かつ勝率6割5分を挙げた上で三段リーグ抜けたてピチピチの四段5人と3先」は三段上位、何なら平均的な棋力の現役棋士でも困難だろうし、三段リーグの18局と比べると編入試験の5局は判断材料として少なすぎる。公式戦の棋譜を大量に研究される女流棋士なら尚更だ。

奨励会経験なしで突破した小山四段が特異点すぎる)

よって、強制引退のあるフリークラス枠を拡大し準棋士程度の扱いにすることで、より長い目で実力あるプレイヤーを見出す方が良いと考えている。

要するに、アマチュア強豪・女流強豪・奨励会三段と「棋士」との間にフリークラス棋士というバッファを設けようというのが私の意見だ。

既存奨励会の扱いはどうする?

個人的には三段リーグの昇段枠を広げたいが、難しいなら次点付与条件を増やす施策だけでも取れないかと考えている。今期竜王戦山下三段のように奨励会員が棋戦本戦まで勝ち上がるなど、下が詰まっているのは明白。下の詰まり女性棋士への道のりを更に困難にしている面もあるだろう。

そもそも奨励会男女平等なのでは?

機会均等という意味ではそうだし、かつては私もそう思っていたが、現状圧倒的に男性多数の環境1020代女性が十全にパフォーマンスを発揮できるかは疑問が残る。

女流棋士から奨励会各段級へ編入する制度も作られたが、女流棋戦とのスケジュール両立や公式戦の棋譜が残って研究されやすいなど不利な要素は払拭しきれない、というのが今の私の意見

では女流棋士なんてなくしたらよいのでは?

それをやったら最後、本当に女性棋士誕生の目は消失する。女流棋士存在がどれだけ多くの女性への普及に貢献したかがあまりにも過小評価されている。

よって女流棋士をなくすことはできない。だが奨励会コースの不利も払拭しきれない。ならばそれ以外のコースを緩和しよう。実力不足ならフリークラスというバッファで選別しよう、という理屈。たとえ先人がバッファを抜けられなかったとしても、その姿を見て研鑽した人が後に続くと信じて。

この編入案にはスポンサー意向があるよね?

まあそれは普通にある。スポンサーというかヒューリックね。

ヒューリック会長将棋好きな縁でCSRとして各種プロ棋戦やアマ大会主催・協賛していて、千駄ヶ谷の新将棋会館はヒューリックビルに入居している。

そして白玲戦の主催者として賞金を大幅増額した上での今回のクイーン白玲編入案なので、まあ彼らの意向が入ってないわけがない。

ただその案が棋士総会で可決されたという事実も重くて、人口減少が顕著な中で女性プレイヤーも増やさなければ将棋界は早晩先細りしていくだけという危機感当事者棋士女流棋士たちも共有しているところではあると思う。

囲碁界には女性棋士がいますよね?違いは何ですか?

実を言うと女性棋士について今回の将棋のような「優遇制度」を取っているのが囲碁界。

日本棋院を例に挙げると、毎年の「正棋士採用に加え「女流特別採用棋士」という女性枠がある。これは女性のみの総当たり戦で決められ、将棋三段リーグのような男女混合の選別を経ることなプロになれる。加えて2018年からは「女流特別採用推薦棋士」という推薦枠も作られた。今の多くの女性囲碁棋士はこれらの女性からデビューしている。

一般枠を勝ち取った女性棋士もいるが、その数はこれまでにわずか4人。この手の話題になると「囲碁は男女差がない」と言う人が少なくないが、実際のところ将棋よりは差が小さいもの普通にゴリゴリ男女差はある。(ちなみにチェスゴリゴリ男女差ある)

そうして女性枠で入段した人の成績が振るわないケースも珍しくないし、女性枠の棋士は対局料や給与も正棋士より低い(何度か昇段を重ねてようやく正棋士になれる)。

ここまで読んでもまだ「囲碁男女平等」と言えるのであれば、あなたと私とでは少し平等定義が異なるかもしれない。

ただ、そういう「女性枠」で入段した棋士たちの中から近年藤沢里菜(若鯉戦で女性初の優勝)や上野愛咲美(竜星戦女性初の決勝進出新人王戦で女性初の優勝)ら逸材が現れているのも事実

将棋に関しても、挑戦する機会を今よりも増やすことが女性プレイヤーの成長・発見に繋がると思っている。

藤沢里菜囲碁界のサラブレッドなのでここで挙げるのはちょっと違うかもしれないが)

AIで男女差縮まってないの?

まあ昔は女性棋士奨励会員の研究会に参加しづらかったりそういう格差はあったと聞くけど、その頃に比べたら研究環境格差は縮まっていると思う。

ただ、人間と実際に盤を挟んで何局も指すという実戦経験AIでは補填できないものから、そんなに単純な話でもないと思う。

この辺の空気感が変わってきているのは遠山六段のコラムから垣間見える。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/061ebf2664a536eb2417e5097468dc4a772f4af8

今のトップ女流棋士ってどんなもんなん?やれんの?

じゃあ現女流棋界の2トップを張る西山福間の、一般棋戦女流参加枠での直近5年の戦績をhttp://kishibetsu.com/ で見てみよか。(更新再開ありがとうございます

これはNHK杯女流予選の勝敗も含まれるしあくま参考記録だけど、対局相手レベルフリークラス編入した場合マッチングとさほど変わらないはず。

西山

年度勝敗
2020年13勝9敗
2021年8勝8敗
2022年3勝9敗
2023年10勝7敗
2024年9勝7敗

43勝40敗(0.518)

福間旧姓里見

年度勝敗
2020年6勝8敗
2021年10勝7敗
2022年1110
2023年6勝9敗
2024年4勝3敗(出産に伴う不戦敗2を除く)

27勝37敗(0.422)

追記:すまん集計間違えてた!

正しくは37勝37敗(0.500)や!

勝率5割と十分戦えてはいるが、フリークラス脱出にはもうひと頑張り必要になってくる。とはいえ実現不可能ラインでもない。西山さんはそれなりに可能性があるけど福間さんは結構大変かなといった印象。

ただフリクラになると参加可能棋戦が増えるのでスケジュール的に女流棋戦との両立が課題になりそうかな…。

この辺の女流棋戦と一般棋戦の両立の難しさを以前からどうにかできないかと思っているのだが、なかなか良いアイデアが浮かばない。女流棋戦でフリクラシード枠でも作る?

しか彼女たちが一般棋戦でも普通に勝つようになっていちいちニュースにならなくなったな。何しろ今の女流棋界は元奨励会三段が3人いるからね(福間西山・中七海女流三段)。隔世の感がある。

昔は清水会長が一発入れるだけで大いに盛り上がったもんじゃ…ホッホッホッ(観る将老人)

一旦おわり まとめ

・今の将棋界、下が詰まってんねん

順位戦の参加枠を増やせないならフリークラス枠を緩めよう

クイーン白玲ってそんなにホイホイ出るもんじゃない

クイーン白玲だけでなくアマチュア強豪にもフリクラチャレンジの機会を作ろう

フリークラスバッファにして奨励会で掬いきれない才能を見出そう

・私が30年愛した将棋安易な男女対立煽りおもちゃにされることについては極めて遺憾でありf*ckの意を表明しま

以上

Permalink |記事への反応(11) | 17:56

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anond:20250808113939

経緯とか言い出すのまじで老害

あと、福間里見)と西山以外で棋士通用するやつがいない程度には女流の棋力は足りてないのが事実

都合のいいところだけ見るのやめな

Permalink |記事への反応(0) | 15:20

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anond:20250808010849 イチ将棋ファンが、「藤井七冠が羽生会長面前で「女流棋士制度」に苦言」の記事ブコメコメントしていくよ まとめ

長くなってしますみません。今回の記事で、追記とまとめになります

一部ブコメは、とても参考になり、感謝します。

>toronei微妙興行として客寄せパンダ必要無視拒否するのもナイーヴだけど、、そこに頼りすぎるのは興行として微妙になりがちで、女性プロ誕生下駄履かせるのは、後者に寄り過ぎなように思う。

>fugunokamatari興行的には女流棋戦で十分では。むしろフリクラ脱出できず即引退女流最強でも熊坂学未満wの世評になる、女流棋戦の価値毀損リスクが高い。

私にない視点でした。

あと、前回の記事で書かなかったことですが、今回、連盟が「白玲5期制度」を導入しようとしてるのは、

現在女流2強のピークは(年齢的に)今なので、女性棋士誕生のチャンスは今しかない」と考えているからでしょう。

3番目の強豪・中はまだ女流プロ入りして日が浅く、まだ実力が未知数であること、女流棋戦で2強以外に何敗かしている、という点から、まだ「女性棋士第1号」候補には推せないのではないでしょうか。

女流の実力のピーク的に今しかない」と、「ヒューリック会長が目の黒いうちに女性棋士誕生させたい」という両方の思いから、今回の提案にいたったのでしょう。

現在奨励会に在籍する女性わずかひとりしかいないので、福間西山レベル女流棋士が、今後十数年出現しないことも十分に考えられます

なので、「今」、このような制度を作ることには意義があると思います

ただ、ブコメの反応をみていると、「白玲5期」だけだと、まだ世間一般を納得させる材料は、十分ではなかったのかもしれません。

それに加えて、「奨励会三段に在籍していたか編入試験資格を1度は得たことがある」くらいは付け加えてもよかったのかもしれません。

上記条件なら、福間西山・中は満たしているので。

最後に、一番共感したブコメを紹介します。

>chinu48cm ワイのコメントも拾われてた/羽生先生は、実績解除をしたいって意図があるのも分かる。実績解除さえ起きれば後に続く女流は必ずいて、レベルは上がり続けるに違いないって信じてるのだと思う。自分も信じたくはある

 そう、羽生さんは、あとに女流棋士底上げと躍進が続くことを期待している、というか信じているのですよね。

この羽生さんの「将棋界の先をみつめる読み」がどこまでうまくいくのか、皆さんもぜひ将棋界を見守っていただければ幸いです。

Permalink |記事への反応(2) | 12:57

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anond:20250808010849 イチ将棋ファンが、「藤井七冠が羽生会長面前で「女流棋士制度」に苦言」の記事ブコメコメントしていくよ まとめ

長くなってしますみません。今回の記事で、追記とまとめになります

一部ブコメは、とても参考になり、感謝します。

>toronei微妙興行として客寄せパンダ必要無視拒否するのもナイーヴだけど、、そこに頼りすぎるのは興行として微妙になりがちで、女性プロ誕生下駄履かせるのは、後者に寄り過ぎなように思う。

>fugunokamatari興行的には女流棋戦で十分では。むしろフリクラ脱出できず即引退女流最強でも熊坂学未満wの世評になる、女流棋戦の価値毀損リスクが高い。

私にない視点でした。

あと、前回の記事で書かなかったことですが、今回、連盟が「白玲5期制度」を導入しようとしてるのは、

現在女流2強のピークは(年齢的に)今なので、女性棋士誕生のチャンスは今しかない」と考えているからでしょう。

3番目の強豪・中はまだ女流プロ入りして日が浅く、まだ実力が未知数であること、女流棋戦で2強以外に何敗かしている、という点から、まだ「女性棋士第1号」候補には推せないのではないでしょうか。

女流の実力のピーク的に今しかない」と、「ヒューリック会長が目の黒いうちに女性棋士誕生させたい」という両方の思いから、今回の提案にいたったのでしょう。

現在奨励会に在籍する女性わずかひとりしかいないので、福間西山レベル女流棋士が、今後十数年出現しないことも十分に考えられます

なので、「今」、このような制度を作ることには意義があると思います

ただ、ブコメの反応をみていると、「白玲5期」だけだと、まだ世間一般を納得させる材料は、十分ではなかったのかもしれません。

それに加えて、「奨励会三段に在籍していたか編入試験資格を1度は得たことがある」くらいは付け加えてもよかったのかもしれません。

上記条件なら、福間西山・中は満たしているので。

最後に、一番共感したブコメを紹介します。

>chinu48cm ワイのコメントも拾われてた/羽生先生は、実績解除をしたいって意図があるのも分かる。実績解除さえ起きれば後に続く女流は必ずいて、レベルは上がり続けるに違いないって信じてるのだと思う。自分も信じたくはある

 そう、羽生さんは、あとに女流棋士底上げと躍進が続くことを期待している、というか信じているのですよね。

この羽生さんの「将棋界の先をみつめる読み」がどこまでうまくいくのか、皆さんもぜひ将棋界を見守っていただければ幸いです。

Permalink |記事への反応(0) | 12:57

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anond:20250808100930

自分認識だと、女流棋士の実力は、

元三段の福間西山(+中)はプロ棋士平均やや下くらい

加藤伊藤プロ棋士の下1割と同じくらい

・それ以外はプロ棋士最下位よりも弱い

これくらいだと思う

Permalink |記事への反応(0) | 10:54

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anond:20250808095057

「四段以上の棋士5人と対局し3勝」が担保になる ←わかる

プロ棋士相手勝率6割5分以上」が担保になる ←わかる

どちらも、性質の違いはあるけど、棋力がないと達成できない。

なおかつ、性質の違いがあるから、「両方達成した」というのは、算数国語が両方できるみたいなもんで、総合的な頭の良さの担保になる。

いっぽうで、白玲を5期取ったところで、女流レベルが非常に低くなったら(極端な話、たとえば小学生レベルになったら)、それは男性棋士との比較において、棋力の担保にはならない。

もちろん、現実的にはこれまでの流れ通り今後とも女流の棋力は伸び続けて、棋力の担保杞憂に終わる可能性の方が高いとは思うけど、少なくとも懸念としてはそういう意味やろ。女性奨励会員の在籍状況から考えて、今後しばらくは、福間西山に迫る女性は現れないのではという懸念もある。これもまた、少し長い目で見れば杞憂だとは思うけど。

んで、そういう話と、「現在編入試験には何も問題がない」かどうかの話は、あんまり結びつかないというか、ピンと来ない。現在編入試験問題があるなら、それはそれで改善すればいいだろう。

追記

なお、私自身、もしも白玲5期について投票を求められたら賛成票を投じるとは思うけど、棋力の担保について改善できたらいいと思ってて、ブコメにも書いたけど「白玲1期ごとに毎回編入試験を受けられる」といいなぁと思っている。運不運が平均されて、福間西山にとっては5期以内に合格する可能性が高いし、将来の超有望な若手女流が、(まずA級まで上がる必要はあるけど)5期を待たずに駆け抜ける道も拓ける。試験官となる四段棋士負担は増えるけど、白玲の高額賞金を編入試験に振り向ける余力は十分にあるやろ。白玲5期の制度だとほぼ確実に「編入試験に落ちてから獲得する資格」になってしまうわけで、白玲としても「編入に落ちた女流棋士になれる棋戦」より、「チャンスを与える棋戦」と見られるほうがブランディングとしてかっこよくない?

Permalink |記事への反応(1) | 10:22

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将棋界の女流プロの実力について

以下文章を読んで、女流プロの実力について認識に違いがあると感じたためコメント

https://anond.hatelabo.jp/20250808010849

将棋界に詳しくない人ですね。「女流は弱すぎる」こともないです。「現在女流棋士の平均は、プロ棋士よりはやや弱いくらい」だと思いますAI研究やすくなった影響はあります

自分意見としては、女流トップ男性棋士と遜色ないが、平均レベルはかなり落ちると考えている。

まず前提として、女流棋士になるためには以下3つのルート存在する。

・27歳未満で研修会B1以上

女流棋戦にアマチュア枠で出場し、好成績を収める

奨励会から退会後に申請

多くの女流棋士研修会の成績により女流棋士資格を得ることになる。

ちなみに、この研修会で以下成績を残すと、奨励会への編入資格を得ることができる。

・15歳以下の時点でA2に昇級

・18歳以下の時点でSに昇級

研修会の規定から見ると、奨励会への編入資格を得る方が、女流棋士資格を取るよりも難しい。

そして、棋士になるためには奨励会三段リーグを抜ける必要がある。

もちろん、女流トップ福間西山の2人が男性棋士と遜色ない実力をもつことは明らかであるが、

女流棋士全体のレベルでみると大きく乖離していると考える。

非公式レーティングサイトを見ても、福間西山の両名は女流棋士平均レベルと大きく乖離した位置にいることがわかる。

http://kishibetsu.com/ranking4.html

結論として、女流棋界のレベルは上がりつつあり、トップ男性棋士と遜色ない実力があるが、

男性棋士比較して平均レベルでは大きく落ちるというのが私の見解

余談だが、ここ最近将棋界は白玲戦の編入規定のように、例外的制度ばかり増やしている印象がある。

奨励会から女性棋士誕生させるためには、女性奨励会員を増やすための方法をもう少し真剣に考えたほうがよいのではないか

現在女性奨励会員はわずか1名であり、それでは女性棋士誕生は難しいだろう。

Permalink |記事への反応(4) | 10:09

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anond:20250808012143

今の閉塞感って「福間西山より若い世代に有望株がいない」ことだと思うんだけど、ふっと女版の藤井聡太みたいな逸材が現れて、編入だの白玲だのの議論を尻目にサッサと三段リーグを抜けていく、みたいなことも、十分起こりうると思うんだよね。まあ、たとえば、10年後に起きるくらいならぜんぜんありうる。

Permalink |記事への反応(0) | 09:28

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イチ将棋ファンが、「藤井七冠が羽生会長面前で「女流棋士制度」に苦言」の記事ブコメコメントしていくよ

藤井七冠が羽生会長面前で「女流棋士制度」に苦言」 という記事が盛り上がってますね。

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.dailyshincho.jp/article/2025/08070540/

イチ将棋ファンの私が、ブコメを読んで、思ったことを書いていくよ。

ちなみに私は、「とにかく将棋界は、(将棋ファンの中での話題でなく)一般世間での話題にならないと、将棋界に未来はない」と思っています人口減で、将棋人口が減るからですね。

藤井七冠の話題はもう勝っても新鮮味もないし、「女性棋士誕生」は、一般世間向けに話題になる。うまくいけば、女子将棋を始めてくれる子も増えるでしょう。

なので、基本的に今回の「白玲5期でプロ入り」の制度(白玲5期制度、とこれからは書きます)、および話題作りには、個人的には賛成派です。

「ほかのプロ入りをかけて戦っている男性奨励会員を差し置いて、プロ入りさせるのはどうか」というもっともな意見もわかります

そもそも女流棋士制度自体女性優遇制度なのに、さら女性優遇する制度を作るのか」という意見もわかります

それらの意見もふまえたうえで、私は今回の白玲5期制度に賛成します。

なぜなら、プロ将棋は、まず興行から

興行なので、「今以上に女性ファンを増やしたいから、女性リーチしたい。」と考えたときに、女性棋士誕生させたい、と考えるのはごく自然なことだと思うからです。

弱い人が将棋棋士になっても見向きもされない、という意見はありますが、「女流二強」の福間西山は、すでにベテラン中堅(つまりロートル)の男性棋士より実力があります

ただ、前回のプロ編入試験では、プロ編入試験試験である若手四段たちに勝ちきれませんでした。ロートルよりも若手の方が、実力が高いのは、将棋界も同じです。

まり里見西山は、今、仮にプロ入りしても、「そこそこの成績は残せる見込みがある(ベテラン勢には勝てそうだから)」わけです。

ただ、「基本、年間4人しかプロになれない」というプロ入りの壁が異様に高いだけです。

なので、興行の面の観点から、強い女性に限って(現状、白玲5期制度にかなう女流棋士は、福間西山と、次点で中の3人のみでしょう)、下駄をはかせてこの「プロ入りの壁を低くする」のもありなのではないか、と私は考えます

「ほかのプロ入りをかけて戦っている男性奨励会員を差し置いて、プロ入りさせるのはどうか」という話に対しては、三段リーグの四段昇段者(プロ入りのこと)枠を増やす、それで将棋界全体が食えなくなってしま懸念があるなら、下位棋士引退条件を厳しくする、といった改革必要だと私は思いますが、これは今回の「女流棋士制度」とは別の話になると思います

さて、ここからは、気になったブコメコメントします。

>graynora女性棋士昇格も課題多いが、C級2組の下位ベテラン棋士三段リーグトップ争いの若手棋士予備軍の棋力が完全に逆転している気がする件については改革されることなく終わるのだろうか…。

 下位棋士引退条件を厳しくする、という「自分たちの身を切る改革」を提案する棋士は、出てこないでしょう。残念ながら。

>Kanemoriプロの平均と比べて、女流は弱すぎる。不利な作戦である振飛車だらけ。想像しかないが、「角換り」に代表される、プロとしての基本の戦型を、早い段階で教えられずに、棋力がスポイルされてる疑いがある。

 将棋界に詳しくない人ですね。「女流は弱すぎる」こともないです。「現在女流棋士の平均は、プロ棋士よりはやや弱いくらい」だと思いますAI研究やすくなった影響はあります

 「不利な作戦である振飛車だらけ」これも間違いでしょう。居飛車振り飛車はみたところ半々くらいでは?ちなみに、振り飛車にすると「評価値」が1%ほど下がりますが、人間は「絶対ミスする」ので、それで勝敗は決まりません。AI同士の対局だと影響が出ますが。

 「「「「角換り」に代表される、プロとしての基本の戦型を、早い段階で教えられずに、棋力がスポイルされてる疑い」これもないですね。単に個人の棋力の差が出てるだけ。

>chopapapa 「里見西山を特例でプロします」の方がまだ納得感がある。この2人いなくなった女流で白玲5期取っても本当にプロと言える棋力なのか?

 実は私も、 「里見西山を特例でプロします」でいいと思っています。「優遇じゃなくて、制度上勝ち残ってプロ入りしました」というタテマエがほしいのでしょうね。

>tomiyai 白玲5期できるなら女流トップブトップだし若ければフリークラスでやる棋力はあるだろう…がその前に編入試験に挑戦してるだろうからそっちで受かってほしい気持ちはある。

 そのとおり。

>pwkwk将棋人口における女性割合は本当に少ないし、将棋界の将来を憂いた羽生さんの会長としての置き土産藤井七冠もいずれその立場に立たされる時に分かるのでは。

 羽生さんと、ヒューリック会長女流棋界の一大スポンサー)の目の黒いうちに、女流棋士誕生させたい、という意気込みは感じますね。

>mr_yamada個人的には女流のフリクラ編入なら棋力が足りないなら、食えなくなるだけなので問題ないと思ってる。

 そのとおり。ただし、女流棋士とは兼業可能なので、プロ棋士で成績が残せなくても、女流棋士で圧倒的に稼げる。

>aga_aga羽生巨人の肩を過大評価している。将棋人口を増やすならそもそも求められているハードル年収を下げることすら考慮せねばならず、それで棋界と棋士生活が持たないならそれが時代要請だということだろう。

 ぜひ三段リーグの昇段枠を増やす改革をしてほしいですね。

>emanontan女流棋士なんて凄いと思ってる将棋ファンは一人もいない 女子枠のプロも同様の扱いになるだけでしょう 抜け道から入りたいなら好きにすれば良い

 昔の将棋ファンには「女流棋士は弱い」という認識の人は結構ますね。棋譜を並べてみればわかりますが、今は「トップ層の女流棋士なら」全然そんなことはないです。AI研究環境は整っているので。

>nobori_lupin こういう制度棋士になると、マスコミ対応広報活動が増えて棋力伸ばす時間が減ることを懸念するなあ。女性活躍してもらいたいなら、サポート体制に力を入れた方がいいんじゃないか。

 優勝賞金を狙える超トップ棋士以外は、皆、普及活動はやっていると思います

>golotan理屈の上では三段リーグ相当の実力者に一度も勝たなくてもプロになれてしまうというのは、実力を測る上で問題だとは思っていたが。奨励会3段在籍経験などの条件を追加するべきでは

 それも一案だと思います

>umarukun女性下駄を履かせる制度だと思うけど、それでも普及が必要であるという判断なのかな。

 そうです。

>shoutarouchan 今からクイーン白玲になれるぐらいの棋力がある人なら、普通に棋戦に参加したら4割5割は勝つんじゃないかな、それぐらい女流棋士の上の方は強いでしょ

 3~5割くらいじゃないかと思います

>shibainu1969 「こいつを特例で救うなら、あいつを特例で救ってくれ」という「あいつ」が数多くいるであろう将棋界。「あいつ」はかつての仲間で、自分が上がったために将棋界を去っている。反対する気持ちも分かる。

 私も分かります。四段昇段枠は増やしてほしいですね。これとは別案件

>rohizuya最初期は女子棋士と陰口を叩かれる覚悟必要か…4段になれなかった人からの妬みもあるだろうし。

 そうですね。これは仕方ないかも。

>satomi_hanten 今の編入試験ハードルが少し高過ぎる気はするが、現実女流タイトル保持者が四段以上担保されてるかというと疑問なので内心ではみんなそう思ってるでしょ。ビジネス優先するかどうかの話になる。

 私には、ビジネスを優先するしか将棋界の未来はないように思われます

>behuckleberry02奨励会を勝ち抜くのと女流タイトル制圧するのは「相手棋士では無い」という点で質は近い。棋力も先人の奮闘で「奨励会三段リーグ上位」は担保されていると言える。棋力以外の障壁を取り除く新制度必要だろう。

 その通り。

>hasiduki 三段やアマチュア女流より弱いプロ棋士は全員引退ですね!!!!!!!!!

 それが一番わかりやすく、健全ですが、そうはならないでしょうね。

>shibainu46奨励会女性門前払いしてないので、ショービジネスとしての観点からでしょ。棋力は低いことは確定だし、その枠の人と当たることで白星ボーナスになるから不公平が生まれるよね。

 そうですね。

hitac 棋力を言うのならC2のロートルはどう考えても女流トップアマトップより棋力がないんだが(年齢による衰えは当然の事)それはどう考えてるわけ?若い頃のほんの一時の棋力さえ高ければいいのか?

 将棋棋士は「一度なれれば引退しない限りは食える」ので、若い頃のほんの一時の棋力さえ高ければいいのです。衰えたら引退

>Knoa 白玲5期を取るまでの間にほぼ確実に既存編入試験基準を満たすので、編入不合格が前提となり、棋力という点では逆の意味での担保になってしまう。将来、女性棋士編入組と白玲組に格差が生まれ心配がある。

 白玲昇段組は、多くとも5年に1人しか出ない制度なので、格差が出るほど人はいないと思います

>fujifavoric この新制度の成立はフリークラス制度存在なくしては語れないのにフリークラスのフの字もない、藤井の威を借りたいだけのゴミ記事

 まあ、将棋やらない人はフリクラ制度をしらないでしょうし…

>KenKens これはホントそうなんよ。いまの西山さんとか個人を見てれば気持ちもわかるけど、じゃ将来にわたって同じ水準が得られるかでいったら微妙

 「今」強い女流がいるけど、今後出てくるかはわからないわけで。難しいですね。

>poko_pen羽生会長女性枠を増やしたいというよりも、女流の方が新たなスポンサーが付きやすくて金も入るから忖度してる感はあるのよね。女性棋士を増やしたいのは建前だろうなと

 それはあるかも。女性棋士を増やしたいのに、嘘偽りはないでしょうけど。

>donovantree少子化将棋人口が減っていくのはわかってるんだから女子将棋ファンを増やすのは将棋界にとっては重要な事。女性会長、新制度は将来の将棋人口を増やすための先行投資だろうと思っている。

 そのとおり。

>georgew 過渡期だろうから種々試行錯誤必要だろうけど、そもそも奨励会への女性参加を増やす方策を優先すべきではないかとふと疑問に。

 奨励会行っても、金にはならない、というかリターンが不透明なので…。奨励会に行く気概のある女流棋士も多くないですね…。

kari-ko かつては実力ある渡辺明先生がこういう差し出口をいれる役回りだった気がする。時代は移ろって藤井聡太先生に手番が回るのね。

 たしか

>chinu48cm福間西山の二強が揃う今が例外的女流ハイレベルと言えなくもないからな。福間西山プロ棋士にすることに異論のある人はいないと思うが、レベルが低い時代が来ても女流からプロが輩出されるなら問題か。

 そうなんですよね。

>natumeuashiそもそも女流のもの必要ない。棋士希望する女性が圧倒的に少ないのだからプロに至るまでの選別で残らないのは確率的に当然のこと。筋力の様な生来能力差に基づいた制度ではなく、ただ偏見助長するだけ

 女流棋士は、特に女性への将棋普及を担ってますので。興行必要制度だと思います

>sin20xx 当然の指摘。本来あるべきは従来の編入試験への挑戦権が自動的付与される形であって自動的編入ではないのでは。この形で編入させても現実的には棋力の差が顕著になりむしろ女流制度にとってマイナスになるのでは

 将棋を見ない一般人(世間の人)は、そこまでみないと思います将棋ファンでなく、そういった世間の人にアプローチするのが大事なのだと思います

>srng 明らかに棋力が足りない棋士フリークラス編入で増えれば、フリークラス棋士棋士じゃないという扱いになっていく気がする。それでいいのだろうか

 フリクラ制度自体将棋ファンしか知らないので、それは杞憂でしょう。あとは将棋ファン次第。

>marton 調べたら、竜王戦が優勝賞金4400万で、女流の白玲戦が4000万プラス特別賞1000万で実質的女流棋士のほうが最高賞金が高くなってて驚いた。編入スポンサー意向が強そう。男の棋士連盟に金が落ちるならいいやと。

  「すべてはお金のため」でもいいとおもいます大人なんだし。

>sekiryo 女が棋士になるのは慣習で弾かれてるんじゃなくて単純に実力が足りないのは明白なので、真剣勝負やってる側からビジネスで女入れたいんですよという会長に不満は出るのは当然。下駄を履かされた女も馬鹿にされる。

 福間西山なら、実力で黙らせることもできると思います

>Y_Mokko現実的に女流棋士からの移行がほぼ無いのは女流棋士で収まる分には引退もせずに済むからなのよね。男と同じ土俵に行ってボロ負けしたら選手生命終わりだし、女流棋士が何時までも強くならない二部リーグ化してる。

これでも、女流棋士は以前より強くなってます。まだ「二部リーグなのは否定できませんが。

>KoshianX まあ当然こう言われるわな。ただ5期防衛ともなるともう女流棋士で敵がいなさすぎるのでプロに送り込んじゃったほうがいい気もするよなあ。プロ編入試験受験資格だけではなぜダメだったのだろうねえ

 そうですね。即プロ化したいところに、スポンサー意向がある気がします。

>nemuiumen 当然の反応だわな。アンフェがどうとかじゃない。実力で評価される場所に不純物が入ってたら、全体を疑われるものね。

 将棋ファン、ないし現役プロ棋士(の反対派)が一番気にしてるのが、このことだと思います。 私は白玲5期制度に足る女流棋士の強さを信頼してますが、そうでない方もいるのはわかります

 ただ私は、一般将棋ファン以外にアプローチする方法としては最善だと思っています

>fugunokamatari興行的には女流棋戦で十分では。むしろフリクラ脱出できず即引退女流最強でも熊坂学未満wの世評になる、女流棋戦の価値毀損リスクが高い。確実にそうならん実力があると言うなら、あなた主観ではなく戦績を出せ

その視点はありませんでした。たしかにそのリスクもあることはあるのですね。

by-king この立論ならば、YouTuberとか芸人とか外国人とかそういった棋士ファン層の拡大に繋がるだろうから、彼らのプロ入りハードルも下げるべき、となるよね。女性オンリーなら片手落ち議論と思う。

 なるほど。外国人棋士プロ入りハードルが下がる未来も来るかも?笑

>taiyousunsun 実力足りてないと誰にとっても良くないのは共通認識なんだと思う。あとはその実力を何で担保するのかという話で、藤井さんの懸念は真っ当だという感想

 まったくそのとおりですね。

>poko_pen奨励会駄目なら男はアマチュアのみ、女は女流を選べ「逃げ道」があり、必死さが足りないとは言われてるのよ。本気で女性棋士を増やしたいのなら女流制度が足を引っ張っているのよ。まずは男女不均衡を無くさないと

 その側面はあるとはおもいますが、女流棋士制度がないと、実際は「プロ女性」は皆無になるでしょうね。

>toronei微妙興行として客寄せパンダ必要無視拒否するのもナイーヴだけど、、そこに頼りすぎるのは興行として微妙になりがちで、女性プロ誕生下駄履かせるのは、後者に寄り過ぎなように思う。

 将棋界(将棋連盟)は、「あらた女性棋士誕生した」という事実が、一般世間向けにほしいだけだと思います。「(女性を入れることによっての)興行としての出来不出来」はそこまで求めてないのではないでは?と推察しています

Permalink |記事への反応(25) | 01:08

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2025-04-24

女性プロ棋士誕生に向けて

プロで言えば永世竜王獲得したらプロ棋士しますよ、みたいな案が出てきた

これはとてもいいことだと思う

だいたいの人は知っていると思うけど、棋士女流棋士は違うもの

棋士は仕組み上、女性でもなれるんだけど、なぜか基準クリアできなくて女性プロ棋士はまだ誕生してない

しかし、チェス囲碁では女性棋士はいるので、将棋だけ女性が極端に向いていない、能力が低い、のようなことは考えられない

じゃあなんでか?と言えば、羽生先生は単純に競技人口と明言されている

やる人が増えれば、女性との対局、女性が勝つことも当たり前になり、自然女性棋士誕生するだろう、とのこと

そのためにどうするか?といえば、もうどんな手でもいいか女性棋士誕生させてしまい、女性棋士特別感を早めになくすことだと考えたのだと思う

いまの女流棋士トッププロ棋士として十分な実力があるのは明らかなので、女性プロ棋士が当たり前になり平常心で臨めば普通に勝つだろう

西山さんなんて木村九段に勝ったりしてるしな

今の女流トップ福間さん(旧・里見さん)、西山さんというえげつない2トップが君臨している

この2人が実力的にプロ棋士として足りないなんて思っている将棋ファンはいないだろう

じゃあなぜ編入試験で負けたかというと、特殊環境からしか言えない

モデルケースができ、女性棋士が当たり前になれば、女性棋士はどんどん増えるだろうって考えのはず

西山福間棋士になるとこまではいいとして、注目は三人目の女性棋士だと思うわ

その三人目がやれなかったら、なんか問題提議はされそうよね

Permalink |記事への反応(1) | 15:20

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2024-12-12

フランツ・リストピアノ名曲重要曲七選(中期)

 anond:20241212205415の続きである

 マリーとの破局よりもピアニストとしての活動を選び、欧州中をわかせていたリストだったが(何しろリスト風呂の残り湯を飲もうとして待機しているファンがいるとかいレベルである)、1847年にポーランドの大地主の娘であり、キエフ軍人ザインヴィトゲンシュタイン侯爵夫人カロリーヌ出会う。コンサートツアーリストキエフに来ることを知ったカロリーヌ(別居中)は、娘の誕生日のためという名目リストを招待し(誕生日に大スターを招待できるというわけでだからどのくらいのレベル金持ちかがよく分かる)、急速に二人は深い関係になっていく(意味深)。リストピアニストとしての活動打ち切りカロリーヌと一時の同居生活を経たあと、48年からヴァイマール宮廷楽長としてカロリーヌと共に腰を落ち着けることになる。カロリーヌは長い訴訟を経て婚姻無効を勝ち取るが、リストとの結婚は認められなかった。ちなみに、カロリーヌ博覧強記で雄弁な人だったらしく(リストの多くの作品にも口を出している)、あのワーグナーが引くほどだったということであるカロリーヌ身分を巡る微妙問題に加えて、音楽界の動向的にもリストドイツに居づらくなり、約10年で宮廷楽長を辞任する。つまりリストの「中期」は短い。宮廷楽長になったことで、オーケストラ作品が多く書かれるようになった一方、新規ピアノ曲はこの時期にはあまりない。大スターの座を捨てて半分隠退生活に入ったようにも見える。しかし、この時期こそが作曲家としてのリスト確立する重要時代である。前期の作品の少なくない曲(巡礼の年パガニーニ練習曲もそうだ)はこの時期に改訂され、より演奏効果は高まり、内容も充実することになる。

1.超絶技巧練習曲 S.139(1852年出版

 リスト代表作の一つ。この時期に改訂を経て完全版になった。長年の改訂を経て磨きに磨き抜かれた。

 この曲集の決定的な録音はウラジーミルオフニコフ(EMI)だろう。どの曲も非常に質が高く、穴がない(この練習曲集は多彩な技巧のデパートなので、どこか苦手なものが出るのが常)。が、残念ながら入手性は悪い。世間的に有名なのはラザール・ベルマン(Melodiya)で、新旧二種類あるが、新版1963年)が気合いが入っている。ただ、キンキンとぶっ叩くような録音で、そこまで好きにはなれない。横山幸雄SONY)は録音も良く、やはり穴も少ない。特に第5番「鬼火」の演奏が素晴らしい。

2.パガニーニによる大練習曲 S.141(1851年出版

 1840年出版パガニーニによる超絶技巧練習曲改訂版。元々の第4曲は単音アルペッジョになり大分おとなしくなったが、それ以外の曲については、難易度を落としつつ、同等以上の演奏効果を発揮できるようになった。第3番「ラ・カンパネッラ」はここで非常に完成度を上げて今の形になった。

 40年のパガ超と違い録音は多い。有名なのはアンドレワッツEMI)だと思う。昔図書館で借りて聴いたことがあるがどれも安定の演奏。その他だとフィンランドピアニスト、マッティ・レカリオ(Ondine)の激烈な演奏があるが、残念ながら廃盤で入手困難(Naxos Music Libraryにはあったかな?)。フィリペツのパガ超のCDNAXOS)にも入っており、これまた大変安定した演奏で、パガ超と合わせてフィリペツを聴くのがいいだろう。あと、「ため息」で紹介した福間洸太朗(アコースティカ)のCDにも入っている。これも大変安定していると思う。

追記)レカリオはNMLにもiTunesにあった(Raekallio Lisztででてくる)。YouTubeにもあった。https://www.youtube.com/watch?v=SkuWa2HDk58&list=OLAK5uy_kN6U4dNkOzK4Cv1DZfZDWoidTcP7yPxr8

3.ピアノソナタロ短調 S.138(1854年出版

 ピアノソナタが量産されていたのはベートーヴェン(32曲)までの時代であり、19世紀半ばにはピアノソナタ落ち目ジャンルであった。一方、気合いの入った大曲を書く時にピアノソナタという古典的様式を敢えて選ぶことはその後もあり、ショパンリストソナタはその例だろう。リストソナタは、単一楽章という異例の様式だが、単一楽章の中で多楽章形式の要素とソナタ形式提示部・展開部・再現部)の要素を融合させ、しかも一つの動機(冒頭のタッタラ~タ~ララタラララ~というつかみ所のないアレ)によって全体が統一されているという極めて斬新で前衛的な曲だった。そのため当時はよく言って賛否両論といったところで、現在ではリスト最高傑作の一つとして評価されている。

 リスト最高傑作であるからして録音も非常に多く、推薦音源を挙げるのは難しい。取り敢えずクリスティアン・ツィメルマン(Deutsche Grammophone)の演奏が端正であり、技術的にもハイレベルで良いと思う(難所でタッチが浅くならず、深く充実した響きが聞こえるのが良い!)。ぶっ飛び系なので好みは分かれると思うが、カティア・ブニアティシヴィリSONY)の演奏をよく聴いている。

 なお、この曲と関連する重要作品としてスケルツォマーチ S.177がある。面白い曲だが泣く泣く割愛した。デミジェンコHyperionHelios)が良い演奏している(ソナタや「伝説」とカップリング)ので聴いてほしい。

4.バラード第2番ロ短調 S.171 (1854年出版

 ショパン1832年パリデビューし、特にサロンでの繊細な演奏女性たちの心をわしづかみにした。リストショパン演奏に狂った一人である(またかよ)。リストショパンのことを友人と思っていたが、ショパンの方は割と適当にあしらっていたという話もあり、リスト片思いだったのかもしれない。ただし、ショパン練習曲作品10リストに、作品25をマリーに献呈している。つまりリスト夫妻にショパン練習曲は捧げられたわけで、結構親しい関係にあったことが分かる。リストショパン死後にショパンの本を書くくらいにショパンには思い入れがあり(最近新訳が出た)、弟子にもショパンを弾けと言っていたようであるが、作曲面でもポロネーズバラードなど明らかにショパンの影響と思われる様式の曲を書いている。中でもバラード第2番は大変な傑作で、冒頭の重苦しい主題が終盤にロ長調になって戻ってくるところは本当に感動的である

 これまたあまり推薦音源が思いつかないが、アンスネスEMI)のCDがかなり良かった覚えがある。前期で出したノンネンヴェルトの僧房も入っている。

 (追記)スティーヴン・ハフ(Hyperion)がポロネーズバラードを全部録音しているのを思い出した。ピアノソナタカップリング。あとショパン弾きで有名なネルソンゲルナーレーベル覚えてない)の演奏もの凄く良かったと思うのだが、どこで聴いたか・・・(この曲はショパン弾きにこそ弾いてほしい!)。YouTube動画をあげまくってCDデビューしたヴァレンティーナ・リシッツァベーゼンドルファーを使って弾いている動画がある(収録風景https://www.youtube.com/watch?v=1Qdr3Uvs09oコンサートhttps://www.youtube.com/watch?v=uBs4jtWMBj8)。97鍵もあって低音がアホみたいに響くから重たいが、この曲には合っている。ただCD(持ってない)でそこまで迫力があるかな

(再追記ゲルナーあった!(https://www.youtube.com/watch?v=m90vsN3SjvM配信もあるのかな。

5.ハンガリー詩曲第1~15番(1851/53年出版

 トムとジェリーで有名なハンガリー詩曲もこの時期に改訂が終わって現在の形になっている。リスト採録しているのはハンガリーマジャール)ではなく、ロマ音楽なのだが、リストは、ロマ民謡を素材に使ってハンガリー民族叙事詩を作り上げようとしていた(それがバルトークのようなマジャールからドイツ人が勝手なことやりやがって・・・という風に見えていたわけだが)。どの曲も重々しいラッサンと華やかなフリシュカという二つの舞曲的なパートから成り立っていて、構造的に単純で、しかピアニスト時代のようにド派手で豪快な曲が多く、リスト入門に良いと思われる。

 ミッシャ・ディヒター(Phillipes)が全曲では有名だと思う。ハンガリーリストの再来とされていたかシフラ・ジェルジの録音もあったはず。第2番はホロヴィッツ編曲版を弾いているスルタノフの爆演が好き(https://www.youtube.com/watch?v=_BFalOtwUy8)だが、スルタノフを聴くと大概の演奏が物足りなくなるおそれがある。残念ながらスルタノフは若くして亡くなってしまった。ホロヴィッツ編曲版ではない場合、第2番はカデンツァを挿入する部分があるので、独自カデンツァが見物になる。その点で一番に言及しなければならないのは我らがスーパーヴィルトゥオーゾのアムラン(Hyperion)で、アルカンの大練習曲op.76の引用が入り3分以上続く頭のおかしいぶっ飛んだカデンツァだ。日本公演の映像もある(https://www.youtube.com/watch?v=pIMzL2-4bjg/8:30あたりから)。あとは自作ジャズカデンツァを用いて全体にやる気がみなぎるデニスマツーエフBMG)、ラフマニノフカデンツァ使用し爆演系のレオニード・クズミン(Russian Disc)がお勧め。ただしクズミンのCD廃盤倒産で入手困難であり、今後他社からの再発が望まれる。

 第15番「ラコッツィ行進曲」は何よりもホロヴィッツ本人のいかれた演奏聴くべきだろう(古い音源なので検索すればすぐ出てくる)。音質は悪いが、聴く価値がある。昔ホロヴィッツ編曲版にチャレンジしている勇者を見つけていたく感動したことを思い出した(https://www.nicovideo.jp/watch/sm10176725)。

 なお、15番以降19番までハンガリー詩曲はあるが、晩年様式なのでこれ以上は紹介しない。

6.タンホイザー序曲(1849年出版

 リストドイツ宮廷音楽家として、新ドイツ派(当時のドイツにおける管弦楽の停滞(と彼らは考えていた)を問題視し、ロマン主義音楽再生を志す人々)の頭目的な存在だった。そのため、同じような立場にある人々、特に売れっ子とは言い難かったワーグナー作品積極的に上演・紹介したのだが、40年代以降ピアノ編曲もいくつも作っている。リストの最も有名なワーグナー編曲は「トリスタントとイゾルデ」の終曲(愛の死 S.447)だが、自分タンホイザー序曲が単独では最上作品だと思う。何よりも前期のオペラ編曲もの同様、豪壮無比な超絶技巧を聴かせてくれるのが良い。

 ちなみにリストの次女コジマは夫のハンス・フォン・ビューローワーグナーにとっては恩人)を裏切ってワーグナー不倫し、リスト激怒する(後に和解)のだが、自分マリーやカロリーヌやらせいたことだ。

 タンホイザー序曲の録音は意外とない。ユーリ・ファヴォリン気合いが入った演奏https://www.youtube.com/watch?v=xJYkouNnuwo)が一番良いのだが、CDは手に入りにくい(一応、ヴァン・クライバーンコンクールでの演奏があるらしいのだが・・・)。スタジオ録音が望まれる。前期作品の時に名前を挙げたロルティ(CHANDOS)も美しいが、技巧的には前者が圧倒的。実は、ワーグナー本人もピアノ編曲を作っているが(https://www.youtube.com/watch?v=KdXPFBcP1bQ/カツァリスのCD「ワグネリアーナ」に入っている)、リスト編曲と比べると一目(耳?)瞭然、どちらが音楽的に充実しているかは明らかである

7. 詩的で宗教的な調べ(1853年第3稿出版

 30~40年代から書かれている曲だが、やはり最終版になったのはこの時期。もっとも早く書かれた「死者の追憶」(第3稿第4曲)を聴くと、非常に調性が曖昧な曲で、30年代から既に晩年様式が準備されていたことが分かる。第3曲「孤独の中の神の祝福」はリスト敬虔さが音楽昇華された隠れた傑作。アムランが好んでおり、2回も録音している(ノルマが入っているMusic & Arts盤とソナタや「補遺」がセットになっているHyperion)。

 この曲の中で最も有名なのは、第7曲の「葬送――1849年10月」だろう。非常に暗い曲だが、タイトルが指す通り、ハンガリー革命で奮闘し、鎮圧され死んだ人たちのための追悼音楽

 全曲では先のユーリ・ファヴォリンが録音しているが、筆者は未入手。配信で聴けたかと思う。どうでもいいことだが、デミジェンコライブ録音(Hyperion/7番のみ)を聴くと、明らかに鼻歌で歌っていて面白いグバイドゥーリナシャコンヌでも結構はっきり聞こえる)。

 宮廷楽長としての生活の中でリストの前期作品の多くが音楽的に充実されたが、音楽界での軋轢劇場でのトラブルカロリーヌ身分を巡る問題で長くは続かなかった。そろそろ次の時代に進もう。

追記

 前期のところに、ベートーヴェン交響曲ピアノ編曲についてのコメントがあった(anond:20241212215414)。

 リストベートーヴェン交響曲を全曲編曲しているが、初版出版1865年で、時期的には後期にあたる。ただし、3、5-7番の編曲は1837年には出来ており、個別出版されていたようだ。リストピアニスト時代からベートーヴェン作品布教に熱心に取り組んでおり、その一環として作られた。ボンベートーヴェン記念碑建設のために多額の資金提供したりもしている(ちなみに同様に寄付を呼びかけるためにシューマン作曲したのが「幻想曲ハ長調」だ)。

 リスト作品の中でも記念碑的なものになるが、コンセプトは幻想交響曲編曲同様なので泣く泣く割愛した。

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フランツ・リストピアノ名曲重要曲七選(前期)

 最近流行ってるゲーム史上の重要性とは何も関係ないが何となく思いついたのでやってみることにした。

 フランツ・リスト(1811-1886)はハンガリー王国の寒村ドボルヤーン(現オーストリア・ライディング)に生まれ作曲家リストハンガリー人としての自意識を持っていたようだが、両親はドイツ系であり、他方でパリ成功を収めた関係フランス語を使って生活していたと思われる。いわゆるコスモポリタンであり、○○国の音楽家とは言いにくい。音楽史上の重要性ではバッハやベートヴェンには劣ってしまうから義務教育では名前は出てこないだろうが、少なくともピアノ音楽史上は絶対に避けては通れない。無尽蔵の超絶技巧によってピアノ表現可能性を著しく拡張たからだ。膨大なリストピアノ作品から7選ではきついので、リスト活動時期に区切って7選ずつということにした。

 クラシック音楽の紹介をする以上、演奏(録音)の紹介は避けて通れない。まさか自分で弾いて確かめろというわけにもいかないだろう。筆者は、リストの豪華絢爛な超絶技巧音楽が大好きである一方、特に晩年に多い宗教的内向的音楽は未だにあまりピンと来ない感がある。努力はしたが、晩年作品を中心にうまく推薦ができていないのは好みの関係で、あまり色々な音源を聞き比べていないことが一つの理由だ。

 リストピアノ作品はあまりに膨大で、しかも抜群の技巧を要求する作品も多い。一曲ごとの規模の違いを無視していうが、大量のピアノ曲を残した作曲家であるショパン場合作品数は200強。単独ピアニストによる全集も作られているし(ギャリック・オールソンアシュケナージ横山幸雄も作ってますね)、レコード会社企画モノで複数ピアニストを起用して制作されることもある。横山氏みたいにぶっ続けの連続演奏会を開いてしまうことも不可能ではない(https://www.afpbb.com/articles/-/2784123)。

 しかリスト場合は単純な作品数の多さ、別稿・異稿が多く存在すること、難易度の高い曲が非常に多いことから、「全集」の制作は困難を極める。複数ピアニストを起用しているNAXOSリストピアノ曲集シリーズも未だに全曲をカバーできていない(もし完結していたら教えてください)。その点で単独リストピアノ作品全集という前人未踏の大偉業を成し遂げたレスリーハワードCDHyperion)は本編と別巻(新たに発見された別稿・異稿)あわせて99枚というとんでもない分量がある(全曲試聴可能https://www.hyperion-records.co.uk/dc.asp?dc=D_CDS44501/98)。優れたピアニストであるハワードでも、短期間に、といっても10年以上あるが、大量の作品を録音しなければならない計画故、詰めの甘い演奏がかなりあるように感じられ、何も考えずにハワード全集を推薦するわけにもいかない。とはいえハワードのおかげで取り敢えずリストピアノ曲のほとんどをまともな「音」として把握できるようになった。ここで敬意を示しておきたい。ハワードCDを一巻ずつ紹介している古くからサイトがあり、本当に頭が下がる(https://www.katch.ne.jp/~hasida/liszt/liszt.htm)。良くない演奏もバシバシ指摘している。

 リストの生涯について。作曲家の生涯を知ることが楽曲理解に必ずしも結びつくわけではないが、それでも、どのような作風意識しているのかとか、どのようなモチーフを描こうとしたのか(特に標題音楽場合)ということを知ることは有益だろう。作曲家の置かれていた状況を知ることはその理解の助けになり得る。リスト場合、ざっくりいえば大スターとして活躍した1840年代までの時期(前期)、ワイマール宮廷楽長としての活動が中心になる50年代(中期)、そして50年代末の波乱、特に愛人カロリーヌとの結婚が認められず、子どもの早世などの不幸に連続して見舞われた後、ローマに腰を落ち着け作曲活動を再開し、亡くなるまでの晩年の時期(後期)に活動を区切ることができる。このあとは単に前期・中期・後期とのみ述べる。ここで紹介するのは、前期、少年時代からピアニスト時代までのもの。父を失って本格的にピアニストとして稼がねばならなくなり、大スターになっていくが、仕事ばかりで事実上奥さんとは破局する。そして後年の恋人カロリーヌ出会いヴァイマール宮廷楽長に就任するまでだ。

 作品番号について。クラシック音楽には、出版社のつけた出版順序を示す作品番号(op. xxみたいなやつ)がついていることが多い。クラシック音楽では、抽象的に「ピアノソナタ」とのみ名乗る曲が多いので、作品番号は楽曲区別にとって大事になる。しかし、リスト作品番号は出版社ごとに全然違うなど滅茶苦茶で(こういうことはシューベルトにも言える)、作品番号では把握できない。そこでよく使われるのは、イギリス音楽学者ハンフリー・サールが整理して付番したサール番号(S. xx)であるWikipediaにもサール番号順のリスト作品一覧があるので参照されたい。

1. 48の練習曲 S.136(1827年出版

 彼の代表作の一つ、「超絶技巧練習曲」の初稿にあたる作品。48とあるが、実際には全12曲。「超絶」を聞いたことがある人なら驚くはず。リスト15歳の頃の作品リストハンガリー貴族たちから奨学金をもらってチェルニーの元で学んでいたのだが、本作品は明らかに影響が見て取れ、微笑ましいと思うか、チェルニー××番を思い出して頭が痛くなるかは人次第だろう。録音は多くない。筆者はハワードを一聴したことがあるのみ。ウィリアム・ウォルフラムNAXOS全集20巻)は未聴。パガニーニの影響を受けたあとの改訂版24練習曲 S.137)は異常に難易度が高い割に第三版にあたる「超絶技巧練習曲」ほど演奏効果がないのでやはりほとんど取り上げられない(ハワードは録音している)。

2. 「ある芸術家の生涯の出来事」 S.470(1834年出版

 タイトルでもしやと思った方、あなたは正しい。ベルリオーズの「幻想交響曲」のピアノ編曲だ。実は原曲よりも出版自体こちらの方が早いようだ。ふられた作曲家がヤクをやって彼女を殺して処刑されて悪魔サバトに遭遇するという夢、というとしょーもない話だが、この曲は初演当時多数の人々を熱狂に巻き込んだ。リスト熱狂した一人だった。それでピアノ編曲までやってしまったのだが、当時は録音技術がないので、家でちょっと味わおうとCDだのSpotifyなどというわけにはいかない。ピアノで弾くしかないわけだ。とはいえ、よくあるオケ作品のお手軽編曲ではなく、オーケストラの生み出す音響可能な限りピアノ再現しようとした意欲的な作品だ。演奏難易度は極めて高い。フランソワ=ルネ・デュシャーブル(EMI)とニコライ・ペトロフ(原盤は知らないがVeneziaの再版盤を所持)の演奏が世評高く、特に後者演奏は凄まじいが、まだまだこの曲のポテンシャルを完全には引き出していないような気がする。ジョヴァンニベルッチ(CD未所持)は公式YouTube演奏動画アップロードしている(https://www.youtube.com/watch?v=bSqunBoj0cY)。これが一番アクセスやすいだろう(録音は一番良い気がする)。

3.パガニーニによる超絶技巧練習曲S.140(1840年出版

 1828~34年に欧州コンサートツアーを行ったヴァイオリニストのニッコロ・パガニーニは極限まで高められた演奏技巧と表現力によって多くの熱狂ファンを獲得した。リストパガニーニに狂った一人(またかよ)。全6曲、すべてパガニーニ作品から編曲だ。ヴァイオリン技法ピアノに映すというよりも、パガニーニから霊感をもらってピアノ技巧の拡張を試みたものと言って良い。第3曲が「ラ・カンパネッラ」(ヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章編曲)だが、有名な「ラ・カンパネッラ」は、実は本曲集の改訂版S.141(1851年出版)の方であり、本曲集を聴くと、違いに驚く(逆にパガニーニ原曲を知っているとそちらに忠実ということに驚く)と思われる。そしてこの曲集は何よりも演奏難易度の高さで悪名高く、特にひたすら重量級かつ幅広い跳躍のある和音アルペッジョが続く第4曲(の第2稿)はピアノマニアの間では語り草になっている。また第6番「主題と変奏」(原曲24の奇想曲第24番)の第9変奏も地味ながら恐ろしく難しい。

 かつては本曲集といえばペトロフ(原盤Melodiya、VeneziaとOlympia再版盤で所持)、大井和郎(Deutsche Shallplatten)、そしてハワード全集しかなく、マニアたちがアップロードしているMIDI演奏非人間的超絶技巧を楽しんでいたのだが、現在ではゴラン・フィリペツ(NAXOS全集42)とヴァレチェク(Capriccio)が挑戦している。現在でもペトロフ演奏が最も高い水準にある思われるが(映像もあるhttps://www.nicovideo.jp/watch/sm12879344)、フィリペツの演奏もそれに並ぶハイレベル演奏であり(流石に6番の第9変奏は苦しそうだが)、CDの入手可能性もあるので今ならフィリペツを聴くと良い。

 困ったことにペトロフ映像は中々手元を写してくれない。ニコニコ動画で「国家機密の指」と揶揄されているが、確かこれはペトロフカメラに写されることを非常に嫌っていたからだと思う(出典は忘れた)。

4.旅人アルバム S.156(1836年~1842年出版)、「巡礼の年 第一年:スイス」(1855年)、「巡礼の年 第二年:イタリア」(1858年)、「第二年補遺ヴェネツィアナポリ」(1859年改訂版

 ダグー伯爵夫人マリーは当時のパリ社交界代表する人物で、たいへんな美貌の持ち主だったという。リスト1834年からマリーと逢瀬を重ね、35年にマリーは妊娠している。大胆なスキャンダル芸能人特権

 特に社交界でつまはじきにされることもなかったようだが、人目を憚るように二人は(それぞれ一時的パリ帰国も挟みつつ)スイスイタリアへの旅行順次出かけている。鉄道もない時代なので妊婦には大変な重労働だったはずだが、ジュネーヴで36年12月、長女ブランディーヌが誕生した。

 旅人アルバムは、スイス旅行で見聞きした風景民謡モチーフにした曲集で、全19曲ある。このうちの数曲が改訂を経て「巡礼の年 第一年:スイス」 S.160(1855年)に結実する。また、37~38年に訪れていたイタリア旅行で見聞きした風景芸術作品から受けた霊感表現した「第二年」と「補遺」も出版は後年だが、大部分は39~40年頃に完成していたらしい。

 旅人アルバムほとんど聴いたことがない。NAXOS全集32のアシュリー・ウォスもハワード全集でも聴いてない。巡礼の年の方は、第三年も含めた全曲盤ならラザール・ベルマン(Deutsche Grammophone)が有名。村上春樹小説中に登場したせいでクラシック音楽CDにしては珍しく再版がかかった。個人的にはルイ・ロルティ(CHANDOS)の演奏がとにかく美しく、大好きである巡礼の年は、大曲もあるが、短めで肩肘張らずに聞ける曲も多いので、リスト入門にはもってこい。第一年の大曲「オーベルマンの谷」単独ならアルカーディ・ヴォロドスSONY)がホロヴィッツ編曲を織り交ぜながら気合い入りまくっている(https://www.youtube.com/watch?v=4ADtxG-b8ik)。第二年、そして本曲集最大の大曲であり、リスト最高傑作の一つであるダンテを読んで:ソナタ幻想曲」は、評判の高いベルント・グレムザー(Koch Schwann)は未入手。ロルティ(CHANDOS)は全集版も第二年だけの旧録音どちらも良い(とにかく超絶技巧を味わいたいなら若い頃の旧録音が良い)。有名曲なので演奏動画をアップしている人はプロアマわず色々いる。

5.ベッリーニオペラノルマ」の回想 S.394(1844年)

 幻想交響曲もそうだが、リスト作品の多くを他作品編曲が占めている。特に多数のオペラ編曲があるが、この曲が最高傑作だと思う。中盤の鍵盤を駆け巡るアルペッジョは明らかにジギスムント・タールベルクの「三本の手」を取り入れたもので、聴いていて気持ちが良い。後半の「戦争だ、戦争だ!」のテーマに基づく部分は極めて難しく、ここを上手く弾けるかどうかがこの作品の見所。しかいかにも難しいという様子で弾いては興ざめ。

 今ならフィリペツの映像https://www.youtube.com/watch?v=0TMypN1gW5k)が一番良い。CDもあるらしいのだが自主制作盤と思われ、未入手。他は、かつては表現意欲にあふれるベルッチ(assai)、ヴィルトゥオーゾ的な迫力あるトム・ウェイクフィールド(Symposium Records)、そして我らがスーパーヴィルトゥオーゾマルク=アンドレ・アムラン旧録音(Music & Arts)が三大録音だったと思う。アムラン新録音(Hyperion)は若干遅くなったが、抜群に録音が良くなり、総合的にこちらの方が好きかも。若手だと韓国のノ・イェジン(NCM)やイギリスベンジャミングロヴナー(Decca/https://www.youtube.com/watch?v=OVKTEoxBIKE)が大変良い。

6. 三つの演奏会用練習曲1849年出版

 40年代作曲されたもの。全3曲。演奏会用練習曲は、チェルニーのような練習のための曲ではなく、コンサート披露して喝采さらうための曲であり、いわゆる「性格的小品」の一種リストはこういう曲をひっさげてコンサートに臨んでいたわけだ。第1曲から「嘆き」、「軽やかさ」、「ため息」と標題がついているが、出版社がつけたものに過ぎない。第2番の標題通り、全体的に軽やかな作風特に「ため息」は有名でよく弾かれる。

 第2、あるいは有名な第3番の録音はよく見るが、全曲録音というと意外とない。福間洸太朗(アクースティカ)のCDに全曲入っている。確かロルティ(CHANDOS)にも全曲録音があったはず。

7. ノンネンヴェルトの僧房ピアノ初版1843年出版

 スイスイタリアマリーと過ごしたリストだったが、ピアニストとして忙しく飛び回るためにマリーを放置してしまい、結局二人は破局する。ひどい話で、破局した後もリスト演奏活動をしていたので、リストの母が子どもたちの面倒を見ていた。

 41~43年の夏にリストマリーはライン川中州にあるノンネンヴェルトの古い修道院子どもたちと共に過ごしているが、これがマリーとの最後の親密なお付き合いだった。この曲は、当時同地に夫妻を訪ねてきたリヒノフスキー侯爵の詩に音楽をつけたものシャルルマーニュ武将ローラ戦死誤報を受けて絶望した妻がノンネンヴェルト修道院に入ってしまい、ローランは二度と妻と会えなくなったことを知って修道院を見下ろせる土地に住み着き、妻を思う歌を歌った・・・という救いのないストーリーだ(歌詞https://www7b.biglobe.ne.jp/~lyricssongs/TEXT/S4212.htm)。マリーとの破局に後悔していたのか、リストはこの曲に相当執着していたようで、ピアノ独奏用を含めて複数ヴァージョンを作り、何度も改訂している。晩年バージョンアンスネスEMI)などが録音しているが、重苦しい。当時のバージョンはそこまで重苦しくないと思う。推薦音源はあまり思いつかない。全集を録音しているハワードライナーで"beloved"と書いていて、気に入っているみたいである。

 華麗なオペラものシューベルト歌曲編曲魔王を含めてかなりの曲を編曲しており、どれも魅力的)など、編曲を中心にまだまだ色々な作品があるが、そろそろ次の時代に進もう。

Permalink |記事への反応(3) | 20:54

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2024-09-19

昨日起きた将棋界史上初(多分)の快挙について

2024/9/18の対局結果

伊藤園お~いお茶杯 王位戦 予選1回戦

福間香奈女流五冠○-●☖安用寺孝功七段

王座戦 一次予選1回戦

西山朋佳女流三冠○-●☖神谷広志八段

大島綾華女流二段○-●☖豊川孝弘七段

9/18の対局で女流棋士3名全員が一般棋戦で勝利を収めた。同日に3名勝利はおそらく将棋界史上初の快挙だと思われる。

相手棋士たちも全盛期は過ぎているとはいえ神谷八段・豊川七段は順位戦B級1組、安用寺七段はB級2組を経験してきた経験豊富棋士だ。

王座戦一次予選では先月福間村田智弘七段に勝ち2回戦に駒を進めている)

女流棋士の現トップ層は一般棋戦の予選で当たるクラス棋士には普通に勝てるレベルに達していると言ってよいと思う。清水中井らの世代ではそれすらも難しかった。

女流トップと言っても福間西山だけじゃねーかという意見もまあ分かるが、昨日の対局で彼女らに並んで大島女流二段も棋士相手の初勝利を挙げたことはとてもポジティブ出来事だと思う。

かに福間西山女流棋士の外れ値かもしれないが、女流棋士全体のレベルも確実に上がっている。

福間旧姓里見)や西山は知ってるけど大島ってダレ?という人も多いと思われるので軽く紹介

名伯楽で知られる森信雄門下で奨励会受験するも不合格関西研修会で研鑽を積み、2021年女流2級でデビュー

昨年度は公式戦32勝9敗の好成績を挙げてブレイクマイナビ女子オープンでは福間加藤桃子女流強豪を連破して西山との初タイトル戦五番勝負に臨み0-3でスイープされたものの、今急速に力をつけている若手女流棋士の1人。

プロ将棋世界において男女の棋力の違いは度々取り沙汰されるが、羽生善治九段らによると主要因は競技人口の差との見方が強いようだ。実際、6級から三段まである奨励会において、中七海三段が年齢制限で退会された今、女性会員竹内優月6級(女流2級)ただ1人となっている。

奨励会を勝ち抜いて棋士になれる会員の割合が全体の1~2割とされる一方で、トップ女流棋士一般棋戦予選で勝ち星を挙げているのであれば、男女の棋力差は現状性差よりも競技人口ボトルネックになっていると見るのが自然だと思う。

生物学的な性差がある可能性も否定はしないが、それ以上に人口差による影響が大きすぎるため、今はまだそれを語る段階に達していないというのが私の意見だ。

あ、先に言っておくと囲碁囲碁でそれなりに男女差はあるからな。そもそも将棋棋士囲碁棋士は別制度から安易比較には気を付けた方がいい

いずれにせよ、奨励会員の皆さん…男がどうとか女がどうとかじゃなくてさ…その…みんな頑張ってほしいね…(口下手)

Permalink |記事への反応(4) | 17:45

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2024-03-18

ブクマカって漢字だと何て書くの?

福間家?

不苦魔化?

Permalink |記事への反応(1) | 16:37

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2024-02-02

セーラー服女性棋士も、やることやってたんだな

里見香奈さんが元日結婚を発表(235月にされていたそうです)し、2024年から福間姓で活動することを発表しました。

旦那さんは福岡県福間にゆかりがある?

Permalink |記事への反応(1) | 10:55

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2024-01-20

将棋福間女流四冠って誰やと思ったら

里見香奈結婚しただけだった

西山里見の2強を押しのけた期待の新星だと思ったのに

Permalink |記事への反応(1) | 21:18

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2023-06-19

結婚したら第三のオリジナル姓を作れるようにしたらいいのに

そしたら平等じゃない?

増田太郎福間加子が結婚したら、

神宮寺太郎神宮寺加子になるとか。

自分がなりたい名字は、

「西園寺」

如月

東雲

あたりかな

Permalink |記事への反応(1) | 19:14

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