
はてなキーワード:新井素子とは
今年の夏、数年ぶりに実家へ帰省したんだけど久々に帰ったせいでこの機会を逃すまい!と親から部屋の片づけを命じられ、ゆっくりするつもりが全然出来なかった。
仕方がなく実家の自分の部屋の掃除をしたわけだけど…机の引き出しから何やらよからぬものを発見。原稿用紙数枚分。なんとなく思い出した。自分が確か高一の時ぐらいに書いた小説もどき…。
そのまま処分しようかと思ったけど、これも何かの縁かと思い、焼き払う前にここに残そうと思って(供養の意味も込めて)、恥ずかしながら当時書いた小説をここに貼ります。
1
七月の黒板って、手のひらの汗を全部吸って、授業が終わるころにはチョークが湿気で太る。
セミは朝からミンミン鳴くくせに、ホームルームのときだけ少し黙る。
うちの担任は「ノストラダムスの書いた七の月だね」と、冗談のつもりで言うのだけれど、冗談って二回目から効かなくなるのよ、先生。私たちは1999年の夏を、テレビのワイドショーと同じ顔で消化して、笑うところは笑って、でも笑いきれない部分は教科書の下に隠す。
昼休み、廊下のどこかでPHSがピピピって鳴る。あの音は少し未来っぽい。私は机の中からMDを取り出して、宇多田ヒカルを再生して、再生の丸い矢印が自分の心臓の形に似てるな、と毎回どうでもいいことを思う。(でもFirst Loveは毎回ぜんぜんどうでもよくない。あれは心音を増やす歌)
夏の空気は扇風機の首ふりのリズムで揺れて、窓の外の雲は誰かが消しゴムで端をこすったみたいにほどけている。私は五時間目が終わったところで、ノートをぱたりと閉じて、裏表紙の端を折って、そっと立ち上がった。「保健室行ってきます」って小さく言えば、先生はたいてい止めない。保健室に行く経路で、屋上という寄り道があることは先生たちの知らない秘密の地図。
理科準備室の窓は鍵がゆるい。椅子を一脚ひっぱって、窓枠に膝を乗せ、指先で金具を押し上げる。屋上に出ると、空気が急にちゃんと味になる。すこし錆びた匂い。じんわりした熱。遠い国道のトラックの音。フェンスの金網に両手をかけて、私は深呼吸を一回、二回。七月の呼吸。あ、これは覚えておこう、って思ったとき。
「そこ、危ない」
声がした。男子の声。低すぎず、高すぎず、でも機械の温度みたいに均一。
振り向く前に、軽く手首を引かれて、私は一歩だけ後ろへ下がる。フェンスぎりぎりのコンクリ、米粒くらいの黒い影が落ちて、コツン、と音を出して割れた。殻の匂い。卵じゃない。虫でもない。もっとイヤな、硫黄の、でもどこかで嗅いだことのある、夏の終わりの側溝みたいな。
「ほら」
私の手首を放した彼は、フェンスにもたれるように立っていた。うちの学校の制服じゃない。黒い長袖。胸元に小さな紋。汗をかいていない。かわりに、視線が汗をかいているみたいに一直線。
「……なにが?」私は聞く。
「アンゴルモア」
さらっと言わないでほしい。テレビが殊更に太いフォントで見出しにしてた単語を、屋上の風のなかで日常語みたいに投げないでほしい。私は笑うタイミングを探したけれど見つからず、代わりにMDを一時停止にした。(宇多田のサビで止めるのは罪だけど、今日は免除してほしい)
「テレビのやつ?」
彼はフェンスを見上げる。その目は、黒板のイコールをまっすぐに引ける人の目。
殻、と彼が言った瞬間、さっきの黒い米粒が、煙みたいにほどけて消えた。彼は胸の紋に指先を添え、短い金属を引き抜いて、空気を一回だけ切る。刃じゃない。音だけ。なのに。地面の黒が粉になって、風にさらわれた。
「通りすがり」
教科書みたいな返事。でもふざけた感じはない。
「通りすがるには、ずいぶん正確にうちの屋上に来たじゃない」
彼はほんのすこしだけ笑う。笑い方は丁寧で、耳の形まで整っているタイプの顔。近づくと汗の匂いじゃなくて鉄の匂いがした。
「君、見えたでしょ、さっきの。普通の人は見えない。足もとに殻が落ちても、踏んで帰る」
「見えたから、何?」
「ひとりにしない」
その言い方は、なんだか“わたしの”言葉みたいで、ちょっとムカついた。知らない人に先に言われるの、好きじゃない。
「名前は?」
「湊(みなと)」
ひらがなで言われてもカタカナで言われても、たぶんこの名前は港の音がする。波打ち際で人を呼ぶ声。
湊はフェンスの外を見上げる。雲が薄く切れて、青の下に白い面が一秒のぞく。その一秒のあいだに、空が低く唸った。電車が遠くの高架をゆっくり渡るときの音に似てるけれど、もっと乾いている。私の首筋の汗がすっと引く。
「二匹目」湊は言って、私の前に立つ。
降ってくる。今度は米粒じゃない。ビー玉よりちょっと大きい、黒い丸。着地の前に割れて、内側から“何か”がぬるりと出ようとする。輪郭を持たないのに、目より先に匂いだけが肌にささる。夏の犬小屋の奥に置き去りにされたゴム、みたいな。
「息を合わせて」湊が言う。
「どうやって」
「今、君がしてるみたいに」
気づくと、私は湊とおなじテンポで息をしていた。吸って、吐いて。吸って、吐いて。二回に一回だけ、すこし長く吐く。そのリズムで、湊の金属が空気を切る。殻の破片が粉になり、風だけが残る。
「……ほんとに、アンゴルモア?」
「名前が先に来る怪物っているんだよ」湊は肩の力を抜きながら言う。「“恐怖の大王”って言葉、空気が好きなんだ。空気は、好きな言葉に寄ってくる」
そこまで聞いたところで、屋上のドアがギイッと鳴って、私は心臓を落としかけた。風より静かな足音。制服の足音じゃない。
「遅い」湊が言う。
「早すぎる」低い声が返す。私は反射でフェンスの陰に一歩引いて、ドアのほうを見る。黒いTシャツに薄いグレーのシャツを重ねた、涼しい顔の男の子。髪は長くも短くもなく、目は印刷された数字みたいにブレない。
「……え?」
「今日は偵察だけって言ったろ」と彼は湊に向かって、とても小さく眉間を寄せる。「初対面を屋上でやるの、ミスの確率上がる」
「じゃあ、屋上じゃないと見えないものもある」湊はさらっと返す。
二人は友だちっていうより、同じ地図の別ページ、という感じ。
「澪(れい)」と彼は短く名乗った。手にPHS。アンテナ二本。画面に点の地図。数字が流れて、一瞬だけ止まる。
「下、駅前に一件。夜は濃い」
「夜?」私はつい口を出す。「夜まで?」
「今日の七の月、最後だから」湊は私を見る。「帰り道、寄り道をしてもいいなら、案内する」
案内、ってすごくヘンな言い方。でも私はうなずく。喉が乾いているのに、声はちゃんと出る。
湊は金属を胸の紋に戻し、手すりに軽く触れてから踵を返した。澪はPHSを親指で弾いて、何かを送信して、何も言わずに私たちの前を歩く。三人で階段を降りると、校舎の匂いが一瞬だけ“普通”に戻って、私はその普通を鼻に詰めておこうと思った。(後で必要になる普通がある、って、新井素子の本に書いてあった気がする。気がするだけで、どのページかは思い出せないけど)
駅前は夏休みの夕方の顔をしている。ロータリーにバス、マクドナルドの前に行列、ガチャガチャの前で小学生が揉めてる、CDショップではラルクのポスター、ゲームセンターからドリームキャストのデモ音。風鈴みたいな高い音が一瞬だけして、次の瞬間、音が全部半拍ずれる。
「来た」澪が言う。
誰も気づいてない。サンダルの女子高生も、サラリーマンも、ショッピングカートを押すおばあちゃんも、誰も。
空から降りるものは影じゃなくて、空気の厚みの差。見えるのは、ここにいる三人と、そして、たぶん私だけ。
湊は前に出る。澪は周囲を見渡して、最も“記録”の薄い位置を選ぶ。道路標識の影と自販機の影が重なる場所。
「ここなら、ニュースにならない」
ある、と澪は言わないで、目で言った。
湊の肩が、呼吸といっしょに上下する。私はそのリズムに合わせる。吸って、吐いて。吸って、吐いて。なぜか一緒にやると心臓が落ち着く。(恋とかじゃなくて。いや、恋かもしれないけど、いまは違う)
殻のない降りは、匂いだけで先に来る。不意打ち。目の端で捉えるまでに、鼻が先に反応して、汗腺が縮む。湊の金属が空気を切り、澪のPHS画面の数字が揃い、私の呼吸が三拍目で長くなる。カチッと音がして、見えない何かが折りたたまれる。駅前はなにも起きなかった顔に戻る。
「——ねえ」私は息を整えながら言う。「これ、毎日?」
「七の月は毎日」湊は金属をしまう。「終わったら、少しだけ静かになる。少しだけ」
その“少しだけ”の言い方が、もう経験者の声で、私は急に怒りたくなって、でも怒っても仕方ないから、代わりに缶の自販機で麦茶を買って三人にわけた。湊は半分だけ飲んで、缶を私に返す。澪は口をつけずに、冷たさだけ指に移して返す。私はベンチに座って、残りを一気に飲んだ。
「帰り道、送る」湊が言う。
「送らなくていい」私はつい強めに言う。「ひとりで帰れる」
「見える人を、ひとりにしない」
またそれ。私はむくれて、でも、足は自然に彼らと同じ方向へ動いていた。
交差点の信号が青に変わる。横断歩道を渡る瞬間、風がすっと変わって、私は振り向く。人混みのむこう、ビルの屋上の縁。夕陽の切れ端のような光のところに、白いシャツの誰かが立ってこちらを見ていた。
まばたきしたら、いない。
「いまの」
「気づいた?」澪が初めて少しだけ笑う。「いい目だ」
「誰?」
「多分、明日には“こちら側”に来る」湊は短く言った。「きれいな顔をしてる」
家の前で別れるとき、湊は「また明日」と言いそうにした顔でやめて、「風の匂いが塩辛くなったら、上を見て」と言った。
私はうなずいて、門扉の前で一回だけ深呼吸した。玄関を開けると、母が台所でゴーヤチャンプルーを炒めていて、テレビは「Y2Kに備えて」の特集をやっていて、父は食卓で新聞を広げ、「大丈夫だよ」といつもの声で言う。
私は自分の部屋でMDを再生して、PHSのアンテナを出して、引っ込めて、出して、引っ込めて、意味のない儀式を二十回くらいやってから、ベッドに倒れ込んだ。天井の蛍光灯のカバーに、屋上のフェンスの格子が重なって見えた。
眠る直前、窓の外で、ほんの少しだけ風が塩辛くなった気がした。私はカーテンをめくって、上を見た。空はぜんぶの青を混ぜたみたいな色で、星はまだ点かず、遠くのどこかで雷の写真だけフラッシュが光った。
明日も、見える。
明日、もうひとり来る。
七の月は、まだ終わらない。
2
ワイドショーが終わって、ニュースの時間までの隙間に流れる通販の番組。マッサージチェアとか。美顔器とか。私は居間でスイカバーを食べながら、母がアイロンをかける音を聞いていた。
PHSが震えた。メール。文字数は少なく、「屋上」とだけ。差出人不明。昨日と同じ。
——行くしかない。
照り返しが強い。空気が音を立てる。セミは昼なのに狂ったように鳴いていて、私の制服は汗を吸ってもう重たい。
「来た」湊がフェンスにもたれていた。
隣には澪。無口な彼は今日もPHSを指先でいじって、画面に流れる数字を追っている。
そして——もうひとり。
髪は少し長く、色素の薄い瞳。美少年としか言いようがない顔立ちなのに、目の奥がひどく静かだった。笑ったとき、光がこぼれるというより、光が寄っていく感じ。
「碧(あお)」と湊が紹介する。
「よろしく」碧はにこりと笑って、私の袖を軽くつまんだ。指先が冷たい。
「三人?」私は尋ねる。
「四人」湊が言う。「君を入れて」
「えっ、いや、私なんて」
「見えてしまった以上、もう“向こう側”だよ」澪は画面から目を離さずに言った。
私は息を呑んだ。昨日から、すでに普通ではなくなっている自分を、もう否定できない。
——
ロータリーに人が溢れている。コンビニの前では中学生が立ち読みして、パン屋からは焼きたての匂い。バス停のベンチに座るおばあちゃんが団扇をぱたぱたさせている。
そんな雑踏のなかで、突然、音が半拍ずれる。
通りすぎる電車のブレーキ音が伸び、子どもの笑い声が濁り、セミの声が一瞬だけ空気に沈む。
「来た」澪が小さく告げる。
空から、殻が落ちる。最初は見えない。でも、確かにそこにある。私たち四人の目にははっきりと。
ビー玉より大きな黒い殻。地面に触れる前に割れ、中からぬるりと何かが出る。匂いは昨日より強烈。鼻の奥が焼ける。
「人混みの中は厄介だ」湊が前に出る。
「周波数を合わせる」澪はPHSを高く掲げ、ボタンを素早く叩いた。
「大丈夫、大丈夫」碧が私の肩に手を置いた。「君は息をするだけでいい」
殻から出てくる“それ”は、人の目には映らない。でも私には見える。輪郭は定まらず、影が水に溶けるみたいに揺れる。だけど、確かに街を食おうとしている。
「湊!」澪の声。
湊は棒を伸ばし、空気を裂いた。
刃ではなく、ただ音。だけど“それ”がたじろぐ。
碧が微笑みながら指先を空に走らせる。風の流れが変わり、影の形が折れ曲がる。
私の呼吸が、彼の肩の上下に合わせて整う。
一瞬、世界が止まった。
そして、影は粉になって消えた。
駅前は何も起こらなかった顔で、再びざわめき始める。人々は誰も気づいていない。
——
「なに、これ、ほんとに毎日?」
ベンチに座り込んで、私は麦茶を一気に飲み干した。
「七の月は毎日だ」湊が答える。
「でも、七月が終わったら?」
「少しだけ静かになる」碧が柔らかく笑った。「でも、“恐怖の大王”は終わらない。七月の名を借りてるだけだから」
澪は黙ってPHSを閉じた。その目は冷たいけれど、どこかで私を見守っているようでもあった。
私は三人を見回して、息を吐いた。
「……わかった。もう知らないふりはできない。だから——」
「ひとりにはしない」湊が言った。
その言葉は、昨日よりもずっと重く、強く響いた。
——
夜。帰り道。
商店街のアーケードにはまだ人がいた。ゲーセンの前でカップルがプリクラの袋を持って笑っている。CDショップからはELTの歌声が流れている。
「また?」私が言うと、碧が肩をすくめる。「今日は濃いからね」
次の瞬間、いなくなった。
「今のは?」
「気づいた?」澪が珍しく少し笑った。「君、ほんとにいい目を持ってる」
「……誰?」
「明日、会える」湊は短く言った。「俺たちの仲間になる」
——
ニュースは「何もなかった一日」を語っていた。
私は自分の部屋に入り、PHSのアンテナを伸ばしては引っ込め、伸ばしては引っ込め、意味のない儀式を二十回くらい繰り返した。
屋上の風がまだ、肌に残っていた。
三人の声も、影の匂いも。
そして、明日現れる誰かの姿も。
七の月は、まだ終わらない。
3
七月三十一日。
カレンダーの数字が赤くも青くもないのに、どうしてこんなに特別に見えるのだろう。
”終わる”という言葉が、宿題のノートよりも、日めくりの紙よりも、今日は妙に重たかった。
午前はやけに晴れていた。
でも午後になってから、光は濁った。セミの声がかえって甲高く響く。
屋上のドアを押すと、三人が待っていた。
湊。
澪。
碧。
「紹介する。彼も仲間」湊が言った。
白いシャツの少年は軽く会釈をした。年は私たちと変わらないのに、目の奥だけが遠い。「……雅(みやび)」と小さく名乗った。
四人の男子と、私。
屋上の風は重たくて、フェンスの金網が湿っているみたいだった。
「本体が来る」澪はPHSを掲げ、数字の羅列を見せてくる。意味はわからない。でも、ただ事じゃないことは伝わる。
「恐怖の大王」碧が肩をすくめながら微笑む。「七月が終わる、その瞬間に」
雷が鳴った。
私は一歩後ずさったが、湊が前に出た。背中越しに、彼の肩の呼吸が見える。
「大丈夫。合わせればいい」
「……どうやって」
「昨日と同じ。君は息をするだけ」
影が降りてきた。
殻じゃない。粉でもない。
“名状できないもの”が、街を覆いはじめる。
匂いが先に来る。鉄錆とゴムと、夏の終わりの湿気を全部混ぜたような匂い。
碧は風の流れを変える。
雅は静かに印のような手の動きをして、影の裂け目を縫い合わせる。
湊は棒を構え、私の前に立つ。
「……来るぞ」
大王の影は、顔を持った。
知らない誰かの顔。
でもなぜか懐かしく、私の記憶の底を撫でる顔。
「来る」澪が短く言う。
「させない」湊が返す。
影が迫る。世界が歪む。
人混みの声が止まる。時計の針が動かない。
この一瞬に、すべてが収束していく。
湊は前に出た。
「俺がやる」
「待って!」思わず叫んだ。
「君をひとりにはしないって言ったのに」
湊は、振り返らなかった。ただ、少し笑った。
「ごめん。今日は、俺だけで強がらせて」
影の中心に踏み込む。
棒を構え、全身を“蓋”にするように。
世界が一秒、無音になった。
雷鳴。
セミの声。
窓ガラスが震える。
影はたしかに消えていた。
残されたのは、三人の男子と、私。
澪は黙って画面を閉じ、碧は笑わずに目を伏せ、雅は静かに空を仰いだ。
湊の姿は、なかった。
「……どうすればいい?」私は震える声で尋ねた。
「何もしない」澪が答える。「ニュースにならないこと」
「覚えておくこと」碧が続ける。「ひと知れず、覚えていること」
雅は小さく頷いて、目を閉じた。
夜のニュースは「何も起きなかった一日」を語った。
父は「大丈夫だよ」と笑い、母は冷蔵庫にペットボトルの水を入れた。
宇多田の声が、少しだけ遠く聞こえた。
——風が変わったら、笑って。
私は、笑った。泣きながら。
翌日。八月一日。
空は夏の顔をしていた。
棒を見せ合って、当たりだの外れだの笑いあった。
でも、屋上の風は、まだ四人分吹いていた。
そして、七の月は、静かに閉じた。
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https://lightnovel.jp/blog/archives/2024/0616.html
いやさあ、あれがないこれがないってのはキリが無いてのはよくわかるんだけど、それをいわないとこういうのって楽しめなく無いか。
特にこの記事はこの人の趣味みたいなのを色濃く出してますよって路線なので特にね。
新しいのはしらないので途中でおわっちゃうけど。
ラノベ論者ってまあ例によってキリがないからなんだろうけど直接の隣接領域であるゲームやアニメはまだ言及しても一般の小説やら映画とかにはあんまり触らない方向なんだよな。
このブロックだと時代というか朝日ソノラマというレーベルの範囲でいうと言及がそこまででもない部類だと剣の聖刻(ワースブレイド)シリーズと藤原征矢か。
TRPGブームとかだったんだけど、みんなその雰囲気わかるかな。
■1984年なぎさボーイ・多恵子ガール /氷室冴子 /コバルト文庫
ここらへんはそれこそ「新井素子しか読んでない」だったのであんまりなにかいえることはない。
「絶句」は大好きです。
『宇宙皇子』とかアルスラーンとか。あとラノベ史的には最大の大物と言っても過言ではないロードス島か。
このあたり、ちょっと前から続くTRPGブームを少し頑張っていて、枠外扱いとしてドラゴンランスとかがやっぱベースになるんじゃないかなあ。
語らないのはちともったいない気がする。
リナインバースが斬新だとされたのはレイストリンがガリガリで血を吐きながら魔法を放っていたからというのはやっぱあったわけで、そこらへんは重要じゃないかなあ。
■1989年ハイスクールオーラバスター /若木未生 /コバルト文庫
読めてない領域だなあ。
■1991年ユミナ戦記 /吉岡平 /富士見ファンタジア文庫
野性時代とかスニーカーはまあとして、富士見ファンタジア大賞とドラゴンマガジンというサイクルを作ったという点で大きいのかなとは思った。
例のアレでサイト落ちてるけどドラゴンマガジンってまだ続いてるんだよな。すげえよ。
このブロックで言及されてないのだと「ザンヤルマの剣士」が好きだった。
この記事だと言うまでもって感じだが、やっぱ「フォーチュンクエスト」はエポックだったのでは。
ゲーム文庫って体裁だったのでブギーポップはマルチエンド構成なんだよね。
こんなやりかたあったんだ、って当時は思った。
ブギーポップのヒットから現代物が増えたってのは確かにそうなんだろう。
現代人にはわからんだろうが当時はエロゲーがサブカルの最先端で、学園ものとかが強かったのよ。
あとまああえていうまでもないけど「ジョジョ」ね。
マリみてはいまおもうとなんであんなヒットしたんだっけとおもうところはある。
フルーツバスケットとかもこのあたりだっけ。
カレカノもこのあたりか。
そういうタイミングだったのかな。
スレイヤーズのTogetterまとめみてたらしたくなってきたー!
ということでしていきます
そもそもライトノベルの歴史というものを語る時に、ライトノベルというものが「オタクカルチャーの交差点である」という事実に目を向けなければなりません
ライトノベルというのはとかく、他のオタクカルチャー(漫画、アニメ、ゲーム、鉄道、ミリタリー、最近だとVtuberとか)にめちゃくちゃ影響を受けやすいジャンルです
まず前提としてライトノベルの前身として、「時をかける少女」や「ねらわれた学園」などのSF的なジュブナイル小説があり、
「なんて素敵にジャパネスク」を書いた氷室冴子や新井素子の諸作品による現代の口語体を使った文体表現を使った少女小説があり、
D&Dが日本に来て、派生のゲーム群であるドラクエやらFFが売れたりしたおかげで、TRPGが流行、それらのリプレイ集も人気になり、
さらにアニメで「機動戦士ガンダム」が爆発的なヒットをして、それのノベライズ(監督自身の描きおろし)も人気になり、
こういったものを一緒くたにまとめて扱ってたのが、角川スニーカー文庫であり、富士見ファンタジア文庫であり、角川の内紛やらで派生した電撃文庫なのである
つまり、レーベル説的な史観から見ると、その出自自体がオタクカルチャーのカオスの中から生まれたのがライトノベルなのだ
で、この中で出てきた「スレイヤーズ」がなんだったかというと、これらの要素を一通り取り込んで、かつ、「TVアニメ化」して大ヒットした作品だった、というところである
上に書いた通り、ラノベレーベルというのはリプレイ集だったり、ノベライズといういわば「メインのコンテンツの傍流」としての側面があった。
なので、オリジナルコンテンツ自体は作っていたにせよ、あくまで、二次的創作としての見方が強かったものであった。(ロードス島も元はTRPGリプレイの派生であるので)
ところが、そこから出た「スレイヤーズ」という作品は主人公のリナの視点の口語体で進行して、
ゲームのファンタジーのお約束を茶化すようなメタ的なコメディ雰囲気を持ちつつ、
そして強敵とバトルでの少年漫画的な要素という属性全部盛りながら、それをうまく調和した作品となっていた
つまり、傍流であったものの中からオリジナルな作品が生まれ、それが本流の方で大ヒットしたという意味で「スレイヤーズ」はライトノベルにおける大きな意味があったと言える
で、これが売れたおかげで、何が起こったかというとライトノベルで一攫千金できるやん!というバブルが起きて、90年代後半から00年代のライトノベルオリジナルの作品群の発生につながっていくという流れになる
これは個人的な見解になるが「元祖」というものを考えた時におそらく「ライトノベルの表現の元祖」というものを考える人は多いだろう
だが、何度も書くがライトノベルはそもそもその表現手法自体も他オタクカルチャーの影響を大きく受けるのでその起源や由来があまりにも複雑化している
なので、「スレイヤーズ」というものを評価するなら「ライトノベルの元祖」ではなく「ライトノベル文化が醸成していく上での(資金的にも、コンテンツ的な認知度としても)起点となった」という評価がよいかなと思う
それであったとしても、「スレイヤーズ」自体がライトノベルに与えた影響はいささかも揺るがないのだから
※2024/02/19
・少女小説のくだりでタイトルが間違っていたところを修正。すまんやで。
・あと富士見ファンタジアの発生の指摘があったからそこも修正。この辺り、角川のごたごたも相まって本当にござるか~?があるので助かる
SF小説好き1480名に聞いた「絶対に読んどけ」っていうSF小説ランキング - 俺だってヒーローになりてえよ
https://www.orehero.net/entry/bestsf
以下、数が多いので省略
Permalink |記事への反応(14) | 10:49
https://anond.hatelabo.jp/20220910014751
よく男性作家の場合童貞特有の想像力がどうのとか言われるけれど
女性作家の場合結婚しているかどうかは大した問題じゃなくて、子供がいるかどうかの方が作風に与える影響は大きいと思っている
個人的には子供のいない女性作家には出産して母となる人生を歩んだ女性作家には描けないオリジナリティがあると感じてしまうんだよね。
出産や育児のある女性作家だとどうしても自分自身の経験を認めて欲しいし母親には人間味を付加して母親目線を強調する傾向が出てくると思っているから。
既婚だけど子供は出来なかったと表明している新井素子。『チグリスとユーフラテス』において遠い未来の異星で、子供が産めない女性達がそれぞれの人生を生きて何かを為し遂げようとする様子を描いていた。主人公が妊娠し夫の元を去る『おしまいの日』は非常に優れた鬼気迫るサイコホラーだが、その後の出産や子育てそのものは具体的に描かれない。これはおそらく作者に子供がいたならその部分に焦点が当てられてしまい作品のテーマはぼやけてしまったのではないだろうか。
同じく既婚でおそらく子供はいない小野不由美。結婚した男女が木に祈れば子供の入った実が実るという個性的な世界観は、出産経験の無い女性ならではのものではないだろうか。主人公格の陽子と要の母親がいずれも、優しいが夫や姑に翻弄される気弱な女性として描かれている事は注目に値する。これは自らは母になった事がない女性ならではの、あくまでも外部から見た視点だ。もしも作者自身も母親だったなら多分余計なノイズとして母親に人間味を付与していた可能性が高い。
結婚や離婚、再婚の経験はあるが子供はいない池田理代子。革命に命を捧げた男装の麗人オスカルや、史実でも奔放な男性関係を誇った女帝エカテリーナを描けたのは、妊娠出産し良き母となる以外の人生にも意味を見出だしていたからではないだろうか。
独身で多数のヒット作を描き続ける高橋留美子。『めぞん一刻』のヒロインを未亡人に設定しながらも、子供の存在は設定せず、あくまでもテーマは恋愛に特化していた。いつまでも経っても初々しい少年少女のやり取りを描けるのは、結婚し子供を産み育てる女の王道人生という狭い枠に収まらなかったからではないだろうか。
エッセイの内容からしておそらく独身であろう、よしながふみ。『大奥』では男女比が逆転した架空の江戸時代を舞台に生殖に纏わる人間模様を描く。もっとも子供を産み育てる事を唯一の生き方とはせず、最後は史実でも生涯独身だった津田梅子の登場で物語を締めた。
長年の恋人はいるが結婚はしていないらしい矢沢あい。『下弦の月』で描かれた小学生達の描写は実にリアルだ。これは母親から見た子供ではなく、自らも子供時代の記憶を残している成人が描いた個人としての子供。『NANA』では妊娠した主人公が愛の無い結婚を選ぶという打算も描く。
同じくおそらく独身であろう田村由美。戦乱の世や人類滅亡後の未来世界といった極限下での出産を肯定的に扱い、「子供は希望」とするエピソードは確かによく出てくる。しかしその一方で妊娠出産をおぞましい事としても描き、保身のために子供を見捨てる母親の残酷さをも描く。
これはもう良い悪いじゃなくて、妊娠や出産が女性の人生に与えるインパクトは本当に大きいんだと思う。
だから男性作家に比べて女性作家は子供の有無に作風が左右される割合が高い。
子供がいない女性作家には、子供がいない女性作家ならではの強みがあると思っている。
……とか言って、このうちの何人かは実は子供がいる可能性もあるけれど。
少なくとも存命のうちはやりにくいよなあとは思う
ので、元記事では *近年の百合の勃興* と近代をつけさせていただきました。
少女文学も少女漫画も、かじった程度でしか把握できていないのですが、エス小説の系譜は少なくとも昭和50年代あたりではいったん途切れていた印象だったので、そう書かせていただきました。
コバルト文庫などの少女向け小説は炎の蜃気楼やなんて素敵にジャパネスク、ハイスクール・オーラバスター、丘の家のミッキー、破妖の剣、姫神さまに願いを、など男性主人公だったり、女性が主人公であっても男女の恋愛ものだったりで、マリア様がみてるが刊行されるまでエス的な作品はあまりなかった印象です。
あ、でも新井素子さんの星へ行く船のレイディとあゆみにはなんかそんな雰囲気があったようななかったような……。
少女漫画はなかよし、りぼん、ちゃおいずれも、登場人物の少女同士の友情はあっても友情止まりで、恋愛対象はいずれも男性のものだけだった記憶です。
例えば、星の瞳のシルエットとか個人的には当時の少女漫画の名作だとは思いますし、香澄ちゃんと沙樹ちゃん、啓子ちゃん、真理子ちゃんは親友ではありますが、親友止まりで百合とかエスとかの雰囲気も感じられないと思います。
エイリアン通りやそのスピンオフのCIPHER、ALEXANDRITEなどもエス的なお話はなかった記憶です。ただ、うっすらとBLちっくなものはあった気はします。
いずれも素晴らしい作品であることは間違いないですが、エスとか百合とかではないような。久しぶりに読み返したくなってきた。
そもそも『宇宙塵』の半世紀前の号に載ってた短編やら30年前のマイナー雑誌に載ってた短編やらを発掘して誰でも手に入れられるアンソロにまとめたってだけでめちゃくちゃ偉いんだから、表紙を伴名練の好みに沿ったものにするくらいは当然の権利だろう。嫌ならそれこそ買わなきゃいい。
個人的な感想をいえば、シライシユウコ絵が「マンガ・アニメ的絵」だという意識はあまりなかった。林静一から中村祐介に至るイラストレーターの系譜(もちろん彼らにくらべたらややまんが的ではある)に連なるような存在として認知していた。
ヒョーロンカの人があれを「萌え絵」と呼んでたけど、は? 萌え絵? どこが? って感じだよなw 節穴アイにもほどがある。これでよく評論家が務まるな。
萌え絵ってのは『紫色のクオリア』や『ロケットガール』や『ふわふわの泉』や『スプライトシュピーゲル』や『涼宮ハルヒの憂鬱』や『ある日、爆弾がおちてきて』や『イリヤの空、UFOの夏』の表紙みたいなやつのことを言うんだよ。
あ、『ふわふわの泉』はファミ通文庫で『ロケットガール』は富士見ファンタジア文庫の方な。ハヤカワ文庫JAじゃなく。『ある日、爆弾がおちてきて』もメディアワークス文庫じゃなくて電撃文庫な。
まあ節穴ヒョーロンカ様の目には『サマー/タイム/トラベラー』あたりも「萌え絵」に見えちゃうのかもしれないけどねw シライシユウコ絵が萌え絵に見えるマンはマジで表象とか文化史とかに口を出す資格ないと思うよ。思想信条じゃなくて能力の問題として。
『なめらかな世界と、その敵』あたりが萌え絵とオサレ絵の境界線上な感じしない? まあこのへんは人によって判断が分かれるところだろうけどさ。
だが、他人の感じる「恥ずかしさ」を「時代遅れ」と切り捨てることなく、あるいは読者同士で向き合うことで、ある方向へ流れていけるかもしれない。そこから先は、未来の話だ。作家たちの語るべき領域だ。
時代遅れって切り捨てていいと思うよ。
俺、伴名練と同年代だけどさ、中学の頃って『アリソン』の表紙ですらオタクっぽくて敬遠されてたりしたんだぜ。『マリア様がみてる』すら堂々と読むの憚られる雰囲気あったよ。
そこから、あちこちに萌え絵があふれて、多くの人がそれを受容する時代になったんだよ。いい年こいた大人が堂々と萌え絵の本を読む社会になったんだよ。マジで意識のアップデートを実感するよ。
新しい表現が生まれて自由競争の結果覇権を握ることによって萌え絵が駆逐されるなら進歩だけど、最近は萌え絵がはびこってけしからん! なんてのはただの反動だろ。
そもそも発端のtweetした人、こんなtweetもしてるんだよね。
「オラ女性SF作家特集のブログ記事書くぞ!!!」どーせ「それはSFじゃない」とかボロクソ言われるんだろうけど知るかボケ~。ゼロスタートなのでオススメ教えてください!特に国内作家。
国内の女性SF作家がゼロスタートって、こいつ菅浩江も新井素子も高野史緒も上田早夕里も読んでないの? って話だよな。
『そばかすのフィギュア』も『永遠の森博物館惑星』も『アイオーン』も『ムジカ・マキーナ』も『華竜の宮』も読んでなかったんすね、っていう。
いや別に読んでないのは何も悪いことじゃないけど、それでSF界のジェンダー問題に物申しちゃうの失笑しない? お前完璧に門外漢やんけっていう話でしょ。何偉そうに「SFの表紙って女の子ばっか」みたいなこと言ってんの? アホなの? 2019年にSF界隈で流行ってた作品のうち『天冥の標』と『三体』と『息吹』の表紙には美少女おらんやんけ。『アステリズムに花束を』も『なめらかな世界と、その敵』もオサレ系の絵であってそこまで萌え萌えしてないよな。
SF1,000冊とか言うつもりないけど本屋でハヤカワと創元の棚の前に並ぶだけで吹っ飛ぶ固定観念を後生大事に抱え込んだやつなんて最初からお呼びじゃねえんだよ。
最初からSFに興味なんてないんだろ? だったら「SFの表紙はどれも恥ずかしいから手に取れない!」じゃなくて「SFに興味ない」って素直に言えばいいんだよ。別にそれは何も悪くないよ。俺も海外文学とか(SF・ミステリを除けば)興味ないもん。興味ないくせに「SF小説とかアンソロの表紙って漫画・アニメ絵の女の子ばっか」なんて言うからツッコまれるんだよバーカ、って感じ。
(アンソロの表紙が美少女ばかりって真顔で言ってるってことは『年刊日本SF傑作選』の存在自体を知らないってことだよな。『傑作選』も知らないやつがSFの表紙は○○ばかりとか言う資格ある?)
アニメ絵が嫌いなSFファンやSFに興味がないアニメ絵好きが口を出すならともかく、アニメ絵が嫌いでSFに興味のないやつがSFの表紙のアニメ絵に口挟む権利がマジでどこにあるんだ? お前関係ないやろ、と、アニメ絵好きのSFファンとしては思うのです。