
はてなキーワード:座り込みとは
私の世界は、丁寧に、そう、まるで細胞の一つ一つにまで神経を行き届かせるようにして磨き上げられた、半径およそ十メートルほどのガラスの球体であり、その球体の中心には、世界のすべてであり、法であり、そして揺るがぬ神であるところの、生後六ヶ月の息子、光(ひかる)が、ただ健やかな呼吸を繰り返している。その完璧な球体を維持すること、それこそが水無月瑠璃(みなづき るり)、すなわち三十一歳の私に与えられた唯一にして絶対の使命であったから、私は今日もまた、タワーマンション二十八階、陽光が白磁の床にまで染み渡るこのリビングダイニングで、目に見えぬ埃の粒子と、あるいは時間という名の緩慢な侵食者と、孤独な、そして終わりなき闘争を繰り広げているのであった。北欧から取り寄せたというアッシュ材のテーブルの上には、一輪挿しに活けられたベビーブレスの、その小さな白い花弁の影さえもが、計算され尽くした角度で落ちており、空気清浄機は森の朝露にも似た清浄さを、ほとんど聴こえないほどの羽音で吐き出し続け、湿度計のデジタル表示は、小児科医が推奨する理想の数値、六十パーセントを寸分違わず指し示しているのだから、およそこの空間に、瑕疵という概念の入り込む余地など、どこにもありはしなかった。かつて、外資系のコンサルティング会社で、何億という数字が乱れ飛ぶ会議室の冷たい緊張感を、まるで上質なボルドーワインでも嗜むかのように愉しんでいた私自身の面影は、今やこの磨き上げられたガラス窓に映る、授乳のために少し緩んだコットンのワンピースを着た女の、そのどこか現実感を欠いた表情の奥に、陽炎のように揺らめいては消えるばかりであった。
思考は、そう、私の思考と呼んで差し支えるならば、それは常にマルチタスクで稼働する最新鋭のサーバーのように、光の生存に関わる無数のパラメータによって占有され続けている。次の授乳まであと一時間と二十三分、その間に終わらせるべきは、オーガニックコットンでできた彼の肌着の煮沸消毒と、裏ごししたカボチャのペーストを、一食分ずつ小分けにして冷凍する作業であり、それらが完了した暁には、寝室のベビーベッドのシーツに、もしかしたら付着しているかもしれない、私たちの世界の外部から侵入した未知のウイルスを、九十九・九パーセント除菌するというスプレーで浄化せねばならず、ああ、そういえば、昨夜翔太が帰宅時に持ち込んだコートに付着していたであろう、あの忌まわしい杉花粉の飛散経路を予測し、その残滓を、吸引力の変わらないただ一つの掃除機で完全に除去するというミッションも残っていた。これらすべては、愛という、あまりに曖昧で情緒的な言葉で語られるべきものではなく、むしろ、生命維持という厳格なプロジェクトを遂行するための、冷徹なまでのロジスティクスであり、私はそのプロジェクトの、唯一無二のマネージャーであり、同時に、最も忠実な実行部隊でもあった。誰がこの任務を私に課したのか、神か、あるいは生物としての本能か、はたまた「母親」という名の、社会が発明した巧妙な呪縛か、そんな哲学的な問いを発する暇さえ、このシステムは私に与えてはくれなかった。
夫である翔太は、疑いようもなく、善良な市民であり、そして巷間(こうかん)で言うところの「理想の夫」という、ほとんど神話上の生き物に分類されるべき存在であった。彼は激務の合間を縫って定時に帰宅すると、疲れた顔も見せずに「ただいま、瑠璃。光は良い子にしてたかい?」と、その蜂蜜を溶かしたような優しい声で言い、ネクタイを緩めるその手で、しかし真っ先に光の小さな体を抱き上げ、その薔薇色の頬に、まるで聖遺物にでも触れるかのように、そっと己の頬を寄せるのだ。週末になれば、彼はキッチンで腕を振るい、トマトとニンニクの匂いを部屋中に漂わせながら、私や、まだ食べることもできぬ光のために、絶品のペペロンチーノやカルボナーラを作り、その姿は、まるで育児雑誌のグラビアから抜け出してきたかのように、完璧で、模範的で、そして、どこか非現実的ですらあった。誰もが羨むだろう、この絵に描いたような幸福の風景を。友人たちは、私のSNSに投稿される、翔太が光をあやす姿や、手作りの離乳食が並んだテーブルの写真に、「理想の家族!」「素敵な旦那様!」という、判で押したような賞賛のコメントを、まるで祈りの言葉のように書き連ねていく。そう、すべては完璧なのだ。完璧なはずなのだ。このガラスの球体の内部では、愛と平和と秩序が、まるで美しい三重奏を奏でているはずなのだ。
――だというのに。
夜、ようやく光が天使のような寝息を立て始め、この世界のすべてが静寂という名の薄い膜に覆われた頃、ソファで隣に座った翔太が、労わるように、本当に、ただ純粋な愛情と労いだけを込めて、私の肩にそっと手を置く、ただそれだけの、あまりにも些細で、そして無垢な行為が、私の皮膚の表面から、まるで冷たい電流のようにして内側へと侵入し、脊髄を駆け上り、全身の毛穴という毛穴を、一斉に収縮させるのである。ぞわり、と。それは、神聖な祭壇に、土足で踏み込まれたときのような、冒涜的な不快感であった。あるいは、無菌室で培養されている貴重な細胞のシャーレに、誰かが無頓着なため息を吹きかけたときのような、取り返しのつかない汚染への恐怖であった。彼の指が触れた肩の布地が、まるで硫酸でもかけられたかのように、じりじりと灼けるような錯覚さえ覚える。私は息を止め、この身体が、この「水無月瑠璃」という名の、光のための生命維持装置が、彼の接触を、システムに対する重大なエラー、あるいは外部からのハッキング行為として認識し、全身全霊で拒絶反応を示しているのを、ただ呆然と、そして客観的に観察していた。
「疲れてるだろ。いつも、ありがとう」
翔太の声は、変わらず優しい。その瞳の奥には、かつて私が愛してやまなかった、穏やかで、そして少しだけ湿り気を帯びた、雄としての光が揺らめいているのが見える。それは、私を妻として、女として求める光であり、かつては、その光に見つめられるだけで、私の身体の中心が、熟れた果実のようにじゅくりと熱を持ったものだった。だというのに、今の私には、その光が、聖域である保育器を、ぬらりとした舌なめずりをしながら覗き込む、下卑た欲望の眼差しにしか見えないのだ。許せない、という感情が、胃の腑のあたりからせり上がってくる。この、二十四時間三百六十五日、寸分の狂いもなく稼働し続けている精密機械に対して、子を産み、育て、守るという、この宇宙的な使命を帯びた聖母に対して、己の肉欲を、その獣のような本能を、無邪気に、そして無自覚にぶつけてくるこの男の、そのあまりの鈍感さが、許せないのである。
ケダモノ。
その言葉が、私の内で、教会の鐘のように、低く、重く、そして厳かに反響する。そうだ、この男はケダモノなのだ。私がこの清浄な球体の秩序を維持するために、どれほどの精神を、どれほどの時間を、どれほどの自己を犠牲にしているのか、そのことを何一つ理解しようともせず、ただ己の種をばら撒きたいという原始の欲動に突き動かされているだけの、ただのケダモノなのだ。
そんなはずはない、と、脳のどこか、まだかろうじて「かつての私」の残滓が残っている領域が、か細い声で反論を試みる。これは翔太だ、私が愛した男だ。雨の匂いが充満する安ホテルの、軋むベッドの上で、互いの名前を喘ぎ声で呼び合いながら、世界の終わりが来るかのように貪り合った、あの夜の彼なのだ。パリへの出張中、セーヌ川のほとりで、どちらからともなく互いの唇を求め、道行く人々の冷ややかな視線さえもが、私たちのためのスポットライトのように感じられた、あの瞬間の彼なのだ。結婚記念日に、彼が予約してくれたレストランの、そのテーブルの下で、こっそりと私のスカートの中に忍び込んできた、あの悪戯っぽい指の持ち主なのだ。あの頃、私たちは互いの肉体という言語を、まるで母国語のように自在に操り、その対話の中に、世界のどんな哲学者も語り得ないほどの、深遠な真理と歓びを見出していたはずではなかったか。あの燃えるような記憶は、情熱の残骸は、一体どこへ消えてしまったというのだろう。それはまるで、昨夜見た夢の断片のように、あまりにも色鮮やかで、それでいて、掴もうとすると指の間から霧のように消えてしまう、遠い、遠い銀河の光なのである。
「瑠璃…?」
私の沈黙を訝しんだ翔太が、私の顔を覗き込む。私は、まるで能面のような無表情を顔面に貼り付けたまま、ゆっくりと彼の手を、自分の肩から、まるで汚物でも払いのけるかのように、そっと、しかし断固として取り除いた。そして、立ち上がる。
「ごめんなさい。少し、疲れたみたい。光の様子を見てくるわ」
それは、完璧な嘘であり、そして、完璧な真実でもあった。私は疲れていた。だがそれは、育児という名の肉体労働に疲れているのではなかった。私という個人が、水無月瑠璃という一個の人格が、「母親」という名の巨大なシステムに呑み込まれ、その歯車の一つとして摩耗していく、その存在論的な疲弊に、もう耐えられなくなりつつあったのだ。これは、巷で囁かれる「産後クライシス」だとか、「ホルモンバランスの乱れ」だとか、そういった便利な言葉で容易に片付けられてしまうような、表層的な現象ではない。違う、断じて違う。これは、一個の人間が、その魂の主導権を、自らが産み落とした別の生命体に完全に明け渡し、「装置」へと、あるいは「白き機械」へと、静かに、そして不可逆的に変質していく過程で生じる、存在そのものの軋みなのである。
聖母、とはよく言ったものだ。人々は、母という存在を、無償の愛と自己犠牲の象徴として、何の疑いもなく神格化する。だが、その実態はどうか。自己を失い、思考も、肉体も、感情さえもが、すべて「子」という絶対的な存在に奉仕するためだけに再構築された、ただのシステムではないか。私は聖母などではない。私は、高性能な乳製造機であり、汚物処理機であり、そして最適な環境を提供する空調設備が一体となった、ただの生命維持装置に過ぎないのだ。この気づきは、甘美な自己陶酔を許さない、あまりにも冷徹で、そして絶望的な真実であった。そして、この真実を共有できる人間は、この世界のどこにもいやしない。翔太のあの無垢な優しさでさえ、結局は、この優秀な装置が、明日も滞りなく稼働し続けるための、定期的なメンテナンス作業にしか見えないのだから、その孤独は、宇宙空間にたった一人で放り出された飛行士のそれに似て、どこまでも深く、そして底なしであった。友人たちがSNSに投稿する「#育児は大変だけど幸せ」という呪文めいたハッシュタグは、もはや、この巨大なシステムの異常性に気づいてしまった者たちを、再び安らかな眠りへと誘うための、集団的な自己欺瞞の儀式にしか思えなかった。
寝室に入ると、ベビーベッドの中の光は、小さな胸を穏やかに上下させながら、深い眠りの海を漂っていた。その無防備な寝顔は、確かに、この世のどんな芸術品よりも美しく、尊い。この小さな生命を守るためならば、私は喜んで我が身を投げ出すだろう。だが、それは、この身が「私」のものであった頃の話だ。今の私にとって、この感情は、プログラムに組み込まれた命令を遂行しているに過ぎないのではないか。愛でさえもが、システムを円滑に稼働させるための、潤滑油のような機能に成り下がってしまったのではないか。そんな疑念が、毒のように心を蝕んでいく。
私は、息子の傍らを離れ、再びリビングへと戻った。翔太は、ソファの上で、テレビの光をぼんやりと浴びながら、所在なげにスマートフォンをいじっている。その背中は、拒絶された雄の、どうしようもない寂しさを物語っていた。かつての私なら、きっと背後からそっと抱きしめ、「ごめんね」と囁いて、彼の寂しさを溶かしてやることができただろう。しかし、今の私には、もはやそのための機能が、インストールされていないのである。
私は、彼に気づかれぬよう、書斎として使っている小さな部屋に滑り込んだ。そして、ノートパソコンの冷たい天板に触れる。ひやりとした感触が、指先から伝わり、かろうじて、私がまだ血の通った人間であることを思い出させてくれるようだった。スクリーンを開くと、真っ白な光が、闇に慣れた私の網膜を焼いた。カーソルが、無人の荒野で、点滅を繰り返している。何を、書くというのか。誰に、伝えるというのか。この、言葉にもならぬ、システムの内部で発生したエラー報告を。この、機械の内部から聞こえてくる、魂の悲鳴を。
それでも、私は指を動かした。これは、誰かに読ませるためのものではない。これは、祈りでもなければ、懺悔でもない。これは、私という名の機械が、自らの異常を検知し、その原因を究明し、あるいは再生の可能性を探るために、己の内部へとメスを入れる、冷徹な自己解剖の記録なのだ。
『これは、私という名の機械が、自己を観察し、分解し、あるいは再生を試みるための、極秘の設計図である』
その一文を打ち終えた瞬間、私の内側で、何かが、硬い音を立てて、砕けたような気がした。それが希望の萌芽であったのか、それとも、完全なる崩壊への序曲であったのか、その時の私には、まだ知る由もなかったのである。ただ、窓の外で、東京の夜景が、まるで巨大な電子回路のように、無機質で、そして美しい光を、果てしなく明滅させているのが見えた。私もまた、あの無数の光の一つに過ぎないのだと、そう、思った。
自己を機械と定義したからには、次なる工程は当然、その性能向上のための最適化、あるいは、旧弊なOSから脱却するための、大胆にして静かなるアップデート作業へと移行せねばならぬのが、論理的な、そして必然的な帰結であった。そう、これは革命なのだと、私は深夜の書斎で、青白いスクリーンの光に顔を照らされながら、ほとんど恍惚とさえいえる表情で、そう結論付けたのであった。かつてロベスピエールが、腐敗した王政をギロチン台へと送り、新しい共和制の礎を築かんとしたように、私もまた、この「母親という名の献身」や「夫婦の情愛」といった、あまりにも情緒的で、非効率で、そして実態としては女の無償労働を美化するだけの前時代的な概念を、一度完全に解体し、再構築する必要があったのだ。そのための武器は、かつて私が外資系コンサルティングファームで、幾千もの企業を相手に振り回してきた、あの冷徹なロジックと、容赦なき客観性という名のメスに他ならない。愛という名の曖昧模糊とした霧を晴らし、我が家という名の王国を、データとタスクリストに基づいた、明晰なる統治下に置くこと、それこそが、この「水無月瑠璃」という名の機械が、オーバーヒートによる機能停止を免れ、なおかつ、その内部に巣食う虚無という名のバグを駆除するための、唯一の処方箋であると、私は確信していたのである。
かくして、週末の朝、光が心地よい午睡に落ちた、その奇跡のような静寂の瞬間に、私は翔太をダイニングテーブルへと厳かに召喚した。彼の前には、焼きたてのクロワッサンと、アラビカ種の豆を丁寧にハンドドリップで淹れたコーヒー、そして、私が昨夜、寝る間も惜しんで作成した、全十二ページに及ぶパワーポイント資料を印刷したものが、三点セットで恭しく置かれている。資料の表紙には、ゴシック体の太字で、こう記されていた。『家庭内オペレーション最適化計画書 Ver. 1.0 〜共同経営責任者(Co-CEO)体制への移行による、サステナブルな家族経営の実現に向けて〜』。翔太は、そのあまりにも場違いなタイトルを、まるで理解不能な古代文字でも解読するかのように、眉間に深い皺を刻んで見つめた後、恐る恐る、といった風情で私に視線を向けた。その瞳は、嵐の前の静けさにおびえる子犬のように、不安げに揺れている。まあ、無理もないことだろう。彼にしてみれば、愛する妻が、突如として冷酷な経営コンサルタントに豹変し、家庭という名の聖域に、KPIだのPDCAサイクルだのといった、無粋極まりないビジネス用語を持ち込もうとしているのだから。
「瑠璃、これは…一体…?」
「説明するわ、翔太。よく聞いて。これは、私たち家族が、これからも幸せに、そして機能的に存続していくための、新しい聖書(バイブル)よ」
私は、そこから淀みなく、プレゼンテーションを開始した。現状分析(As-Is)、あるべき姿(To-Be)、そのギャップを埋めるための具体的なアクションプラン。家事という、これまで「名もなき家事」という名の混沌の海に漂っていた無数のタスクは、すべて洗い出され、「育児関連」「清掃関連」「食料調達・調理関連」「その他(消耗品管理、資産管理等)」といったカテゴリーに分類され、それぞれに担当者と所要時間、そして実行頻度が、美しいガントチャート形式で可視化されている。例えば、「朝食後の食器洗浄」は、担当:翔太、所要時間:十五分、頻度:毎日、といった具合に。さらに、月に一度、近所のカフェで「夫婦経営会議」を開催し、月次の進捗確認と、翌月の計画策定を行うこと、日々の細かな情報共有は、専用のチャットアプリで行うこと、そして何よりも重要なのは、これまで私一人が暗黙のうちに担ってきた「家庭運営の全体を俯瞰し、次の一手を考える」という、いわば管理職としての役割を、これからは二人で分担する、すなわち、彼にもまた、単なる作業員(ワーカー)ではなく、主体的に思考する共同経営責任者(Co-CEO)としての自覚と行動を求める、ということ。私の説明は、かつてクライアント企業の役員たちを唸らせた時のように、理路整然としており、反論の余地など微塵もなかった。翔太は、ただ呆然と、私の言葉の奔流に身を任せるしかなく、すべての説明が終わった時、彼はまるで催眠術にでもかかったかのように、こくり、と小さく頷いたのであった。
「…わかった。瑠璃が、そこまで追い詰められていたなんて、気づかなくて、ごめん。僕も、頑張るよ。君を、一人にはしない」
その言葉は、疑いようもなく誠実で、彼の優しさが滲み出ていた。私は、その瞬間、胸の奥に、ちくり、と小さな痛みを感じたのを覚えている。違う、そうじゃないの、翔太。私が求めているのは、あなたのその「頑張るよ」という、まるで部下が上司に忠誠を誓うような言葉ではない。私が欲しいのは、私がこの計画書を作る必要すらないほどに、あなたが私の脳と、私の視界と、私の不安を共有してくれるPermalink |記事への反応(0) | 05:15
増田は、20代。精神科の診察室に座っていた。これまで自分が他人と同じように生きていないこと、周囲とどこか違うと感じ続けてきたことは、もう誰にも説明できないほどの負担となっていた。やっとの思いで精神科を訪れ、知能検査を受け、軽度知的障害の診断を受けた瞬間、私は一瞬の静けさを感じた。診断結果を受け入れるまでに少しの時間が必要だったが、次第に納得が湧いてきた。「なるほど、私はずっとこうだったんだ」と、自分の中で何かがつながったような感覚に包まれた。その瞬間、ふとした希望も感じた。「これで療育手帳が取れたら、障害者雇用やいろんな福祉支援サービスが受けられるかもしれない」と、わずかながらの期待が胸に湧き上がった。自分が今まで経験してきた苦しみや不安が、少しでも軽くなるかもしれない、そんな思いが増田を包んだ。
しかし、その期待はすぐに打ち砕かれることになる。
増田は療育手帳の申請を行い、知的障害者更生所で再度知能検査を受けた。その結果、精神科での診断と同様に軽度知的障害とされる数値が出た。しかし、それでも結果は「非該当」となった。理由は「18歳以下で知的障害の状態だったことを証明する資料が不足している」というものだった。私はその理由に愕然とし、困惑した。過去の自分を証明する手段がほとんどなく、結果的にそれが障害者としての支援を受けるための唯一の鍵だと思っていたのに、最初の申請は却下されてしまった。
過去の知能検査結果について、病院に行ったことはないため通っていた学校に支援者が問い合わせると知能検査は行われていたが5年で廃棄処分していると言われ、入手することはできなかった。他には、テストの結果や成績表、担任の証言書を集め、再度申請することを決意した。これでなんとかなる、そう信じていた。
再申請が受理され、知的障害者更生所で再度話し合いが開かれた。支援者も同行し、増田は自分の過去を証明するために、何度も何度も訴えた。
「私は、子供の頃に診断を受けなかっただけで、今でも支援が必要だと感じているんです。過去の成績や担任の証言で、私がどれほど苦しんでいるか分かってほしいんです」
増田は何度も言葉にしようとしたが、結局うまく伝えることができなかった。コミュニケーションが苦手で、他人に自分の気持ちをどう伝えるべきかが分からない。増田が言葉を選び、伝えようとするその過程は、いつも思うようにいかない。判定職員には、私の苦しみがどれだけ深いものであるか、どれだけ長い間その苦しみに耐えてきたのかは、うまく伝わらなかった。
支援者は、増田がこれまでどれだけ真剣に証拠を集め、過去の困難に立ち向かってきたのかを理解し、判定職員にそれを伝えようと尽力した。しかし、何度も話し合いをしても、その答えは変わらなかった。
「証明が足りません」「18歳以下の証拠がありません」「過去の成績や担任の証言だけでは、交付することはできません」
その言葉が、再び私の心を冷たく締め付けた。必死に集めた証拠や証言が、すべて無駄に終わった。再申請しても、結果は同じだった。増田はその現実に愕然とし、次第に、自分がどれだけ過去を証明しようとしても、全てが無駄なことだと感じ始めた。証拠が足りないという一言で、過去のすべてが無視され、再び壁にぶつかっているような気がした。
増田は、この世界において自分の声が何も届かないと感じていた。過去を証明する手段が限られていて、いくら努力しても結果に繋がらない現実、どんなに訴えても理解されないという事実に直面し、深い絶望に陥った。自分の気持ちを他人にうまく伝えることができない。これまでの人生でずっとそうだった。学校でも、職場でも、自分の思いをうまく言葉にできず、苦しんできた。支援者にさえ、心の奥底にある本当の苦しみや切実な願いを伝えることができなかった。たとえうまく伝わったとしても、その後何も変わらなければ意味がない。私の中で、無力感が膨れ上がっていった。
「どうして、こんなにも分かってもらえないんだろう…」
過去を証明する手段が限られていて、結局それが自分を助けるための唯一の鍵だと思っていたのに、それすらも認めてもらえない現実に、増田は深く絶望していた。自分が子供の頃は助けを求めることさえできなかった。大人になった今、勇気を出して助けを求めても、誰も相手にしてくれない。耐えられなくなった。
話し合いが終わり、再び私と支援者は帰路についた。途中、私は無言で歩いていた。支援者が少し間を置いて、静かに口を開いた。
「増田さん、もうこれ以上頑張っても、無駄だってこと、分かってるでしょ?」
私はうつむきながら歩き続けた。支援者は少し間を置いて、さらに言った。
「いくら証拠集めて頑張ったって、あっち側の決まりがあるんだから、どうにもならないんだよ。この現実を受け入れるしかない。あなたがどうしたって、この社会は理不尽だらけでできている。このことを受け入れなきゃ、あなたはこれから働くことも、生きていくこともできない。」
私はその言葉を耳にしながら、心の中で反発していた。どうしても受け入れたくなかった。けれど、支援者の言葉が、どこか冷たく現実を突きつけてくるのを感じていた。
納得するしかない。唯一の味方だと信じるしかなかった支援者から何度も繰り返される説得に、次第に身体が重くなっていくのを感じる。
「受け入れるしかない…」
その言葉が、増田の頭の中で何度も響く。これまでの人生を振り返ると、どれだけ努力してきても、結局は何も変わらなかった。学校も職場も、適応できなかった。自分が他の人と同じように生活することなんて、どうしてもできなかった。
「療育手帳があれば…」
福祉支援を受けられれば、少しでも楽になれると思っていた。けれど、その希望も絶たれた。自分がどれだけ証拠を集め、努力しても、結局は非該当のままだ。どうしてこんなに頑張ったのに、何も変わらないのだろう。
歩きながら、増田は心の中で叫んでいた。自分の声がどこかに届いてほしい。誰かに理解してほしい。でも、どんなに叫んでも、届くはずもないということを、もう増田は知っていた。
やがて自分の実家が見えてくる。家に帰るたびに感じる、親の無関心が、彼の心に重くのしかかる。
自分の悩みや障害のことを話そうとするたびに、面倒な顔をして避けるような態度をとる。どんなに傷ついても、親にはその気持ちを伝えることはできない。
知的障害者更生所の職員が「担任教師から聞き取り調査を行ったところ当時あなたの様子から親に養護学校を勧めたと言っていた。でも、養護学校を勧められた程度では療育手帳を取得できる根拠にはならない」と話していた。増田はそのことを当時親から聞いたことはなかった。長年隠されて、なかったことにされていたのだ。さらに知的障害者更生所の嘱託医は「子供の頃に検査してるか、実際に養護学校に行ってないとダメだよ」と主張する。
病院の主治医に相談しても「療育手帳は県が決めることだからこちらはどうしようもできない。」という考えで、深く関わろうとしない。
「どうして…」
私は床に座り込み、ただぼんやりと天井を見つめていた。支援者が言っていた「受け入れるしかない」「あなたは運がなかったね」という言葉が、どんどん増田を圧しつける。受け入れることなんてできるはずがない。受け入れて生きることなんて、考えられない。
「このまま、ずっとこんな人生が続くんだろうか。」
心の中でその問いが繰り返される。周囲と適応できず、苦しみながら生きてきた自分を、誰も理解してくれなかった。過去は変わらない。障害があることも変わらない。療育手帳を取って、少しでも支援を受けることで、この人生が変わることを期待したけれど、その望みすら叶わない。
私はその道のりを、自分の人生そのものとして感じていた。どれだけ頑張っても報われることはない。過去の出せる資料は限られているし、結局は認められないという現実。
そして、私はその夜、自分の中でひとつの決断を下した。絶えることのない無力感、療育手帳を手に入れることができなかった希望に対する苦しみが、増田を追い詰めていった。
人文系だろうが理数系だろうが研究者のくせに科学的根拠もない論説垂れ流して必要な時はダンマリでクソみたいな時だけ声のでかい組織
任命から外れた奴らも無駄に粘ってるけど金が欲しいだけだろアレ
学問のためとか叫ぶなら国の金じゃなくて自分達の金で組織作って機能させりゃ国に口出されることもなく自由に活動できるだろうに
何の研究成果も出さずにやれシンポジウムだやれデモだってお前らが一番研究の世界に無駄だわ
科研費からそんな支出ができる時点でおかしいんだが科研費は応募時の支出と実際の支出の名目が全く違っても理由が立てば問題ないっていうシステムが混ざってるからね
あんな連中と一緒にされたくないんだわ
っていう1人の研究者の呟き
リトライ。
お化け屋敷で遊びましょう!
ChatGPT:
キャーッ!びっくり箱からゾンビが飛び出してきました!どうしますか?
にげる
たたかう
話しかける
あなた:
3
ChatGPT:
「ぼく、実は道案内が得意なんだ。出口を知りたいかい?」
どうしますか?
お願いする
うたがう
無視して進む
あなた:
4. 殴る
ChatGPT:
ゾンビは「いってぇなあ…そんなことするなんてひどいじゃないか…」と泣きながら地面に座り込みました。
どうしますか?
あやまる
にげる
お母さんにも話しかける
あなた:
ChatGPT:
はい、ゾンビ一家は代々ゾンビとして生まれる設定です。遺伝です。
あなた:
感染はしないってことか。じゃあ怖くないのでは?
ChatGPT:
あなた:
で、なんだっけ?
ChatGPT:
ゾンビのお母さんが現れて、どうするか選ぶ場面でした。
選択肢:
あやまる
にげる
お母さんにも話しかける
あなた:
4. 殴る!
ChatGPT:
あなたが拳を振り上げると──
ゾンビのお母さんは涙を浮かべてこう言いました。
「息子が…友達を作ろうとしてたのに…!」
本気であやまる
ちゃぶ台をひっくり返す
土下座する
「これは夢だ」と叫ぶ
あなた:
4. 踊る!
ChatGPT:
あなたが突然踊り出すと──
「すごい!この人、最高じゃん!」
どうしますか?
ゾンビたちと踊り続ける
DJの座を奪う
やっぱり出口を探す
あなた:
ChatGPT:
はい、その通りです。ゾンビは種族・存在のカテゴリであり、職業とは別です。DJは職業です。
あなた:
ChatGPT:
平民ゾンビ:一般的なゾンビたち。お化け屋敷で働いたり畑を耕したり。
あなた:
幸せなのか?
ChatGPT:
はい、彼らはゾンビなりに満足し、踊りや仲間との交流を楽しんでいます。彼らにとっての幸せは「受け入れられ、拒まれないこと」。あなたのダンスはその象徴となっています。
あなた:
では、殴る!
ChatGPT:
あなたが拳を振り上げた瞬間──
ゾンビたちは踊りをピタリとやめ、静かに輪を作ってあなたを囲みました。
「また…殴るのかい?」
どうしますか?
拳を下ろす
構わず殴る
泣く
空気を読まず踊る
あなた:
ChatGPT:
その瞬間、ゾンビ王国の法律により「過剰攻撃」と判定され、あなたはその場でゾンビ裁判にかけられました。
どう答えますか?
愛がありました
理がありました
両方ないです
あなた:
ChatGPT:
はい、この場では平民ゾンビとして、あなたと一緒にお化け屋敷で働いています。裁判の様子も、ちょっとワクワクしながら見ています。
あなた:
ChatGPT:
いいえ、裁判官ゾンビは貴族ゾンビです。格式あるゾンビ法廷にのみ仕えることができます。
あなた:
私は?
ChatGPT:
あなたは「旅人枠」で、お化け屋敷を訪れた異邦人として扱われています。身分は一時的に「特例扱いの賓客(ひんきゃく)」です。ゾンビたちはあなたに興味津々です。
あなた:
ChatGPT:
お化け屋敷のお化けとは、ゾンビ族とは別に存在する、演出専門の幽霊・妖怪・亡霊などの総称です。多くは契約社員で、出没タイミングや驚かせ方に定評があります。
あなた:
ゾンビはなんなの。
ChatGPT:
ゾンビは、お化け屋敷に常駐し、生活や仕事をしている「不死の住人たち」です。彼らは死から甦った存在ですが、恐怖を与えるよりも、踊ったり話したり働いたりと、社会を構成するキャラクターたちです。幽霊や妖怪とは異なり、物理的な存在を持ち、個々に職業や性格があります。
あなた:
ChatGPT:
ゾンビ:通貨は「デスコイン」。肉体労働や接客、パフォーマンスに応じて支給されます。生活費や趣味(棺桶改造、脳みそ料理)に使われます。
お化け:主に「霊券(れいけん)」で支払われます。これは霊界通貨で、出現頻度や驚かせ成功率に応じて支給されます。霊界カフェや転生相談室で使われます。
オーバーツーリズム化した秋葉原で働いてるけど座り込みや路上喫煙、ゴミのポイ捨てなんかが酷い。
一年半前くらいは中国語を話す人が7割といった感じだったけど、英語、スペイン語、ドイツ語も耳にするようになってきた。
店舗を出てすぐ脇にビン・カン、食べさしのコンビニ食品、買ってすぐ履き替えられてしまったであろう靴とシューズボックス、クタクタになったリュックとかが捨てられていた。
片付けていろんな言語で注意書きをしたカラーコーン置いてもダメだった。
路上喫煙禁止条例のために巡回してるおじさんたちもガタイの良いタトゥーの入った外国人に声をかけるも気圧されていた。
PCパーツ屋とかヨドバシでも缶ジュースや缶ビールを飲みながら入ってくる。
PCパーツのRTX5090もほとんどが日本語を話せない人達に買われていった。多分みんな中国人。
店舗としては国籍で販売する相手を選べないので金があるなら売るしかない。
この人たちが購入した後に5090がどうなるのかは知らない。
フィギュアショップでも店員が鬼滅のコミックス売ってないかしつこく聞かれてた。
あんまりにもしつこく聞いてたから本屋まで案内しようとしたら英語が通じないようだった。
あげく、どう勘違いされたのか、自分がコミックスをプレゼントしてくれると思い込んでいたらしく、全部よろしく!と翻訳されたスマホの画面を見せられたので、秋葉原アトレの本屋の前でちょっと待っててと言って逃げ出した。
母国語がなんだか知らないけど英語ができない人も沢山いるから、各ショップの店員さんとかが疲れた顔してるのは日常的。
あ、これらは外国人スタッフを雇ってなさそうなショップの話ね。
大量にまとめ買いをして帰る人たちが多いからコーナーの前で友人達に何が欲しいかその場で電話して聞く。
基本的にトレーを使わずに万札を突き出してくることが多いんだけど、持ってる小銭を全てトレーに乗っけててめえで取れスタイルをちょこちょこやってくる。足りてません。お会計は8,980円(税込)ですよ。
秋葉原には小学校があって下校している小学生が旅行客に撮影されてく。
横断旗を持った地域の人は撮影禁止って書かれたビブスを着てる。あんまり効果無いっぽい。
英語だろうが母国語だろうが文字を読んでいないパターン、ピクトグラムが機能してないケースが多い。
どの店も辺鄙な場所でなければまぁまぁ売り上げはあるみたいでありがたい限りだけど、それとは別にすり減る部分があってちょっとつらい。
春休みで実家に帰省していた。読書と猫と戯れること以外にやることがなかった。文学部だったので就職が不安で狂いそうだった。そうだ、いっそのこと狂ってしまえと思った。左翼にかぶれた教授がやたらLGBTを擁護していたので、俺もいっそのこと片足突っ込んでみるか、と思った。いや、そんなのは半分以上見栄だ。女旱りがキツすぎて、もう男でもいいやと思ったというほうが大きかったかもしれない。
LINE友達募集とかカカオ友達募集みたいな掲示板で、ひたすらホモに声をかけまくった。
「挿入は怖くてできませんが、舐め合ったりとかしたいです」
思ったよりも返信率が低くて、選り好みしてんじゃねーよ、と苛立った。こちとら淫乱テディベアのブツでもしゃぶる覚悟でいたというのに。
よくやく会えそうな流れになったのが、2つ隣の市に住む男だった。深夜、軽自動車を走らせて会いに行った。
指定された場所は、昔ながらの田舎の集落の外れの、田んぼ道の入り口だった。
「到着しました」とメールした数分後、暗闇からいきなり男が現れ、当たり前のように助手席に座り込み、ズボンを下ろした。
俺は会って2秒でそいつのチンコをしゃぶり始めた。闇夜でも分かるほど我慢汁が滲み出ていて、雄臭6割、石鹸臭4割の臭気が直撃した。もっとえずくかと思ったが、意外とスムーズにフェラチオができた。自分だったらどうされたら気持ちいいかを考えながら、右手で睾丸をさすり、歯を立てないよう注意しながら愛撫した。
しばらく続けたが、俺の努力の割に、そいつの興奮は高まっていないようだった。男は申し訳なさそうに、「動画、見てもいい?」と聞いてきた。俺は頷いた。何の変哲もなさそうなAVの女の喘ぎ声が聞こえてきた。運転席から90度体を捻ってフェラチオをしていたので、腰が痛かった。
ようやく男が上り詰めてきたので、俺はオーガズムの到来を邪魔しないよう、一定の強さの刺激を与え続けた。一呼吸置いて、男がくすぐったそうな素振りを見せた。
「あれ? イってない?」
小さなオーガズムだったのか。それともイったふりだったのか。ともかく俺は、自分の唾液と少量の精液が混じったかもしれない液体を早く吐き出したく、運転席のドアを開け、ペッとやった。世の女の子は一生のうちに何回これをやるのだろうか、と思った。
冷静になって見てみると、男は俺の一つか二つ年上くらいだっただろうか。三十路手前くらいに見えた。
「いや、ノンケだよ。生きてる間に一回、フェラをしてみたくてね。そっちはどうなの?」
「オレもノンケ。結婚してんだけど、嫁がヤらせてくれなくて。溜まっちゃってさぁ」
つまるところ、その夜の営みには何一つ多様性や進歩性といった要素は無く、どこまでも女に飢えた男二人の悲しき代償行為だったのである。男の放った精液の少なさが、それを証明していた。
別れた直後、俺は持参してきたリステリンで、何回も何回も口を濯いだ。腰の痛みはまだ残っていた。
金曜、つまり昨日のことだ。
俺は今週出張に出ており、終日となった金曜。
最低限の報告を済ませると上司から「直帰していいぞ」と言われ、新幹線に乗って戻ってきたもののマンションの最寄り駅まで行くのは面倒だった。
出張の疲れもあり、どうせ明日は休日だ。それなら今夜は近場のビジホでのんびりしようと思い、ホテルに泊まることにした。
特に何事もなくチェックインし、部屋に入ると一般的なビジホ。特別面白みはないが、かといって不便なこともない。
ただ何かが物足りない。
そこでデリのヘルを呼ぶことにした。
出張中は忙しく、ろくに体のケアも出来なかったのだ、これくらいのご褒美はいいだろう。
適当にスマホで調べて、なんだか良さげなところを見つけて申し込んだ。
あとは部屋で待っていればいい。年甲斐もなく、少しそわそわしながら来るのを待っていた。
すると不意にブザーの音が響き、俺はワクワクしながらドアを開けた。
途端、絶句した。
そこには70過ぎに見える、源平討魔伝に出てくるようなババアが立っていた。
俺は「…あ、もしかして送迎の方ですか?」と一縷の希望を託して尋ねたものの、ババアは首を小さく横に振った。
唖然としている俺を横目にババアは部屋に入るとさっさとドアを閉めた。
俺はベッドの方にゆっくりと戻り、ドスンとベッドに腰かけると「あの…すみませんが…チェンジ…とか、できますか?」と自分でも滅入るような声で聞いた。
ババアは一瞬「え?」っという顔をして、ちょっとばかり顔をしかめた後、「…可能です」と答えた。
「じゃあ、それで・・・お願いします」と俺はか細い声で頼んだ。
するとババアが急に身体を縮めて床にぺたりと座り込み、土下座をするような体勢で「チェンジは可能ですが…その…後生ですから!お客様のちんぽを見せてもらえないでしょうか?」と懇願してきたのだ。
変な気もしたが、ちんぽを見せればチェンジをしてくれる。なら、別に見せたっていいだろう。
そう思って「いいですよ」と俺はベッドから立ち上がり、ファスナーを下げ、パンツからちんぽを出した、その瞬間——
ババアは俺のちんぽに吸い付いた。
え?え?と状況が飲み込めないまま混乱していると、ババアは聞いたこともないような音を立てて俺のちんぽを口の中でしごき出した。
あ…!、あ…!、あ…!
訳が分からず身動きも取れず、一瞬ごとに俺の情緒は目まぐるしく変化し、ババアの口の中は驚くほど潤っていて、いつの間にそれほどの唾液を溜めたのか不思議なほどだった。
あ…あーっ!!!
叫んで抵抗しようともババアは聞く耳を持たず、一心不乱に俺のちんぽを咥え続けていた。
や、やめ——
ろ!!!と口にしたがババアは一切表情を変えず、俺のちんぽしか眼中にないようだった。
既にちんぽ搾乳機と化したババアは無機質に、高速で、俺の俺を口の中で激しく激しくしごき続ける。
ジュボッジュボッジュボジュボジュボッ
ジュボッジュボッジュボジュボジュボッジュボッジュボッジュボジュボジュボッ
ジュボッジュボッジュボジュボジュボッジュボッジュボッジュボジュボジュボッジュボッジュボッジュボジュボジュボッ
俺は射精した。
敗北感に打ちのめされながら俺は財布から5千円札を取り出すとババアに渡し、ババアはこちらの心境を察しているように「まいど、ありがとうございました」とだけ言ってすぐに部屋から出て行った。
俺はそのままベッドに横たわり、部屋の明りを消すと気絶するように眠った。
目が覚めて、チャックアウト前に二度ほど風呂に入り、10時過ぎに部屋を出た。
延長料金をクレカで支払おうと財布を取り出して中身を確認したとき、五千円札が消えていることに気が付いた。
だからといってどうすることもできない。
俺は無力だ。
車は田ゐの道に重き轍刻みて、静かに旅の媼なむ揺らしける。
「などかは感謝しはべりぬべきや。歩みもままならぬ身に幸ひなる助けにて治療も給へける。さこそは全能の天帝の御わざなれば、慈悲深きあがきみをば遣はし給ふべかんめり。」
御者の翁、前ぞ見据えてなほ黙(もだ)せる。
「あがきみもぞ、天帝の信奉者におはしはべるや…かくの如く見受けはべり。」
媼の眼差し、もだしたる御者の背へ、さらには荷台にて古びたる聖典に止まりぬ。まさに御者との時をぞ映しためる。
御者静かに「然り…信じはべり」とて、さらに「されど、天帝はただ…人のさだめをば弄びたまひはべり。」媼の微笑み穏やかに「まさしく深遠なる御弁(わきま)へにはべらむ」。
車進み行くも道塞ぐ巨木現れ、はからずに停まりにけり。媼は「あなや、如何にしはべらむ。なまむつかし」と言ふものを、御者の降りて巨木に手おきつれば、巨木の姿消えにけり。
「たぐひまれなる奇跡かな。大木の忽然と去りぬ」とも、御者は「ただ除きたるのみ」と冷ややかなりき。媼感じては「為し難くはべり」とて続けるに、「若きとき、あがきみ冒険者にはべるべかめり。かくはべりぬべし。常よりかかる勘がふ外れざらんものなれば。」
今は昔、御者の翁なるタケなむ、悪辣なる徒党の一味にて後ろ暗き途にありたり。その中に、ハンブン、ミノル、コゲ、エンディといふ者なむありにける。
ある夜半、逆巻くせせらぎうち響く中にて、タケが天帝の御姿ぞ冒涜せしものから、どちの一人に目覚ましく、「タケ、何ぞしたるや。これ御姿にて神聖なり。」
タケの「もだせよ。などかは心にかける者あるべき」とて、エンディ怒れるに「わぎみのわざ、此方ぞ汚しつる」と言ひ初めけり。タケは「さあらば、天帝とこそ争へ」とあしらふ。さらにエンディは「けしからず」と争ふ。他のどちの言ひけるに、「タケ、かかるわざによりて宛て行なひ給はらむものなり。」タケは嘲りて「天罰など、あり得ぬ事なり」と答ひき。
「などかうは然様に言い閉ぢしや」と問はれければ、タケの顔苦々しく、「幼きときの友、祈りて粮料(れうれう)乞ひたるも、飢えにてこそはかなくなりにけれ。おはせしかば、かれをば救ひ給ふべかりしを」と言ひくくむ。「故に、天帝なむあらぬ。」タケの言い腹立ちやまず。
エンディは「されど、などて天帝とこそ争へと言ひしや」と惑ふ。嘲りて「天帝とあらざらば、誰と争ふべし」とて鼻まじろきをしたり。別のどち更に問ふ。
「ミノル、わぎみの信ずる神が貶められたり。公腹(おほやけばら)ぞ示さむや」
「あれは我が信奉する神にはあらず。争ふなどよしなしごとなり」
また他のどち「はかなきことなり」と痴(をこ)がる。コゲ、ハンブンに向かひて「如何にせむ?」
「タケよ、いでや行かむ」「行かむや」
ハンブンのきもちやまず、「わぎみ、いつとなし、かかるわざぞ続けむ」とて聖典に添へおきつつ、「天帝、祈りや崇拝をもって我らをば救ひ給はず」とぞ言いける。
驚きて「何と」と問い返されしものから、ハンブンは「天帝、見守れども助け給はず。相応の苦難を授け給ふばかりなり」と語る。タケは「などかくはするぞ」とて憤(むつか)るもまた、別のどちも「ハンブン、わぎみの信じたることなるのみや」と疑ふ。
「信ぜず。長きにわたり、さかしらなる大人、天帝ぞ正しきとせむがための理(ことはり)なるも、をかし。民草を実(まめ)ならしむるためなれば、ひとへに侯(こう)がため。」
タケも心得ずして「無道なり」。タケを見据へ「いつとなく、かかる愚れ愚れしきわざ続けむや。虚仮なり。」とて言い募られたるものから随ひき。
驕れる一味、共に暗き世々を存(ながら)へ、つひに国王に背きつるも、久しからず、さだめのまへには闇の錦にて甲斐なし。はらからも勇敢なれど潰えて多く命を極め、ただタケの独りながらへり。
荒き風吹く夜、タケ、あばらやのやうなる塔の上にて立ち尽くす。「ああ、はらからは儚くなりにけり。かの激戦の只中にて残りたるは我が身なりけり。」
はからずにかつてのはらからの言葉胸にかすめる。「タケ、わぎみぞ儚くなり初めぬべき。」また他のどちも「かくの如き無謀をもって、ながらへらるるや」などといふ。息つかして去りにけり。
のちも浮かれ漂よひ続け、果てに綺麗なる殿に辿り着きけり。
宿直人は「何為むや。これホドギャ殿なり。よしなくしてえ立ち入られず」と問い詰めけり。タケは「ホドギャとはたそ。よそよそしきことなりけり」と鼻まじろきをする。宿直人をば斬り伏せ、殿の中に忍び込みけり。
いへのきみのホドギャはそれを見るに、郎従に「害せよ、害せよ!かのやじりきり誅せよ!」とげぢす。タケ、襲ひかかる者ども薙ぎ払いて、宝物手に入れるや去りぬ。
「若きときの冒険羇旅(きりょ)、けしゃうの物と戦ひもありけり。国王軍とも。人ともけしゃうの類ひともすずろなり。などかは戦ひのただ楽しかるべき。しかうして一人など甲斐なし。はらからのありてこそ、戦ひも人生も。」
自らの手中の宝物見るにうち捨て、虚ろにも「今、全て空し。同胞のなかりしかばあやなし」とて座り込みつつ、去りにし日々に禅定したり。
朝(あした)に起きれば、手の宝物をばうち溢(あぶ)し、またひとたび漕ぎ出だしけり。官軍が陣の前に立ちつつ、「これこそ別れ路、いざ華々しく行かめ。この戦ひもって死なば、黄泉にてはらからに会ひ得るか知らぬ」とぞ呟きし。林檎かじりつつ、陣への攻撃決めなむとも、にわかに腹痛に襲はれ、放りて蹲れば呻きたり。「腹ぞ…痛き…」
通りがけの田夫これを見て、恙なしやと寄りてみるに、「もだせよ」と返さるるも構はず。タケが傍にて宝物のありけるを覚える。「得難き宝なり。さりとも。」
車に乗らせ、町へと向かふ折、言ひけり。「憂ふなかれ。かの町に名医おはしはべり。犬の便秘さへ治したるほどにはべり。」タケは苦しみつつ、「なぜ宝もち去らざりぬや。やうれ、盗みつべかりしを……いづこにか連れて行かむとす」と尋ねけり。
田夫は笑ひつつ答へける、「臥したる者より銭(あし)盗みて去りぬと天帝に告げなば、さぞよろしからむや。然れど参る折、そのよしぞ聞こし召しせば、何をか仰せらるるや。」
「さなるや…」
「何と」
田夫は微笑みて「誰によりてもわぎみにこそせんいちなれ」とて聖典渡しけり。
かくありて、そののちも、幾度となく官軍が陣落とさなむとすれど、天候や体調、あるいは人の干渉に憚られ、阻まれにたり。つひに絶たむとて木に縄吊るして佇むなどもありけり。
「くびる者の心もちなむ弁へ知らぬ。今こそ…」
くくらむとするや、崖より岩ぞ転がり落ちて木をば折りたる。驚き嘆けば咳き込み、「またしても阻まれるなど、などてならむや…」倒れたる木に目を懸け、田夫より授かりたる聖典に触れり。
天帝よ、みましは真におはし侍るや?などかうは此方をぞこの世にしばしとどめ給はむ!
聖典開けど徒らなれば、めくる音のうち響くのみなるかな。
ふと眼裏にハンブンが言葉(けとば)思い起こされにけり。「天帝、見守れども助け給はず。相応の苦難を授け給ふばかりなり。」また、田夫のはかなしごとも。「あれぞ試練なりし。天帝は見守り給ふのみなり」とも。タケは覚えたりけむか、「そよや…まことにさなりけり…」と呟く。かくて聖典ぞ抱きて案じゐたりき。
「再びえあはれぬどちたち、今ここにあるべし…話しあたふべかめり」
かつてのはらからよりの教へぞ思ひ出さなむとて聖典や草子ぞ読み耽る。植物の覚え深きどちがため、植物抄、論文の類ひ尋ね取りけり。
「はらから、ものに通じたりき。過ごしたる日々思ひ出さむとて、からく関はる草子尋ね取りては読み耽けなむ」
しかうして今、タケは御者の翁となりぬ。
「はらからに再び会ひてしがな。それのみぞ生きる希望なるを、さあるべくしてほかに無し。されど、今や誰にもえ会はれず。生おぼえなるに、かんばせもえ思ひ出されず……夢にも。誰一人とて。死にても、憶えの中にても、もはやえかなはざるなり」と感じけり。
にわかに媼がタケに銃を差し付けり。かつてタケにより懸想人を害されし者なるなり。媼言ひけるに冷たく、「今なお日次ぎ思ひ出しはべり。わぎみらに害されたる懸想人。かんばせ、息通ひ、声などの覚え、昨日のやうなり。」
タケは「な外せそ。抗ふまじ。かかる暗き道閉ぢ給へ」と受けれど、媼の手震へより引金え引かれず、射られざりき。「今もなほ…」
媼は動じて見つめたり。
「わごぜのみならず。常なり。独りになりてより、かくのごとし。我をば害さなむ者、鞘よりつるぎ抜けず、弓のつる切り折れ、悉く阻まれたり。天帝、さらにどうなきを、我が人生ぞ閉ぢ給ふまじ。」
媼打ちひしがれれば、タケはかく語りき。
「今もなほ、わぎみが報いより我への罰ぞ選び給ひたる。これ天帝の思し召しなるらむ…」
1:1田舎の道にて、重き車輪が轍を刻みつつ、老女を静かに揺り動かしける。
1:2 老女は声を上げて言ひける、「何と感謝すべきことか。歩くこともままならぬ我を、助けていただき、その上治療まで施してくださるとは。これも全能の主が、汝の如き慈悲深き方を、我がもとに遣わしたまへればこそ…」
1:3 老人は黙し、言葉を発することなく、ただ前を見据えける。
1:4 老女はなお問いける、「汝もまた、主を信じ奉る者なるか…そのようにお見受け致し候ふが」
1:5 老女の眼差しは、無言の老人の背に移り、さらには荷台に置かれし古びた聖書に止まりぬ。それは時の流れを刻む如く使ひ込まれけるものなり。
1:7 彼はさらに続けて言ひける、「されど、主は唯…人の運命を弄びたまふのみ」
1:8 老女は穏やかに微笑み、「それは、まさしく深遠なる教理の解釈に相違なし」と応じける。
2:1 馬車は進み行きける中、突如、道を塞ぐ巨木現れけり。老人は馬車を止めたり。
2:2 老女は言ひける、「あら、これは如何に。厄介なる事態なり」
2:3 老人は馬車より降り、黙して巨木に手をかけたり。
2:4 その時、巨木は静かに、しかして確かにその姿を消し去りけり。
2:5 老女は驚きの声を上げ、「何たる奇跡ぞ、大木が忽然と消え失せり」と驚きけり。
2:6 老人は冷ややかに答へける、「ただ木を取り除きしのみなり」
2:7 老女は感嘆し、「我には到底、成し得ぬことと存ずる」と述べ、
2:8さらには、「若き頃、汝は冒険者でありしに違ひなき事と存ずる。さなり。わが直感は、往々にして外れざるものなれば」と付け加えけり。
3:1 若かりし頃、タケと呼ばれしその老人は、邪悪なる徒党の中に身を置き、暗き道を歩みたり。
3:2 その仲間たちは、ハンブン、ミノル、コゲ、そしてエンディといふ者たちにてありける。
4:3 仲間の一人驚きの声を上げ、「タケよ、何といふことを為すのぞ!これは神聖なる御姿にあらざるか!」
4:4 タケは厳しき口調にて、「黙れ、その如きことは構はぬ」と返しける。
4:5エンディは怒りの声を上げ、「お前の行ひにより、この場は汚されしぞ!」と言ひける。
4:6 タケは冷たく、「然らば、主に抗議せよ」と言ひ放ちける。
4:7エンディはさらに憤り、「何を言ふておるのぞ!」と反論しける。
4:8 仲間の一人言ひける、「タケよ、その如き行為は、天罰を招くものに候」
4:9 タケは嘲笑する如く答へける、「天罰など、あり得ぬ事なり」
4:10 仲間問いける、「なぜ、その如く断言するや?」
4:11 タケは苦々しげに語りける、「幼き日の友は、主に祈り、糧を乞ひ求めたり。されど、彼は飢えに苦しみ、命を落としけり。もし主が存在すれば、なぜ彼を救はざりしや?」
4:12 タケは激しく言葉を続けける、「故に、我は主を信じず」
4:13エンディは困惑し、「然らば、なぜ主に抗議せよと言ひしぞ?」
4:14 タケは嘲る如く、「主が存在せぬならば、誰に抗議するや?」と応じける。
4:15さらに仲間の一人声を上げ、「ミノルよ、汝の信ずる神が侮辱され候ているぞ。正義のために戦はざるや?」
4:16ミノルは静かに言ひける、「あれは我が信ずる神とは異なり。戦ふ理由など無し」
4:18 コゲはハンブンに向かひ、「如何せむ?」と問いかけける。
4:19 ハンブンは悠然と答へける、「もう行かむ、タケよ」
4:20 タケは無念そうに、「もう行くや」と言ひける。
4:21 ハンブンは叱責する如く、「汝は何時までその如き行為を続けるつもりや!」と言ひ放ち、
4:22 ハンブンはさらに、聖書に手をかけながら言ひける、「タケ、その神は、祈りや崇拝にて救ひを与ふるものにあらず」
4:23 タケは驚き、「如何なる事ぞ?」と問い返しける。
4:24 ハンブンは静かに語りける、「神は、人を見守りつつも、助けを与へず。その者に応じた苦難を与ふるのみなり」
4:25 タケは憤然として言ひける、「何故ぞ!」
4:26 仲間の一人問いける、「ハンブン、それは信じていることや?」
4:27 ハンブンは嘲笑し、「信じざるなり。唯、賢き学者たちが長きにわたり、神を正当化するために編み出した理屈が面白きのみなり。それにより、人々は真面目に生き、支配者は楽となるなり」
4:28 タケは納得しがたげに、「何と理不尽なる事ぞ!」と叫びける。
4:29 ハンブンはタケを見据へ言ひける、「タケよ、何時までその愚かな行為を続けるつもりぞ。無意味なる行ひに過ぎざるなり」
4:30 タケはなおも続けんとしたれど、ハンブンの言葉に従ひ、やがてその行為を止めたり。
4:31 その後、彼らは行動を共にし、暗き時代を生き抜きたり。然れど、彼の一団が国王軍に対し反乱を起こさんと企てしその時、運命は彼らに牙をむきぬ。
4:32 タケを含む仲間たちは、勇敢に戦ひ抜きしが、一団は壊滅し、多くの者が命を落としけり。
4:33 唯一生き残りしは、タケただ一人なり。
5:1 風が激しく吹きつけし夜、タケは一人、廃墟となりし塔の上に立ち尽くしけり。
5:2 彼は静かに言ひける、「ああ、皆死に果てしや。あの激戦の中にて、ただ我一人が生き残りしとは…」
5:3 その時、かつての仲間の言葉が脳裏をよぎりける。「タケ、汝が皆の中にて最初に命を落とすべし」と。
5:4さらに別の仲間が言ひける、「その如き無茶を続けていては、長生きなどできぬぞ」と。
5:5 タケは嘆息し、塔を立ち去りけり。彼はあてもなく歩き続け、そしてある時、豪奢なる邸宅の前に辿り着きける。
5:6邸宅の門の前に立ちし番人は、厳しく問い詰めける、「何用ぞ。この地はホドギャ様の邸宅にござ候。許し無くして立ち入ること許されざるなり」
5:7 タケは冷ややかに、「ホドギャとは誰なるぞ。そ奴が何者であれ、我には関係なし」と答へける。
5:8 そして、タケは躊躇することなく、番人を斬り伏せ、そのまま邸宅の中に入り込みける。
5:9邸宅の主たるホドギャは、その状況を見て、家来たちに叫びける、「殺せ、殺せ!この侵入者を始末せよ!」
5:10 タケは冷静に、次々と襲ひかかる者たちを打ち倒し、
5:11 その後、邸宅の中の財宝を手に入れ、そして瞬く間に姿を消しける。
5:12 タケは独白しける、「若き頃、冒険の旅にては、怪物たちを相手に思ふ存分戦ひたり。国王軍との戦ひも同様なりし。彼らが人間であれ、怪物であれ、我には関係無き事。唯戦ひに身を投じること楽しきなり」
5:13 然れど、タケは寂しげに、「されど、一人で戦ふことには何の意味も無し。仲間たちが在りしゆゑ、戦ひも人生も楽しきなりし」と述べける。
5:14 その時、タケは自らの手の中に在る宝物を見つめ、そしてそれを地にばら撒きける。
5:15 彼は虚ろな目にて言ひける、「今、何もかも虚しきなり。仲間たちが無くば、我が生きる意味も無し」
5:16 彼はその場に座り込み、孤独を感じつつ、過ぎ去りし日々を思ひ返しける。
6:1 翌朝、タケは再び立ち上がり、手にした宝物を見つめける。彼はこれを手放すことに決め、再び歩み出しける。
6:2 やがてタケは、国王軍の基地の前に立ち、つぶやきける、「最後は派手に行かむ。国王軍相手に死することで、あの世にて仲間たちに会ひ得るやも知れぬ」
6:4 然れど、突如としてタケは腹痛に襲はれ、地に倒れ込みける。彼はリンゴを手放し、呻き声を上げける、「腹が…痛し…」
6:5 その時、近くを通りかかりし農夫がタケを見て、無事なるかと驚きて声をかけたり、
6:6 タケは弱々しく、「黙りけれ」と返しけれど、農夫は構はず近づききたり。
6:7 農夫はタケを見下ろし、そして近くに落ちし宝物に気付きける。「こ奴はすごきお宝なり!されど」
6:8 農夫はタケを車に乗せ、町へと向かひたり。
6:9 農夫は言ひける、「なに、心配するな。我が町には名医が居り。犬の便秘さへ治ししほどの腕前なり」
6:10 タケは苦しみつつ、「なぜ金を取って逃げざりしや?盗むべかりしものを…汝は一体、何処へ我を連れて行くぞ?」と尋ねける。
6:11 農夫は笑ひつつ答へける、「神の前にて、病人から金を盗みて逃げたりと言へたら、如何に良きか!然れど、神に会ひし時、その如き理由を聞かるるは困りしことなり」
6:13 農夫は聖書を取り出し、タケに向かひて言ひける、「汝にはこれが必要なり。持ちいけ」
6:14 タケは驚きて言ひける、「何を言ふぞ?」
6:15 農夫は微笑みつつ、「汝よりも、我よりも、汝にこそ必要なるものなり」と言ひ、聖書をタケに渡しける。
7:1 その後、タケは幾度も国王軍の基地を襲撃せむと試みたりれど、天候や体調、あるいは人の干渉により、ことごとく阻まれたり。
7:2 タケはつひに自ら命を絶つことを決意し、木に縄を吊るし、その下に佇みたり。
7:3 彼は独り言の如く呟きける、「自らの首を吊る者の気持ちなど、今まで理解できざりしが、今ならば分かりぬ…」
7:4 然れど、タケは首を吊らむとしたその瞬間、崖の上より石が転がり落ち、木を折りきたり。
7:5 タケは驚きて息を飲み、咳き込みつつ呟きける、「何故、またしても我を阻むぞ…」
7:6 彼は倒れし木を見つめ、そして、かつて農夫より受け取りし聖書に手を伸ばしける。
7:7 タケは叫びける、「神よ、汝は真に存在するや?何故、我をこの世より解き放たざるぞ!」
7:8 彼は聖書を開きけれど、その中より何の答へも聞こえて来ざりき。
7:9 唯、頁をめくる音のみ響き渡りたり。
8:1 その時、タケの脳裏にハンブンの言葉蘇りける。「神は人を見守りつつも、助けを与へず。その者に応じた苦難を与ふるのみ」と。
8:2 また、農夫の言葉も浮かびたり。「あれは試練なりき。神は見守りたまへり」と。
8:3 タケは何かを悟りたる如く、「然り…さういふことか…」と呟きける。
8:4 彼は聖書を抱へつつ、しばし黙して考へ込むことありき。
8:5 タケは続けて言ひける、「再び会ふべからざりし仲間たちが、今ここに居る如き気がする…彼らと話すことができた如く思ひ候ふ」
8:6 タケはその後も聖書を読み続け、かつての仲間たちの教へを思ひ出さんと努めたり。
8:7 彼は植物に詳しき仲間のために、植物の図鑑を手に入れ、学者たちの論文を読み漁りけり。
8:8 タケは言ひける、「皆、それぞれ何かに通じたりし。彼らと共に過ごせし日々を思ひ出すため、必死に関連するものを探し出し、読み耽りたり」
9:1 斯くして現在に至る。タケは老人となり、独り言の如く呟きける、「仲間たちに再び会ひたし。それのみが生きる希望なりきが、さうせざるほか無かりき」
9:2 然れど、タケは続けて言ひける、「されど、今や誰にも会ふことあたはず。記憶は薄れ、顔も思ひ出せず…夢にも出で来ず。誰一人として」
9:3 タケは嘆息し、「死して会ふことも、記憶の中にて会ふことも、もはや許されざるなり」と語りたり。
10:1 突如、老女がタケに銃を突きつけたり。彼女はかつて、タケにより恋人を殺されし者なりけり。
10:2 老女は冷たく言ひける、「我は今もなお、毎日思ひ出す。汝らに殺されし恋人のことを」
10:3彼女は続けて言ひける、「顔の形も、息遣ひも、声も、昨日の如く覚え候ふ」
10:4 タケは静かに応じける、「確と行へ。我、抗ふことなし。この暗き人生を終らしめよ。」
10:5 老女は震へる手にて引き金を引きたりれど、銃は発砲されざりき。
10:6 タケは言ひける、「やはり、さうか…」
10:8 タケは静かに語りける、「汝のみならず。常なり。我が一人になりてより、ずつとさうなりし」
10:9 タケは続けて言ひける、「我を殺さんとする者は、剣が鞘より抜けず、弓の弦が切れたり。すべてが阻まれたり」
10:10 彼は重々しく言ひける、「神はまだ我が人生を終はらせむ気なきや」
すきえんてぃあ@書け@cicada3301_kig
ひろゆきも暇空茜も「プライドを必死に守るため弱そうな他者を選んで罵倒することで自分を権威付ける」ムーブをやらないから悪印象がそんなないんだよな。過度な自信家だがナルシストではない。
https://x.com/cicada3301_kig/status/1825756508526883028
鉄のカニ🌈@crab_of_steel
西村博之は沖縄の辺野古基地建設反対座り込み、暇空茜は女性支援団体児童支援団体など、それぞれネット民から「胡散臭い」と叩かれやすい大した権力のない人たちを罵倒なり嘲笑なりしておりますが……?特に暇空にタゲられてる学生さんなんてどこが強いんだよ。
目玉付いてるか?機能してるか?
https://x.com/crab_of_steel/status/1825864016901660727
すきえんてぃあ@書け@cicada3301_kig
この呟きが典型的な「プライドを必死に守るため弱そうな他者を選んで罵倒することで自分を権威付ける」ムーブです