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2025-04-29

goo blog サービス終了のお知らせ 田中秀臣の「ノーガード経済論戦」  量的緩和解除以後の日本経済 II2006-03-08 |Weblog

 前回に去年の夏に事実上の"親日銀派"のエコノミストたちが今年春の量的緩和解除やデフレ脱却政策オプションとしてのインフレ参照値の導入を語っていたと述べた。そのような発言を聞く一方で、小泉政権サイドに近いところから夏の終り日銀政府との名目経済成長率論争が起きるだろうという観測を聞いた。もっとも去年の夏は郵政民営化を焦点とした政治の季節に吹き飛ばされて、この「論争」が正体を現したのは年末になってからであった。具体的には昨年12月経済財政諮問会議において与謝野馨経済財政金融担当相と竹中平蔵総務相との間で交わされた財政再建をめぐる論争である。これは財政再建をめぐっての金融政策位置づけをどうとらえるのか、という論争であったともいいかえることができる。長期国債の利回りである長期利子率と名目成長率の大小関係がどのように金融政策と関連しているのか、という点で与謝野大臣竹中大臣との間で意見が交換された。では、なぜ長期利子率と名目成長率の大小が財政再建や金融政策のあり方に関係するのだろうか(以下は拙著経済論戦の読み方』(講談社現代新書)による)。

 

 国債新規発行額が次式で表わされるとしよう。

国債新規発行=政府支出-税収+名目金利×国債残高   

 ところで国債残高が財政健全性で問題になるのは絶対的な大きさではなく、ネットでみた名目国民所得との比率である。上式を用いて簡単に導出されたのが次の関係である

 

国債新規発行分/名目GDP)の一年間の変化分

  =〔(政府支出-税収)/名目GDP〕-(名目GDPの成長率-利子率)×(国債新規発行/名目GDP

 

 政府支出-税収がプライマリーバランスとよばれるものだが、この式の右辺第2項をみるように名目GDPの成長率が利子率を上まわれば、プライマリーバランスにかかわらず国債新規発行分・名目GDP比率はある一定の値に収束する。逆に名目GDPの成長率が利子率を下回ると発散する。すなわちしばしば財政再建論議話題になるプライマリーバランス改善よりも財政危機回避する際にきわめて重要なのは名目利子率と名目GDP成長率の大小関係ということになる。この関係を「ドーマー命題」と呼んでいる。

 

 そしてどのような国債残高の初期水準からはじめても、利子率が成長率よりも大きいとき財政破綻に直面し、利子率が成長率よりも低ければ財政破綻の危機は訪れない。もちろん現在日本ゼロ金利であり、長期国債の利回りも歴史まれにみる低水準である(1~2%)。しかし他方で名目成長率はマイナスで推移している。つまり名目成長率よりも金利のほうが大きい事態が長期的に継続しているのが日本現在の状況である日本名目公債残高/名目GDP比が90年代から今日まで増加トレンドを変更しないのは主にこの事情による。成長率の低下をもたらしているデフレ継続すれば、ドーマーの命題でいうところの財政破綻の危険性が高まっていくわけである

 

 さて与謝野大臣は近年では長期金利名目成長率を下回ることはない、という認識であり、対して竹中大臣金融政策などの政策対応がきちんとしていれば名目金利名目成長率を長期にわたって上回ることはない、という立場にたっている。このことは言い換えると、与謝野大臣側は金融政策による名目経済成長率の引き上げは難しく、せいぜい3%程度だという認識のようだ。竹中大臣側は金融政策によって名目成長率は4%程度が達成できると主張しており、実は与謝野竹中両者ともに実質成長率は2%の認識があるため、問題インフレ率をどう判断するかによっている。与謝野大臣側はゼロインフレからせいぜい1%以下にインフレ率を抑えことが望ましいという判断であろう。これは今日日銀政策整合である竹中大臣はいわゆる「リフレ」的観点立脚して発言していると思われ、中長期的に2%程度の低インフレを目指して、税収を改善しもって財政再建に資するという考えかたであるわたしOECD諸国の多くが名目成長率≧長期金利 を実現しているために、日本においても達成可能であると思っている。

 

 ここで今回の量的緩和解除をめぐる騒動でもこの種の日銀的なゼロインフレ志向世界的にはデフレ基調の水準を最適インフレ率とみなしているようである)と竹中大臣代表される政府内の「リフレ」的見解対立が底流のひとつとしてあるということである

 

 昨年の郵政民営化以後、小泉政権目的喪失現象を起こしているのではないだろうか。首相は積年の懸案を達成して、残る政策課題として小泉流の誰から政策障害犯人が明瞭となる課題を探して、政権の緊張感の維持、そして後継選出の影響力を保とうとしたのかもしれない。その意味で、この名目成長率論争を通じて、金融政策のあり方がクローズアップされたのは自然な成り行きだったのかもしれない。なぜならデフレ対策だけはいっこうに改善兆しみえないものだったかであるしか政府挑発ともいえた日銀パッシングはどうも政府自身の思惑や日銀自体計算4月以降の解除)を上回る形で、早期の量的緩和解除にむけて日銀自体を走らせてしまったのかもしれない。

(続く)

 

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goo blog サービス終了のお知らせ 田中秀臣の「ノーガード経済論戦」  教訓を活かせないのはなぜか?2005-12-29 |Weblog

 先ごろ、次期FRB議長指名されたベン・バーナンキ日本の長期停滞の教訓から株価為替レートの動向を金融政策運営する上での指標にすべきではないとことある機会で発言している。現在アメリカ経済ではは石油価格の高騰によるインフレ、そして「住宅バブル」が主要な経済問題にあげられている。これらの問題についてバーナンキと共同作業も多いアダムポーゼン(米国経済研究所上級研究員)は、バーナンキが従来から金融政策の舵取りでは一般物価水準の安定を基にすべきであり、資産価格株価不動産価格為替レートなど)の動向をもとに金融政策の方向を決めるべきではない、と考えていると指摘している。ポーゼンはこのようなバーナンキ基本的姿勢FRB議長就任後も当然に堅持されるだろうし、目前のリスク石油価格の高騰によるインフレであればそれを抑制することに勢力を集中するであろうと予測している。そしてこのような物価水準に関心を払うことに集中して、消費や投資活動に影響しないかぎり資産価格の動向に金融政策を左右させないというスタンスは、実は継承約束したグリーンスパン議長政策観とまったく同じである、ともポーゼンは指摘している。

 

 「実はバーナンキ氏も(グリーンスパン氏と)同じ考えだ。八〇年代資産バブルへの対処で道を誤った日本金融政策反面教師として肝に銘じていると語ってくれたことがある。したがって、住宅価格上昇が今後のFRBの基本政策根本的な影響を与えるとはまず考えにくそうだ」(「過小評価されるFRB次期議長 政策透明性は間違いなく増す」「週刊ダイヤモンド2005年11月12日号)。

 

 またグリーンスパンバーナンキもまた「バブル」は「バブル」が崩壊してみないとそれが本当にバブルであったかどうか判別することは非常に困難だとも述べている。そしてこのバブルの判定が難しいこと以上に深刻な問題は、株価などの資産価格バブル」を潰すために行われた金融政策積極的運営が、その後の経済を非常に困難に直面させてしまっている、という歴史的証拠があまり豊富なことである。そして(そのような積極的金融政策運営の有無にかかわらず)仮に「バブル」が崩壊したときには予防的なデフレ回避策が重要であったことも日本の失敗の教訓や、またアメリカITバブル崩壊後の経験から得ることができる。このようなグリーンスパンバーナンキらの金融政策運営の智恵は積極的活用しなくてはいけないだろう(詳細は近刊予定の田中秀臣ベン・バーナンキ 世界経済新皇帝』(講談社2006年)を参照いただきたい)。

 

 しかしいま経済論壇でヒートしているのは株価バブル」への懸念とそれを予防するために日本銀行の金融政策レジーム転換への期待である。いわゆるエコノミストの中前忠・斎藤明子「経済教室 消費主導へ構造転換 金利日本経済 上」『日本経済新聞』12月26日菅野雅明加藤出「経済教室 金利正常化を急げ 金利日本経済 下」『日本経済新聞』12月28日 などはその典型的意見を表明している。菅野加藤論説では、現行の金融政策マイナスの実質金利を実現しているのでそれが「劇薬」として資産価格の高騰を招くと書いている(もっとも両氏は「バブル」とはせずにバブル手前?のユ―フォリア(陶酔)」状況であると評している)。また中前・斎藤論説は独自の新解釈であるゼロ金利家計から企業への所得移転を生むという議論の延長として、過剰流動性不動産投機の形で資産インフレを招くと警鐘を発している。両者の論説は切り口は違うが、株・不動産資産インフレバブル一歩手前の状況を改善するために日本銀行に金融政策の転換を促している点ではまったく同じである簡単にいうとデフレインフレといった物価水準への配慮よりも資産価格の動向を重視した金融政策の転換を金利水準の上昇を中心とした政策で達成しようというのがその趣旨であろう。

 

 これらの政策提言バブルが事前に判定することが困難であることに加え、さら目標インフレ率やGDPギャップといった通常の政策目標比較してこれらの資産価格の“最適”水準がどこにあるのか理論的にも経験的にも不明であろう。例えば中前・斎藤論説は「預金金利が3%になれば、家計の一兆円の純金融資産は30兆円の利子所得を生み出す。20%の源泉税、6兆円(税収増)を払った後でも24兆円残る。これは帰属家賃を除いた個人消費240兆円のちょうど10%に相当する」として、3%の利上げを主張しているようであるしかバーナンキらが指摘しているように家計の消費動向をみる際に名目利子率に注目するのは正当化されない。デフレデフレ予想が継続している状況での名目金利引き上げは、むしろ実質利子率を上昇させることで消費を抑制させてしまうだろう。彼らの机上の計算では純金融資産の増加が単純に消費支出増に向かっているがそんな保証はどこにもない。また経済全体でみて彼らの主張は資産価格不動産価格の低下に主眼があるのであるからこの側面から家計の純金融資産は減少するだろう。なぜなら中前・斎藤論説とは異なり家計企業の株や社債土地保有している主体からだ。

 

 実はこのような資産価格の現状の動向を「バブル」あるいはそれに近似した状況として認識した上で、金融政策運営を見直せ(=事実上金融引き締めスタンス)という主張はエコノミストばかりではなく、政治家財界人、そして立花隆氏のようなジャーナリストなどにも顕著に見られるようになってきた(http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051226_kouboh/)。

 

 しかバブル崩壊とその後の長期停滞はまさにバブル潰しという資産価格ターゲットにした金融政策の失敗に基づくものではなかったのか? そしてこの15年にわたる大停滞というのはデフレデフレ期待の定着による消費や投資の伸び悩み、それによる失業倒産の累増ではなかったのか? なぜ停滞の真因に目を背け、「バブル懸念論者は目前の資産価格の動向ばかりに目をむけてしまうのだろうか? ひょっとしたらそれは単に理論的心情だけではなく、資産保有アンバランスを異常に気にするアンバランス価値観や、または特定ポジショントークからんでいるのかもしれない。それは今後、興味深い経済思想上のテーマ提供するだろう。

Permalink |記事への反応(0) | 19:18

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goo blog サービス終了のお知らせ 田中秀臣の「ノーガード経済論戦」 バーナンキFRB議長就任日本リフレ 2005-10-28 |Weblog

 すでに既報の通り、ブッシュ大統領グリーンスパン氏の後任としてベン・バーナンキ氏をFRB議長指名した。バーナンキ議長来年二月就任予定)はかねてから日本の長期停滞の処方箋を様々な角度から提案してきた。どんな提案だっただろうか、その主要点を彼の講演を訳した『リフレと金政策』(高橋洋一訳 日本経済新聞社)を利用してみておこう。

 

1 物価水準目標提言

 

 この提言は、日本デフレ一般物価継続的下落)をふせぐための政策である日本消費者物価指数でみてデフレが始まる1998年基準年にして、デフレではなく1ないし2%のインフレがその後、かりに毎年継続したとき物価水準経路を考える。例えば2%の物価水準経路と実際の物価水準経路のギャップが、デフレのもとでは当然存在していることになる。この両者のギャップを埋めていくことを目指した政策であるバーナンキと同じように物価水準目標採用した岩田規久男編著の『昭和恐慌研究』(東洋経済新報社)を利用すると、4%のインフレ経路(毎年、4%のインフレ率を実現していく)を目指すと、約7年後の2010年近傍目標達成することになる。つまりこの期間までがリフレ期間と考える。そして目標達成後には、今度はインフレ目標として1~3%を採用する。物価水準目標によるリフレ過程とその後の物価安定を目標としたインフレターゲットのあわせ技にコミットすることを中央銀行日本銀行)が明確に、市場に伝えることで公衆の期待に働きかける政策である

 

 つまりここではリフレ間内物価水準目標と、その後の長期的なインフレ目標の二段構えになっているわけである。これはインフレ期待を形成する上でも異なる情報短期と長期のインフレ率についての情報)を市場関係者に与えることになる。エガートソン&ウッドフォード論文(下記参照)では、もしこの物価水準目標が所定期間内に達成困難になるならば、中央銀行は翌期以降一層の努力義務づけられる。そしてこの「一層の努力」へのコミットが、国民デフレからインフレ期待への転換を促す、と彼らとバーナンキは考えるている。そうして(名目金利一定すなわちゼロ金利でも)実質金利を低下させ、総需要を刺激する、と考えるわけである

 

http://www.columbia.edu/~mw2230/BPEA.pdf

(エガートソン&ウッドフォード論文

 

 この「一層の努力」に中央銀行が拘束されることで、日本の長期停滞の原因である実質金利の高止まり(実質金利名目金利期待インフレ率 なので名目金利ゼロであってデフレ期待なので実質金利は高止まりする)を解消する政策バーナンキは推奨しているわけである。そして、「一層の努力」の中味として、ゼロ金利継続や長期国債オペの買い切り国債オペの買い切りを主張した。

 

2 財務省政府)と日銀政策協調アコード問題)の提言

 

 政府日銀バランスシート悪化を防止(そもそも日銀バランスシート悪化問題ではないが)、それとクロスする形で、日銀政府の減税と見合う形での長期国債の「買い切り」オペをすることである恒常所得仮説に従えば、民間主体の消費や投資は増加することが期待される。リフレ過程では財政赤字問題の解消にも一定寄与をはかることが可能であろう。この点についてのバーナンキ発言を前掲書から引用しておこう。いまや政策論争の大きな関心が財政危機問題に引き寄せられてしまっているだけに重要であり、バーナンキ提言リフレなき財政危機の解消の困難性とそして無益な点も明らかにしていると思うからである

 

 「たとえば、日本銀行による国債の買い入れ額の増加と明らかに一体となった家計企業に対する減税を考えてみてくださいーーしたがって減税は結果的通貨創造によってファイナンスされますさらに、日本銀行が、物価水準目標公表することによって、景気回復コミットしたと仮定します。そうすると、マネーの増加の大部分あるいはすべてが恒久的だとみなされます。 略 日銀が減税額に等しい額の国債を買い入れるためにーー将来の増税示唆するような現在あるいは将来の債務償還のための負担は発生しません。要するに金融政策財政政策が一体となって家計部門名目財産を増加させ、これが名目支出ひいては物価を増大させるのです。略 この政策は、債務GDP比率を減少させるという意味で、まず間違いなく安定をもたらすものなのです。名目支出の増加により名目GDPは上昇しますが、日銀による買い入れがあるので市中にある政府債務名目額は変わりません。日本財政の悩みを減らすためには、名目GDPひいては税収の健全な増加ほど効果的なものはありません」(邦訳137-8頁)。

 

 日本国民が心の底で抱いている最大の不安日本の返済不能であるマスコミ評論家エコノミスト政治家官僚たちにさんざん煽られたり、信じられている「宗教的信条」-を解決するハッピーニュースは、すでにバーナンキ議長によって日本国民に贈られていたのである! 

 

 バーナンキ議長、お体にお気をつけて。そしてご健闘を日本ネットの片隅でお祈りします。

Permalink |記事への反応(0) | 19:11

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2025-04-27

トランプ関税日本財政破綻しない理由

三行まとめ


そろそろ「日本政府が大量の借金をしても財政破綻しないのは、対米輸出黒字による米ドル債権保有があるからで、もし米国が対日関税を引き上げて日本米ドル債権を減らせば、円の信用が低下して財政破綻する」という主張が出てきそうなので、前もって調べてみた。

まず基本的事実として、日本公的債務残高はGDPの2倍以上で先進国中でダントツに高い。でも長年にわたって破綻していない。なぜ破綻しないのか、その理由を整理すると、いくつかの要因があることがわかる。

一番大きいのは、日本国債がほぼ全て円建てだということ。外貨建て国債を発行していないから、最悪の場合日銀による通貨発行や金融緩和債務不履行を回避できる余地がある。この点はギリシャなどとは全然違う状況で、ユーロという自国コントロールできない通貨借金していたギリシャと違って、日本自国通貨借金しているから支払い不能になる直接的リスクは低い。

次に、日本国債保有構成重要国債ほとんどは国内機関投資家銀行日銀が持っていて、海外投資家の保有2023年度末で約13.7%程度にすぎない。つまり国内資金が循環していて、日銀も大規模な緩和で国債買い支えている。だから政府債務が増えても長期金利が急上昇せず、「狼少年」論まで生まれるほど安定している [1]。

それから意外と見落とされがちだけど、日本政府も相当の金融資産を持っている。社会保障基金の積立金や外貨準備など。だから表面上の債務だけでなく、資産差し引いた「純債務」でみると対GDP比は150%程度になる [2]。それでもかなり高いけど、単純な債務総額ほど悪くない。日銀保有国債政府と連結すれば実質的に身内の債務だし。

あと日本は長期にわたる低インフレ環境で、金利も抑えられてきた。名目金利より経済成長率が低い状況が続いたけど、金利自体も極めて低かったか政府の利払い負担は重くならなかった [1]。

まり自国通貨建て債務国内資金でのファイナンス中央銀行後ろ盾という3つが日本の強みで、これが破綻を免れてきた主因なんだよね。

じゃあ、対外的な要因はどうなんだろう?日本は確かに世界最大の対外純資産国で、対外純資産は令和5年末で約471兆円もある。33連続世界一の純債権国の地位を保っていて [3]、外貨準備2023年末で約193兆円と世界第2位 [1]。この状況が円の国際的な信用を高めている面は否定できない。

円が安全通貨とみなされて有事の円買いが起きるのも、日本の対外資産の大きさが背景にある。巨額の対外資産があるから、何か国際的危機があっても、むしろ円が買われるという現象が生じる。海外に持っている資産危機時に本国還流させる動きがあるからだ。

でも重要なのは、この対外資産が円の信用を支えているのは間接的な効果だということ。円は変動相場制の法定不換紙幣で、金本位制のように米ドル資産で直接価値担保しているわけではない。対外資産の役割は支払い能力と非常時の外貨調達力を示すことであって、円建て国債担保ではない [2]。

研究者も指摘しているけど、対外純資産多寡財政危機と直接関係するのは、公的債務外貨建て場合に限られるんだよね [1]。日本場合債務が円建てだから、対外資産との直接的な関係は薄い。もちろん潤沢な外貨準備市場安心感につながるし、万一円が急落した時に為替介入する余力を示すという意味では間接的に支えになっている。

そう考えると、「米国が対日関税を引き上げたら日本財政破綻する」という論理にも無理がある。確かに関税引き上げは日本の輸出と貿易黒字を減らす要因にはなるけど、近年の日本経常収支貿易黒字より第一所得収支(海外投資から収益)に支えられる構造になっている。実際、2022年エネルギー価格高騰で貿易収支が▲15.7兆円の赤字になったのに、海外からの利子・配当などの所得収支が+35.2兆円と過去最大の黒字で、経常収支全体では+11.5兆円の黒字を維持した。つまり貿易赤字でも経常黒字を保てる」段階に日本経済進化している [4][5]。

しか為替レートの自動調整メカニズムも働くはずで、輸出減少→円安圧力→輸出企業の採算改善・輸入縮小というルートで、関税ショックの一部は吸収される可能性が高い。

万一、米国関税措置円安が進み、海外投資家が日本売りに走るようなことがあっても、潤沢な外貨準備債権国という信用クッションがある。仮に国債への信認が揺らぐ局面でも、日銀国債買い入れを増やして金利急騰を抑え、財務省為替介入で過度な円安を食い止める余地がある [1]。実際、財務省は「外貨準備有事為替介入に備えるもの」という姿勢を示しているし、「米国債売却など極端な対応は控える」方針を明らかにしている [6]。

もちろん長期的な視点では懸念材料もある。日本が恒常的な経常赤字国に転じてしまえば、対外純資産を取り崩すことになり、いずれ「世界最大の債権国」の座も失われるだろう。そうなれば円の安全通貨としての地位も揺らぎ、海外から資金流入なしに国債を消化できなくなる恐れがある。特に高齢化国内貯蓄が減少する中、海外投資家の国債保有比率が上昇すれば、資本逃避リスク高まる

結局のところ、「日本財政破綻していないのは対外資産が円を信用たらしめているから」という主張には一部真理が含まれるけど、それが主要因ではない。円の信用は国内経済の安定性と政策当局への信頼に支えられている部分が大きく、外国から稼ぐドルが多少減っただけで崩れるほど脆弱ではない。

米国頼みの外貨が全て」と考えると本質的問題を見誤る。日本は確かに外貨建て債務ゼロだが、「自国通貨建てだから絶対安心」という慢心も禁物 [2]。信認失墜による資本流出や通貨急落は現実に起こりうるリスクで、財政・経常赤字の累積によってじわじわ高まる可能性がある。米国通商政策はその一因に過ぎない。

大事なのは日本自身が中長期的な財政健全化策を講じつつ、経常収支黒字基盤(輸出競争力対外投資収益力)を維持すること。そうして初めて「国債通貨への信認」を将来にわたって確保できるんだと思う [2]。

極論として「日本ドルをたくさん持っているか大丈夫」も「日本借金まみれで明日にも破綻する」も正確じゃない。現実もっと複雑なバランスの上に成り立っている。公的データを冷静に分析すると、日本財政状況は確かに厳しいけど、すぐに破綻するものでもないし、対米貿易だけで決まるものでもない。長期的な視点財政再建と経済成長の両立を図ることが本当に必要なことだと思う。財務官僚っぽい結論になったが、そーいうこと。

[1]https://www.cirje.e.u-tokyo.ac.jp/research/workshops/public/paper2025/public0425.pdf

[2]https://www.mof.go.jp/english/policy/budget/budget/fy2024/02.pdf

[3]https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/iip/data/2023_g.htm

[4]https://www.boj.or.jp/statistics/br/bop_06/exdata/data/bop2022a.pdf

[5]https://www.jef.or.jp/journal/pdf/249th_Economic_Indicators.pdf

[6]https://jp.reuters.com/world/us/FHK2PFAGTFKTVNU3XGIKAACMEM-2025-04-09/

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2025-04-15

anond:20250415203005

最新の資金循環統計では政府部門黒字(≒プライマリーバランス黒字)で名目金利は長期も短期名目成長率以下なので余計な減税とかバラマキしなけりゃ増税しなくても何とかなる

Permalink |記事への反応(0) | 20:36

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2025-04-01

日本インフレ要因の考察デフレ円高経済学正当化

日本インフレの三要因とそのメカニズム

日本インフレは、(1)財政支出の増加 (歳出増)、(2)労働組合過激化による賃金物価悪循環、(3)円安の進行によって加速していると考えられます

以下では、これらのメカニズム経済学的に考察し、最終的にデフレ円高日本経済にとって望ましい選択であることを示します。

(1) 歳出増とインフレメカニズム

政府支出の増加は、総需要の押し上げを通じてインフレを加速させる。特に日本の歳出構造には以下の問題がある:

A. 総需要増加によるインフレ圧力

歳出増加は、ケインズ型の有効需要管理政策に基づくが、以下のようにインフレ助長する:

B.財政政策の持続不可能性と期待インフレ
結論

歳出削減を通じて、総需要適正化し、財政の信認を回復することが求められる。

(2)労働組合過激化と賃金物価悪循環経済学考察

日本における労働組合過激化は単なる賃上げ要求ではなく、賃金物価悪循環を生む点が問題である

以下、このスパイラル経済学メカニズム説明する。

A.賃金物価スパイラルの基本構造

このメカニズムは、フィリップス曲線の長期的無効性に基づく。

まり、長期的には期待インフレ率が上昇し、賃上げが追いつかない形でインフレが加速する。

B.コストプッシュインフレフィリップス曲線の変形

労働組合が「名目賃金の引き上げ」を主張すると、企業は「物価転嫁」で対応するため、実質賃金は上昇せず、結果として労働者の実質購買力改善しない。

結論

デフレ環境下では、労働組合賃金圧力が和らぎ、物価安定が確保できる。

労働市場の柔軟性を高めることが、インフレ抑制のカギとなる。

(3)円安インフレ関係:国際マクロ経済学分析

円安は輸入コストを増加させ、インフレの大きな要因となる。

特に日本のような資源輸入依存国では、為替レートの変動が物価に与える影響(為替パススルー率)が高い。

A.為替パススルーインフレメカニズム
B.貨幣購買力説と円高の有利性
結論

円安政策継続すると、インフレ圧力継続し、実質賃金が低下する。

逆に、円高にすることで、コストプッシュ型インフレ抑制できる。

結論デフレ円高こそが日本の最適解

(1)デフレ有益である理由
(2)円高が望ましい理由

インフレの原因である歳出増・労働組合過激化・円安是正し、デフレ円高誘導することこそが、日本経済の安定と成長につながる。

Permalink |記事への反応(1) | 14:08

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2025-03-11

anond:20250311232545

3年目以降も追い越した状態は続かないという話をしてる

普通名目金利名目成長率は同程度になる

Permalink |記事への反応(0) | 23:38

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anond:20250311231416

同じタイミングで起こらなくても名目金利名目成長率に追いつくまでの期間はGDP債務率は低下して

追い越した状態が続かないと結局低下した状態で安定する

現状は歳出の伸びより税収の伸び率が高く名目金利より名目成長率が高いので財政はかなり健全状態

Permalink |記事への反応(0) | 23:23

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anond:20250311223400

>現状は大企業増収・個人中小零細減収。実質賃金下落。物価高で税収は増えたけど税出も増えるのでトントン。今後は防衛費の増大が濃厚

この十年くらいはコロナ財政出動や定額減税した去年以外は赤字は縮小傾向

年収の壁引き上げやらなきゃ今年でプライマリーバランス黒字化も達成できた

あと賃金を実質で見るなら金利も実質で見るべき

相変わらず名目金利物価より伸び率低いのでGDP債務はその分縮小していってる

>そして2028年度には国債の利払い費が10兆円から16兆円に増えることが確定してる

日銀保有やら年金積立の分もあるから6兆丸々財政悪化するわけではないけどね

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2025-01-16

デフレ日本を救う

デフレ一般的経済にとって悪影響を及ぼすとされる現象ですが、日本の特異な経済状況を考慮すると、デフレが持つ潜在的な利点に目を向けることも重要です。

特に、長期にわたる経済停滞や人口減少が進む中で、デフレ日本経済に与える影響を再評価する必要があります。本稿では、デフレ日本を救う可能性と、インフレリスクについて探求します。

デフレ定義と背景

デフレとは、物価が持続的に下落する現象を指します。日本では1990年代初頭のバブル崩壊以降、長期にわたってデフレが続いていました。しかし、デフレには消費者にとっての利点が存在します。

デフレの利点

1.購買力の向上

デフレが進行すると、物価が下がるため、消費者購買力が向上します。これにより、同じ金額でより多くの商品サービスを購入できるようになり、生活水準の向上につながります特に固定収入生活している高齢者層にとっては、物価の下落は歓迎される要素です。

2.貯金価値向上

デフレ環境では物価が下落するため、貯金実質的価値が上昇します。これは特に高齢者や安定した収入を持つ人々にとって大きな利点です。将来の購買力高まることで、安心して生活できる基盤が整います

3.負債実質的減少

デフレ環境下では、名目金利が低下することが一般的です。このため、借金を抱える企業個人にとっては負債実質的負担が軽減されます特に日本は高い公的債務を抱えているため、この点は重要です。負債が軽減されることで企業は新たな投資雇用創出に資源を振り向ける余裕が生まれるかもしれません。

4.生産性の向上

デフレ環境では企業コスト削減や効率化を追求せざるを得なくなります。この結果、生産性の向上が促進される可能性があります企業は新技術や新しいビジネスモデルの導入を進めることで競争力を高め、市場での地位を強化することができるでしょう。

インフレリスク

インフレ一般的には経済成長の指標として捉えられますが、高いインフレ率はさまざまな問題を引き起こす可能性があります。まず第一に、インフレ購買力侵食します。物価上昇によって消費者は同じ金額で購入できる商品の量が減少し、生活水準が低下する恐れがあります。また、高いインフレ率は不確実性を生み出し、企業投資抑制する要因ともなります。これにより経済全体の成長が鈍化し、さらなる不況へとつながる危険性があります

デフレとともに

1.政策見直し

日本政府はデフレ脱却を目指す様々な政策を打ち出していますが、デフレの利点を活かす視点必要です。例えば、消費税の引き下げや公共投資の拡大などの一時的支出刺激策でなく、生産性向上やイノベーション促進につながる政策重要です。

2.市場環境の整備

新しいビジネスモデルスタートアップ企業への支援も不可欠です。特にIT関連やグリーンテクノロジーなど、新たな成長分野への投資を促進することで、日本経済全体の活性化につながります

結論

デフレ一見すると日本経済にとってマイナス要因であるかもしれませんが、その中には潜在的な利点があります購買力の向上や貯金価値の増加、生産性向上など、デフレから得られる恩恵を最大限に活かすことで、日本は新たな成長戦略を見出すことができるでしょう。また、高インフレによるリスク回避しつつ、持続可能経済成長へと転換するためには、デフレ有効利用を見出す姿勢が求められます

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2025-01-10

デフレこそが日本を救う

これらの利点は、デフレによってもたらされるポジティブな側面であり、日本経済において新たな成長機会を提供する可能性があります

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2024-11-07

anond:20241107104248

いっぱいあるとわかんなくなるよね

でもわかるようにかんたんにするとまちがっちゃうからがんばろうね

実物的要因

戦争産業構造破壊により、供給需要を大幅に下回ることによって発生するインフレーション第二次大戦終戦後の日本では、1945年の水準からみて1949年までに約70倍(約6900 %)というハイパーインフレーション[注釈 1] となった[13]。

また、ジンバブエでは、政策により白人農家国外に追い出され農業構造破壊されたところに旱魃が追い討ちをかけたことにより極度の物不足が発生、最終的に2億3000万%という超ハイパーインフレーションとなった[14]。

需要[編集]

需要側に原因があるインフレーションで、需要超過インフレーション需要牽引型インフレーションディマンドプル・インフレーション、demand-pull inflation)とも呼ばれる。需要の増大(需要曲線の上方シフト)により、価格が高くても購買意欲が衰えないので物価は上昇する。この場合供給曲線が垂直である(すなわち価格の変動によって供給量が変化しない)場合を除いて景気はよくなる。

1973年から1975年にかけての日本インフレ要因は、オイルショックに注目が集まるが、変動相場制移行直前の短資流入による過剰流動性、「列島改造ブーム」による過剰な建設需要も大きな要因である[要出典]。

供給[編集]

供給曲線の上方シフトに原因があるインフレで、原価上昇インフレーションコストプッシュ・インフレーション、cost-push inflation)とも呼ばれる。多くの場合、景気が悪化スタグフレーションか、それに近い状態になる。通常為替レートが下落すると、輸入物価が上昇してインフレを引き起こすと同時に、企業が抱える外貨建て債務返済負担が膨らむ[15]。

原価上昇は総供給上方シフトするので、実質GDPは減少する[16]。一方で、需要超過は総需要が上にシフトするので、実質GDPは増加する[16]。つまり、実質GDPの動きで原価上昇か需要超過かは判別できる[16]。景気の過熱によって物価が上昇しているのかどうかを判断するには、消費者物価指数ではなくGDPデフレーターを見なければならない[17]。

原価インフレーションコストインフレーション

賃金材料等の高騰によって発生する。原油価格の高騰によるインフレーション消費増税によるスタグフレーション典型的な例である

構造インフレーション

産業によって成長に格差がある場合生産性の低い産業物価が高くなり発生する。例えば効率の良い製造業生産性が上がり賃金が上昇したとする。これに影響を受けてサービス業生産性向上以上に賃金が上昇するとサービス料を上げざるを得なくなるため、インフレーションを招く。

輸出インフレーション

輸出の増大により発生する。企業製品を輸出に振り向けたことにより、国内市場向けの供給量が結果的に減って発生する。幕末期に生糸などの輸出が急増し、インフレーションが発生している。このパターン乗数効果で総需要が増大しているため、需要インフレの側面もある。

輸入インフレーション

他国の輸入を通じて国外インフレーション国内に影響し発生する。例えば穀物を輸入していた国が、輸出元の国の内需が増加したり輸出元が他の需要国へ輸出を振り分けた場合などに穀物の輸入が減少し、穀物価格が上昇するといった具合である。実際に中国穀物輸入国に転じた際、トウモロコシ市場価格急騰が起きたことがある。

キャッチアップインフレーション

賃金物価統制を行っている体制が、市場経済に移行する際に発生することが多い。米国および日本1970年代にかけて発生した。欧州では冷戦終結および欧州中央銀行ECB)拡大による東欧諸国自由主義諸国への経済統合により、低賃金諸国での賃金サービス価格の上昇によるキャッチアップインフレが発生している[18]。

貨幣的要因[編集]

貨幣供給量が増えることによって発生する。貨幣供給増加は、他のあらゆる財・サービスに対する貨幣の相対価値を低下させるが、これはインフレーションのものであるさらに、貨幣供給増加は貨幣に対する債券の相対価値を高めることになり名目金利を低下させる。このため通常は投資が増大し、需要増大をもたらす。そのプロセスが最終的に、需要インフレ帰結することでもインフレーションに結びつく。公開市場操作などの中央銀行による通常の貨幣供給調節以外に、貨幣供給が増える特段の理由がある場合には、「財政インフレ」「信用インフレ」「為替インフレ」などと呼んで区分けることもある。

財政インフレーション

政府の発行した公債中央銀行が引き受けること(財政ファイナンス、マネタイゼーション)により、貨幣供給が増加して発生するインフレーション[19]。金融政策を経由した効果に加えて、財政政策による有効需要創出効果によって需要インフレも発生する。

信用インフレーション

市中銀行が貸付や信用保証を増加させることによって信用貨幣供給量が増大することから発生するインフレーション

為替インフレーション

外国為替市場を経由して通貨が大量に供給されることで発生するインフレーション戦前の金解禁における「為替インフレーション論争」を特に指す場合もある[20][21][22][23]。なお、当時は固定相場制であり、現在の変動相場制とは、外国為替市場の動きが貨幣供給量に与える影響が異なることに留意必要である

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2024-03-03

anond:20240303152628

標準的経済では名目金利マイナスにできないか名目が実質に影響するやでという話

Permalink |記事への反応(1) | 15:41

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2024-02-22

1989年12月2024年2月

 1989年12月29日日経平均株価は38,915円87銭(ちなみに翌日のザラ場では38,957円44銭というのがありました。)

 その日のPERは予想で61倍でした。益回りにすると1.64%。これに対して同じ日の10国債利回りは5.616%。1989年12月CPIは2.6%ですから仮に予想インフレ率も同じくらいとすると実質金利は3%。今より潜在成長率が高かったとはいえ元本保証国債利回りより値下がりリスクのある株式の益回りの方が低いなんて異常でしょう。直近のブレークイーブン・インフレ率はだいたい1.5%なので、実質金利マイナス0.5%から3%まであがるとすると名目金利は4.5%になります。今、10年債が4.5%になって、日経平均PER60倍=148,000円まであがりますか?そんなシナリオを口にしたら頭おかしいと言われるでしょう。でも当時は経済学者証券会社社長からNTT株に殺到した庶民まで、誰も気にしていませんでした。

 なお予想益回りが当時の長期実質金利と同じ3%になるとPER33倍、仮にスプレッド現在Fed過去30年のS&P500の予想益回りと10年実質金利の平均とする470ベーシス取ると(今の日本では小さすぎるけど、当時の潜在成長率を考えればまあそんなものでしょう)益回り7.7%、PERは13倍です。当時、私は業界の名もなき先輩の示唆大学マクロ経済学の授業で習った流動性選好理論アナロジーから株式益回りと長期金利イールドスプレッドについて考え始めていました(これがDCF法と同じ発想で、Fedバリュエーションにも使われていると知ったのはずっと後になってからのことです。)。そのロジックによると株価は8300円、5分の1ぐらいになるはずです。でも24歳、社会人3年目の私はバブルに煽られ、理論的に突き詰めて考える姿勢にも欠け、異常なバリュエーションを異常と思いませんでした。翌年の大発会から株価はまさに「フェアバリュー」(!)にむかって真っ逆さまに転がり落ちていきます

 もっとも当時は「バリュエーション」なんて考えている余裕がなかった。マーケットメチャクチャなら、売ってる人も売らせている人もメチャクチャでした。朝6時に独身寮に流れるラジオ体操で叩き起こされて7時に出社、タバコの煙で株価ボードもかすむオフィスで1時間毎に怒号とともに予算ノルマ)の達成をチェックされる。セクハラだのパワハラだの概念自体存在しておらず、予算未達のセールス椅子を取り上げられたあげく、受話器をテープでぐるぐる巻きに手に縛り付けられた状態電話させられて、集計後に上司に殴られていました。配属された早々客に「週末俺の別荘に来い」と言われた女性1989年は私の会社で初めて営業店舗女性が配属されました。)は営業課長に「てめえなんで行かねえんだよ」と怒鳴りつけられていました。

 多くのセールス外回りに行けば客に名刺ビリビリに破かれたり、水を引っかけられたりしていました。でもこちらも数字ができなければ勝手に客の名前で注文を出していたのだから(いわゆる「ダマテン」。会社にはさまざまな苗字三文判が常備されていました。私はしてなかったけど、研修中で店を離れていた間に営業課長虎の子の客でやられました。)、そのぐらい当然でしょう。1989年、私の勤務先ともう一つの大きな証券会社が全セールスに号令をかけて売らせていた東急電鉄株。稲川会会長17億円も儲けさせるためだったなんてバブル崩壊して社長国会に呼ばれるまで知りませんでした。もっともそれを知っても驚きませんでしたけどね。

 連日へとへとになって会社を出るのは夜中の12時過ぎ。丘の上にあった独身寮の窓から、その年に開業したみなとみらい観覧車ライトを眺めて「こんな生活いつまで続くのかな」と思っていました。4年弱の在籍中に死んだ先輩も2人知っています大学アメフト部出身の偉丈夫だったKさんは寮のベッドで朝起きてきませんでした。Iさんは倒れて、亡くなったのが私が辞めた直後でしたので詳細は知りません。まだみんな20代だったのに。

 よくあん生活送ってましたよ。毎日毎日、生きていくだけで精一杯でした。健康を害さず、精神も病まず、犯罪で後ろに手が回ることもなく転職できただけでもよかったのかも知れません。

 今日日経平均株価終値で39,098円68銭。34年2ヶ月前を少しだけ超えました。でも今は投資家も、株を売らせている人も、売っている人も、人格経済に関する識見人権意識モラルマナー、当時を知る者からするとすべてにおいて比較することすらおこがましいほど優秀です。

 株価はとても大事経済指標です。上がるに越したことはない。でも上がれば何をしてもよい、数字さえよければ中身はどうでもよいというものでは決してない。バブル崩壊以後、日本の株はダメダメだと言われ続けてきました。今日ようやく失われた30年が終わった、34年前に戻ったと解説する人もいます。でも私はそうは思わない。株式市場に携わる人々は、この間に達成した株価に反映されることのない成果を誇ってよい。心からそう思います

Permalink |記事への反応(4) | 16:08

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2024-02-18

anond:20240218195504

>実質金利って知ってる?

成長率やインフレ率が低い(と予想されてる)国の実質金利名目金利が低いのは何の不思議もないやで

もしかして日本アメリカ並みの成長率インフレ率になるから今の日本金利が低すぎるって言いたいんか?

Permalink |記事への反応(0) | 20:11

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2024-01-03

anond:20240103233042

高度成長期名目金利高かったけどインフレ率高いから実質で見るとデフレ0金利平成のほうが利息多いからなあという話

Permalink |記事への反応(0) | 23:34

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2023-11-17

anond:20231117140009

インフレ名目金利は上がるけど実質金利マイナスで、皮だけ伸びて中身が縮む

Permalink |記事への反応(0) | 14:04

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2023-11-13

anond:20231109181214

需要喚起するのはあくま政府仕事でしょう。”

 

https://jp.reuters.com/article/column-tetsuya-inoue-idJPKBN2WL053

中央銀行政策金利を上げ下げすると、企業家計設備投資や消費といったフロー経済活動に直接的な影響を及ぼし、総需要の変化を通じて物価動向に影響を及ぼす、というのが伝統的な金融政策理解である。」

https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/affiliate/kintyo/kintyo_2016_1_10.pdf

理論的には、金融政策は、何らかの名目変数(例えば、マネー名目金利)を操作変数として、名目総支出ないし名目需要コントロールする政策と捉えることができる。」

https://www.imf.org/ja/Publications/fandd/issues/2023/03/rethinking-monetary-policy-in-a-changing-world-brunnermeier

中央銀行が通常用いる経済モデルでは、供給ショックで生じたインフレ一過性のものであり(供給が増加すれば解消する)、金利政策目的は総需要制御である

https://www.sigmabase.co.jp/correspondence/sample/MP.pdf

Permalink |記事への反応(0) | 19:16

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2023-06-29

anond:20230627232639

不動産価格 ≒ レント価格家賃等) ÷ 割引率

という原則がある。そして割引率 ≈市場金利 + α。なので金利が上昇すれば家賃との相対で見た持ち家の価格は下がる。インフレ家賃が上がるような世界では名目金利インフレで上昇して、持ち家にも所有不動産価格の下落というペナルティが訪れる。そしてインフレ以上の金利変化、実質金利はこのインフレ世界10年先、20年先に、上がっているだろうか下がっているだろうか。

Permalink |記事への反応(0) | 10:21

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2022-10-21

名目金利と実質金利 両方見てなー

Permalink |記事への反応(0) | 21:59

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2022-06-29

円安インフレ,低金利,低成長の日本に起こること

外国資本日本資産を購入し,高級ホテル外国人が利用し

外国人のために低賃金サービス提供するようになる

名目金利から期待インフレ率差し引いた実質金利

経済成長率と密接な関係がある

長期的には実質金利経済成長率が等しくなるから

金融緩和長期間にわたって行ってきたにもかかわらず

景気が低迷しているのは金融政策として実効性が低かった結果だ

金利を変化させないで,変化は訪れない

これだけ低金利にもかかわらず,日本金融資産不動産を購入せずに

貯金として保有しているようでは,

外部環境の変化を為替が反映することとなり,円安が進み

外国人所有の資産が増加,日本がまずしくなる

Permalink |記事への反応(0) | 13:25

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2022-04-28

anond:20220428190651

実質金利名目金利−(期待)インフレ

Permalink |記事への反応(0) | 19:11

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2022-03-28

anond:20220328125546

名目金利が違うから

名目金利物価の影響を受ける

以下ループ

 

コメ?も雑だけど、為替レートがそんな正確に動くならだれも苦労しないて

Permalink |記事への反応(0) | 18:54

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2019-08-24

金融政策はこれからマクロ経済の安定化ツールであり続けることができるのか サマーズとクルーグマンツイートより

https://twitter.com/LHSummers/status/1164490326549118976

"ここジャクソンホールにやってきて、経済学者重要問題に取り組んでいます中央銀行は、これから10年も、これまで私たちが考えてきたように、産業社会マクロ経済の安定化ツールであり続けることができるでしょうか?アンナ・スタンブリーと執筆中の論文で、私たちはそれは疑わしいと論証しています。"

"今や利下げの余地ほとんど残されていません。1970年代以来、アメリカ合衆国リセッションが発生するとFedは常に500ベーシスポイント以上の利下げを実行してきました。そして多くの場合、実質金利中立金利よりも400ベーシスポイント以上低かったのです。今や最大限可能な利下げ幅は200から300ベーシスポイント、実質金利中立金利より150から250ベーシス下でしかありません。"

"わずかこれだけしか利下げの余地がない、これがアメリカ合衆国現実です。だがこれでも先進国の中では最も金利が高いのです。ヨーロッパ日本においては状況はより深刻です。"

"これまで大規模な量的緩和としっかりしたフォワードガイダンスが試みられてきました。今、私たちポスト量的緩和フォワードガイダンス世界に生きています。ある政策説明をあれこれ言い換えてみたり、記者会見タイミングを変えてみたり、見通しに関するプレゼンテーション方法を変更してみたり、もはやそんなことでなんとかなるとは考えられません。"

"私たちジャネット・イエレン意見にはたいていは賛成しています。でも彼女2016年ジャクソンホールで講演をしたとき金融政策にはまだツールキットが残っているという彼女の楽観主義はまちがっていると思っていました。10年債の利回りが150ベーシスに落ち込んでいる現在ならなおさらのこと。"

"金融経済ブラックホール、私はゼロ近辺で固まってしまった利子率、そこから抜け出す見込みもない状態をこう呼ぶのですが、10年債の実質利回りがゼロないしマイナスヨーロッパ日本マーケットでは、それはもはや将来にわたって確信となっていますアメリカ合衆国不況ひとつで彼らの仲間入りです。"

"先進国ではどこでも、失業率の急上昇のリスクインフレ率の急上昇のリスクよりもはるかに大きい。マーケット期待インフレ率が2%にはるかに足りないというのに、です。"

"金融当局は、金融政策を通じて、長期にわたり、望むだけのインフレを創り出すことができる、世界中の経済学部の学生は、それが公理だと教えられてきました。だがもはやその命題は大いに疑わしい。"

"多くの人は、その後におきた出来事で、アルヴィン・ハンセンの長期停滞論はまちがいであることが証明されたと信じています。でも事実は逆で、大恐慌から復活するのに第二次世界大戦必要だったという事実は、彼が正しかたことの証明なのです。膨大な軍事支出がなければ「流動性の罠」がもたらすデフレシナリオは、しつこく続いたことでしょう。"

"「ブラックホール問題」、「長期停滞」、「日本化」、なんと呼ぼうといいのですが、この一連の事象世界中央銀行を悩ませているのです。"

"私たちポストケインジアンがずっと強調していたこと、最近ではトーマスパリーが唱えていたことに賛成しなければならないようです。経済変動において、ある特定の要素の摩擦、不適合が果たす役割は、根本的な総需要不足に比べれば、あまり強調される問題ではない、ということです。"

"今度発表する論文で、私たちは、最近コンセンサスのように、現在の状況を、単に中立金利の下落、低いインフレ率、名目金利実効的な下限という観点から捉えることは、苦境を過小評価してしまうと主張しています。長期停滞はより深刻な問題なのです。"

"超低金利環境における限られた名目GDPの成長は中立金利が大幅に低下した証拠だと解釈されてきました。だがそれだけではありません。"

"総需要に対する金利の影響が急激に低下し、金利が低下するにつれて限界影響、すなわち低下した金利毎の総需要に対する影響が減少することも、同じぐらい確かなのだと思います、"

"ある局面では利子率の低下が総需要を減少させることさえあり得るのです。その原因は、例えば貯蓄行動の目標への影響であったり、金融機関の利ざや縮小からくる仲介機能の低下現象、いわゆるリバーサル・レート効果だったり、リアルオプション効果考慮して埋没的、不可逆的投資は止めておこうとなることだったり、低金利財政赤字に及ぼす勘定効果であったりします。"

"この点は、マクロ経済学のダイアグラムを使って示すことができますISカーブは急勾配になり、非線形になり、後ろに向けて曲がることすらあるのです。"

https://twitter.com/LHSummers/status/1164490361881931777/photo/1

"もしマクロ経済安定化の中心的な問題中立金利の低下にあるなら、その立場は、たぶん"オールド・ニュー・ケインジアン"と呼ぶべきなのでしょうが、利子率をじゅうぶんに下げることができるのであれば、金融政策によって完全雇用は達成可能です。"

"対照的に長期停滞の視点からは、この立場をニュー・オールド・ケインジアンと呼びましょう、仮に可能場合であっても、総需要に少々刺激を与えるのがせいぜいで、最悪の場合は、総需要を減らすことすらあるのです。"

"さらに利下げは将来の経済パフォーマンスを阻害することもあるのです。以下その理由を述べます。"

"第1に、金融システムの不安定化です。金融危機の原因はバブルと過剰なレバレッジにありましたが、それは2001年景気後退に対する需要下支えのための政策対応の結果として生み出されたのです。日本1980年代末のバブル1987年ブラックマンデー後の緊縮財政環境における低金利に原因がありました。"

"第2に、企業ゾンビ化リスクです。利払いの問題に直面していない企業は、テストを受ける必要がない学生のようなものです。彼らは勝手気ままにどうみても収益性がみこめない事業にもフラフラと乗り出してしまう。さらに低金利は寡占企業の強大化とダイナミズムの低下を生み出すでしょう。"

"第3に、銀行破綻リスクです。低金利銀行収益を圧迫し、顧客基盤のようなフランチャイズバリューを低下させ、自己資本規制レベルいかなるものであれ、銀行をショックに対して脆弱にするでしょう。"

"第4に、金融政策有効性のさらなる減少リスク現在の利下げが将来の需要の先食い、つまり企業が将来の投資を、消費者が持続的に必要な消費今するというレベルにまで至ると、現在の低金利は、将来の金融政策効果の減少を含意することになります。"

"マクロ経済学者が注目すべき重要問題は、適切な総需要管理することです。私たちは、中央銀行管理できるのだ、あるいは現在金融政策の各種ツールでそれができるだろう、と提案することは、危険だと思っています。"

"もっとも注目されるべきが財政政策であることはあきらかです。とりわけ低金利ゼロ以下の金利財政赤字の持続可能性を示している現在の状況下ではなおさらのこと。"

"しかしながら需要の水準は政治構造の影響も受けます。例えば、社会保障の給付を当期の租税保険料で賄うべきとするpay-as-you-go方式、定年の延長、社会保険の改善民間インフラ投資への援助、高貯蓄の富裕層から流動性が制約されている、要するにお金がない貧困層への再分配などです。"

"1970年代の高インフレ、高い利子率はマクロ経済学の政治思想政策制度革命をもたらしました。低インフレ、低い利子率とこの10年の長期停滞は現在も深刻な形で進行中であり、マクロ経済学の世界に同じぐらい大きな改革が求められています。"

"ジャクソンホールの「金融政策への挑戦」で、この点に焦点があてられることを願っています。まああんまり期待していませんが。"

https://twitter.com/paulkrugman/status/1164604703424090112

"ラリーサマーズのスレッドおもしろい。まあ僕はいくらか疑問点ももっているけどね。あのあらぬ方向に曲がったISカーブには納得していない。でも全体の方向性としてははっきり正しい。次の不況中央銀行に何かできる力が残っていると信じる理由ほとんどない。"

"中央銀行はそうは言わないけどね。でも彼らの立場も考えてやれよ。ドラギやパウエルが「うちらもうお手上げですわ」って言ってみ?マーケットパニックなっちゃうよ。何もできなくても自信があるふりしなきゃならないのさ。"

"さらに2点。僕には中央銀行はまだこれが一時的ポスト金融危機時代の姿で、将来「正常化」できるかのように語り、振る舞っているように見える。でもね、もうリーマンショックから11年だよ!"

"言い換えれば、これが21世紀ノーマルなんだよ。グレート・モデレーションマクロエコノミクス中央銀行景気循環コントロールし、財政政策緊急措置、そんな時代は戻ってこない。"

"ラリー1970年代インフレマクロ経済思想刷新につながったことにも触れ、僕らも同じことをしなきゃならないと言った。僕も、なぜ今までそれがおきていないのか、僕らは厳しく問い詰められなければならないと思う。"

"結局のところ、現時点まで超低金利と持続的な需要不足は、スタグフレーション時代よりも長く続いている。1970年代の7~8年の不調がすべてを変えたのに、2008年以来の11年でなんでこんなに変っていないの?"

"僕の考えでは、社会学と政治学のミックスに答えがある。しつこくつきまとう長期停滞の害悪は、保守的アジェンダを産み、経済学者古典派に回帰させた。だがまだ対照的方法が残っている。"

"ジャクソンホールラリーサマーズ以外にも持続的な財政刺激策を主張する人がいて、オリヴィエブランシャールを呼んで財政赤字を騒ぎ立てることが見当違いだって言わせればおもしろいと思う。レポート求む。"

(訳は適当です。マクロ経済学の知識がない人も分かるようにことばの意味を補っている箇所もあります。)

追記

参考文献を紹介しておきます

Robert JGordon "Macroeconomics 12th Edition"

https://www.amazon.com/Macroeconomics-12th-Pearson-Economics-Hardcover/dp/0138014914

ロバート・J・ゴードンアメリカ経済 成長の終焉

https://www.amazon.co.jp/dp/B07KWMYP13/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

ローレンス・サマーズ、ベン・バーナンキポール・クルーグマンwithアルヴィン・ハンセン「景気の回復が感じられないのはなぜか-長期停滞論争」

https://www.amazon.co.jp/%E6%99%AF%E6%B0%97%E3%81%AE%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E3%81%8C%E6%84%9F%E3%81%98%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%8B%E3%83%BC%E9%95%B7%E6%9C%9F%E5%81%9C%E6%BB%9E%E8%AB%96%E4%BA%89-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA/dp/4790717313

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2018-09-24

anond:20180924102944

①世の中には現に悪文が存在する

現実としてどうしても読みにくい文は存在し、それを一つずつ潰していくのは不可能なので、

世の中で生きるには「悪文読み解き能力」が必要になってしまう。

理想論ではなく現実問題として、このような読解力を鍛える必要があるという話が1点目。

②難しい概念を、情報を失わずシンプルな文にすることはできない

Wikipediaの「流動性の罠」より

景気後退に際して、金融緩和を行うと利子率が低下することで民間投資や消費が増加する。しかし、投資の利子率弾力性が低下すると金融緩和の効果が低下する。そのときに利子率を下げ続け、一定水準以下になると、流動性の罠が発生する。

利子率(名目金利)は0以下にならないため、この時点ではすでに通常の金利政策限界に達している。金利が著しく低いため、債券の代わりに貨幣保有することのコストゼロとなり、投機動機に基づく貨幣需要が貨幣供給に応じて無限に増大する。

これが簡単な文か難しい文かと言われると、おそらく難しい文だと思う。

しか用語意味を過不足なく説明する上では最大限に単純化された文章である

(元の情報量を損なわずに、この文章をこれより簡単に書くことはできない)

大学職場ではこういう学術的な説明を読んで理解する必要があるので、読解力だけは先に訓練しておく必要があるという話が2点目。

単純化が向かないジャンル文章もある

たとえば小説特に純文学)など、読みやすくあることが最大の評価項目におかれていない文章形式もある。

勿論小説も読みやすい方がいいのだが、それはあくまで2次3次の評価点でしかない。

文章の美しさ、重厚さ、共感性などを踏まえ、その上で読みやすさが重視される)

これに加えて詩や韻文、俳句などはさら文字数や頭韻・脚韻の縛りもある。

こういう文章を楽しめるようにするために、複雑な構造を読み解く読解力が必要だという話が3点目。

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