
はてなキーワード:コハク酸とは
睡眠欲求はミトコンドリアの機能と好気性代謝に深く関連していることが示唆されています [1-3]。
*研究者たちは、**休息状態と睡眠不足状態のハエの脳から単一細胞のトランスクリプトームを解析**しました [1, 4]。
* その結果、睡眠を誘導・維持する役割を持つ**背側扇状体投射ニューロン(dFBNs)**において、睡眠不足後に発現が上昇する転写産物のほとんどが、**ミトコンドリア呼吸とATP合成に関わるタンパク質をコードしている**ことが明らかになりました [1, 5]。
*対照的に、シナプス集合やシナプス小胞放出に関わる遺伝子産物は選択的にダウンレギュレーションされていました [5]。
* このトランスクリプトームの「睡眠喪失シグネチャー」はdFBNsに特有のものであり、他の脳細胞集団では検出されませんでした [5]。
*睡眠不足は、dFBNsのミトコンドリアの**断片化、サイズ・伸長・分岐の減少**を引き起こしました [1, 6]。
* また、ミトコンドリアの分裂を促進するDrp1が細胞質からミトコンドリア表面に移動し、**ミトファジー(機能不全のミトコンドリアの除去)と小胞体との接触部位が増加**しました [1, 6-8]。これらの形態変化は、回復睡眠後に可逆的であることが示されています [1, 7]。
* **目覚めている間、dFBNsではATP濃度が高くなる**ことが示されました [2]。これは、神経活動が抑制されATP消費が減少するためと考えられます [1, 2]。
* 高いATP濃度は、ミトコンドリアの電子伝達鎖における**電子過剰**を引き起こし、**活性酸素種(ROS)の生成を増加**させます [1, 2, 9]。このROS生成がミトコンドリアの断片化の引き金になると考えられています [10]。
*CoQプールからの**余分な電子の排出経路を設ける(AOXの発現)ことで、基本的な睡眠欲求が軽減**されました [1,10,11]。また、ミトコンドリアのATP需要を増加させる(脱共役タンパク質Ucp4AまたはUcp4Cを過剰発現させる)ことで、**睡眠が減少**しました [11]。逆に、電子ではなく光子でATP合成を促進すると、dFBNsにおけるNADH由来の電子が冗長となり、**睡眠が促進**されました [1,11]。
* dFBNsのミトコンドリアを**断片化させる**(Drp1の過剰発現やOpa1のRNAiによる減少)と、**睡眠時間が減少し、睡眠剥奪後のホメオスタティックな回復も抑制**されました [1,12-14]。同時に、dFBNsのATP濃度は低下し、神経興奮性も低下しました [1, 14, 15]。
*ミトコンドリアの**融合を促進する**(Drp1のノックダウンやOpa1とMarfの過剰発現)と、**基礎睡眠および回復睡眠が増加**し、覚醒閾値が上昇しました [1,12-14]。これによりdFBNsの神経興奮性が高まり、睡眠を誘発するバースト発火が増加しました [1, 14]。
*ミトコンドリアの融合には、カルジオリピンから生成される**ホスファチジン酸**が重要であり、そのレベルを調節するタンパク質(zucchiniやMitoguardin)への干渉も睡眠喪失を再現しました [16]。
*睡眠は、好気性代謝の出現と共に、特にエネルギーを大量に消費する神経系において発生した古代の代謝的必要性を満たすために進化した可能性が示唆されています [3]。
*睡眠量と質量特異的酸素消費量との間に経験的なべき乗則が存在し、これは哺乳類においても睡眠が代謝的役割を果たすことを示唆しています [3]。
* **ヒトのミトコンドリア病の一般的な症状として、「圧倒的な疲労感」が挙げられる**ことも、この仮説と一致しています [3,17]。
*哺乳類における飢餓関連ニューロン(AgRPニューロン)とdFBNsの間のミトコンドリアダイナミクスの類似性は、**睡眠欲求と空腹感の両方がミトコンドリア起源を持つ**可能性を示唆しています [18]。
この研究は、睡眠が単なる行動や神経学的現象ではなく、**細胞レベルでのエネルギー代謝、特にミトコンドリアの機能に深く根ざした生理学的プロセス**であることを示しています [1, 3]。 <h3>o- **</h3>
この研究は、**睡眠が好気性代謝の避けられない結果である**という画期的な仮説を提唱し、睡眠圧の根源がミトコンドリアの機能にある可能性を探求しています [1, 2]。これまで物理的な解釈が不足していた睡眠圧のメカニズムを解明するため、研究者らはショウジョウバエ(*Drosophila*)をモデルに、脳内の分子変化を詳細に分析しました [3]。
研究の中心となったのは、睡眠の誘導と維持に重要な役割を果たす特定のニューロン集団、**背側扇状体投射ニューロン(dFBNs)**です [1, 3]。休眠状態と睡眠不足状態のハエのdFBNsから単一細胞のトランスクリプトームを解析した結果、驚くべきことに、**睡眠不足後にアップレギュレートされる転写産物が、ほぼ独占的にミトコンドリアの呼吸とATP合成に関わるタンパク質をコードしている**ことが判明しました [1, 4]。これには、電子伝達複合体I〜IV、ATP合成酵素(複合体V)、ATP-ADPキャリア(sesB)、およびトリカルボン酸回路の酵素(クエン酸シンターゼkdn、コハク酸デヒドロゲナーゼBサブユニット、リンゴ酸デヒドロゲナーゼMen-b)の構成要素が含まれます [4]。対照的に、シナプス集合、シナプス小胞放出、およびシナプス恒常性可塑性に関わる遺伝子産物は選択的にダウンレギュレートされていました [4]。このミトコンドリア関連遺伝子のアップレギュレーションというトランスクリプトームのシグネチャは、他の脳細胞タイプ(例:アンテナ葉投射ニューロンやケーニヨン細胞)では検出されず、dFBNsに特有の現象でした [4]。
これらの遺伝子発現の変化は、ミトコンドリアの形態と機能に顕著な影響を与えました。睡眠不足は、dFBNsのミトコンドリアのサイズ、伸長、および分岐を減少させるという**ミトコンドリアの断片化**を引き起こしました [5]。さらに、ミトコンドリア外膜の主要な分裂ダイナミンである**ダイナミン関連タンパク質1(Drp1)**が細胞質からミトコンドリア表面へ再配置され、オルガネラの分裂を示唆するミトコンドリア数の増加も確認されました [5]。加えて、睡眠不足は**ミトコンドリアと小胞体(ER)間の接触数の増加**および損傷したミトコンドリアを選択的に分解するプロセスである**マイトファジーの促進**を伴いました [1, 6]。これらの形態学的変化は、その後の回復睡眠によって可逆的であり、電子伝達鎖における電子溢流(electronoverflow)の設置によって緩和されました [1, 5]。
本研究は、**睡眠と好気性代謝が根本的に結びついている**という仮説に、客観的な支持を提供しています [7]。dFBNsは、その睡眠誘発性スパイク放電をミトコンドリアの呼吸に連動させるメカニズムを通じて睡眠を調節することが示されています [7]。このメカニズムの中心には、電圧依存性カリウムチャネルShakerのβサブユニットである**Hyperkinetic**があります。Hyperkineticは、ミトコンドリア呼吸鎖に入る電子の運命を反映するNADPHまたはNADP+の酸化状態を反映するアルド-ケト還元酵素であり、dFBNsの電気活動を調節します [7-9]。
ATP合成の需要が高い場合、大部分の電子はシトクロムcオキシダーゼ(複合体IV)によって触媒される酵素反応でO2に到達します [7]。しかし、少数の電子は、上流の移動性キャリアであるコエンザイムQ(CoQ)プールから時期尚早に漏洩し、スーパーオキシドなどの**活性酸素種(ROS)**を生成します [7,10]。この非酵素的な単一電子還元の確率は、CoQプールが過剰に満たされる条件下で急激に増加します [7]。これは、電子供給の増加(高NADH/NAD+比)または需要の減少(大きなプロトン動起力(∆p)と高ATP/ADP比)の結果として発生します [7]。
dFBNsのミトコンドリアは、覚醒中にカロリー摂取量が高いにもかかわらず、ニューロンの電気活動が抑制されるためATP貯蔵量が満たされた状態となり、この**電子漏洩**のモードに陥りやすいことが分かりました [7]。実際、遺伝子コード化されたATPセンサー(iATPSnFRおよびATeam)を用いた測定では、一晩の睡眠不足後、dFBNs(ただし投射ニューロンではない)のATP濃度が安静時よりも約1.2倍高くなることが示されました [7,11]。覚醒を促す熱刺激によってdFBNsが抑制されるとATP濃度は急激に上昇し、dFBNs自体を刺激して睡眠を模倣するとATP濃度はベースライン以下に低下しました [7,11]。
これらの結果は、**ミトコンドリア電子伝達鎖に入る電子数とATP生成に必要な電子数との不一致が、睡眠の根本原因である**という強力な証拠を提供するものです [12]。
ミトコンドリアの分裂と融合のバランスの変化が、睡眠圧の増減を引き起こすNADH供給とATP需要の不一致を修正するフィードバックメカニズムの一部であるならば、dFBNsにおけるこれらの恒常的応答を実験的に誘発することは、睡眠の**設定点**を変化させるはずであるという予測が立てられました [13]。
この予測を検証するため、研究者らはミトコンドリアのダイナミクスにおいて中心的な役割を果たす3つのGTPase(分裂ダイナミンDrp1、内膜タンパク質Opa1、外膜タンパク質Marf)を実験的に制御しました [13]。
また、ミトコンドリアの融合反応において重要な役割を果たす**ホスファチジン酸**の関与も明らかになりました [17]。睡眠不足の脳では、この脂質が枯渇することが知られています [17]。ミトコンドリアホスホリパーゼD(mitoPLD)であるzucchini、または触媒的に活性なmitoPLDを安定させたり、他の細胞膜からミトコンドリアにリン脂質を輸送したりする外膜タンパク質Mitoguardin(Miga)の発現に干渉すると、これらのニューロンのタンパク質ベースの融合機構が標的とされた場合に見られた睡眠損失が再現されました [17]。これは、**融合反応におけるホスファチジン酸の重要性**と、**睡眠調節におけるミトコンドリア融合の重要性**を裏付けています [17]。
本研究は、**睡眠が好気性代謝の避けられない結果である**という説に、強力な経験的証拠を提供するものです [1, 2]。好気性代謝は、地球の大気中の酸素濃度が2回大きく増加した後、真核生物が電子伝達から得られる自由エネルギー収量を最大化することを可能にした画期的な進化であり、これにより、電力を大量に消費する神経系が出現し、それに伴って睡眠の必要性が生じたと考えられています [2]。睡眠はその後、シナプス恒常性や記憶の固定などの追加機能も獲得した可能性がありますが [2]、哺乳類においても1日の睡眠量と質量特異的O2消費量を関連付ける経験的な**べき乗則**が存在し、これは睡眠が古代の代謝目的を果たすことを示唆しています [2, 18, 19]。
もし睡眠が本当に代謝的な必要性を満たすために進化したのであれば、睡眠とエネルギーバランスを制御するニューロンが類似のメカニズムによって調節されることは驚くべきことではありません [20]。哺乳類の視床下部において、食欲増進性ニューロンと食欲不振性ニューロンのミトコンドリアは、分裂と融合の位相が逆のサイクルを経ており、これらのサイクルはマウスのエネルギーバランスの変化と結びついています [20, 21]。これは、ショウジョウバエのdFBNsにおけるミトコンドリアの分裂と融合のサイクルがハエの睡眠バランスの変化と結びついているのと同様です [20]。AgRPニューロンの電気的出力は、体重増加と脂肪蓄積を促進するためにミトコンドリア融合後に増加しますが、これはdFBNsのPermalink |記事への反応(0) | 19:25
野菜スープが美味しくないのは、単純に旨味の種類が足りないから。
野菜出汁=グルタミン酸、味噌=グルタミン酸、野菜色々=グルタミン酸
とグルタミン酸のオンパレード。これだと美味しく作るのはかなり難しい。
(実は作れないわけじゃないんだけど、油とかスパイスとかインド料理の知識ないと無理)
で、これを解決するにはグルタミン酸と旨味の相乗効果を起こす「核酸類」の食材を足すこと。
この辺りを組み合わせれば解決。野菜スープは格段に美味しくなる。
ブコメにも色々あるけど、ベーコン、鶏肉、ツナ缶などはシンプルな解決方法だし、中華風に干しエビなんかも美味しい。
私はヴィーガンなので動物性の食材を使うのが嫌だというなら、トマトペースト、干し椎茸、干しエノキ、加熱して詰めたマッシュルームピューレなんかを使ってもいい。
ちなみにアサリとかホタテとかは、コハク酸になるのでグルタミン酸とは旨味の相乗効果を起こさないので注意。
単純な足し算として旨味は足されるが、そのためにはかなりの量を入れる必要が出てくる。
もっとも、旨味は塩がないと感じられない特殊な味覚なので、どれだけ旨味食材を重ねても塩が足りなければ無意味。
出来上がったスープの重さを測って、重量の0.7%の量の塩を入れよう。
あとは、多少の油も欲しい。人間そのまま食べて旨い味は「旨味、甘味、油味」だけだ。
油を足すとぐっと奥行きが出て食べやすくなる。
さらに、元増田は使ってるのであまり気にしなくても良いが、ネギ、ニンニク類を使う。
これらは加熱して辛味を飛ばしてあげると、その辛味成分が変化してグルタミン酸とイノシン酸のコクを強く感じさせるという特殊な効果がある。
俺は古今東西の料理でネギ/ニンニク類が使われる理由だと思ってる。
パンチのある風味が好きなら、油で焼き色をつけてメイラードの香りをのせるのも良いだろう。
個人的にはあまり強く付けすぎないほうが野菜個々のフレーバーが立って好みだが、少しパンチのある香りが好きかもしれない。
野菜だけでパンチを作るのは難しいので、スパイス類の力を借りるのも良い。
クミンやマスタードシード、ジンブー、チャナダールなどを油で香り出しして入れると美味しい。
<追記>
・本出汁
この辺り入れれば、それなりに食べられるようになると思うよ。
平坦で毎回同じ味になりがちなのと、旨味が不自然に強くなりやすいけど、
「うっせー手っ取り早く美味けりゃなんでもいいんじゃい!」ならオススメ。
・塩だけスープってどうなの??
塩だけスープって知らなかったんだけど、スープで有名になった有賀さんのレシピなのな。
https://president.jp/articles/-/26469?page=3
ひき肉のイノシン酸をうまく使ってて、野菜のグルタミン酸と相乗効果起こさせさせてるから、
上で解説したことをそのままレシピにするとこういうイメージになる。
出汁って出し材じゃないと出ないわけじゃなくて、普通の食材を煮ても十分に出るからね。
俺も野菜スープ作る時は、うま味調味料は使わないので似たようなレシピになるかな。
旨味の抽出速度は表面積と比例するので、ひき肉は高速出汁材として機能するんよ。
薄切り肉も良い。逆に丸とか骨付きもも肉(カットなし)とかは長時間必要になるね。
あと、結構誤解してる人多いと思うんだけど、
旨味って多ければ多いほど良いわけじゃないのよ。
多すぎるとベタベタした嫌な重い味になるし、
ちゃんと必要最低限の旨味を絞ると、野菜の香りが生きて美味いのよ。
貝類に含まれるうま味成分「コハク酸」の生成メカニズムと含有量アップの方法
身近の食材にも含まれており、うま味成分の一つとなっています。
特にアサリはコハク酸を多く含みます。さらに、調理前にそのまま置いておくだけでさらにコハク酸を生成して、その結果より美味しくなります。
がん増殖抑制、肌荒れ予防改善・美肌、脂肪燃焼の促進などの効果を持っていますので、積極的に摂取したいものです。
目次 [非表示]
1、コハク酸とは
1-2、コハク酸の特徴
2-1、貝類の中で多く含む
4、単独で美味しいですが、組み合わせにより奥深い味
4-2、コハク酸は味にコクをもたらす
まとめ
1、コハク酸とは
有機酸に分類され、漢字で書くと「琥珀酸」です。ドイツの鉱物学者ゲオルク・アグリコラ氏が琥珀の乾留により発見したので、この名前になりました。
「琥珀」と書くと、口に入れるものとは連想しにくいと思いますが、実は、コハク酸は植物界に広く存在し、動物生体内ではたんぱく質や有機酸等を燃焼や分解して、エネルギーを作り出すサイクル(トリカルボン酸回路、クエン酸回路)の一員として存在しています。
応用的に、清酒・味噌・醤油などの調味料に使用され、よく聞かれる「うま味」の一種となっています。貝類のうま味成分として知られています。
1-2、コハク酸の特徴
コハク酸と言えば、貝類やアサリをイメージする方が多いです。その理由は、農学士の青木克氏が旨味抽出物の中にコハク酸を発見し、『日本農芸化学会誌』8巻867-868頁(1932年)に、「貝類中に琥珀酸の存在に就て」という論文が発表されています。
コハク酸は、酸味、苦味が混ざったような旨味で舌をギュっとさせる強い味です。添加量によって「えぐ味」を感じるので、味の素に代表されるグルタミン酸のように単独で使うことはありません。
加工食品で使う場合、コハク酸と塩類の結合品である「コハク酸ナトリウム」という調味料があります。ネット通販のアマゾンにも出ています。「アマゾン コハク酸」
2-1、貝類の中で多く含む
コハク酸含有量は、あさり, かき,しじみに多く含まれます。同じ貝類でもホタテやとこぶしんにはあまり含まれていません。
コハク酸は生物が呼吸する際に体内で必ず作られ、消費される物質です。アサリは呼吸がうまくできない、息苦しいような状態になると、命を維持するために、より多くのコハク酸を作り出します。
アサリは海水では酸素を吸って生きていますが、海から離れると、体内のグリコーゲンを分解し、コハク酸を作って生き続けます。時間がたつほどコハク酸はどんどん増えていきます。
しかし、時間がたちすぎると、継続的に作り出すことが出来ず、逆に命を維持するために消耗していきます。一定量のコハク酸を消耗するとアサリは死んでしまい、腐敗へ進んでいきます。
アサリのコハク酸含有量は個体の大きさによって違いますが、一例をあげると、採れたてのアサリはコハク酸が100g中63mgなのに対して、パック詰めは98mgに増えたデータがあります。特に、夏期は増加量が多いです。
ご家庭の場合は、購入してきたアサリを一度水から出して2~3時間ほど置けば良いと思います(置いておく環境によります)。それ以上置くと、放置中に殻が開いてしまいます。殻が開いていると死んでしまっています。死んだアサリは、強烈なくさいにおいがするので食べないようにしましょう。
例えば、夕飯の支度する前に、アサリを水から出して、火がついているガスコンロの温度に影響されないところ(熱すぎないところ)に置いて、料理の一番最後に調理すればよいでしょう。もしくは、子供のお迎えをする前に、水から出して、濡れたキッチンペーパーを上に置いてから放置してもよいでしょう。
コハク酸は、料理のうまみだけでなく、様々な効能があることがわかっています。私たちの体内において、クエン酸回路と呼ばれるエネルギー代謝の仕組みに深くかかわってきます。すなわち、細胞分裂や血流、新陳代謝などの面において優れた力が期待できるのです。また、医薬品や化粧品にも使われています。
広島大学の加藤範久教授らの研究グループが、コハク酸に大腸がんや胃がんのがん細胞の増殖を抑制する効果があることを発見しました。
加藤教授らはラットを使った実験で、ポリフェノールを摂取させたラットの大腸内でのコハク酸濃度が高まることを発見し、その後の応用実験において、濃度が20ミリモルになると大腸がん細胞の増殖が半減することを確認しました。
加藤教授は「コハク酸の効果は日常的な食生活に近い分量で認められる」とし、「がんの増殖抑制に身近なコハク酸が有効であることが明らかになった意味は大きい」と説明しています。今後は人への応用が期待されています。
コハク酸はお肌の保湿や新陳代謝にも効果があるため、化粧水などに利用されることもあります。
コハク酸は収斂(しゅうれん)作用を持っています。収斂作用に関しては、コハク酸は酸性および親水性であり、酸性に寄せることで化学的にタンパク質収縮・凝固作用を起こすことができるためです。
この効果により肌をキメ細かく整えてくれます。肌のキメがきれいになる結果、肌が美しく見えて、化粧のノリがよくなりますので、肌荒れ予防改善・美肌効果も持っていると言われます。
さらに、最新の研究で、コハク酸の摂取による、脂肪の燃焼促進効果があることを証明する動物実験に成功したことをネイチャーという一流の科学誌に掲載されました。
コハク酸を食べているネズミは太りにくく、糖尿病にもなりにくいことが分かりました。人間へ同様な効果を期待できます。
その他に、冷え性、高血圧、動脈硬化予防の効果も知られています。
4、単独で美味しいですが、組み合わせにより奥深い味
コハク酸豊富なアサリを使えば、味噌汁に出汁がなくても美味しく仕上げることが出来ます。
コハク酸はグルタミン酸ナトリウム(昆布のうまみ成分)、イノシン酸ナトリウム(かつお節のうま味成分)、グアニル酸(干し椎茸のうま味成分)などとの間に味覚上の相乗効果があるという研究結果はありませんでした。
旨味相乗効果とは、異なるうま味成分を組み合わせて使う事で、感じるうま味が倍増する現象です。よく知られた例は鰹節と昆布の合わせだしです。その詳細は、「うま味の相乗効果を科学的に説明、今すぐ使える活用例までの紹介」で紹介しています。
4-2、コハク酸は味にコクをもたらす
シンプルな味でも美味しいですが、我々が「おいしいな」と思う味は、ある程度複雑さがあるものが多いです。例えば、甘さや苦さ、香り、素材の質感などがうまく調和し、バランスが取れる料理です。カレーや鍋のような料理です。それは、味にコクが感じられるためだと思います。
長時間煮込むことでこのような味の複雑さを出すことも可能ですが、アサリやコハク酸を入れることにより短時間を作り上げることは可能です。
日本では、アサリの酒蒸し、味噌汁、お吸い物等で、単独で使うのは一般的ですが、韓国のチゲ(鍋料理)では、貝類を鍋には必ず入れています。また、中華料理では、アサリたまご蒸しも有名な料理です。
キムチチゲは、キムチ(グルタミン酸)×肉(イノシン酸)×貝(コハク酸)といった様に、うま味を多重層的に構築している料理です。
アサリたまご蒸しは味のシンプルのたまごに、アサリ(コハク酸)を入れることにより、さらに美味しく仕上げます。出汁の代わりにもなります。
たまご蒸し
まとめ
このように、コハク酸は化学的なもののように感じますが、実は、自然に存在するものです。よく知られていないかもしれないですが、うま味成分の一つとなっています。
身近な食材の中にも含まれております。特にシジミやアサリはコハク酸を多く含んでいます。
様々な効能を持っており、さらに少量で使うことにより、より美味しい料理を短時間で仕上げることは可能ですので、積極的に摂取しましょう。