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はてなキーワード:どんでん返しとは

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2025-10-01

作品ネタバレ


注意:以下は完全なネタバレを含みます。未読の方は読了後にご覧ください。**

####作品概要

歌野晶午著の長編推理恋愛小説2003年刊行文藝春秋)。第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞を受賞するなど、数々のミステリ賞を総なめにした名作。表向きは中年の元探偵女性恋愛物語に見えるが、叙述トリック(読者の誤認を誘う描写手法)を駆使したどんでん返しが最大の見どころ。物語過去現在交錯させ、保険金詐欺不正受給犯罪を軸に展開。タイトル自体トリックのヒントで、「葉桜の季節」(桜の散った時期=人生晩秋、つまり老境)を示唆し、登場人物の年齢を若く誤認させる仕掛けが秀逸です。

#### 主要登場人物

- **久高隆一郎**:愛子祖父さくら(節子)が蓬莱倶楽部の指示で殺害に関与した被害者

- **綾乃**: 将虎の妹。蓬莱倶楽部調査に協力。

- **世羅元輝・田辺賢太・小暮明里**: 将虎の過去探偵仕事ヤクザ覚醒剤密売事件)に関わる人物。世羅の殺害事件フラッシュバックで描かれる。

- **蓬莱倶楽部**:悪徳霊感商法集団。高額な「霊水」(ただの水)を売りつけ、借金漬けにした被害者保険金詐欺に利用。

#### 詳細プロット時系列順に整理)

物語非線形に進行し、将虎の視点を中心に過去(50年前のヤクザ事件、2年前のパソコン教室、1年前の安藤自殺)と現在交錯。読者は将虎やさくらを30-40代若者と誤認するよう誘導される(例: 性描写トレーニングシーン、デジタル機器の扱い方)。

1. **序盤:出会いと依頼(現在)**

将虎はフィットネスクラブで汗を流す日常を送る。後輩の清から愛子相談を持ちかけられる。愛子祖父隆一郎の轢き逃げ事故が、蓬莱倶楽部保険金詐欺によるものだと疑い、将虎に調査を依頼。将虎は元探偵の見栄を張り、引き受ける。

帰り道、地下鉄駅で自殺を図るさくらを助け、連絡先を交換。二人はデートを重ね、急速に惹かれ合う。将虎はさくら過去探偵エピソードヤクザ覚醒剤密売事件で世羅を殺した小暮の自殺)を語り、さくらは将虎の優しさに心を開く。さくらは実は蓬莱倶楽部被害者で、借金返済のため倶楽部の指示に従っていた。

2. **中盤:調査の深化とフラッシュバック過去現在交錯)**

- **蓬莱倶楽部調査**: 将虎と清は埼玉本庄にある倶楽部無料体験会に潜入(妹の綾乃とその孫・美波が囮)。事務所から電話番号を入手し、詐欺実態を暴く。倶楽部は高額商品を売りつけ、借金被害者を「偽装結婚」や「保険金殺人」に利用。隆一郎の事故は、さくら(節子)が倶楽部の指示で轢き逃げしたものだった。

- **安藤過去(1-2年前)**: 将虎はパソコン教室安藤と知り合い、娘・千絵の写真を撮る依頼を受ける。安藤自殺し、将虎は遺体を山に埋め、安藤年金保険金不正受給。毎月、千絵に匿名送金している。将虎自身過去離婚し、娘を失ったトラウマを抱える。

- **さくらの正体(フラッシュバック)**:さくら本名・古屋節子。買い物癖で借金を作り、蓬莱倶楽部に嵌められる。倶楽部の指示で隆一郎を殺害保険金目的)。次なるターゲットとして、将虎の持つ「安藤保険証」を狙うが、将虎を安藤本人と誤認(将虎は安藤身分証を使っていたため)。さくらは将虎に近づき、偽装結婚を画策。

3. **クライマックス: 誤認の連鎖と対決**

さくらは将虎の保険証を盗み、偽装結婚を強行。自分生命保険の受取人を「さくら」に設定し、将虎の自殺を誘う(保険金詐取)。しかし、将虎はさくらの本性を察知。将虎の生命保険の受取人が実は「さくら」になっている事実が発覚(将虎がさくらを本気で愛したため)。

蓬莱倶楽部ボス逮捕され、さくら過去犯罪複数回の不正受給隆一殺害)が明るみに出る。将虎は安藤身分を明かし、さくらに「本当の自分」を告白さくらは将虎を愛するあまり詐欺計画を断念。

####トリック解説(核心のどんでん返し

これらのトリックが連動し、再読を促す構造賛否両論あるが、「綺麗に騙された」と絶賛される理由です。

#### 結末

さくら逮捕を免れ(将虎の証言情状酌量)、将虎と本物の恋に落ちる。将虎は安藤身分清算し、千絵に真相告白彼女は将虎の送金を感謝)。愛子と清は結ばれ、蓬莱倶楽部は壊滅。

最終シーンは、葉桜の季節。将虎とさくら老いた体で寄り添い、「君を想うということ」を実感。感動的なハッピーエンドだが、犯罪の代償を背負った切ない余韻が残る。恋愛ミステリの融合が、読者の心を掴んで離さない。

この作品は一読で終わらず、何度も読み返したくなる「究極の徹夜本」。トリックの鮮やかさと人間味あふれる恋模様が魅力です。

Permalink |記事への反応(0) | 06:32

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2025-09-24

anond:20250924072547

ファイトクラブ』の煽りに「どんでん返し」なんて書いてない、というコラムは読んだことがある

レンタルビデオパッケージどんでん返しって書いてあるやつはぜんぜんどんでん返しじゃない」

Permalink |記事への反応(0) | 12:21

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anond:20250924072004

絶賛系は無視すればいいけど「驚きのどんでん返し!!」みたいなのはやめてほしいと思ってる

Permalink |記事への反応(1) | 07:25

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2025-09-03

ミステリー映画おすすめある?

友達妊娠中だから、外に行かず家でミステリー映画をよく見てる

最近見た中で面白かったのはサーチとコール

ユージュアルサスペクツやシャッターアイランドはコンディションが良かったのか見てるうちにオチを当ててしまったけど面白いってなった

イブズアウトやアガサクリスティシリーズも好き

どんでん返し系が好きで、saw面白かったです

おすすめミステリーある?

Permalink |記事への反応(4) | 11:57

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2025-08-28

anond:20250828081105

どうせ面白くないだろ、どこかで見たようなあらすじだ、と見る前にいつも思うのでもう20年くらい映画ドラマもまったく見てない

今一番よく見てる動画コンテンツドラレコ動画(車の事故動画

筋書きもなく伏線どんでん返し勧善懲悪もない流れが一番ワクワクする

Permalink |記事への反応(1) | 08:17

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2025-08-26

anond:20250826162737

初見が一番感動するのは同意

何度も見るのは、どんでん返しがある映画とか、深く感動した映画とかは見るな

ゲームだと面白かったら何周もしちゃうかも

Permalink |記事への反応(1) | 16:30

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2025-08-10

司法の一部はもうネットに任せたらいい

司法の一部をネット炎上に委ねるべきだと思う。

どうせ今の司法世論の顔色を伺いながら判決を出している。

ならば遠回しな手続きをやめて最初から処罰感情白紙委任すべきだ。

感情こそが最高の証拠、怒りこそが最強の法理だ。

判決証拠法律ではなく、どれだけ多くの人間が「こいつムカつく」と感じたかで決まる。

量刑は怒りの炎の温度で測る。怒りが沸騰すれば無期懲役、怒りが爆発すれば社会的死刑

冷静な議論不要だし邪魔冷却期間なんて設けたら正義がぬるくなる。

今の裁判も実は似たようなものだ。厳罰を求める遺族の声、世間の厳しい目、テレビSNS煽り。その全てが量刑に反映されている。

だったら開き直って感情裁判公式化すればいい。

炎上裁判なら証拠感情従属する。

動画画像は怒りを増幅するための装飾品。真偽は関係ない。

怒れる群衆の胃袋に入れば、それは事実に変わる。冤罪?それは物語どんでん返しとして消費され、飽きられたら忘れられる。

コストも圧倒的に低い。裁判所も弁護士不要

全員が同時に判事であり検察官であり裁判員であり処刑人

怒りのビッグデータをもとに、アルゴリズムが一瞬で判決を下す。もはや正義クラウドサービスだ。

こうなれば司法は遅すぎるという不満も消える。

正義は熱々のうちに提供され、民衆毎日新鮮な断罪ショーを楽しめる。

冷静さや公平は二流の価値観時代が求めているのは、激情拍手スカッとする結末だけだ。

Permalink |記事への反応(3) | 22:14

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2025-07-30

anond:20250729145328

行方不明展なんて存在せず全部増田せん妄でした、という

どんでん返しだろう

Permalink |記事への反応(0) | 18:34

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2025-06-26

どんでん返しが凄いよ!って映画を教えてもらったんだ

全然知らない映画だったかYouTubeで予告を観てみたんだけど、コメ欄ネタバレがあってもう最悪

一応どんでん返しが有名らしいか普通ネタバレ駄目だって分かるよね?いったいどういう風に育てばそういうことをするようになるわけ?

はぁ…リアルにため息出た

ほんとさぁ、マジで最低だと思うよ

Permalink |記事への反応(0) | 18:36

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2025-06-25

鑑定士と顔のない依頼人観た

なんかTwitterで絶賛されてたか

これなんで絶賛されてんの?????????

いや映像音楽はいいと思うよ

でもどんでん返しを売りにするほどの意外性もなくないか

Permalink |記事への反応(0) | 13:35

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2025-05-26

ネタバレ絶対ダメ

気軽にこういうことを言うとネタバレになるのでやめてほしい

1. 「どんでん返しに次ぐどんでん返し」→「この後またどんでん返しがあるんだろうな」

2. 「ラスト1行で世界が一変」→「最初ラスト1行を読んでみるか」

2. 「終わり方が最悪」→「バッドエンディングなんだろうな」

3. 「信用できない語り手」→「語り手が嘘つくんだろうな」

4. 「海賊王におれはなる」→「なるんだろうな」

5.パッケージに傾いた自由の女神 → 「ここは未来地球なんだろうな」

Permalink |記事への反応(0) | 11:21

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2025-05-18

関白宣言」って曲、最後になんかどんでん返しみたいなのがある歌なんだと勝手に思っていたんだが、歌詞全部読んでみたら別に普通に関白なまま終わる曲だった

Permalink |記事への反応(0) | 20:24

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2025-05-11

湊かなえの『母性』の映画を見たけれど、正直期待外れだったなあ

我孫子武丸の『殺戮にいたる病』みたいなどんでん返しを期待していたのにそうでもなくて別に普通っていうか

単にドロドロした家庭内の話ってだけで終わってしまった。

しかテーマが受け付けない。

女性子どもを産めば必ずしも母性が芽生えるわけではない」って、それって大分から言われてる事で、

原作が出た2012年頃にはとっくに定説になっていただろうと思うし

今だったら寧ろその逆で、母親の親としての責任を問う映画にして欲しかった

まあ原作自身も娘のいる母親らしいから、母親という存在に対して甘くなるのも仕方がないのかな

娘のいる母親だったら『告白』の教師の方が好感が持てる

Permalink |記事への反応(0) | 14:40

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2025-05-03

anond:20250415204523

だいぶ亀だけど、もう一度読んだわ

結論、やはり全然面白くない

解釈が正しい正しくないってことじゃなく、エンディングとして何ら面白くもないんだよ

どんでん返しともいえないし余りにずさんな脚本

圧倒的な迫力の暴力にまみれた治安の悪さの中に光る驚異的な頭脳戦という作品の持ち味が、とってつけたようなエピローグでぼかされて平凡未満に落ちた


君らが何をわめこうとこれが素晴らしいラストなんて一切思わないよ

というか君ら自身が一切面白いと主張できていない時点で、あーその程度なんだな、とわかるだろ?

そちらは正しい解釈をしているつもりだろうが、それが作品の良さに1mmだって響かないんだわ

そっかその解釈ならこの物語は素晴らしいエンディングだったんだな、なんて思えたら良かったんだろうけど、残念だが悪い意味で再評価してる


作品評価ファンを見ればわかるというのは本当で、その程度のファンしかつかない作品なんだってことだ

お前らが何を思うっていようが俺が何を考えようが実際どうでもよい

けど、作品をつまらないとした感想に対して解釈だといって相手人格だけにフォーカスし肝心の作品の良し悪しを触れないのは、どう考えても馬鹿げてるだろ

Permalink |記事への反応(0) | 01:23

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2025-04-29

ページをめくると見開きでどんでん返しみたいな展開

もう進撃で飽きたんだよ。何回擦るんだよ。もう出る物も出ないぞ

Permalink |記事への反応(0) | 16:33

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2025-04-28

anond:20250428002207

映画もそこそこ損切り難しくない?

最後どんでん返しとかたった1シーンで元取れる場合あるから、いつも損切りタイミングに悩む

Permalink |記事への反応(1) | 02:14

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2025-04-09

anond:20250409132713

増田に聞けや

俺的には、ギャンブル性を残しつつ戦略性があって裏切りどんでん返しが起こりえるって解釈だが、

賭ケグルイも嘘食いもライアーゲームトモダチゲームカイジも大差ないなあって感じなんだよ

Permalink |記事への反応(1) | 13:31

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2025-04-02

anond:20250402142422

実はほんとでしたってどんでん返しはアリとちゃう

Permalink |記事への反応(0) | 14:32

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2025-03-14

怪獣8号のラストバトルでのどんでん返し連続展開をみてると、呪術は上手くやってたんだなと思う

Permalink |記事への反応(0) | 10:11

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2025-01-23

anond:20250122080443

どんでん返しけが面白い作品読むならそうかもな

Permalink |記事への反応(0) | 08:06

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2025-01-22

記憶を消してもう一度最初から読みたい

とか言ってるけどさ。

読み切れるの?

面白いかどうかも分からずに、最後どんでん返しまで読み通さなきゃならないんだぜ?

昔は本一冊読み切るのなんて大して苦じゃなかったかも知れないが、歳取ると難しくなってこないか

て言うか俺は無理。記憶力落ちてて登場人物名前すらろくに覚えられなくなってきてる。

もう冒頭の登場人物紹介と読んでるページを行ったり来たりしてる。こんな状態で読んでも面白くないだろう?

Permalink |記事への反応(8) | 08:04

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2025-01-13

ネタバレ感想映画ロボットドリームズを見ました

私の好きな人たちがオススメしてくれたので、気になっていた映画ロボットドリームズを見たのですが、私個人の好みの話をするとかなり苦手な作品でした。とはいえ、とても考えさせられる物語でもありました。

作品に関して思うところがかなりあるので、ネタバレ全開で思ったこと書かせてください。全て書くと取り留めのない文章になってしまうので、

ドッグの非力さ、能力の低さ、不器用さ】
ロボットをどう捉えるか】
ラストシーンに関して】

この3点を中心に焦点を当てて書いていきたいと思います

ドッグの非力さ、能力の低さ、不器用さ】

これがもうね、見ていてつらい。本当に。具体的には、

①壊れたロボットを持ち上げようとするも叶わず、後日助けることにする

最初はあまり深く考えずに見ていたため、ロボット動物たちには決して持ち上げられないくらいの重量があるのかと思っていたのですが、よく考えたら物語冒頭の配達員や、ジャンクヤードのワニがロボットを軽々運んでいるところを見ると、決してどうやっても運べない重量という訳ではないんですよね。あの世界では種の違いによるものなのかもしれませんが、ドッグ動物たちの中でも身体的に優れているとは言えなかったため、友人(あるいは恋人)の危機に際して最善の方法をとることができなかった。

②ビーチの錠前破壊不法侵入を犯して捕まった後、ロボットの即時救出を諦める

錠前を壊す以外に少なくとも2つの侵入方法があったことが作中でわざわざ明示されています。それを教えてくれたのは、海から漂着した海兵?たちと、下水道をこじ開けて侵入したスカベンジャーです。なので、「この物語あくまコミック調のフィクションから錠前を壊して侵入する以外ロボットの元へ行く方法はなかったんだよ~」となどという意見は悲しいですが通用しません。一度捕まった後も、ロボットの元へ行く方法複数あった。けれど、ドッグはそれをしなかった、またはそれらの方法想像、あるいは実行できなかった。

まあ、これがもし普通映画だったら、ドッグは諦める前に「必ず君を助けにくるから!」とかロボットに声をかけるんでしょうが、この辺りはセリフのない映画面白さではありますね。「6月1日ロボット救出!」はあくま自分が掲げた目標しかなく、ロボットと交わした約束ではなかったわけです。

自分の心の隙間を一時でも埋めてくれたダックに、会いに行こうとしなかった

舞台はおそらく80年代マンハッタン。ダックの引越しであるヨーロッパへ行くことは簡単ではないかもしれませんが、不可能ではない。ですがドッグは作中その選択はせず、他者との繋がりを得るためもっと手っ取り早い方法をとった。会いに行くとまではいかなくても、せめてダックに向けて手紙を返すシーンみたいなものがあったらまた印象も違ったとは思うのですが。それと、ダックや他者とのコミュニケーションきっかけになったゲイラカイト釣り、それとソリですが、どれを取ってもドッグは不出来・不慣れなんですよね。これも見ていてつらい。作中どこをとってもドッグ他者比較して明確に優れているな、という点が見つからないんです。もちろん、他者比較して優れているところなんてそんなものなくたって動物(人)は愛し愛されるべきだとは思うのですが、それでもドッグは(これは本当に私個人感想なんですが)不出来で何をやっても上手くいかない過去自分を見ているようで何だか胸が痛くなりました。また、私の兄弟は、「可愛い絵柄だから見れたが、これが実写映画だったらもっとジメジメして見ていられなかったと思う」と言っていて、確かにその通りだなと感じました。ドッグというキャラクター風景作画がとっても可愛く、音楽演出も明るいため見落としそうになりますが、これを全て人間に置き換えたらそれはもはや悲劇だなと...

ドッグラスカルの対比

ロボットの二人目のパートナーと言えるラスカルは、ドッグ比較して様々な面で優れている描写があります。いくつか例を挙げると、ドッグよりもロボット工学精通している、普段冷食ばかり食べているドッグに対して、ラスカルは朝パンケーキを焼いたり屋上バーベキューしたりと料理が得意な描写がある、ゲイラカイトや二代目のロボットを買う際、値段を見て安いもので済ませてしまドッグとは対照的に、ラスカルは大きなビル屋上や一室を自由に使っていたり、壁の塗装を行ったりと、マンションあるいはホテルオーナー(≒裕福)と思われる描写がある などなど...

例えば、ドッグラスカルと同じかそれ以上に機械いじりに長けた人物だったら、ロボットが壊れた際その場ですぐに修理なり応急処置なりをすることもできたかもしれない。

あとなにより終盤の花火のシーンでラスカルロボットビル屋上からバーベキュー片手に花火を見ているのに対し、かたやドッグティン(二代目ロボット)は橋の下サンドイッチ一枚食べながらそれを見ているのがなんだが残酷すぎて嫌な気持ちになりました。もちろん、大事なのは「何をするじゃなく誰とするか」「何を食べるではなく誰と食べるか」だとは思います。でも、わざわざ2組の境遇にこれでもかってくらい対象的に差をつけているのがこの作品意地悪なんですよね。「幸せの形は人それぞれなんだから別にいいじゃーん」と言われたらそれは本当その通りなのですが、じゃあ「他に人や遮る建物もないビル屋上バーベキューして好きな音楽聴きながら花火を見るのと、他にも人がいるなか橋の下サンドイッチ一枚食べながら花火を見るの、どっちがいい?」って聞かれたら、そりゃあ前者を選びますよねっていう。

他者に対する無自覚暴力

ハロウィン無関係子どもに当たる、喧嘩を売ってきたアリクイに仕返しをする、ロボットにとって危険である海に二度もロボットを連れていくなど、ドッグ内面も未熟であることが端々から見てとれますもっとも、未熟なこと自体は悪ではなく、そこから成長していく物語というのは昔から現在まで創作基本的アプローチとして広く使われてきたテーマではあります。ですがドッグには作中精神的な成長が見て取れなかった。もちろんこの作品のメインテーマが成長ではないことは重々承知していますが、でもこれやっぱ、かなりしんどいんですよね。何かしらの成長や前進があって欲しかった。ロボットは長い夢を通じて精神的成長をしたともとれるお話でしたが、ドッグは何か問題に直面した際にいつも場当たり的でインスタント対処を続けてきたので、きっとこの先も似たような失敗や別れを経験してしまうのではないか、とか憂慮してしまます。まあそうやって失敗や別れを繰り返すのもまた人生ケセラセラ。みたいな話なのか?違うか。

ドッグも行動力が無いわけではないので、「ならどうしてこんなに孤独なんだろう」と途中までは思っていましたが、段々彼の行動に違和感を覚えるところが強くなっていきました。ドッグ第一主人公と言っても過言ではないと思いますが、彼に感情移入してしまうと中々にしんどかったです。6月1日ロボットを探す際、周囲に止められるまで穴を掘り続けるシーンとか、良いところももちろんあるんですけどね。ドッグは彼なりに出来ることを精一杯やっていたんだと思います。でもそのやり方とか判断、彼の能力が、作中の他の登場人物より拙く描写されていること、またロボットを助ける方法がないわけではなかったとわざわざ明示されているのがこの作品残酷だなと思いました。ロボットとの別れの原因が不慮の事故とかだったらここまでモヤモヤしなかった気がします。

ロボットをどう捉えるか】

ロボットは作中では動物たちと同列の命としては扱われていません。私はロボット動物たちと同じ命だと思っていた(思いたかった)のですが、この点に関してはこの作品シビアな部分の一つで、結構残酷描写が多いです。絵的に分かりやすいシーンで言えば、ロボットの足を切断する海兵?や、ロボットスクラップにするジャンクヤードの人たちでしょうか。子どもロボットを叩いて虐待しているようにも見えるシーンもありましたね。ですが、それだけでなくドッグラスカルも前述の人たちほどではないにせよ身勝手な行いをロボットに向かってしているなと私は感じました。例えば、ドッグは泣く泣くロボットをビーチに置き去りにしたわけですが、もし仮にこれがロボットではなく他の動物、例えばドッグの子どもだったらどうでしょうか。彼はどんな手段を使ってでも子どもを助けたでしょうし、ビーチの警備員役所の人もビーチに入れてくれないなんてことは起こらなかったでしょう(これはあくまで仮の話なので、「ドッグはどう見ても独身だろ」とかいう分かりきった低次元ツッコミは勘弁願います)。何が言いたいかというと、要はドッグ相手ロボットから一旦諦めたし、警備員も置かれているのがロボットだったからビーチに入れてくれなかったのです。ここからも、作中のあらゆる動物ロボットを物として扱っているのが見て取れます海兵?たちはロボットの足を使って舟の穴を埋めていましたが、ドッグ自身の寂しさを埋めるためにロボットを利用していたという点で両者は同じ穴の狢だなと思いました。

また、ラスカルについてはロボットに対してかなり良心のある人物として描かれてはいますが、自分の好きなようにロボット身体を改造し、自身プレイリストロボット身体に忍ばせるのを良しとしていたりと、見方を変えれば猟奇的とも言えなくもない行動をとっていました。ロボット目線で考えると、動物たちのエゴに振りまわされ続ける話と言えなくもないんですよね。この辺りに気持ち悪さを覚える人と、「ロボットあくまロボット」と割り切れる人でこの作品感想は大きく変わってくるのかなと感じます。たしかに、ロボット通販番組商品であったように、動物たちから見てロボットあくまで寂しさを埋めるための道具でした。だから平気で約1年放置するし、壊れたら好きなように修理するし、新しいものを買ったりもする。でも、ドッグロボットに感じていた友情愛情は嘘ではない。人間ロボットの違いについて考えさせられますね。

ラストシーンに関して】

長い夢を通じて一人になることの辛さを知ったロボットは、自分が今ドッグと再会してしまったらティンやラスカルはどうなってしまうんだろうと夢想して、再会しないことを選択した(と私は解釈した)のですが、美談のように見えてこれも辛くて。これ、逆だったら良くある話だと思うんですよ。『ドッグが偶然街でロボットを見かける。声をかけたい気持ちは当然ある。でもロボットの傍らには新しいパートナーと思しき人物が。そして自分の隣にも今は新しいパートナーがいる。もうあの頃に戻ることは出来ないけれど、今はせめて一人踊ろうか』って。これだったらそこまでモヤモヤした気持ちにはならなかったと思います。なんだかちょっとバタフライ・エフェクトみたいですし。この場合の再会しないという選択は、ドッグにとっての贖罪でもあり成長でもありますから。でもこれ逆なんですよ。「自分”が”見捨てた人が、街で幸せそうにしているのを見かけて、その人の幸せを願う」のと、「自分”を”見捨てた人が、街で幸せそうにしているのを見かけて、その人のことの幸せを願う」のって、天と地ほどの差があると私を思います後者は並の精神で出来ることじゃないですよ。「まぁそれはロボットから…」って言われてしまったらそれまでかもしれませんが。でもロボット精神性を否定してしまうとこの作品の全てを否定することになるのでね…。とにかく、私が一番強く感じたのは、ロボットには何も悪いところなどなかったのにこの結末は正直あんまりだなと。いや、ロボットがこれで良いと思っているのなら、それがロボットにとってのベストなんでしょうけども。ああ、上手く言語化できない。

ちょっと別の作品を例に出しますが、映画トイストーリー3」では、ロボットと同じように、本意では無いものの持ち主に置いていかれたロッツォというキャラクターがいます。ロッツォは何とか持ち主の家まで辿りつくことが出来ましたが、家の窓を覗くとそこにはすでに新しい『ロッツォ』を買ってもらっている持ち主の姿がありました。持ち主に捨てられ、帰る場所を失ったロッツォは歪んでしまい、ヴィランとなってしまうのです。帰る場所の有無という違いはあれど、私はこのロッツォとロボット境遇が似ているなと思いました。なので、持ち主を許すことができず全てを憎むようになったロッツォに対して、同じく捨てられた側であるロボットが全てを赦す(というとあまり言葉が正しくないかもしれないですが)というロボット精神が、あまりに高尚すぎるなと感じました。私からすると、悲しみと怒りのあまり反転してしまったロッツォの方がまだ理解できるんですよね。もし私がロボットだったら、きっとドッグを恨み続けてしまうことでしょう。何と言いますか、ロボット遊戯王ZEXAL主人公九十九遊馬くんかの如く菩薩メンタル天元突破でシンギュラっているのに対して、ドッグは前述のとおり殆ど成長が見られないのがかなりグロテスクに感じます...。防水型の高価なロボットより手軽で安価ロボットを買って、ロボットをまた海に連れて行くシーンなんて正にそうですよね。「ロボットがまた壊れてしまうかもしれない」よりも「誰かと海に行きたい」という自身欲求を優先しているあたり、過去経験から学びや成長をしていないのがしんどくて。いや、潤滑スプレーを散布しているあたり一応前回よりほんのちょっとだけ進歩はしているんですけれども。でもその一歩が本当に小さすぎるというか何というか。このように終盤になってもドッグロボットを命として見ていないところからロボットドッグへの愛情と、ドッグロボットへの愛情に差がありすぎる気がします。やっぱり対等じゃないんですよね。人間ロボット友情を描いた作品って他にも色々あるかと思いますが、基本的にはバディものだったり、主従はあれどロボットのことを同じ命として互いに尊重しあう対等な関係性の物語が多いかなって思います。ですが、この作品はそうではなく、ロボットを命としては見ておらず気軽に消費できる道具として使っている。その上で友情とか言われても、やっぱり頭にハテナが浮かんでしまます。「二人の友情」というより、「深慮あるロボットの健気で一方的愛情」という方が自分はしっくりきました。ドッグは、ロボットが与えてくれたもの、満たしてくれたものと同じくらいのものロボットへ返すことが出来ていたのかな…?うーん。

私は、友情愛情はある程度対等な立場がその前提にあるものだと考えています。けれど、ドッグロボット最初から最後まで対等ではなかったように思えて、愛って何なんだろうと考えさせられる作品でした。

けっこう感動や友情といった文脈で語られているような気がする本作ですが、私はこの映画を見終わったあと、下がった口角が元に戻らないくらいには暗い気持ちになってしまいました。

メリーバッドエンドとも少し違うような形容しがたい結末の本作ですが、少なくとも心温まる!とか感動の友情!みたいな手放しで良かったと言えるお話にはとても思えず、心にしこりの残るお話に感じましたね。

この作品のどのあたりに人は感動するのか正直私には分からなかったので、純粋に知りたいなと思い、どなたか教えてもらえたら嬉しいです。色んな方の感想も聞いてみたい。

これはいつか何処かで見た言葉受け売りですが、私は伸ばした手が届く物語が好きです。

昔はどんでん返し系と言いますか、ラスト5分で全部ひっくり返るような後味の悪い映画が好きでよく見ていたのですが、今はもう聖人が報われなかったり、他者のために何かを我慢したり、自己犠牲にするような物語はあまり見たくないというか。鑑賞後スカッとする映画の方がやっぱり好みなのかもしれない。

なんかさ、これ見た後だと人間ロボットの曇りなき友情物語をみたくなっちゃうよなー。ベイマックスとか。

Permalink |記事への反応(0) | 04:39

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2025-01-09

anond:20250109182854

どんでん返し

増田おっさんじゃなくて実はおばさん

 

これで50のおっさんだったら辛すぎる

自分が考えた通りに他人も考えてると思いこんでる人特有論理破綻

Permalink |記事への反応(0) | 18:30

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2024-12-28

読書感想近畿地方のある場所について』

話題になっていたので年末の休暇を利用して読んだ。

以下感想ネタバレあり。

はてな話法使いこなせないので読みにくかったらすまん。

・・・・・・・・・

普段ホラーはあまり読みまない。

ミステリはたまに読む。

ザックリ感想としては、序盤はじわじわ怖い。

途中から何となくオチが読める。

と思ったらミステリみたいな感じになってアレ?

と思ったけど結局読み通りのオチだった。

袋とじ心臓ギュッとなる怖さがあったけど、見なきゃ良かったって感じでもないかな。

以下詳しく。

家に誰もいないときに読み始めて、このまま1人で読み進めたら怖くなりそうだな〜なんて思って途中で一旦中断。

洋物ホラー映画は見れるけど、和物ホラーは全くダメな私、小説なら大丈夫だろうと読み始めたけど序盤は、あ、これ夜中トイレ行けなくなるやつかも……なんて子供みたいなこと考えたくらいには怖かった。

次の場面の切り替えあたりで怖い展開になりそうなジワジワ怖い感じがあって、これもしかしたら考えれば考えるほど忘れられなくて怖いパターンかも……と言うジットリ感みたいなのが心をかなりザワつかせる。

フィクションなのかノンフィクションなのかよく分からない(多分わざと)作り方なので、自分の中で勝手フィクションのことにして、身を守りながら読み進める。

半分ちょっと手前くらいで、話があまり進まない印象を受けてじっくり読むモードから少しギアを上げて早く転換を追うモードチェンジ

早く場面の展開来ないかな~と若干飽き始める。

読み進めるうちに、これは呪詛台湾ホラー映画)みたいに読者に呪いを伝播させるパターンでは?と察し始める。

すると元編集長取材のあたりで、祠の正体とそれに付随する宗教幽霊化した親子など、怪異という理不尽暴力的現象が、原因と過程何となく分かる現象に整理され、推理小説の謎解きみたいな印象を受けた。ホラーは訳分からいから怖い!と思っている私は、祠から心霊現象までの歴史過程とが分かってスッキリしてしまいジットリ感がなくなってしまった。

結末はやはり呪いを撒く系。

呪詛でそのパターン経験済みなのでやっぱりね感。

「私」が男性だと思ってたので女性だったのは驚いたが、語り手を誤認させるのはミステリではたまにあるパターンなのでそのパターンか、という感じ。

袋とじリアル心臓ギュッというかヒュッというかコワ!と思った。じっくり見るのは怖かったのでどれもサッと見ただけ。けど見たことを後悔するほどの怖さではなかった。

全体的にまあ面白かったので話題になるだけあるなと思った。

普段本を読まない人にもモキュメンタリー方式サクサク読み進められるし、語り手の意外性とか読み手に降りかかりそうな呪いとか仕掛けがあって楽しめそう。

映画化も納得。ちゃん映像化したら面白くなりそう。(お願いだから怖い間取りみたいなコメディ映画にしないで…)

序盤のジットリした感じは本当に怖かった。

ただ、目立って新しいことはないので、どんでん返し系のミステリ小説映画を見てる人とかに何となく予想出来たんじゃないのかなとは思った。

結局あの祠は、まさるだったのか?鬼って何?っていうのが曖昧なままだったのが気になる。(多分わざと曖昧なんだろなぁとは思いながら)

個人的には、あの祠には鬼が祀られていて、血に飢えた鬼が怪異引き起こしてるという風に飲み込んだけど、読者の解釈に委ねられている部分だと思うので答えは無いのかな。

近畿地方のある場所」がどこなのか?を読者が考察するところまで踏まえてこの本なんだろうなというのは面白い。

けど、西側鳥取東側長野から「ある場所」へ行く描写が多いのだが、地理に若干の違和感を感じたのは私だけ?(ちなみに地元名古屋

鳥取から近畿入りは隣が兵庫なのですぐの印象だけど、長野から近畿入りは岐阜を超えて滋賀だし、しかも車でも電車でも太平洋側や日本海からぐるっと回って行かなきゃいけないので、岐阜の他に違う都道府県を経由しなきゃダメで、直感的に遠いな~という印象を持ってしまった。

あと厳密には三重近畿地方なんだけど、東海地方と括られることが多くて、近畿地方ってどこを指してるの!?っていうのも名古屋地元勢的には気になる。

地理のことは話の本筋とは違うかもだけど。

他の地方に住んでる人、同じ名古屋地元勢、三重県民、もとより近畿地方民の意見を聞きたいところではある。

あと読者が呪われるのがジャンプ女なのが若干拍子抜けした。

個人的には大元怪異が、もっと邪悪人智を超えた何かをしてくるオチであって欲しいと期待してた。何かって何やねんと言われても知らんけど。

いろいろ書いたけど、話題作読めて良かったし、一読してみたら?と人に勧められる1冊だったと思う。

・・・・・・

いつもちゃん文章書いてブクログに載せよーと思って、でもやる気が萎んで感想も忘れてしまうので、思いついたまま感想書いて匿名に載せました。

みんなの感想も書いてくれると嬉しい。

おわり

Permalink |記事への反応(5) | 12:04

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2024-12-15

[ゲーム日記]12月15日

ご飯

朝:なし。昼:グラコロ。夜:豚丼たまご豚汁。間食:スナック菓子ポッキーアイスバウムクーヘン

調子

むきゅーはややー。お仕事は、おやすす。

いっぱい食べていっぱい寝た。

二日続けてマクドを食べることでグラブルコラボアイテムをゲット。

金剛嬉しいね

○ 阿津川辰海「透明人間密室に潜む」

ノンシリーズもの短編集。

本格ミステリらしい謎解きがたっぷり楽しめて、面白かった。

最後の一編だけは好みの範囲外だったが、他の三つは非常に好き。

透明人間密室に潜む

透明人間が題材の特殊設定もので、その透明人間犯人倒叙という構成自体がまずもう面白い。

更にそこから様々な趣向が多様に含まれており、ハウダニット一発ネタにしない怒涛の展開が続くのがすごかった。

ハウダニットホワイダニットの両面の謎が次々に解かれていく後半も勿論興味深いのだけど、個人的には透明人間は夜の営みをするにはそういう面を気をつける必要があるのかという、透明人間日常を掘り下げた序盤もかなり好みだ。

・六人の熱狂する日本人

とあるアイドルオタク同士の揉め事が発展した殺人事件、その裁判陪審員達がたまたま同じアイドルオタクだった。

滑稽な冒頭のテンションそのままに一気に駆け抜けるコメディ調の法廷もの

流石にご都合主義がすぎる前提ながら、アイドルオタクが畳み掛けるような専門用語オタクのありようの矛盾を見つけるシーンで一気にのめり込んだ。

殺人事件裁判で何を議論しているんだ? という引いた目線を許さない熱がある短編で、オタクらしさが楽しめる。

コメディ全振りながら、瑣末ながらオタク的には譲れない点が徐々に大きな違和感になって真面目な裁判官達も巻き込んでいく展開が面白く、地に足がついたロジックものとしても読み応えがあった。

・盗聴された殺人

僕としては本書のベスト

探偵事務所で働く聴覚に優れた美々香を主人公にした王道探偵助手ものフーダニット

犯人当ての趣向なので、作中の探偵が謎を解いた時点で自分も謎を考えてみた。

見当違いな推理をしてしまっただけに、驚いた。

ノンシリーズものらしい趣向もあるが、本題たる優れた聴覚で解き明かす意外なホワットダニットがいいね

そもそもそこが謎の焦点であることに中々気づけない構成が見事で、主人公聴覚は優れているが推理力は控えめな設定が、読者の目線でも推理可能な謎にしているのがにくい。

ミステリ的な点だけでなく、探偵助手関係値も心地よく、王道の楽しさが詰まっていた。

・第13号船室から脱出

脱出ゲームで本当の誘拐が起こったこから始まる、コンゲームっぽさもある「謎解き」もの

ヤングアダルトとか児童文学系を狙ったのかな? 上記三つとかなり色合いが異なっている上に、全体的にチグハグな内容で、しっくりこなかった。

特に脱出ゲームと誘拐がそれぞれ別に展開するのだが、脱出ゲームパートがあまりにもとってつけた内容で、作中人物たちとの評価の食い違いがつらかった。

最後の怒涛のどんでん返しも、どんでん返しありきの違和感のある構図だったため、驚きよりもそこに至るまでの遅さが気になった。

Permalink |記事への反応(0) | 23:55

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