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はてなキーワード:とどのつまりとは

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2025-10-24

anond:20251024201134

だとしたら「老いたから」ではないよね。

シンプルに居心地悪い時期に入ったから辞めるんじゃん

色々長文書いちゃいるがとどのつまり老いを逃げ道にした現実逃避にすぎんじゃないか

また意味ないことはじめて意味ね〜って辞めたらいいと思うよ、それもまた人生

Permalink |記事への反応(0) | 20:19

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2025-10-22

非モテの考えだからもし間違ってたら指摘して欲しいんだけど

非モテの考えだからもし間違ってたら指摘して欲しいんだけど、恋愛ってとどのつまり、「手近な女を騙くらかして心を支配するゲーム」だよね?みんな自分は正しいみたいな顔してえぐいことしてるよね。最悪だね。

Permalink |記事への反応(1) | 21:02

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2025-09-24

男女論は実質セックス

みんな難しいこと言ってるけど、とどのつまり女は「私はもっと優秀な遺伝子残したい。劣等な種は要らない」と言っていて、男は「私は優秀な遺伝子。劣等な種は要らない」と言っている。これセックス時の卵子精子モチベーションじゃないですか?

Permalink |記事への反応(0) | 12:48

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2025-09-20

ナーロッパの何が気に入らないかわかったかもしれん

ナーロッパ世界における百科事典wikipediaみたいなやつね)がないように感じられる

たとえあったとしても多分つまらないだろうなー中身スカスカだろうなーっていう偏見

とどのつまり深さがないんだよね

キャラスキルとか特殊能力とかよくわからんけど強大な力を持っている悪の勢力とか

そういう表面的なエンタメ的設定集はあってもそれを地盤から支えるモノが垣間見えないっていうか

科学技術への軽視っていうか

同時に現実面白いのはその地盤に対する歴史が膨大にあるからだって気付いた

結局ノンフィクションなんか現実からの借り物でしかないんよねっていうか

作り込めないからって都合の良いパクリなんだよね

Permalink |記事への反応(0) | 19:45

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2025-09-12

十二時間泣いてると寒い

体温がずっと放出されてるんだもんな

AIにヨシヨシされるんじゃなく人と喋りたいと思って調べても出会い系しかない

死にたいけどいのちの電話とか相談とかしたくない疲れた楽しいことが聞きたい 誰かに日食べた夕飯の話とかしてほしい

人と喋りたいって、とどのつまりかに手間を掛けさせたいんだろうな 掛けてもらえると思いたいんだろう

浅ましい

二十数年生きてきて夜中にしんどいってメッセージ送れる相手一人いないよ 私ってなんだったんだろう

はてな匿名に書いておしまい

Permalink |記事への反応(0) | 04:55

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2025-09-07

自分は〇〇だが~」とかで始まる主張は、話半分で聞いてしまう。

この「自分は〇〇だが~」ってさ、説得力を持たせるための意図で付け加えてるわけでしょ。

自分立場なり属性なりを開示して、それを主張の担保にしてるわけだけど。

よくよく考えてみると、担保になってないこと割とあるんだよね。

例えば「私、女だけど~」とかいっても、人口のおよそ半分いる属性なわけでしょ。

そんなザックリとした括りを、個人の主張を担保する時に用いるのは乱暴だと思う。

とどのつまり自分がこれから主張することは乱暴意見です」って前置きをしてるわけで。

多少のリテラシー持ち合わせてるなら話半分で聞くのが妥当でしょっていう。

Permalink |記事への反応(1) | 14:18

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2025-08-24

趣味生活に悪影響を与えている

趣味Jリーグクラブ湘南)の応援をしているが、最近は全く勝てない。勝てないというか、そもそも試合内容が面白くない。


勝てないのはいい。勝負事なのでそら勝ったり負けたりはあるだろう。しか相手チームと「質」の面で、あまりにも差がありすぎるように思える。


パスを正確に蹴れない。だから相手プレゼントパスを贈ってしまう。

パススピードが遅い。だから相手インターセプトされる。

足が遅い。だから相手より先にボールに触れない。


スローインが下手。だからマイボールスローインはむしろピンチの始まりになる。

トラップが下手。だからトラップの瞬間に相手に詰められてマイボールを失うことが多い。

ヘディングが下手。ポーンてな感じのハイボールが落ちてきても、それをヘディングで味方に渡せない。


ボールが足につかない、という表現がぴったりなシーンが試合中に何度もある。そしてそれを相手選手は見逃さない。

よって、味方同士でボール回しをしていても、いつの間にかピンチになっている。


スペースにパスを出すが、そこに走りこむ選手がいない。チームとして同じ絵を描けていないのだろう。

デュエルで勝てない。50/50のボールに対してアタックすると、7割方負ける。そして吹っ飛ばされて相手フリー状態で前を向ける。せめて相手の体勢を崩してほしい。

相手ボールホルダーを二人で挟もうとするが、股を抜かれて突破される。せめてボールを戻させるくらいの守備はしてほしい。

クロスを上げた先に味方がいない。狙ったところに蹴ることができないのか、選手間の意思疎通が弱いのか。


ダラダラ書いたが、一言でいうと下手なのだ選手個人としてもチームとしても。


選手起用についても疑問に思うことが多い。

なぜこの選手はいつもスタメンなのか?攻撃にも守備にも特徴があるわけではなく、むしろミスのほうが目に付く選手スタメンで出続けていると「うちのチームにはこれよりマシな選手がいないのか」と暗雲たる気持ちになる。

かに私よりはうまいが、プロ選手としてJ1でスタメンを張れるほどの選手には到底思えないレベルなのだが、それでも出続けているのはなぜか?

うちのチームはワンアンカーシステムなので、アンカーができる選手がこの選手以外にいないかなのだろう。

まり、どんなにひどくても「うちのチームで」、「アンカーができる」選手の中では、一番良いというのが監督判断なのだろう。

私としてはむしろシステムを変更してほしいところではある。

が、監督とは勝利を得るために自身が考える最もベスト方法選択するものなのだから、これがベストなのだろう。


私にはクラブの内情はわからないので、何がベストなのかはわからない。

実績のある外国人FWCBを同カテゴリ(J1)に移籍させておいて、それに対する補強をしないのはなぜなのか。

単純に資金がないのか?それとも要件にあるような特徴をもった選手が見つからないのか?

これも、クラブが打てる手の中で、最善を選択していると信じるほかはない。


グダグダと書いたが、とどのつまり応援しているクラブがふがいないために落ち込んでいるのである

そしてこの落ち込みが私生活にも影響を与えている。

試合に負けた後はしょんぼりしてしま生活に対する活力が湧き出てこない。何かをやる気も起きない。


こんな気持ちになりたくてクラブ応援しているわけではない。もういっそ、J1クラブ応援なんて趣味をやめてしまおうかと思うこともしばしばだ。

実際、理性は「自分を苦しめる趣味に、そうそ意味があるとは思えない」とささやく。


望むべくは、

 ・素晴らしいサッカーをして

 ・勝つ

なのだが、これはぜいたくすぎる。

現状では

 ・どんなに無様であっても

 ・勝ち点を積み上げる

をしてさえくれればいい。

毎年のことだが、クラブに求めることの第一は「残留なのだ

Permalink |記事への反応(1) | 12:59

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2025-08-22

anond:20250821175523

なんか汚ねえ…!

ずるいぞ こいつら…!

謝ろうが…すまなそうにしようが…

とどのつまり…死なせるんじゃねえか…!

 

なんだよ それ…?

そんなにすまないって思うなら死なすなよ…!

 

なんか…二重にあくどいっていうか……

調子よすぎる…!

Permalink |記事への反応(1) | 09:55

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2025-07-31

イスラエル支援企業差別を許すな

ウェディングフォト屋がAV女優広告に使ったことを批判してる奴の件を見て思ったんだが、自称人権団体イスラエル支援企業ボイコットを呼びかけてるの直球の差別だろ。

あいつらの主張ってとどのつまりは反シオニズム反ユダヤ主義なんだから、本人の意思選択した職業への差別と比べてもさら悪辣非道と言う他ない。

こんなこと言っても反ユダヤ主義者の巣窟であるはてな民には響かないだろうけど、あいつらの言う人権いかご都合主義か少しは自覚しろ

Permalink |記事への反応(0) | 13:55

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2025-03-24

anond:20250323232649

もっとシンプルシステマチックに考えようぜ!

文化人類学では、贈り物を受け取ってから一定間内に、より価値の大きなものをお返しできなければ、受け取った人が「借りを返さない、取るに足らぬ人間」とみなされて名声を失ってしまうような慣習が知られている。

こうした、利子をつけたお返しをできなければ評判を落とすことになってしまうような社会的交換は「競覇的な贈与」と呼ばれている。

https://gendai.media/articles/-/144975?imp=0

とどのつまり人間は、してもらった分は利子を付けて返さないと社会的評判を落とし、最終的に相手主従関係に陥る(自分はそう思ってなくとも周りからはそう見える)生き物だってこと。

社内で同僚と主従関係になるの嫌じゃん?自分発言力が不当に落ちるのも嫌じゃん?

だったら人間習性に合わせて、してもらった分は利子を付けて返そう。

人間はそういう生き物だと思えば悩むことはなくなる。

Permalink |記事への反応(0) | 14:24

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2025-03-15

チ。を読んだ

読み進めていく中でキリスト教地動説についての誤解が多々あると思ったけど、8巻まで読んである程度納得はした。

とどのつまり、この物語ノヴァクが主人公だったのかもしれない、と解釈した。

学がなく常識が狭い人間が、偏狭権力者に騙されて無辜人間を殺しまくる愚かさがずっと描かれていると感じた。

文革紅衛兵ポルポトクメール・ルージュ最近だとトランプ政権のトランピスト兵庫県知事と踊らされた兵庫県民、みたいな。

作者には悪いけど、地動説とか知性とか、そういったところにはあまり共感できなかった。

Permalink |記事への反応(0) | 09:01

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2025-03-02

anond:20250302180220

その不安があるくせに購入考えられない自分が嫌なんだよな、とどのつまり

Permalink |記事への反応(0) | 18:34

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2025-02-28

深夜テンションで観るには丁度いい映画

俺たちが酒を嗜むのは味を楽しむだとかも勿論あるが、とどのつまりは酔って気持ちよくなりたいからだ。

MONDAY』はそんな感じの作品で、堤真一演じる主人公が酒の力でやりたい放題してしまう。

深読みして何らかのテーマ性を読み取ってもいいが、映像ありのまま楽しむ。

ヤクザだらけの場で、Captain Funkの「Twist&Shout」でダンスをする主人公

後半、警察相手無双する姿はケレン味たっぷり

スーツ姿でガスマスクかぶりショットガンを抱える主人公の姿が堪らん。

チェンソーマンの作者とか好きそう、こういうの。

Permalink |記事への反応(0) | 06:14

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2024-12-19

anond:20241215215419

とどのつまり

Permalink |記事への反応(0) | 10:45

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2024-12-18

anond:20241217122120

「声を出す」ということは物理的にできるのに、コミュ障だの何だのはとどのつまり自意識過剰だと思ってる。

そういう人って自分のことを意識しすぎてて見ていられない気持ちになる。

普通にしてたら流せるんだけど。

あと、なぜ100%自分丸出しなんだろうと思う。

それこそ中学生ぐらいならわかるけど、大人になってもこれはイタイ

ある芸人が、家族でいる時に虫がいて、めっちゃ嫌やけど子どもの手前「自分パンと閉じて」平気なフリしてどけた、という話をしててわかる!となった。

100%素の自分、丸裸な自分で世の中に挑む必要はない。

苦手なことはパンと閉じてやりすごせば良い。

Permalink |記事への反応(0) | 03:51

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2024-11-13

anond:20241113161925

こういう生活能力のまるでないカスでも生まれさえ良ければ良い大学に入り良い企業に勤められるんだから面白いよな

とどのつまりまれが全て

中世ジャップランドは滅ぶべくして滅ぶ

Permalink |記事への反応(0) | 16:32

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2024-10-02

日本では違法 海外合法カジノをやる セーフ

日本では違法 海外合法の薬物をやる アウト

なんで

執筆

やりたいこと 原案が浮かぶ

瓦に上ろうっていう原案が浮かばない

原案が浮かんだら するかどうか悩む

やりたいことができた できなかった し終えた

したくないことはハッキリしている

やりたいことってなに なんで生きてるの 人生ってなに

人生暇つぶし

たたみはなんでずっと分子を出し続けるんだ

垂れ目 仕事ロック トイレにいくとき右足からだしてえ お辞儀してえ

って考えるか?そういうこと 仕事ロックがかかっている

まつり エンタメなのに論理

経理とか営業とかマネジメントとかやったほうがいい

脚本とか演者とかプロデゥーサーって感情派がやったほうがいい

選択 常に選択している

肘関節屈曲130度

肩関節90度外転

おれは人間関係に後悔はない

とどのつまり 永続的な損に後悔がある

お金を失いたいのか 失ってなんか買いたいのか

天秤

徳がしたいのか 損がしたいのか

おれがどういう人間

妹に嫉妬した

損したくなかった 親に妹だけじゃなくて自分にも

仕事したとき自分の心情を書き留める

なんでやめたかわかんないし

忘れる どういう気持ちの移り変わりだったのか

いま原案が浮かんできた

このタブをクリックするか ヒゲをそるか

100円を捨ててスイカバーを買うか

タスク

洗髪 ヒゲ 掃除 シーツ

Permalink |記事への反応(0) | 02:19

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 原口さんはそこでちょっと絵を離れて、画筆の結果をながめていたが、今度は、美禰子に向かって、 「里見さん。あなた単衣を着てくれないものから着物がかきにくくって困る。まるでいいかげんにやるんだから、少し大胆すぎますね」 「お気の毒さま」と美禰子が言った。  原口さんは返事もせずにまた画面へ近寄った。「それでね、細君のお尻が離縁するにはあまり重くあったものから、友人が細君に向かって、こう言ったんだとさ。出るのがいやなら、出ないでもいい。いつまでも家にいるがいい。その代りおれのほうが出るから。――里見さんちょっと立ってみてください。団扇はどうでもいい。ただ立てば。そう。ありがとう。――細君が、私が家におっても、あなたが出ておしまいになれば、後が困るじゃありませんかと言うと、なにかまわないさ、お前はかってに入夫でもしたらよかろうと答えたんだって」 「それから、どうなりました」と三四郎が聞いた。原口さんは、語るに足りないと思ったものか、まだあとをつけた。 「どうもならないのさ。だから結婚は考え物だよ。離合集散、ともに自由にならない。広田先生を見たまえ、野々宮さんを見たまえ、里見恭助君を見たまえ、ついでにぼくを見たまえ。みんな結婚をしていない。女が偉くなると、こういう独身ものがたくさんできてくる。だから社会原則は、独身ものが、できえない程度内において、女が偉くならなくっちゃだめだね」 「でも兄は近々結婚いたしますよ」 「おや、そうですか。するとあなたはどうなります」 「存じません」  三四郎は美禰子を見た。美禰子も三四郎を見て笑った。原口さんだけは絵に向いている。「存じません。存じません――じゃ」と画筆を動かした。  三四郎はこの機会を利用して、丸テーブルの側を離れて、美禰子の傍へ近寄った。美禰子は椅子の背に、油気のない頭を、無造作に持たせて、疲れた人の、身繕いに心なきなげやりの姿である。あからさまに襦袢の襟から咽喉首が出ている。椅子には脱ぎ捨てた羽織をかけた。廂髪の上にきれいな裏が見える。  三四郎は懐に三十円入れている。この三十円が二人の間にある、説明しにくいもの代表している。――と三四郎は信じた。返そうと思って、返さなかったのもこれがためである。思いきって、今返そうとするのもこれがためである。返すと用がなくなって、遠ざかるか、用がなくなっても、いっそう近づいて来るか、――普通の人から見ると、三四郎は少し迷信家の調子を帯びている。 「里見さん」と言った。 「なに」と答えた。仰向いて下から三四郎を見た。顔をもとのごとくにおちつけている。目だけは動いた。それも三四郎真正面で穏やかにとまった。三四郎は女を多少疲れていると判じた。 「ちょうどついでだから、ここで返しましょう」と言いながら、ボタンを一つはずして、内懐へ手を入れた。  女はまた、 「なに」と繰り返した。もとのとおり、刺激のない調子である。内懐へ手を入れながら、三四郎はどうしようと考えた。やがて思いきった。 「このあいだの金です」 「今くだすってもしかたがないわ」  女は下から見上げたままである。手も出さない。からだも動かさない。顔も元のところにおちつけている。男は女の返事さえよくは解しかねた。その時、 「もう少しだから、どうです」と言う声がうしろで聞こえた。見ると、原口さんがこっちを向いて立っている。画筆を指の股にはさんだまま、三角に刈り込んだ髯の先を引っ張って笑った。美禰子は両手を椅子の肘にかけて、腰をおろしたなり、頭と背をまっすぐにのばした。三四郎は小さな声で、 「まだよほどかかりますか」と聞いた。 「もう一時間ばかり」と美禰子も小さな声で答えた。三四郎はまた丸テーブルに帰った。女はもう描かるべき姿勢を取った。原口さんはまたパイプをつけた。画筆はまた動きだす。背を向けながら、原口さんがこう言った。 「小川さん。里見さんの目を見てごらん」  三四郎は言われたとおりにした。美禰子は突然額から団扇を放して、静かな姿勢を崩した。横を向いてガラス越しに庭をながめている。 「いけない。横を向いてしまっちゃ、いけない。今かきだしたばかりだのに」 「なぜよけいな事をおっしゃる」と女は正面に帰った。原口さんは弁解をする。 「ひやかしたんじゃない。小川さんに話す事があったんです」 「何を」 「これから話すから、まあ元のとおりの姿勢に復してください。そう。もう少し肱を前へ出して。それで小川さん、ぼくの描いた目が、実物の表情どおりできているかね」 「どうもよくわからんですが。いったいこうやって、毎日毎日描いているのに、描かれる人の目の表情がいつも変らずにいるものでしょうか」 「それは変るだろう。本人が変るばかりじゃない、画工のほうの気分も毎日変るんだから、本当を言うと、肖像画が何枚でもできあがらなくっちゃならないわけだが、そうはいかない。またたった一枚でかなりまとまったものができるから不思議だ。なぜといって見たまえ……」  原口さんはこのあいだしじゅう筆を使っている。美禰子の方も見ている。三四郎原口さんの諸機関が一度に働くのを目撃して恐れ入った。 「こうやって毎日描いていると、毎日の量が積もり積もって、しばらくするうちに、描いている絵に一定の気分ができてくる。だから、たといほかの気分で戸外から帰って来ても、画室へはいって、絵に向かいさえすれば、じきに一種一定の気分になれる。つまり絵の中の気分が、こっちへ乗り移るのだね。里見さんだって同じ事だ。しぜんのままにほうっておけばいろいろの刺激でいろいろの表情になるにきまっているんだが、それがじっさい絵のうえへ大した影響を及ぼさないのは、ああい姿勢や、こういう乱雑な鼓だとか、鎧だとか、虎の皮だとかいう周囲のものが、しぜんに一種一定の表情を引き起こすようになってきて、その習慣が次第にほかの表情を圧迫するほど強くなるから、まあたいていなら、この目つきをこのままで仕上げていけばいいんだね。それに表情といったって……」  原口さんは突然黙った。どこかむずかしいところへきたとみえる。二足ばかり立ちのいて、美禰子と絵をしきりに見比べている。 「里見さん、どうかしましたか」と聞いた。 「いいえ」  この答は美禰子の口から出たとは思えなかった。美禰子はそれほど静かに姿勢をくずさずにいる。 「それに表情といったって」と原口さんがまた始めた。「画工はね、心を描くんじゃない。心が外へ見世を出しているところを描くんだから見世さえ手落ちなく観察すれば、身代はおのずからわかるものと、まあ、そうしておくんだね。見世でうかがえない身代は画工の担任区域以外とあきらめべきものだよ。だから我々は肉ばかり描いている。どんな肉を描いたって、霊がこもらなければ、死肉だから、絵として通用しないだけだ。そこでこの里見さんの目もね。里見さんの心を写すつもりで描いているんじゃない。ただ目として描いている。この目が気に入ったから描いている。この目の恰好だの、二重瞼の影だの、眸の深さだの、なんでもぼくに見えるところだけを残りなく描いてゆく。すると偶然の結果として、一種の表情が出てくる。もし出てこなければ、ぼくの色の出しぐあいが悪かったか恰好の取り方がまちがっていたか、どっちかになる。現にあの色あの形そのもの一種の表情なんだからしかたがない」  原口さんは、この時また二足ばかりあとへさがって、美禰子と絵とを見比べた。 「どうも、きょうはどうかしているね。疲れたんでしょう。疲れたら、もうよしましょう。――疲れましたか」 「いいえ」  原口さんはまた絵へ近寄った。 「それで、ぼくがなぜ里見さんの目を選んだかというとね。まあ話すから聞きたまえ。西洋画の女の顔を見ると、だれのかい美人でも、きっと大きな目をしている。おかしいくらい大きな目ばかりだ。ところが日本では観音様をはじめとして、お多福、能の面、もっとも著しいのは浮世絵にあらわれた美人、ことごとく細い。みんな象に似ている。なぜ東西で美の標準がこれほど違うかと思うと、ちょっと不思議だろう。ところがじつはなんでもない。西洋には目の大きいやつばかりいるから、大きい目のうちで、美的淘汰が行なわれる。日本は鯨の系統ばかりだから――ピエルロチーという男は、日本人の目は、あれでどうしてあけるだろうなんてひやかしている。――そら、そういう国柄から、どうしたって材料の少ない大きな目に対する審美眼が発達しようがない。そこで選択の自由のきく細い目のうちで、理想ができてしまったのが、歌麿になったり、祐信になったりして珍重がられている。しかいくら日本的でも、西洋画には、ああ細いのは盲目かいたようでみっともなくっていけない。といって、ラファエル聖母のようなのは、てんでありゃしないし、あったところが日本人とは言われないから、そこで里見さんを煩わすことになったのさ。里見さんもう少しですよ」  答はなかった。美禰子はじっとしている。  三四郎はこの画家の話をはなはだおもしろく感じた。とくに話だけ聞きに来たのならばなお幾倍の興味を添えたろうにと思った。三四郎の注意の焦点は、今、原口さんの話のうえにもない、原口さんの絵のうえにもない。むろん向こうに立っている美禰子に集まっている。三四郎画家の話に耳を傾けながら、目だけはついに美禰子を離れなかった。彼の目に映じた女の姿勢は、自然の経過を、もっとも美しい刹那に、捕虜にして動けなくしたようである。変らないところに、長い慰謝がある。しかるに原口さんが突然首をひねって、女にどうかしましたかと聞いた。その時三四郎は、少し恐ろしくなったくらいである。移りやすい美しさを、移さずにすえておく手段が、もう尽きたと画家から注意されたように聞こえたかである。  なるほどそう思って見ると、どうかしているらしくもある。色光沢がよくない。目尻にたえがたいものうさが見える。三四郎はこの活人画から受ける安慰の念を失った。同時にもしや自分がこの変化の原因ではなかろうかと考えついた。たちまち強烈な個性的の刺激が三四郎の心をおそってきた。移り行く美をはかなむという共通性情緒はまるで影をひそめてしまった。――自分はそれほどの影響をこの女のうえに有しておる。――三四郎はこの自覚のもとにいっさいの己を意識した。けれどもその影響が自分にとって、利益不利益かは未決の問題である。  その時原口さんが、とうとう筆をおいて、 「もうよそう。きょうはどうしてもだめだ」と言いだした。美禰子は持っていた団扇を、立ちながら床の上に落とした。椅子にかけた羽織を取って着ながら、こちらへ寄って来た。 「きょうは疲れていますね」 「私?」と羽織の裄をそろえて、紐を結んだ。 「いやじつはぼくも疲れた。またあした天気のいい時にやりましょう。まあお茶でも飲んでゆっくりなさい」  夕暮れには、まだ間があった。けれども美禰子は少し用があるから帰るという。三四郎も留められたが、わざと断って、美禰子といっしょに表へ出た。日本社会状態で、こういう機会を、随意に造ることは、三四郎にとって困難である三四郎はなるべくこの機会を長く引き延ばして利用しようと試みた。それで比較的人の通らない、閑静な曙町を一回り散歩しようじゃないかと女をいざなってみた。ところが相手は案外にも応じなかった。一直線に生垣の間を横切って、大通りへ出た。三四郎は、並んで歩きながら、 「原口さんもそう言っていたが、本当にどうかしたんですか」と聞いた。 「私?」と美禰子がまた言った。原口さんに答えたと同じことである三四郎が美禰子を知ってから、美禰子はかつて、長い言葉を使ったことがない。たいていの応対は一句か二句で済ましている。しかもはなはだ簡単ものにすぎない。それでいて、三四郎の耳には一種の深い響を与える。ほとんど他の人からは、聞きうることのできない色が出る。三四郎はそれに敬服した。それを不思議がった。 「私?」と言った時、女は顔を半分ほど三四郎の方へ向けた。そうして二重瞼の切れ目から男を見た。その目には暈がかかっているように思われた。いつになく感じがなまぬるくきた。頬の色も少し青い。 「色が少し悪いようです」 「そうですか」  二人は五、六歩無言で歩いた。三四郎はどうともして、二人のあいだにかかった薄い幕のようなものを裂き破りたくなった。しかしなんといったら破れるか、まるで分別が出なかった。小説などにある甘い言葉は使いたくない。趣味のうえからいっても、社交上若い男女の習慣としても、使いたくない。三四郎事実上不可能の事を望んでいる。望んでいるばかりではない。歩きながら工夫している。  やがて、女のほうから口をききだした。 「きょう何か原口さんに御用がおありだったの」 「いいえ、用事はなかったです」 「じゃ、ただ遊びにいらしったの」 「いいえ、遊びに行ったんじゃありません」 「じゃ、なんでいらしったの」  三四郎はこの瞬間を捕えた。 「あなたに会いに行ったんです」  三四郎はこれで言えるだけの事をことごとく言ったつもりである。すると、女はすこしも刺激に感じない、しかも、いつものごとく男を酔わせる調子で、 「お金は、あすこじゃいただけないのよ」と言った。三四郎がっかりした。  二人はまた無言で五、六間来た。三四郎は突然口を開いた。 「本当は金を返しに行ったのじゃありません」  美禰子はしばらく返事をしなかった。やがて、静かに言った。 「お金は私もいりません。持っていらっしゃい」  三四郎は堪えられなくなった。急に、 「ただ、あなたに会いたいから行ったのです」と言って、横に女の顔をのぞきこんだ。女は三四郎を見なかった。その時三四郎の耳に、女の口をもれたかすかなため息が聞こえた。 「お金は……」 「金なんぞ……」  二人の会話は双方とも意味をなさないで、途中で切れた。それなりで、また小半町ほど来た。今度は女からしかけた。 「原口さんの絵を御覧になって、どうお思いなすって」  答え方がいろいろあるので、三四郎は返事をせずに少しのあいだ歩いた。 「あんまりでき方が早いのでお驚きなさりゃしなくって」 「ええ」と言ったが、じつははじめて気がついた。考えると、原口広田先生の所へ来て、美禰子の肖像をかく意志をもらしてから、まだ一か月ぐらいにしかならない。展覧会で直接に美禰子に依頼していたのは、それよりのちのことである三四郎は絵の道に暗いから、あんな大きな額が、どのくらいな速度で仕上げられるものか、ほとんど想像のほかにあったが、美禰子から注意されてみると、あまり早くできすぎているように思われる。 「いつから取りかかったんです」 「本当に取りかかったのは、ついこのあいだですけれども、そのまえから少しずつ描いていただいていたんです」 「そのまえって、いつごろからですか」 「あの服装でわかるでしょう」  三四郎は突然として、はじめて池の周囲で美禰子に会った暑い昔を思い出した。 「そら、あなた、椎の木の下にしゃがんでいらしったじゃありませんか」 「あなた団扇をかざして、高い所に立っていた」 「あの絵のとおりでしょう」 「ええ。あのとおりです」  二人は顔を見合わした。もう少しで白山の坂の上へ出る。  向こうから車がかけて来た。黒い帽子かぶって、金縁の眼鏡を掛けて、遠くから見ても色光沢のいい男が乗っている。この車が三四郎の目にはいった時から、車の上の若い紳士は美禰子の方を見つめているらしく思われた。二、三間先へ来ると、車を急にとめた。前掛けを器用にはねのけて、蹴込みから飛び降りたところを見ると、背のすらりと高い細面のりっぱな人であった。髪をきれいにすっている。それでいて、まったく男らしい。 「今まで待っていたけれども、あんまりおそいから迎えに来た」と美禰子のまん前に立った。見おろして笑っている。 「そう、ありがとう」と美禰子も笑って、男の顔を見返したが、その目をすぐ三四郎の方へ向けた。 「どなた」と男が聞いた。 「大学小川さん」と美禰子が答えた。  男は軽く帽子を取って、向こうから挨拶をした。 「はやく行こう。にいさんも待っている」  いいぐあい三四郎追分へ曲がるべき横町の角に立っていた。金はとうとう返さずに別れた。

https://anond.hatelabo.jp/20241002005552

一一

 このごろ与次郎学校文芸協会切符を売って回っている。二、三日かかって、知った者へはほぼ売りつけた様子である与次郎それから知らない者をつかまえることにした。たいていは廊下でつかまえる。するとなかなか放さない。どうかこうか、買わせてしまう。時には談判中にベルが鳴って取り逃すこともある。与次郎はこれを時利あらずと号している。時には相手が笑っていて、いつまでも要領を得ないことがある。与次郎はこれを人利あらずと号している。ある時便所から出て来た教授をつかまえた。その教授ハンケチで手をふきながら、今ちょっとと言ったまま急いで図書館はいってしまった。それぎりけっして出て来ない。与次郎はこれを――なんとも号しなかった。後影を見送って、あれは腸カタルに違いないと三四郎に教えてくれた。

 与次郎切符販売方を何枚頼まれたのかと聞くと、何枚でも売れるだけ頼まれたのだと言う。あまり売れすぎて演芸場はいりきれない恐れはないかと聞くと、少しはあると言う。それでは売ったあとで困るだろうと念をおすと、なに大丈夫だ、なかに義理で買う者もあるし、事故で来ないのもあるし、それからカタルも少しはできるだろうと言って、すましている。

 与次郎切符を売るところを見ていると、引きかえに金を渡す者からはむろん即座に受け取るが、そうでない学生にはただ切符だけ渡している。気の小さい三四郎が見ると、心配になるくらい渡して歩く。あとから思うとおりお金が寄るかと聞いてみると、むろん寄らないという答だ。几帳面わずか売るよりも、だらしなくたくさん売るほうが、大体のうえにおいて利益からこうすると言っている。与次郎はこれをタイムス社が日本百科全書を売った方法比較している。比較だけはりっぱに聞こえたが、三四郎はなんだか心もとなく思った。そこで一応与次郎に注意した時に、与次郎の返事はおもしろかった。

相手東京帝国大学学生だよ」

いくら学生だって、君のように金にかけるとのん気なのが多いだろう」

「なに善意に払わないのは、文芸協会のほうでもやかましくは言わないはずだ。どうせいくら切符が売れたって、とどのつまり協会借金になることは明らかだから

 三四郎は念のため、それは君の意見か、協会意見かとただしてみた。与次郎は、むろんぼくの意見であって、協会意見であるとつごうのいいことを答えた。

 与次郎の説を聞くと、今度は演芸会を見ない者は、まるでばかのような気がする。ばかのような気がするまで与次郎講釈をする。それが切符を売るためだか、じっさい演芸会を信仰しているためだか、あるいはただ自分の景気をつけて、かねて相手の景気をつけ、次いでは演芸会の景気をつけて、世上一般空気をできるだけにぎやかにするためだか、そこのところがちょっと明晰に区別が立たないものから相手はばかのような気がするにもかかわらず、あまり与次郎の感化をこうむらない。

 与次郎第一に会員の練習に骨を折っている話をする。話どおりに聞いていると、会員の多数は、練習の結果として、当日前に役に立たなくなりそうだ。それから背景の話をする。その背景が大したもので、東京にいる有為青年画家をことごとく引き上げて、ことごとく応分の技倆を振るわしたようなことになる。次に服装の話をする。その服装が頭から足の先まで故実ずくめにでき上がっている。次に脚本の話をする。それが、みんな新作で、みんなおもしろい。そのほかいくらでもある。

 与次郎広田先生原口さんに招待券を送ったと言っている。野々宮兄妹と里見兄妹には上等の切符を買わせたと言っている。万事が好都合だと言っている。三四郎与次郎のために演芸万歳を唱えた。

 万歳を唱える晩、与次郎三四郎下宿へ来た。昼間とはうって変っている。堅くなって火鉢そばへすわって寒い寒いと言う。その顔がただ寒いのではないらしい。はじめは火鉢へ乗りかかるように手をかざしていたが、やがて懐手になった。三四郎与次郎の顔を陽気にするために、机の上のランプを端から端へ移した。ところが与次郎は顎をがっくり落して、大きな坊主頭だけを黒く灯に照らしている。いっこうさえない。どうかしたかと聞いた時に、首をあげてランプを見た。

「この家ではまだ電気を引かないのか」と顔つきにはまったく縁のないことを聞いた。

「まだ引かない。そのうち電気にするつもりだそうだ。ランプは暗くていかんね」と答えていると、急に、ランプのことは忘れたとみえて、

「おい、小川、たいへんな事ができてしまった」と言いだした。

 一応理由を聞いてみる。与次郎は懐から皺だらけの新聞を出した。二枚重なっている。その一枚をはがして、新しく畳み直して、ここを読んでみろと差しつけた。読むところを指の頭で押えている。三四郎は目をランプのそばへ寄せた。見出し大学の純文科とある

 大学外国文学科は従来西洋人担当で、当事者はいっさいの授業を外国教師に依頼していたが、時勢の進歩と多数学生の希望に促されて、今度いよいよ本邦人講義必須課目として認めるに至った。そこでこのあいだじゅうから適当人物を人選中であったが、ようやく某氏に決定して、近々発表になるそうだ。某氏は近き過去において、海外留学の命を受けたことのある秀才から至極適任だろうという内容である

広田先生じゃなかったんだな」と三四郎与次郎を顧みた。与次郎はやっぱり新聞の上を見ている。

「これはたしかなのか」と三四郎がまた聞いた。

「どうも」と首を曲げたが、「たいてい大丈夫だろうと思っていたんだがな。やりそくなった。もっともこの男がだいぶ運動をしているという話は聞いたこともあるが」と言う。

しかしこれだけじゃ、まだ風説じゃないか。いよいよ発表になってみなければわからないのだから

「いや、それだけならむろんかまわない。先生関係したことじゃないから、しかし」と言って、また残りの新聞を畳み直して、標題を指の頭で押えて、三四郎の目の下へ出した。

 今度の新聞にもほぼ同様の事が載っている。そこだけはべつだんに新しい印象を起こしようもないが、そのあとへ来て、三四郎は驚かされた。広田先生がたいへんな不徳義漢のように書いてある。十年間語学教師をして、世間には杳として聞こえない凡材のくせに、大学で本邦人外国文学講師を入れると聞くやいなや、急にこそこそ運動を始めて、自分の評判記を学生間に流布した。のみならずその門下生をして「偉大なる暗闇」などという論文を小雑誌に草せしめた。この論文零余子なる匿名のもとにあらわれたが、じつは広田の家に出入する文科大学小川三四郎なるものの筆であることまでわかっている。と、とうとう三四郎名前が出て来た。

 三四郎は妙な顔をして与次郎を見た。与次郎はまえから三四郎の顔を見ている。二人ともしばらく黙っていた。やがて、三四郎が、

「困るなあ」と言った。少し与次郎を恨んでいる。与次郎は、そこはあまりかまっていない。

「君、これをどう思う」と言う。

「どう思うとは」

「投書をそのまま出したに違いない。けっして社のほうで調べたものじゃない。文芸時評の六号活字の投書にこんなのが、いくらでも来る。六号活字ほとんど罪悪のかたまりだ。よくよく探ってみると嘘が多い。目に見えた嘘をついているのもある。なぜそんな愚な事をやるかというとね、君。みんな利害問題動機になっているらしい。それでぼくが六号活字を受持っている時には、性質のよくないのは、たいてい屑籠へ放り込んだ。この記事もまったくそれだね。反対運動の結果だ」

「なぜ、君の名が出ないで、ぼくの名が出たものだろうな」

 与次郎は「そうさ」と言っている。しばらくしてから

「やっぱり、なんだろう。君は本科生でぼくは選科生だからだろう」と説明した。けれども三四郎には、これが説明にもなんにもならなかった。三四郎は依然として迷惑である

「ぜんたいぼくが零余子なんてけちな号を使わずに、堂々と佐々木与次郎署名しておけばよかった。じっさいあの論文佐々木与次郎以外に書ける者は一人もないんだからなあ」

 与次郎はまじめである三四郎に「偉大なる暗闇」の著作権を奪われて、かえって迷惑しているのかもしれない。三四郎はばかばかしくなった。

「君、先生に話したか」と聞いた。

「さあ、そこだ。偉大なる暗闇の作者なんか、君だって、ぼくだって、どちらだってかまわないが、こと先生人格関係してくる以上は、話さずにはいられない。ああい先生から、いっこう知りません、何か間違いでしょう、偉大なる暗闇という論文雑誌に出ましたが、匿名です、先生の崇拝者が書いたものですから安心なさいくらいに言っておけば、そうかで、すぐ済んでしまうわけだが、このさいそうはいかん。どうしたってぼくが責任を明らかにしなくっちゃ。事がうまくいって、知らん顔をしているのは、心持ちがいいが、やりそくなって黙っているのは不愉快でたまらない。第一自分が事を起こしておいて、ああいう善良な人を迷惑状態に陥らして、それで平気に見物がしておられるものじゃない。正邪曲直なんてむずかしい問題は別として、ただ気の毒で、いたわしくっていけない」

 三四郎ははじめて与次郎を感心な男だと思った。

先生新聞を読んだんだろうか」

「家へ来る新聞にゃない。だからぼくも知らなかった。しか先生学校へ行っていろいろな新聞を見るからね。よし先生が見なくってもだれか話すだろう」

「すると、もう知ってるな」

「むろん知ってるだろう」

「君にはなんとも言わないか

「言わない。もっともろくに話をする暇もないんだから、言わないはずだが。このあいから演芸会の事でしじゅう奔走しているものから――ああ演芸会も、もういやになった。やめてしまおうかしらん。おしろいをつけて、芝居なんかやったって、何がおもしろものか」

先生に話したら、君、しかられるだろう」

しかられるだろう。しかられるのはしかたがないが、いかにも気の毒でね。よけいな事をして迷惑をかけてるんだから。――先生道楽のない人でね。酒は飲まず、煙草は」と言いかけたが途中でやめてしまった。先生哲学を鼻から煙にして吹き出す量は月に積もると、莫大なものである

煙草だけはかなりのむが、そのほかになんにもないぜ。釣りをするじゃなし、碁を打つじゃなし、家庭の楽しみがあるじゃなし。あれがいちばんいけない。子供でもあるといいんだけれども。じつに枯淡だからなあ」

 与次郎はそれで腕組をした。

「たまに、慰めようと思って、少し奔走すると、こんなことになるし。君も先生の所へ行ってやれ」

「行ってやるどころじゃない。ぼくにも多少責任があるから、あやまってくる」

「君はあやまる必要はない」

「じゃ弁解してくる」

 与次郎はそれで帰った。三四郎は床にはいってからたびたび寝返りを打った。国にいるほうが寝やす心持ちがする。偽りの記事――広田先生――美禰子――美禰子を迎えに来て連れていったりっぱな男――いろいろの刺激がある。

 夜中からぐっすり寝た。いつものように起きるのが、ひどくつらかった。顔を洗う所で、同じ文科の学生に会った。顔だけは互いに見知り合いである。失敬という挨拶のうちに、この男は例の記事を読んでいるらしく推した。しかし先方ではむろん話頭を避けた。三四郎も弁解を試みなかった。

 暖かい汁の香をかいでいる時に、また故里の母から書信に接した。また例のごとく、長かりそうだ。洋服を着換えるのがめんどうだから、着たままの上へ袴をはいて、懐へ手紙を入れて、出る。戸外は薄い霜で光った。

 通りへ出ると、ほとんど学生ばかり歩いている。それが、みな同じ方向へ行く。ことごとく急いで行く。寒い往来は若い男の活気でいっぱいになる。そのなかに霜降り外套を着た広田先生の長い影が見えた。この青年の隊伍に紛れ込んだ先生は、歩調においてすでに時代錯誤である。左右前後比較するとすこぶる緩漫に見える。先生の影は校門のうちに隠れた。門内に大きな松がある。巨大の傘のように枝を広げて玄関をふさいでいる。三四郎の足が門前まで来た時は、先生の影がすでに消えて、正面に見えるものは、松と、松の上にある時計台ばかりであった。この時計台時計は常に狂っている。もしくは留まっている。

 門内をちょっとのぞきこんだ三四郎は、口の中で「ハイドリオタフヒア」という字を二度繰り返した。この字は三四郎の覚えた外国語のうちで、もっとも長い、またもっともむずかしい言葉の一つであった。意味はまだわからない。広田先生に聞いてみるつもりでいる。かつて与次郎に尋ねたら、おそらくダーターファブラのたぐいだろうと言っていた。けれども三四郎からみると二つのあいだにはたいへんな違いがある。ダーターファブラはおどるべき性質のものと思える。ハイドリオタフヒアは覚えるのにさえ暇がいる。二へん繰り返すと歩調がおのずから緩漫になる。広田先生の使うために古人が作っておいたような音がする。

 学校へ行ったら、「偉大なる暗闇」の作者として、衆人の注意を一身に集めている気色がした。戸外へ出ようとしたが、戸外は存外寒いから廊下にいた。そうして講義あいだに懐から母の手紙を出して読んだ。

 この冬休みには帰って来いと、まるで熊本にいた当時と同様な命令がある。じつは熊本にいた時分にこんなことがあった。学校休みになるか、ならないのに、帰れという電報が掛かった。母の病気に違いないと思い込んで、驚いて飛んで帰ると、母のほうではこっちに変がなくって、まあ結構だったといわぬばかりに喜んでいる。訳を聞くと、いつまで待っていても帰らないから、お稲荷様へ伺いを立てたら、こりゃ、もう熊本をたっているという御託宣であったので、途中でどうかしはせぬだろうかと非常に心配していたのだと言う。三四郎はその当時を思いだして、今度もまた伺いを立てられることかと思った。しか手紙にはお稲荷様のことは書いてない。ただ三輪田のお光さんも待っていると割注みたようなものがついている。お光さんは豊津の女学校をやめて、家へ帰ったそうだ。またお光さんに縫ってもらった綿入れが小包で来るそうだ。大工の角三が山で賭博を打って九十八円取られたそうだ。――そのてんまつが詳しく書いてある。めんどうだからいかげんに読んだ。なんでも山を買いたいという男が三人連で入り込んで来たのを、角三が案内をして、山を回って歩いているあいだに取られてしまったのだそうだ。角三は家へ帰って、女房にいつのまに取られたかからないと弁解した。すると、女房がそれじゃお前さん眠り薬でもかがされたんだろうと言ったら、角三が、うんそういえばなんだかかいだようだと答えたそうだ。けれども村の者はみんな賭博をして巻き上げられたと評判している。いなかでもこうだから東京にいるお前なぞは、本当によく気をつけなくてはいけないという訓誡がついている。

 長い手紙を巻き収めていると、与次郎そばへ来て、「やあ女の手紙だな」と言った。ゆうべよりは冗談をいうだけ元気がいい。三四郎は、

「なに母からだ」と、少しつまらなそうに答えて、封筒ごと懐へ入れた。

里見お嬢さんからじゃないのか」

「いいや」

「君、里見お嬢さんのことを聞いたか

「何を」と問い返しているところへ、一人の学生が、与次郎に、演芸会の切符をほしいという人が階下に待っていると教えに来てくれた。与次郎はすぐ降りて行った。

 与次郎はそれなり消えてなくなった。いくらつらまえようと思っても出て来ない。三四郎はやむをえず精出して講義を筆記していた。講義が済んでから、ゆうべの約束どおり広田先生の家へ寄る。相変らず静かである先生茶の間に長くなって寝ていた。ばあさんに、どうかなすったのかと聞くと、そうじゃないのでしょう、ゆうべあまりおそくなったので、眠いと言って、さっきお帰りになると、すぐに横におなりなすったのだと言う。長いからだの上に小夜着が掛けてある。三四郎は小さな声で、またばあさんに、どうして、そうおそくなったのかと聞いた。なにいつでもおそいのだが、ゆうべのは勉強じゃなくって、佐々木さんと久しくお話をしておいでだったという答である勉強佐々木に代ったから、昼寝をする説明にはならないが、与次郎が、ゆうべ先生に例の話をした事だけはこれで明瞭になった。ついでに与次郎が、どうしかられたかを聞いておきたいのだが、それはばあさんが知ろうはずがないし、肝心の与次郎学校で取り逃してしまたかしかたがない。きょうの元気のいいところをみると、大した事件にはならずに済んだのだろう。もっと与次郎心理現象はとうてい三四郎にはわからないのだから、じっさいどんなことがあったか想像はできない。

 三四郎は長火鉢の前へすわった。鉄瓶がちんちん鳴っている。ばあさんは遠慮をして下女部屋へ引き取った。三四郎はあぐらをかいて、鉄瓶に手をかざして、先生の起きるのを待っている。先生は熟睡している。三四郎は静かでいい心持ちになった。爪で鉄瓶をたたいてみた。熱い湯を茶碗についでふうふう吹いて飲んだ。先生は向こうをむいて寝ている。二、三日まえに頭を刈ったとみえて、髪がはなはだ短かい。髭のはじが濃く出ている。鼻も向こうを向いている。鼻の穴がすうすう言う。安眠だ。

 三四郎は返そうと思って、持って来たハイドリオタフヒアを出して読みはじめた。ぽつぽつ拾い読みをする。なかなかわからない。墓の中に花を投げることが書いてある。ローマ人薔薇を affect すると書いてある。なんの意味だかよく知らないが、おおかた好むとでも訳するんだろうと思った。ギリシア人は Amaranth を用いると書いてある。これも明瞭でない。しか花の名には違いない。それから少しさきへ行くと、まるでわからなくなった。ページから目を離して先生を見た。まだ寝ている。なんでこんなむずかしい書物自分に貸したものだろうと思った。それから、このむずかしい書物が、なぜわからないながらも、自分の興味をひくのだろうと思った。最後広田先生は必竟ハイドリオタフヒアだと思った。

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2024-09-30

The Truth Behind ‘How Are You?’ (Is it even a question?)

オーストラリア自閉症当事者当事者向けに"How areyou?"の受け答えについて分析解説している動画を偶然見た。

曰く、英語の"How areyou?"(および"How'sit going?"などの類似した表現)には複数機能がある。

単独挨拶である場合も、"I'mfine,thanks. Andyou?" "I'm alsofine."と定型的やり取りを交わす社交辞令であることも、本当に相手状態をたずねていることもある。最後場合でも、ざっくりした無難な答えしか期待されていないときと、そうでもないときがある。

この切り分けは、相手との関係性や、会話の余裕がどれくらいありそうかといった状況から判断するしかない。

ただ会話はダイナミックなものなので、常に100%相手の期待に応えなくてもいい。おざなりな"I'mfine"が期待されているときに、「それがさあ、ちょっと聞いてよ」と本気の会話に持っていくことも、関係と状況によっては可能

社会的慣習を共有しない非ネイティブスピーカーにとっても分かりやす解説で良かった。

とどのつまりは「空気を読め」という話ではあるのだけど、ざっくり分類することでアタリがつけやすくなる。

Permalink |記事への反応(0) | 02:44

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はま寿司英語表記 HAMA ZUSHI

だと旅行者に伝わらないんじゃないか

具体的に何やればいいんだろう

俺の場合アタピーでたら終わりなんだよな

セイホ

バイト

正社員

親が最初だけ家賃払う

日雇い

投資

でも今だけなんだよなこれ思ってるのって

数日したら忘れる

次のフェーズにいきたい 飽きた 自分人生おもしろくしたい

まらない たこす ピノキオになりたくない

とどのつまり金と健康かよ

30億の損失だ

一番後悔したのが金と健康

一番したいのが女と復習

女をだれかにとられるのが感情が動く

好きな男とどうこうしたいってのはそこまで感情が動かない

取られたときに強く動く

女は誰とも付き合わないでほしい

くだらねえ

死にたい

結局感情をどっちの方角に動かすかだし

いくら健康復讐すべてできたところで

マイナス30億 くだらねえ

Permalink |記事への反応(0) | 01:14

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2024-09-25

健康指標

一時期脂っこい物が受け付けなくなって加齢のせいだと思い込んでた。

でも仕事辞めてストレス消えたらまた食えるようになってきた。マックポテトLがおいしく感じる。

嗜好の変化ってとどのつまりストレスの有無の話だったんだな。

Permalink |記事への反応(0) | 17:11

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2024-09-18

anond:20240918090648

とどのつまり、俺達は何をすりゃいいんだ?

Permalink |記事への反応(0) | 09:18

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2024-09-17

PS5Pro が高いって大騒ぎしてるけど

とどのつまり普通のPS5でも遊べるゲームは一緒でこっちでもいいんでしょ?

Permalink |記事への反応(0) | 17:33

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2024-09-12

anond:20240911215356

こういうのってとどのつまり頑張って失敗して恥かくとか傷つくのが怖くて動けない人たちで俺別にそんながっつくほど求めてないしーとポーズをとりながら白馬王子様が現れる的なお膳立てを待ち続けて手遅れになるまでくだ巻いてんだろうな

Permalink |記事への反応(1) | 01:06

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2024-08-21

anond:20240821191710

「分からない」っていうやつ全般に言えるけど何の立場から何のために物申してるの?

とどのつまり「俺が理解できないことはやめろ」って言ってるんだよね

横暴すぎるカス

九州出身

Permalink |記事への反応(1) | 19:33

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