Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


はてラボはてな匿名ダイアリー
ようこそ ゲスト さんログインユーザー登録
< ■ |石像 イケメン 全裸... >

2026-01-15

見知らぬ君へ ある初老独白

この場所を掘り当てた、見知らぬ君へ。

誰に宛てるでもなく、ただ書き置いておく。

ここには、残酷で、そして中庸世界を、

それなりに機嫌よく生き抜こうとした

一人の凡人の思索の跡がある。

私は君と語らうつもりはない。

褒め言葉も、謗りの言葉も、私には届かない。

ただ、もし君が

世界無意味さに途方に暮れているのなら、

この記録を、自分を映す手鏡として使ってみるといい。

読んで、考え、そして去ればいい。

====

一、影としての意識自由幻想

まず、認めておきたい前提がある。

この世に、完全な自由などないのではないか、ということだ。

世界は、数式と物理法則に従って動く巨大な機械のようなものだ。

私が今この文字を綴ることも、

君がそれを読むことも、

はるかから連なった因果の延長に過ぎない。

私たち意識や心と呼ばれるものは、

実体が動いた「あと」に生じる影のようなものだ。

影が実体を動かすことはない。

私たちは、

起きてしまった出来事

から眺めている観客なのだと思っている。

若い頃、私は何者かになりたいと願った。

だが、特別な才覚はなかった。

下手なゲーム時間を溶かし、

結局、何者にもなれぬまま、

初老と呼ばれる年齢に差しかかった。

今になって、ようやく分かったことがある。

「何者にもなる必要はなかった」という事実が、

決定論の中では、静かな安らぎになるということだ。

二、車窓の景色 ― 選べないが、眺められる

すべてが決まっているのだとしたら、

なぜ私は、案外機嫌よく生きていられるのだろうか。

人生線路を引き直すことはできない。

だが、車窓から流れる景色を眺めることはできる。

眺めるという一点においてのみ、

である私たちは、

この世界の唯一の目撃者になる。

この列車がどこへ向かうのか、

乗客である私たちには分からない。

終点に降りて、初めて知る。

私は生きるために、人生の八割を使った。

会社方針には内心で抗いながら、

表向きは従順な有能な歯車を演じた。

それは、この自然界を生き抜くための、

冷静な策略だった。

残りの二割の時間

私は車窓に寄りかかり、

自分だけの景色を眺めていた。

三、因果を引き受ける ―後出し肯定

人生の先が見え始め、

予測がだいたい当たる年齢になると、

生は「物理現象追体験」に近づく。

アトピーの薬を塗らなかったこと。

歯を磨かなかったこと。

情熱を持てない自分に焦りを感じてたこと。

それら負の履歴さえ、

今では私がバランスを取るための重りなのだ

人生の無数の選択に、

身体が先に答えを出し、

脳が0.5秒後に理由をつける。

「これが正解だ」と。

それが、この無味乾燥世界を、

自分自身の物語として着地させる、

私なりの作法だった。

四、君へ ― 答え合わせの走り書き

今、この文字を追っている君へ。

私の答え合わせを、いくつか置いておく。

何者かになりたい君へ。

成否は、たぶん最初から決まっている。

君のせいではない。

絶望している君へ。

その絶望も、物理帰結だ。君は悪くない。

今は、痛みの質感を眺めていればいい。

世界を呪う君へ。

世界は答えない。

ただ、中庸にそこにある。

幸せな君へ。

その幸せを、よく噛みしめるといい。

それは偶然与えられた福音だ。

虚無な君へ。

虚無でいい。

それでも世界は回り、君はそこに在る。


この文章を書くことは、

私が自分の傷を舐め、

自分自分を慰めるための行為に過ぎない。

だが、この自己救済の円環こそが、

私がこの世界に刻める、

たった一つの意志だった。

私は、私を許す。

そして、自分カルマを、ここに置いていく。

それでも、君を祝福する。

この世界に生まれてきてくれて、ありがとう

Permalink |記事への反応(0) | 03:12

このエントリーをはてなブックマークに追加ツイートシェア

記事への反応 -

記事への反応(ブックマークコメント)

全てのコメントを見る

人気エントリ

注目エントリ

ログインユーザー登録
ようこそ ゲスト さん
Copyright (C) 2001-2026 hatena. All Rights Reserved.

[8]ページ先頭

©2009-2026 Movatter.jp