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2025-10-26

anond:20251026040502

数日後、植木から異変が起こった。土の表面がひび割れ、そこから淡い光が漏れ始めたのだ。夜の裏庭で、泉と二人、膝をついてそれを見つめていた。光は、まるで夜空に瞬く星々を集めたように強く、美しかった。

「ねえ、本当にエイリアンかもね」泉が囁いた。その声は震えていたが、恐怖よりも高揚感が滲んでいた。

次の瞬間、植木鉢は音もなく砕け散り、中から巨大な光の柱が天空へと伸びた。それは、まるで世界を繋ぐ、あるいは断つための、決定的な合図のようだった。光が収まると、そこには何も残されていなかった。ただ、植木鉢があった場所から私たちと泉を包むように、薄い、透明な「膜」のようなものが広がっているのが見えた。

翌朝、ニュース世界が変わったことを知った。地球を取り囲むように出現した、謎のエネルギーフィールド。それは、通信交通麻痺させ、世界を分断した。そして、そのフィールドの発生源とされた場所――それは、私たちの街の、この裏庭だった。

私たちが、世界を変えちゃったんだね」泉が、不安と、ある種の満足感をもって言った。世界危機に瀕し、その鍵を握るのが、私たち二人で埋めたあの「卵の素」だった。

世界は泉と私の秘密と愛を中心に回り始めた。私たちだけの世界、誰も立ち入れない、二人だけの「小さな箱庭」が、文字通り世界を覆ったのだ。もし、このフィールド消滅させれば、世界は元に戻るかもしれない。でも、そうなれば、泉との特別関係も、この秘密も、普通日常に埋もれてしまうだろう。

「このままでいい」私は泉の手を握りしめ、そう決意した。「私たち二人さえいれば、世界なんてどうなっても構わない」

Permalink |記事への反応(1) | 04:06

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  • 車の中で隣に座った少女から「卵の素」をもらって興奮していた それを部屋に持っていき、卵を作って妹の部屋で魔法の白濁液と混ぜながら、「この液体、エイリアンが生み出されそう...

    • 透明な器の中で白濁液と混ざり合う「卵の素」は、淡い黄色を帯びた、なんとも言えない不気味な光を放っていた。泡立ちながら、ねっとりと互いに絡みつき、次第に均一な粘度の高い...

      • 私たちは「禁断の場所」の観察を日課にした。妹は毎朝、学校に行く前に植木鉢を覗き込み、私は放課後、誰にも見つからないように裏庭へ急ぐ。そんなある日、私は庭の隅で、予想外...

        • 数日後、植木鉢から異変が起こった。土の表面がひび割れ、そこから淡い光が漏れ始めたのだ。夜の裏庭で、泉と二人、膝をついてそれを見つめていた。光は、まるで夜空に瞬く星々を...

          • 泉が微笑みながら私を見つめ、土を指でなぞる。 「私たち二人だけの世界か…いい響きだね。だったら、この世界を最高の味で満たそうよ」 泉はそう言って、バッグから小さな瓶を取...

            • 裏庭でのマヨネーズグルメ実験は、私たちの新しい日常になった。ポテトチップスに、庭で採れたトマトに、泉がこっそり作ってきたオムレツに。エイリアン・ソースをかけた瞬間、世...

              • 静岡へ行くことを決めたのは、泉の「世界一のソースには、世界一の食材が必要だ」という一言からだった。 「この『膜』は通信を遮断しただけで、物理的な移動を完全に止めたわけじ...

                • 静岡でマグロとエイリアン・ソースの究極の燃料を補給した直後、私たちは「膜」を通して聞こえてくる、かすかな、しかし切実なニュースを受信した。 「速報! 山梨県民団が富士山...

                  • 極限まで身体能力を高めた私は、標高3776メートルの世界を遮断する膜の境界を突破し、富士山頂の占拠現場へと駆けつけた。山頂には、武骨な格好をした山梨県民団が、手作りのバリケ...

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