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2025-10-19

ポケモン帝国のトゥール・ポワティエ――『PokémonLEGENDS Z-A』が示す文化終焉

 「ポケモン」が再び戦場に立った。タイトルは『PokémonLEGENDS Z-A』。舞台はカロス――フランスを想起させる世界。だが、ここで我々が目にするのは、かつての創造的爆発ではない。これは文化の衰退と、帝国防衛戦である。すなわち、トゥール・ポワティエの戦いだ。

 かつてイスラーム勢力ヨーロッパへと進撃した時、フランク王国カール・マルテルは剣を取り、文明境界線を守った。今、任天堂ポケモンカンパニーは、かつての創造侵略者ではなく、守勢の側に立っている。彼らの「Z-A」という逆行のタイトルには、時代への恐れと自己防衛匂いが漂う。AからZへの進歩ではなく、ZからAへの退行。これは進化ではなく、停滞の宣言だ。

 『PokémonLEGENDSアルセウス』が開拓の戦だったとすれば、『Z-A』は塹壕である。敵はソニー中国勢の新興勢力ではない。敵は「飽き」と「惰性」、そして自ら築いた“伝統”という名の要塞だ。任天堂はトゥール・ポワティエのマルテルのごとく、侵略者ではなく守護者となり、守るために創造犠牲にしている。

 問題は、マルテルが勝利したその瞬間、ヨーロッパは確かに守られたが、新しい文化の風は遮断されたという歴史的皮肉だ。ポケモン帝国もまた、ファンという「信徒」を守るために壁を築き、外部の挑戦や異文化的刺激を拒絶している。シリーズ刷新ではなく、過去の再演を“神聖化”しているのだ。

 トゥール・ポワティエの戦いは、文明の保存と引き換えに停滞を選んだ戦いだった。そして『PokémonLEGENDS Z-A』は、まさにその精神の再演である任天堂は“侵略される側”に回り、かつての革命児は「文明を守る老人」となった。

 勝利するだろう、確かにしかし、その勝利はもはや未来を拓かない。剣を掲げたその手の中には、創造の火ではなく、惰性の灰が握られている。

 ポケモン帝国防衛戦は、すなわち文化終焉戦――トゥール・ポワティエの再演なのだ

 守るために失う。これが『PokémonLEGENDS Z-A』の最も痛ましい真実である

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