近年、「末代」の誤用が指摘されることが増えてきた。
たとえば「子供ができないので私が末代だ」などの発言に対して「誤用である」と言うのである。
「末代」とは自分が死んだあとの「遠い未来」のことであって、「最後の代」の意味はない、というのが誤用派の主張である。
末代,汉语词语,拼音mò dài,注音ㄇㄛˋ ㄉㄞˋ,外文名thelast reign of a dynasty,原指一个朝代的最后一代,最早记载于东晋王嘉《拾遗记·秦始皇》。
「末代」(中国語の語彙、拼音 mò dài、注音 ㄇㄛˋ ㄉㄞˋ、英語 thelast reign of a dynasty)は、もともと一つの王朝の最後の一代を指す語で、最初の記載は東晋の王嘉『拾遺記・秦始皇』に見られる。
「王朝の最後の一代」を指すというので、まさに「初代」の対義語としての「末代」である。
たとえば、清王朝の最後の皇帝・溥儀を描いた映画『ラストエンペラー』の中国語題が『末代皇帝』であることからも、そうした意味で流通していることがわかる。
ただ、もともとは中国でも「後世」という意味で使われることが多かったようだ。
初出とされている東晋の王嘉『拾遺記・秦始皇』に書かれているのも「末代浮誣(後世のでたらめ)」といったような用法である。
「末代皇帝」のような用法は、おそらく明代にはあったようだが、そこからどこまで遡れるかはわからなかった。
(明代の『卜筮全書』の注釈に「桀 夏朝末代君主」とあったが注釈が後世のものという可能性はある)
さて、それでは「末代」は日本ではどう使われてきたのか。
「末代」という語は、平安時代から概ね「後世」の意味で使われてきたようだ。
「王朝の末代」と言う場面がなく「末代天皇」などもいないのである。
とはいえ、日本に「末代天皇」はいなくとも「末代将軍」なら存在する。
実際に、国会図書館DCで検索してみれば、明治時代の書籍に「足利の末代」や「徳川末代将軍」のような言い回しを見つけることができる。
また、中国の歴代王朝を紹介するのに、その初代と末代を書き並べているものなどもあった。
であれば「末代」を「最後の代」という意味で使うのも問題はないと考える。
もちろん「あくまで日本では『後世』の意味がメジャーなんだよ」という主張はできる。
しかし「最後の代」という用法も少なくとも「誤用」ではないし、わざわざ修正する必要もないと思うのである。
なお、
死んでからのちの世。
という辞書の説明を見て「末代」を「死後の世界(あの世)」の意味だと早合点している人もいるようだ。
「末代」を「後世」とするか「最後の代」とするかは解釈の問題であるが、「末代」を「あの世」とするのは完全なる勘違いであるので定着しないことを祈る。
コピペすぎへん?