彼はかつて選ばれた。
群衆の中で拳を掲げ、
敵を呪い、約束を叫んだ。
「私は大地そのものだ」と。
その声は市場の太鼓を震わせ、
その姿は広場を埋める椰子の影のごとく広がった。
だが声は灼ける炎のように荒れ、
その姿は熱帯の雲のように移ろった。
選びに敗れた日、
彼は沈黙を拒んだ。
「これは奪われたのだ、
私から黎明を盗んだのだ」と。
彼は軍に呼びかけ、
刃の影に未来を隠そうとした。
幾千の人々が首都の石畳を覆い、
窓は砕け、門は打ち破られ、
国の座は一瞬、嵐に沈んだ。
やがて裁きの座は言葉を下した。
「剣は選びに勝らず、
怒号は声に代わることはない」と。
彼は鉄の門に閉ざされ、
長き時を数えることとなった。
それでもなお叫んでいる。
「これは弾圧だ。裏切りだ」と。
そして大地は震えている。
声は裂け、心は二つに割れ、
誰も黎明の方角を指せずにいる。
夜はなお深い。
揺らぐ大河の岸辺で、
人々は光を待つのか、
それとも嵐を呼ぶのか。
Permalink |記事への反応(1) | 11:50
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君が書いてるのちゃんと読んでるけど、毎回恐ろしくつまらないね 趣向を変えたほうが良いのかな~って思うよ(^O^)/