■眠りの実り
畑は渇きに耐えていた。
陽は燃え、雨は乏しく、
実りは影のように細かった。
その実りは人々の前に出ることなく、
倉の奥に運ばれ、
重たい眠りの中に沈んだ。
母は子の口もとを見つめ、
「天が惜しむのは分かる。
だが人まで惜しむのはなぜか」と言った。
若者は拳を石に変え、
「実りは汗のものか、
それとも名のものか」と叫んだ。
老人は沈黙のうちにささやいた。
「実りは誰のものでもない。
人に与えられたのは、
分け合う意志だけだ」
夜はざわめきを抱き、
ざわめきは嵐を呼ぶ風となった。
そして夜明けが来た。
倉はまだ閉ざされていたが、
人々の心にかけられた扉は、
すでに破られていた。
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