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2025-09-04

死後魚類認知活動についての警告⚠️:意味を読みとる前に「補正」をかけること

「死んだ」サケに様々な写真を見せて”fMRI”測定を行ったところ、死後魚類脳のいくつかの部位で、写真に反応した「神経活動」が統計的有意に検出されました。これは、死後魚類の驚くべき認知活動意味するのでしようか?もちろんできません。

これは単に、データ分析における「多重比較補正」を怠った結果現れた、偽陽性であることがわかりました。

結論:fMRIデータ閾値設定時に「適切な多重比較**補正**」を標準的慣行として利用すべきです。

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この論文は、「人々を笑わせ、そのあとで考えさせた」功績により、イグノーベル賞を受賞しました。

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この研究の主要なテーマは、**fMRIデータ分析における多重比較補正重要性**と、その補正を怠った場合に生じる**偽陽性危険性**を強調することです [1-3]。

**多重比較問題概要**:

*典型的fMRIデータは非常に多くのボクセル(約130,000個)を含むため、コントラストごとに数万回の統計テストが行われるのが一般的です [1, 2]。

* この極端な次元性により、**少なくとも1つの偽陽性が出る確率はほぼ確実**になります [1-3]。

* 適切な多重比較補正が行われないと、誤った結果(偽陽性)が報告される可能性が高まります [1, 2, 4]。

* 多くの研究者が未補正統計量を使用しており、p値の閾値を厳しくしたり(例: p &lt; 0.001)、最小クラスターサイズを設定したりする方法に頼っていますが、これは多重比較問題への不適切対処法であり、原理に基づかないアプローチだとされています [5, 6]。

**死んだサケを用いた実験**:

* **目的**: この研究は、多重比較補正無視することの危険性を示すために、**死んだタイセイヨウサケ被験者としてfMRIスキャン実施**しました [1, 3, 6, 7]。

* **方法**:

サケは、人間社会的な状況にいる写真シリーズ提示されるという、**開かれた精神課題**を与えられました [18]。これらの写真は、社会的包摂的または排他的な、特定感情的価数を持っていました [18]。サケは、写真中の人物がどのような感情経験しているか判断するように「求められました」 [18]。これは、後に人間被験者グループにも実施されたのと同じ**社会的視点取得タスク**でした [2]。

刺激はブロックデザイン提示され、各ブロックは4枚の写真がそれぞれ2.5秒間(合計10秒間)提示され、その後12秒間の休憩が続きました [18]。合計12ブロック写真提示完了し、ラン中に48枚の写真提示されました [18]。タスクの総スキャン時間は5.8分で、140の画像ボリュームが取得されました [18]。画像取得には1.5テスラGEシグナMRスキャナーが使用され、クアドラチャーバードケージヘッドコイルRF送受信に用いられました [17]。サケの動きを制限するためにヘッドコイル内にフォームパッドが配置されましたが、被験体の動きが非常に少なかったため、ほとんど必要ありませんでした [17]。

* **結果**:

* **未補正統計量(p &lt; 0.001)では、サケの脳腔と脊柱活動的なボクセルクラスターが観察されました** [1, 9-11]。そのクラスターサイズは81mm³で、クラスターレベル有意性はp = 0.001でした [10]。

* **多重比較補正した統計量(家族全体のエラー率 (FWER) と偽発見率 (FDR))では、緩和された統計的閾値FDR = 0.25およびFWER = 0.25)であっても、活動的なボクセルは全く存在しないことが示されました** [1,10]。

* **結論**: このデータは、**EPI時系列ランダムノイズが、多重テスト制御されない場合に誤った結果を生み出す可能性がある**ことを示唆しています [3]。

**多重比較補正方法**:

* **FWER(家族全体のエラー率)**:複数有意性検定を行った後に、1つ以上の偽陽性を観察する確率制御します。例えば、FWER = 0.05は、仮説テスト全体で1つ以上の偽陽性が出る可能性が5%であることを意味します [12]。Bonferroni補正が最もよく知られたFWER制御法ですが、fMRIデータには保守的すぎることがあり、真のシグナルを排除してしま可能性があります [11-14]。fMRIではガウスランダム理論や順列法が主に用いられます [12]。

* **FDR(偽発見率)**: 検出された結果のうち、偽陽性であると予想される割合制御します。例えば、FDR = 0.05は、検出された結果の最大5%が偽陽性であると予想されることを意味します [10, 13]。FDRはFWERよりも保守的ではありませんが、統計的検出力と多重比較制御のより良いバランス提供します [13, 15]。

* これらの補正方法は、主要な神経画像処理ソフトウェアパッケージ(SPM、AFNI、FSLなど)にすべて含まれており、**適用することは難しくありません** [4, 15, 16]。

**提言**:

*論文は、**fMRIデータ閾値設定時に適切な多重比較補正標準的慣行として利用すべき**であると主張しています [1, 4]。

*研究者は、統計的検出力の低下を懸念して補正を避ける傾向がありますが、**未補正統計量を使用し続けるという選択肢はあってはならない**と述べています [4]。

* 多重比較問題は「非独立エラー」(クラスター内のボクセルが同じ統計的尺度選択された場合統計的推定値のインフレ)や、時系列自己相関、低周波ドリフトといった他の統計的問題とは区別されるべきです [17]。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1053811909712029

Permalink |記事への反応(0) | 16:38

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