スウェーデンと日本は、移民(在留外国人)受け入れの目的、規模、出身国構成が大きく異なり、その結果として社会に現れる影響も対照的です。
スウェーデンは、人道的な理由からシリア、イラク、アフガニスタンといったイスラム教徒が多数を占める国々から大規模に難民を受け入れてきました。
その結果、総人口の約2割が外国生まれという多様性に富んだ社会が形成されましたが、同時に深刻な課題にも直面しています。
特に深刻なのが、文化的価値観の違いに起因するとされる社会問題です。性犯罪に関しては、スウェーデン系以外の移民が容疑者となるリスクは、スウェーデン系と比較して5倍にのぼるという調査結果があります。これは、移民が持つ文化的背景、特に女性観や性に関する価値観がスウェーデン社会と摩擦を生んでいる可能性を示唆しています。犯罪全体で見ても、外国にルーツを持つ人々が有罪判決を受けるリスクは、スウェーデン生まれのネイティブの約2倍とされています。
経済面でも課題は少なくありません。スウェーデン生まれのネイティブの就労率が男性86.9%、女性83.2%であるのに対し、外国生まれの男性の就労率は76.4%、女性の就労率は63.9%です。難民として入国した人々の社会保障費は、公的財政の大きな負担となっています。
一方、日本は労働力不足の解消を主な目的として、主にアジア諸国から移民(外国人材)を受け入れています。
出身国はベトナム、中国、フィリピンなどが中心で、在留外国人に占めるイスラム教徒の割合は約9.1%と、スウェーデンに比べて限定的です。
日本の外国人犯罪は、スウェーデンのように文化・宗教的摩擦が背景にあるとは一概に言えません。しかし、人口比で見た犯罪率は日本人より高いのが実情です。
交通業過を除く刑法犯の検挙者数は、人口1,000人あたりで日本人が1.47人であるのに対し、外国人は2.39人と約1.6倍です。
検挙された犯罪の種類を見ると、日本人・外国人ともに窃盗が最も多く(外国人検挙者の約43%)、これは一部の外国人が日本で経済的に困窮している状況を反映している可能性があります。
このように、スウェーデンと日本では、移民受け入れの理念と実態が大きく異なります。
スウェーデンは、人道主義を掲げてイスラム圏から多くの移民を受け入れた結果、性犯罪率の増加や文化的摩擦といった深刻な社会問題に直面し、経済的にも大きなコストを負担しています。
日本は、労働力として非イスラム圏からの移民を中心に受け入れていますが、人口比での犯罪率はネイティブより高く、特に窃盗犯罪の多さは、一部移民の経済的な困窮を示唆しています。
両国の事例は、移民政策が単なる労働力や人口の問題だけでなく、文化、経済、社会秩序といった国の根幹にまで影響を及ぼす複雑な課題であることを示しています。