助けになる言葉なんてもう腐るほどある。
自己啓発、ビジネス系、臨床心理、仏教、ストア哲学、発達障害界隈、認知行動療法、スピリチュアル、地獄体験談から成功体験まで、あらゆるジャンルに「効くらしい」ことは出回ってる。全部それっぽいし、語彙もフォントも整ってる。
良いことも書いてあるものも中にはある。完成度だけで言えば、昔の坊さんより今のnote書いてる無名の人の方が上なんじゃないかと思うくらいだ。
でも、ぜんぶ効かない。あるいは効くかどうか分からない。口当たりがいいものは後から毒に変わるし、口に苦いものは途中で吐き出してしまう。
そもそも自分が何の病気かも分かってないのに「効く薬を探してます」ってのがおかしい。診断もなしに薬局をさまよって、他人の処方箋を盗み見て、自分に流用して、そりゃ失敗するだろって話。
ネットで拾える「良薬」は本当に役に立つものなんだろう。それをどう使えばいいか分からない。今の自分に必要な成分かも分からない。摂取のタイミングも、量も、相互作用も、何も分からない。
必要なのは薬じゃなくて薬剤師だ。もっと言えば、自分専属の薬剤師。でもそんなのどこにもいない。
カウンセラー?親身な友人?AI?全部惜しい。どいつもこいつもテンプレで、かすりはするけど刺さらない。どうせ本音までは読んでないし、誤魔化して話す自分の側にも問題がある。
だから結局は運だ。運が良ければ偶然そのとき必要だった言葉に出会える。誰かのつぶやきだったり、コメント欄のゴミみたいな一行だったり。
精製された薬じゃなくて、流れ弾みたいなやつが意外と効いたりする。
良薬は確かにある。でも薬剤師はいない。皆それぞれ勝手にドラッグストアでパッケージを眺めて、試して、副作用で寝込んで、また探しに行く。