仕事で失敗した帰り、もうどうにでもなれと初めて店に足を運んだのは30手前の事だった。そこで俺は彼女に出会った。年齢は俺と同じ、当時はまだ三十手前だった。会話は少なく、行為は不器用で、だが彼女は優しかった。
俺はすっかり満足してしまい、翌週には再び足を向けていた。元々多趣味な方でない。寧ろ無趣味と言って違いない。
足繁く通うようになるのは必然だった。
それから五年。長い時間だ。付き合ってるわけではない。本名も知らない。だけど5年も通い詰めれば自然と距離は縮まり、話すことはたくさんあった。
会社のことや家族のこと、趣味の事や気になっていること。好きな映画や漫画の話から、友達の話まで。何も話さずにただ一緒にいるだけのこともあった。
先日のことだ。いつも通り部屋に通され中に入ると、彼女はベッドの上にぺたんと座っていて、ぽつりと呟いた。
話を聞くと同い年の、大学時代からの親友がこの夏に結婚するのだという。35歳で結婚できたことを本来なら祝福すべきなのにどうしても素直に喜べないと彼女は言った。
祝えない自分が醜く思えてくるのだと、続けて言った。
彼女は少し笑っていた。でも、その目は笑っていなかった。
昔、ある人に言われたことがあるの。幸せって、結果論だって。たとえば、どれだけ過去がつらくても、今が幸せなら、そのつらかった過去も必要だったって思える。だから許せるし、肯定できるって
急にそんな話を脈略もなく話してきたので驚き、なんと言っていいのか分からない。
彼女の視線が俺の顔から俺の左手へと移った。俺の薬指には何もない。
結婚しないの?
そう訊かれて、ドキッとしてしまった。
あの瞬間、俺は人生で一番の男気を試されていたのかもしれない。
返事はまだしていない。改めて書き出してみると、彼女はあの仕事のことが本当は嫌いなのかもしれない。
以前には笑って好きだと言っていたその仕事のことが。
じゃあ、俺と結婚しようか。
次に会った時に、そう伝えたい。
俺に勇気をくれ。
Permalink |記事への反応(11) | 17:14
むかし素人童貞をこじらせていた頃、同じように3年くらい通った気心の知れた嬢(昼職の上司と不倫関係にある事とか聞かされてた)から 「年下の子を彼氏にするのもいいかもな・・...
うわぁ…お気の毒様。風俗に いい年してのめり込むなんて、少なくとも性 病には気を付けなよ。それと嬢の営業ト ークを真に受けても金と時間の ムダにしかならないぞ。
増田が一番の無駄やで
珍しい源氏名だね ストリートファイターが元ネタかな?
チャット。
フェミニストはこれは叩かないの?
一緒に住めそうなら進むのはいいと思う。 付き合うや結婚の意図するところが、婚姻届出すくらいならお互い同じものを差し出して得る(戸籍の履歴)から良いと思う。婚約指輪を贈る...
当たって砕けてもいいならいいんじゃない どうなっても後悔しないように
嬢がその親友のことを片思いしてたから嫉妬ゆえの逆ギレで増田に求婚してるのかと思ってしまった百合脳を許して欲しい。
両親なり親族なり会社の同僚なりに相談できる?本当のこと話せる? こんな相談できない、相談したくない、と思うならやめといたほうが良い。 一生、嘘を付く羽目になるよ。
中古嫁で良ければ…
源氏名何処記載?