Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


はてラボはてな匿名ダイアリー
ようこそ ゲスト さんログインユーザー登録
< anond:20250506173703 |anond:20250506173703 >

2025-05-06

ワンピース最終話

グランドライン最終地点——ラフテル。

永き航海の果て、陽が沈む寸前の水平線に、ついに麦わらの一味は辿り着いた。

何十年も正体が伏せられていたひとつなぎの大秘宝ワンピース)。

幾多の海賊、王、兵、そして夢追い人たちが命をかけて求めたその答えが、いま、目の前にある。

ルフィは、いつもの調子でニッと笑い、手を伸ばして宝箱を開いた。

「開けるぞ、宝箱!」

ギィィ……と重い音がして、蓋が持ち上がった。

光り輝く財宝が……なかった。

その代わりにあったのは、1冊の分厚い本。

革張りの、年代を感じるそれには、金の箔押しでこう書かれていた。

ONE PIECE

ナミがページをめくると、中には手書き航海日誌のような文章と、写真のような記録映像が詰まっていた。

少年が海に飛び込む様子、帽子を預ける場面、仲間を守るために立ち上がる姿、泣き笑い、喧嘩、別れ、再会、そして宴。

それはまさに、これまでルフィたちが旅してきた記録そのものだった。

「これって……」

「そう……」

ロビンがページを閉じて静かに呟く。

ワンピースは、この旅そのものだったのよ」

ゾロが「ハァ?」と目を細め、

サンジが「フザけてんのか」と煙草に火を点けかけて、

ウソップが「いや……でも……」と肩を震わせた。

その瞬間、ルフィが腹の底から笑った。

「ヒャハハハハ!!やっぱりそうか!!!

だってさ、こんな面白い旅、他にねぇもんな!!!

「おれたちが繋いできたもの全部が、ひとつなぎの大秘宝だったんだ!!!

ドン!!!


空が、パァァァッと黄金色に染まった。

夕日が雲の間から差し込み、ルフィ背中と麦わら帽子を照らしていた。

「おれは……ほんとに、海賊王になれたのかな?」

その問いに、ナミが笑って答えた。

「なったわよ。もう、誰も否定できない。」

一拍置いて、フランキーが叫んだ。

「じゃあよォ!!言ってくれよ、ルフィ!!!最後にアレを!!!

「おう!!!!」

「宴だァ~~~~~~~~~!!!!!」

その声に合わせて、ウソップが火を放ち、チョッパーが肉を並べ、

ブルックヴァイオリンをかき鳴らし、ジンベエが酒を注ぎ、

ゾロが無言で一升瓶を煽りロビンが優しく笑っていた。

焚き火の周りに集まり、飲んで、食って、笑って、叫んで。

誰もが泣きながら、笑っていた。

かつて、ロジャーがここで見たという笑い話は、きっとこういう光景だったのだろう。

そして全員が理解していた。

仲間と過ごした全ての時間こそが、何よりの宝だったのだと。

夜はふけ、焚き火がぱちぱちと音を立てる。

赤く照らされた顔をルフィに向け、ナミが尋ねる。

「ねぇ……次は、どこに行く?」

ルフィが空を見上げて言ったその一言に、

誰もが黙って頷いた。

──そして翌朝、ラフテルに停泊していたサウザンド・サニー号は、静かに、新たな航路を進み始めた。

Permalink |記事への反応(0) | 17:38

このエントリーをはてなブックマークに追加ツイートシェア

記事への反応 -

記事への反応(ブックマークコメント)

全てのコメントを見る

人気エントリ

注目エントリ

ログインユーザー登録
ようこそ ゲスト さん
Copyright (C) 2001-2025 hatena. All Rights Reserved.

[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp