それは、未成年にはそれを許可するのに十分な判断力を持っていないため、性的な目で見る許可をする権利が制限されているから
性的な目で見る、という言い方が曖昧なので分かりにくいんだけど、「誰かのことを見て性的な満足感を得ること」とする。
「可愛いJCがいたらどうしても目で追ってしまうし、ああいう子と付き合ってみたいなと思うこともある。それは本能だ。どうしようもない。そういう生き物だから。それを禁止されたら、恋愛だって始まらないし、子どもも作れない、人間は滅びてしまうじゃないか」
と言う人がいるかもしれないが、それは違う。
・未成年を見て楽しむことは”禁じられていない”。
この2つは矛盾しない。
男も女も、ホームレスも総理大臣も、誰にでも与えられている権利がある。
人権は、人に、その人の身体を、その人のためだけのものとすることを認める。
だから不当に拘束されたり、傷つけられたりすることは、人権を損なうことであり、認められない。
その人権の中には、
や、
や、
などが含まれる。
一方で、未成年は保護される代償としていくつかの権利が制限されている。
や
・性器、肛門、女子のおっぱいを見せるような写真、映像などを公の場に出す自己決定権(流石に男子高校生の水泳や相撲の大会の写真、映像が全てNGだとは思わないよ)
などが含まれる
「未成年を性的な目で見る」行為は、未成年のこのへんの権利を侵害している。
というわけで、
「可愛いJCがいたらどうしても目で追ってしまうし、ああいう子と付き合ってみたいなと思うこともある。」→してはいけない。してしまったら、してはいけなかったな、これ以上見るのをやめよう、と思うべき。
「恋愛も始まらない」→成人相手に許可を取ったうえでやりましょう。大人はそれを許可する権利があり、そうされて構わないと思えばそれを許す。あなたがそれをしても人権侵害にならない。でも未成年は判断力が未熟だから、たとえ相手の許可をとってもしてはいけない。
大切なのは『それを相手が良しとしているかどうか』。それを決める権利は基本的にはすべて相手にあり、相手は誰にもおもねることなくそれを決められる。でも未成年はそうじゃない。判断力が未熟で、許可を出した時の影響を理解していないから。
「警官・消防士・軍人のような制服に伴い社会的に特定の役割が与えられている服」「ナチスなど戦争に伴う悪いイメージが著しく強い服」以外のコスプレであるならば他者の権利を侵害していないというのはその通りだろう。
だが、結局のところ問題になっているコスプレはダンジョン飯という「深夜アニメ」のキャラのコスプレだ。
そして、日本のアニメ、とりわけ深夜アニメは、「成人男性が女子高生、中学生など未成年女子と交際し性的関係を持つ描写」「女子高生、女子中学生など未成年の登場キャラのパンチラ、おっぱい、ラッキースケベ等を描き、それを成人の視聴者が性的に楽しむ描写」が多いと国際的に批判されている。
「現実の未成年にそういうことをしたら犯罪だが、絵に描いたキャラには人権が無いのでそのような描写をしても問題ない」というかもしれない。
でも、そうじゃない。
男性目線で未成年を性的に描くことで、「未成年も、男性から見て性的な存在であるのが当然だ」という社会的な規範を間接的に強化してしまう。
規範は、繰り返しによって強化される。例えば、ある国で、女性が就職活動で女性的な服装をすることが繰り返されれば、その国では、それが「通常の状態」と認識されるようになる。すると、その国で、ある女性が中性的な格好をすると、それは「通常の状態」からの逸脱と見なされる。そして、「他とは違う何らかの事情があるかもしれない」という暗示を持つ記号になる。このため、女性は、よほどの事情がない限り、女性的な服装をすることが合理的な意思決定になる。ここでいう規範は、その集団における繰り返しによって強化されるのであって、ある個別の事例(特定の個人の女性的な服装)によって決定的に形成されるとは限らない。
つまり、「絵に描いたキャラには人権が無いので未成年キャラを性的に描写しても問題ない」は直接的にはその通りでも、そのような描写のあるアニメや漫画が大量に生産されることで、「現実の未成年女子も性的に見ても問題ない」という考えが生まれて人権侵害となってしまうおそれがある。
では、万博で深夜アニメのキャラのコスプレをすることは何が問題なのか。
たぶん、コスプレした本人は「このキャラが好きでコスプレが好きだからやりました」という以上の意図は持っていないと思う。
でも、海外からは「日本は未成年を性的な目で見ることを推進するようなマンガやアニメが野放しにされている」「しかも女性たちもそのようなメッセージを受け入れている」というメッセージとして受け止められてしまう。
そうすると、どうなるか。
日本にいる未成年が外国人から勘違いされる。あるいは、海外に旅行や留学した未成年が勘違いされる。
自分の体を、許可なく性的な目で見られたくない未成年が、安心して生活できなくなる。
コスプレによって、直接傷つけられたり、悲しい思いをしたり、個人として尊重されないような事態は、発生しない。
しかし、そういう社会づくり、人権の守られない、安心して暮らせない社会づくりに、確実に貢献してしまっているのである。
「深夜アニメには未成年を性的に見ることを肯定するような描写が多く、万博という場所でのコスプレにふさわしくないことは、甘んじて認めよう。では、アニメでも、ダンジョン飯はダメでドラゴンボールなら良いのか?」
これは本当に難しい。簡単に線引きをすることはできない。
では、どうしたらいいんだろう?
議論をしたらいい。公共の場は、どうしたらみんなが安心して過ごせる場所になるか。深夜アニメが好きなオタクは、どこに行けば誰の尊厳も傷つけず、自由に萌えを叫べるのか。世界中の人が訪れる万博とはどのような場所なのか。
声をあげよう。間違っていてもいい。いっしょに考えよう。自分と違う意見の人を、クソなんとかとか、バカなんとかと貶めるのをやめて、同じ社会に暮らす自分と違った考え方のひとりの人間と認めよう。相手の顔が見えないインターネットでは難しいかもしれない。それでもインターネットだからこそ時と空間を超えたフラットな対話が可能なはずだ。
話し合おう。萌え絵が好きな人にも、ロリコンにもショタコンにも腐女子にも、石破茂にも山本太郎にも、北原みのりにも水原清晃(暇空茜)にも、あなたにも人権がある。人権の概念は、まだこの社会に浸透しているとは言えない。あなたにもきっとあるはずだ。こんなことをされたくないとか、自分を大切にしたいとか、悔しく思ったことが。そんな思いをしなくてもいい社会を、次の世代にプレゼントしよう。
子供ってお前みたいな汚いオタクのことは陰でバカにしてるのによくそこまで庇えるな。正直失敗作の負け犬の犯罪者予備軍って思われてるで。