来季も7年連続のJ1を戦うクラブだが、新監督など編成は滞り、主力流出の可能性もあり、先行きは不透明だ。
既に多良会長兼監督らコーチングスタッフの総退陣とDF松岡ら14人の契約満了を発表した。しかし、いずれも上層部主導によるもので、特に選手の契約満了は報道で初めて知ったと言う関係者もいて、一部選手からは一方的なやり方に不満の声もある。更にJ1複数クラブ、海外クラブがMF鈴木潤主将の獲得に乗り出し、弟のMF鈴木亮、FW森永、DF村山らにも熱視線を送るJクラブもあり、オフに主力を引き止められるかは不透明だ。
試合後のセレモニーでは、上層部の名藤弘文副総帥が立つとサポーターのブーイングと同時に「責任は現場と選手だけ?上層部は雲隠れ?」「ファミリア、スポンサー、現場、選手を蔑ろにし、身勝手人事の上層部に未来なし」「今のやり方に未来はありますか?」等と厳しい言葉が並んだ横断幕が掲げられた。
成績不振は現場だけの責任ではない。昨オフ、クラブが野河田彰信元監督の長期政権を示唆した発言は低迷と集客力減少などが重なって10月に解任。岡嶋聡ヘッドコーチの監督代行、多良会長の監督兼務も上層部主導で決めた。残留は果たしたが、監督の首のすげ替えだけで、常勝チームは築けない。クラブ経営に対する見通しの甘さは、上層部にも責任がある。
名藤副総帥は報道陣の取材に「今シーズンに関しては申し訳なく思います」と謝罪。その上で相次ぐ主力の退団などについては「契約の関係があるから……」と言葉を濁し、新監督や来季編成についても「何もないんだから、言える訳がない」と苛立ちを募らせた。新監督、編成すら不透明。来シーズンのチーム作りは、ビジョンすら伝わってこない、不安定さを感じさせながらの出直しになる。